このブログでは、百人一首好きの私が直訳、意訳を通して自分ならではのオリジナルストーリーを綴っていきます。
こんにちは。明日はマンガ「ちはやふる」最新刊の発売日です。続きが気になる展開なので早く読みたい
!みなさんもぜひ!!
さて今回は、
一七、ちはやぶる神代もきかず龍田川
からくれなゐに水くくるとは
ちはやぶるかみよもきかずたつたかわ からくれないにみづくくるとは
(画像は百人一首の意味と文法解説(17)ちはやぶる神代もきかず竜田川韓紅に水くくるとは┃在原業平朝臣|百人一首で始める古文書講座【歌舞伎好きが変体仮名を解読する】(https://honda-n2.com/honkoku-ogura-hyakunin-isshu-17)より借用)
この歌を詠んだのは「伊勢物語」のモデルのなったとされる在原業平朝臣です。昨日と今日とで、兄弟の歌が前後に並んでいることになっていますね。なんだか興味深いです。
この歌は百人一首をよく知らないという人でも、どこかで聞いたことがあるかもしれません。これだけ覚えてるという人も私の周りにはいました!よく百人一首をすると、この歌をみんなが狙っていたことを覚えています。
直訳を出すために品詞分解していきます。興味のない方は飛ばしてください!
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ちはやぶる/神代/も/きか/ず/龍田川/からくれない/に/水/くくる/と/は
意味のわからなかったものなど挙げていきます。
1、「神代」
様々の逸話がある神武天皇以前の神々の時代のことを指します。
2、「龍田川」
現在の奈良県にある川で、紅葉の名所として有名です。
3、「からくれない」
これを漢字で書くと「韓紅」となります。文字から読み取れる通り、韓から渡来した濃い紅色のことを指します。
4、「くくる」
動詞「括る」の終止形で、糸で布を括って白い部分を残す染め方をいいます。
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これを踏まえて直訳を出すと、
「神の時代にも聞いたことがない。龍田川が水を韓紅にくくり染めするということは。」
これだけ読むと、「そんな逸話ないよ」と言っているだけのように感じますが、ちゃんとした意図が存在するはずです。「龍田川」が紅葉の名所だったことから、この歌はその情景を意識したものだと分かりますね。おそらく業平が紅葉が浮かぶ龍田川を見て、くくり染めになぞらえて詠んだと思われます。
この歌の裏話として、在原業平が清和天皇の后・春宮の御息所の邸の屏風を見て詠んだというのがあります。この高貴な女性は、業平がかつて無理やり仲を引き裂かれた悲恋の相手、高子さんだったのです。このような背景があると、単純な歌とは考えにくくなりますよね。(出典「マンガ百人一首」)
〈オリジナルストーリー〉
「君もあの頃を思い出すのだろうか…。」と何かしていないとすぐ高子さんのことを考えてしまう業平さん。恋多き彼にとっても、高子さんとの恋は忘れられないほどのものだったようだ。訳もなく春宮の前を通っているうちに、すっかり屏風の柄まで覚えてしまった。
そんなある日、紅葉が綺麗と噂の龍田川へと業平さんは足を運んでいた。川一面に紅葉が浮かび、真っ赤に染め上げられた布のようであった。誰が見ても「見事だ」と思う景色が広がっていた。しかし、傷心中の業平さんには高子さんとの熱い恋の思い出が蘇ってきてしまう。忘れたくても忘れられず、声をかけたくても屏風を見ることしか出来ない…。そんな自分の燃え上がる想いに、真っ赤な川を見ながら気づいてしまった。「この張りさけんばかりの想いも、いつか川の流れのように流れてくれよう。」と願いを込めて、この苦しい思いを歌にしたのだった。
直訳とは一転して、熱い片思いの歌と捉えました。やはりどんな背景があって作られたのかというのが分かると、全く解釈が変わってきました。ただ美しい景色を詠んだだけでなく、それにプラスして自分の想いを乗せていることを感じました。非常に綺麗な様子とそれとは逆行する自分の想いを対比しているようにも読み取れました。恋に生きる業平さんの熱い思いが伺えますね。
今日はここまでです。ありがとうございました。
他の解釈があるなどありましたら、ぜひコメント欄で教えてください!
(参考サイト、文献)
百人一首(17)ちはやぶる神代も聞かず竜田川 品詞分解と訳
https://nbataro.blog.fc2.com/blog-entry-79.html(2020年10月12日)
吉原幸子・中田由見子(1986-2004)『マンガ百人一首』平凡社.