声にならない声を拾って、言葉にするのは、場づくりにおいて大切なことです。


プレイバック・シアターのコンダクター(進行役)をしていると、声かけ一つで場が変わるので、どんな言葉選びをするか、とても神経を遣います。

場は生ものですし、沈黙も言葉になるので、一瞬で判断し的確に発言しなければならず、しかも後から修正出来ないので、結構大変です。


でも、慣れてくれば少しずつ出来るようになります。


慣れるというより、ありのままの自分自身に自分でOKを出せていれば大丈夫という感じです。


前にこんなことがありました。

プレイバック・シアターとは関係のないイベントで司会をしたことがあります。

その時、プレイバック・シアターで培われた場を変える声かけがとても役に立ちました。


その日はある団体の年に一度の一大イベントで、50人を超える参加者が集まりました。

大試食パーティです。

子どもの参加もOKで、その日は祝日でもあったので、たくさんの子ども達が参加していました。

その中の一人の子がぐずっていて、お母さんが手を焼いていました。

しばらくは様子を見ていたのですが、なかなかおさまらないようなので、司会がひと段落したタイミングで、そのお母さんに声をかけました。


伝えたことは、ぐずっていたとしても私達スタッフは気にしないので、お母さんとお子さんが、無理なくこの場に居たいように居て下さい。ということです。

お母さんはありがとうございます。とだけ言いました。

その後、しばらくして子どもは落ち着いたようです。

お母さんが落ち着つくと、子どもも落ち着くことが出来るんだと思います。


また、試食会の最後に一人一人感想を言ってもらいました。

その時、司会をしていて一人一人の感想に相槌をうちながら、さらに、感想を言い終わった後に、感想に関わるその団体の趣旨を一言添えました。

すると、50人もいたというのに、一人一人の感想をその場のみんなが聞く姿勢でいてくれて、尚且つその団体への愛情をその場にいる人達みんなが確かめ合う。そんな素敵な空気感に包まれ、試食会は終了しました。


本当に声かけ一つで素敵な場にもイマイチな場にもなります。


大事なのは、自分自身でいること。

うまくやってやろうとか、こういう場に持っていこうとか、そういうのは一切抜きにして、その場とそこに居る人達に真摯に向き合うこと、なんだと思います。


それだけで、きっといい場が作れるのだと思います。