充実感と喜びのせいかだろうか。その感情で身体が一瞬震える。涙?いやこれは汗です、汗。


ゴールまではあと2km。
こんな感覚になったのはいつ以来だろうか。
これだからウルトラトレイルはやめられないー。


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山形の縦断駅伝。20年も思い続けた区間を走ることができた。前半シーズンの山場、比叡山50マイル。そして6月からの独立。
ブログに書きたいことは沢山あるのだが、まずは記憶の新しい(?)、「奥信濃100」から振り返ってみたいと思う。


受付でバッタリお会いした鬼塚さんとありかさん。

ショートレースとロングレースでお会いする方も違うから面白い。



奥信濃は初回の2021年以来の出場。グレートレースで放送された回。今もあのグレートレースの話をしていただけるので、テレビの力は本当に凄いと感じるばかり。改めてありがとうございます。



実はその後もずっとエントリーはしていました。山田琢也さんはじめ、アルプの皆さんにはお世話になっていますし、何より初回の借りというか、「納得できる走りをしたい」という想いはどのレースに対しても持っているからです。ただ2022年、2023年と前半シーズンの怪我で出走することは叶わず。そのため、ようやく巡ってきた3年振りの奥信濃となりました。




ただ5月は体調不良で全く走れませんでした。少しペースを上げたランニングは2回。それもキツくてすぐ止める始末。当然、比叡山50マイルは散々な結果で終わりました。
「そんな状態で走るなんて大会にも家族にも迷惑かけてるよ」と大瀬先輩にお叱りを受けましたが、本当おっしゃる通りなんです。「元気な状態でスタートラインに立つ」というのは基本だと改めて思いました。



山形、宮崎、宮城、長野。レースだから色んな地域の人と会う。やっぱりレースはいいね。




「出ると決めたなら体調は戻ったのか?」と聞かれたら答えはNO。まだ100%とは言えませんでした。また、独立して練習量が6月から一気に増えた中でのレース。不安もありましたが、今までと違うアプローチで臨むこと、そして体調は確実に良くなってきている感覚があったので、ワクワクしながら当日を迎えることが出きました。



レースプランも特にありませんでした。と言うよりもプランを立てる余裕がなかったというのが本音です。ですので決めていたことは「確実に補給していくこと」と、「確実に完走すること」。


実は100km超えのレースを完走したのは2018年の信越五岳100マイルが最後。FKTでは何度も走ってますが、やはり「レースは違う」というのを身を持って何度も感じてきました。だからこそ今回は慎重に、というよりFKTの感覚で走りたいと思っていました。そうすれば無理をせず、必ずフィニッシュできるようなペースになると分かっていたからです。


「あー、ドロップバッグにおにぎり入れるの忘れたなぁ〜」の図。




スタートしてフラスコ落としたり、第一エイド(13km)で3分くらい滞在してたら沢山抜かれたり。それをロスと捉えれば焦るのですが、FKTだと思えばなんてことはないです。順番は気にしない。



スタートして1.5kmほど走りスタート地点へ。その後27kmで再び戻ってきます。



スタート地点(27km)に戻って2:50。しっかり補給してリスタートです。なんとなく先頭とは15分くらい開いてそうな気がしますが、そこは今日のスタイルを崩さないように気をつけます。



と!その後の分岐でまさかのロスト。

「あれ?違う?」とGPSを確認していると前から竹村さんが戻ってきた。聞いたら菊嶋さんと大ロストしたとのこと。その後の集団もロストしたようで、今回はこれでレース展開かなり変わったと思います。自分の場合、順位を気にしてなかったので大丈夫でしたが、順位を狙ってたらメンタルは相当削られるはず。それなのに竹村さんはガンガン行くんですよ。「初めまして」だったんですが、「ああ、この人は強いなぁ」と分かりました。あとでTJAR目指してると聞いて納得。そりゃこんなのでメンタル折れてられないですよね。



さて、第2エイド(33km)の糠干に到着。ここでもゆっくり。しかしずーみんさんが速過ぎる。走るのに加えて無駄のないエイドワーク。ショートレース並みです。さすがに「追いつかれないように頑張るか」と思いアクセルを踏み掛けるも、結局自分の力を出すしかないので思い直します。


沢沿いのマイナスイオンたっぷりトレイル。涼しかった。整備した跡も沢山。感謝して進む。




カヤノ平への登りで鬼塚さん、澤柳さん達に追い着きました。久々にロングレースの上位のパックで走ってる感じは正直嬉しかったなぁ。
自分は冒頭の通りの状態で、そんなに動いてる感覚はないし心拍数も低いのですが、割と悪くない速度で巡航できているんだなという安堵感もありました。同時にすぐ後ろにずーみんさんがいることに驚くばかり…。



林道で石井さんに追いつきました。石井克也さんといえば昔よく同じレースに出てたんですが、ここ数年お会いすることがなく、少し寂しい気持ちになっていました。それが昨年から?しっかりカムバック。嬉しくてベラベラと話しかけてしまいました。


4’20-30”/kmくらいで林道を走っているのですが、そんな中で澤柳さんが1番集中しているように感じました。(そして予想は当たりました)



カヤノ平手前で関さんに追いついて大きな集団に。スタート前と変わらず元気そうで、「このままみんなで行けたら楽しいなぁ」と思いながらエイドイン(48km)。イナゴが美味かった。そこで気がついたのは2位集団だということ。ってことは竹村さん1位!?自分の順位よりも、大ロストから上げていった竹村さんにびっくり…。


イナーゴ!



さて、エイドを出るタイミングがバラバラで集団も解散。澤柳さんがスーッと前に行きます。
カヤノ平の綺麗なブナ林を進みますが、自分は後半ハンガーノックな感じに…。



「トレイルランニング」という言葉がピッタリのカヤノ平ループ区間。いつまでも走っていたくなる。




さて、ここで順位を気にして補給を失敗するのがいつもの悪いところ。そう、今日は完走第一だし気持ちはFKT。ということで2回目のカヤノエイド(58km)は沢山ご馳走になりました。7分くらい滞在してる間にさすがに大分抜かれたけど「焦らない」と自分に言い聞かせます。それでも足りない感じがしたので、エイドを出た後もミルクティー片手にチップスター食べながらしばらく歩いてました。




ガッツリ食べます。



あそこだけ見た人からしたら「失速だな〜」と思うかもしれないけど今日は違います。最後までしっかり走り切るためのお昼ご飯タイムです。戦略的な歩行です(小声)



食べ終わってエネルギーが身体に馴染んできたところで元のペースに戻します。ここまで60km。レースの6割を終えて「しっかり食べれば今日は最後まで行けるな」という感覚を持ち始めます。



気がついたら2回目の糠干エイド(72km)で4番手まで上がってきたようで嬉しい誤算。しかしエイドを出るとずーみんさんin。どんだけ速いんすか。



次のエイドまで林道の峠走です。そしてその後も峠走。ダラダラとした登り下りは割と苦手なんだけど、この日は淡々と走っていけた。速くはないけど、しっかり補給できてるから身体も動く。


ただ、この日の感覚としてギアを上げて80%HRmaxを超えるとエネルギー切れになる感覚。いつもより低いのは体調のせいもあるかもしれない。だからこの日は高くても75%くらいで推移した方が良さそうと判断。「内臓も身体もいつものような踏み込める感じじゃないな」と察することができたのは成長かなと。




ケヤキの森エイド(84km)に着く前に小山さんの熱い応援!でも当の本人は前を追う気持ちになってない笑。と言うより、スイッチが入ると補給をミスるし最後まで持たないから、あえてやる気に蓋をしている感じです。



ケヤキの森(ANSWER4エイド)でバナナを3つポケットにイン。固形物メインで行く予定だったのでジェルが残り少ないのと、お腹に残るものが欲しかったから。しかし終わってみるとウエアとザックにバナナの繊維がめちゃくちゃ残って取れなかった笑。あとエイドでもうるさくてごめんなさい。


糠干までの復路で竹村さんをキャッチ。色々話す中で「鬼塚さんはトップ狙ってるだろうな」と竹村さんが話すも、本人もまだまだ諦めてないのが分かった。強い。その後、鬼塚さんの姿が見えてきて3人ほぼ一緒に。

ゴールまでは残り8kmくらい。トップの澤柳さんとは少し離れている様子。それでも「勝ちたい」と思う人が2位、3位だなと確信。同時に自分の今日のメンタルでは勝てないなとも確信しました。

でも不思議と悔しさとか前を追うという感覚はなくて。この時点で「今日はしっかり納得できる走りだった」と満足していました。当然2人は見えなくなりました笑。




最後の糠干エイド(95km)へ。
残り5kmしかないけど、ここでもしっかり休みます。コーラ飲みながら座ってゆっくり。そしたら50kmのトップで肇ちゃん入ってきた!痺れる展開なのにおじさん普通に話しかけてごめんなさい。



さぁ、ラストのゲレンデへ行こう。ここでふと思い出す「6年振りの100km超えレースの完走」という事実。そして100km超えのレースとしては1番納得いく走りができた、と心から思えた。

客観的に見たら順位の評価は良いものではないかもしれないけど、ロングレースで最後まで自分をコントロールできた、走りきれたという充実感は何事にも代え難いと改めて思いました。


トラックレースやショートレースのように「出し切る」のも好きだけど、ロングレース、ウルトラの魅力というのは中毒性があるというか。そして誰にでも必ず訪れる困難を、同じ道を進むランナー達と励まし合いながら進む感覚。やっぱりウルトラは良いなぁ。いくつになっても挑戦したいなと思えるスポーツです。



最後だ。最後まで自分なりに頑張ろう。嬉しくて最後の力を振り絞るようにフィニッシュへ。


琢也さんはじめスタッフの皆さんが盛り上げてくれた。本当、優しさと温かさが溢れる大会です。



何位だろうが納得の走りなら喜びを表現して良いと思う。



4位 10:46:52



ゴール後、急に頭がくらくらして横になってしまった。余裕を持って走ってたつもり。だけど自分が思ったより、自分の身体は頑張ったんだと思う。1時間ほど休ませてもらいました。ご迷惑をおかけしました。




50kmと併せて続々とゴールする選手達。そしてみんなと一緒に温泉に入り色々話す。それもこの大会の楽しみだと個人的には思っていたんですが、体調が良くならず何もできませんでした。比叡山に続き、これには非常に後悔してます。ちなみに遅れていった風呂でも再び大瀬さんに声をかけて助けてもらった。早めに上がって良かったです。



大きくロストした菊嶋さんも最後まで上げてきた。強いというのはそういう走りだと思う。喜多村さんも途中何度も一緒になり色々話したなぁ。




大満足の奥信濃、と言いたいところだけど、結局終わってみれば「あそこでもっと上手くできたんじゃないか」とか、レースに向けた取り組みも含め、色々と考えてしまう自分もいます。恥ずかしながら欲張りなもんです。



でも自分の場合、それは「順位」に対するものじゃないようです。もっと自分のパフォーマンス高めたい、高める余地がある、そう思っているから楽しいし、そうすれば自分をコントロールできる精度が上がって、もっと楽しくなる。





沢山練習できているのはチームの皆さんの存在が本当に大きいです。




6/8の奥信濃を終えての走行距離は300km。
6月のトレーニング量は715km 15,000mD±、MTBは150kmくらい。これは独立前の2倍に近い数字で、今後はこれが平常運転になります。それを見越して1月から少しずつ量を増やしてきました。
今も忙しさはありますが、会社員時代と違いまとまった睡眠時間を確保できていること、何より毎日一緒に走るチームの仲間の存在が大きいです。


慣れてきたら少しずつ強度と上げていきたいと思っています。その先にどんな自分が待っているかと思うと楽しみです。



最後に。
ケヤキの森エイドを出て、走りながら見えたレース会場の木島平スキー場。「あそこまで走って帰るんだなぁ。ずっと遠くまで、色んなところを回っているんだなぁ」と、自然と思っている自分がいました。


景色だったり、レース中の会話だったり、自分の身体への意識だったりー。順位とは違うところに集中して楽しんでいる自分がいました。


リザルトを狙うことも素晴らしい目標です。
ただ自分の場合はそれが性に合わなくて。それが良いものだ、自分に合っているものだと思い込んで取り組む日々のトレーニングがずっと億劫でした。トレイルランニングを始めてたから、その感覚は少しずつ減ってきたけど、やっぱりたまに顔を出していました。


それでもここ2年くらいは、その回数もだいぶ減ってきたように感じます。歳をとって落ち着いてきたのかもしれません。でも、自然にトレーニングだったりトレイルを楽しめる毎日は、本当に穏やかでとても充実しています。


奥信濃がきっかけでその感覚は深まり、1ヶ月経った今も、その感覚は深まるばかりです。


その機会を与えてくれた奥信濃の皆さんへの感謝。そして日々のトレーニングを共にするチームの皆さんの想いや行動が、自分の思考の引き出しを増やしてくれていることへの感謝。


立場が変わったこれからは、その感謝と得たものを多くの人に伝えていければと思っています。


そして走るきっかけとなる場を提供していくのも自分のやりたいことの一つ。ランニングの敷居を下げていきたい。


一方でウルトラトレイルには人生観を、人生そのものを変えてしまうようなデッカい魅力があると思っています。そんな機会を東北にも作ることができるよう、プロとして行動していきたいと思います。



ロングレース後は様々な感情が押し寄せます。それを味わえる人生。本当に幸せなことだと思います。



これまで支えてくれた皆さん、そしてこれから支えてくれる皆さんへの感謝。それを伝える1番の方法は、自分らしく走り続けることだと思っています。結果はきっと付いてくる。



Photo

奥信濃100 公式

鈴木淳平

ESS 公式

東北RIZE


Thank you!


【奥信濃100公式】