👁目線。
《奈々、今日はいつも以上に部活張り切ってんな!》
『あったりまえですよ!頑張ったらゆうちゃんからのおにぎり待ってるんですから!!』
《ガチでゆいりに惚れてんだな笑笑》
いつも部活に熱心で、でも楽しそうにしてる姿からは、おそらく本気でサッカーが好きなんだろうけど、
今日はいつものそれとは別に、なんだかワクワクしてて、いつも以上に楽しそうに部活をしてる。
そんな姿がなんだか可愛くて、ビジュがいいだけに、かっこいいも可愛いも兼ね揃えちゃったら女の子もほっとかないのは理解できる。
それでいて、奈々自身がモテることに気づいてないからなおさら。
でも、そんな奈々がこんなに惚れ込む相手が彩希なのは驚いたけど、
俺からしたら可愛い妹と可愛い後輩。
2人が幸せになってくれたらいいな、と思う。
『茂木先輩のいとこってこと知らなかったので、なんかすみません、、でも遊びじゃなくて本気なんで!』
《それはちゃんと分かってるし心配してない。
なんなら、奈々でよかったよ笑》
『そう言ってもらえてよかったです〜茂木先輩は敵に回したくないんで笑 てか、茂木先輩っておんちゃんのこと好きなんですか?』
《敵に回すって笑笑 おんちゃん?ゆいりの友達のみおんちゃんのこと?》
『そうです!こないだ、おんちゃんの家まで送ってったって笑笑』
《あー。こっちが強引に店から連れ出したのに、女の子一人で返す訳にはいかないっしょ?笑》
『でも、普段なら絶対送らないし、自分の家にも連れ込まないのが茂木先輩じゃないですかー!』
《まぁ、たしかに笑笑》
『おんちゃんは、特別?なんですか?ニヤニヤ』
《ちげーよ!普段遊ぶ子と違って、奈々と彩希を2人にするために、みおんちゃんを誘っただけだからそんなことすら考えて無かったんだよ!》
『ふーーんニヤニヤ』
《なんだよ》
『でも茂木先輩も今日、おんちゃんからおにぎり貰うんですよね?ニヤニヤ』
《あーそんなこと言ってたな笑 俺は奈々と違って別に楽しみにしてる訳じゃねぇからな!》
『はーい、じゃ、あとちょっと部活頑張りましょ!笑』
《お、おう》
奈々に言われるまで気づかなかったけど、確かにそうだな。
俺もそれなりにモテるほうで、女の子に困ったことは無い。
かと言って、今までに付き合ったことがあるかと言われれば無い。
誰かのことを本気で好きになるって言う経験が無いから。
だから変なことには巻き込まれたくないし告白される前までの関係でしかいない。
もしも告白してくる予感がしたら、いきなりだけど距離を置く。
とくに今の時期はなるべく本気の子とは関わらないようにしてる、バレンタインが近いからね。
もしものために、絶対に家には呼ばないし、相手の家にも行くことは無い。
考えてみれば、みおんちゃんが初めてかもな。
でもそれは、俺にもみおんちゃんにもそう言う意識すら無いからなわけで、奈々がいう "好き" とは程遠い。
『茂木先輩、なんか急にボーッとしてましたよ?部活終わりましたし、片付けてゆうちゃん達のとこ行きましょ!!!』
《そうだな、》
奈々に言われてから、色々考えてたら朝練が終わってた。
汗を拭いて、制服に着替えて、準備をする。
《でも、待ち合わせとかしてなくね?》
『たしかに、、』
《俺、学年違うし、1年の階に行くのめんどいから2人分食べといてよ笑》
『えぇーおんちゃんは茂木先輩に作ってくるんですよ?茂木先輩が食べた方が喜ぶに決まってます!』
《俺らは、奈々と彩希と違って、別にそういう感情がある訳じゃないの笑》
『でも、、、』
〈なーにごちゃごちゃ話してるんですか?〉
『あ、おんちゃん!ゆうちゃんも!!』
「他のサッカー部の人出てきてから心配で部室まで来ちゃった、ごめんね?」
『全然!むしろ嬉しい!!』
「ふふっ、よかった///」
『お腹すいちゃった〜ゆうちゃん食べたい!!』
「うん/// どこか座れるとこ探そ?」
4人でいるのに、俺とみおんちゃんの存在が無いかのように2人で話す奈々と彩希。
もう付き合ってんじゃんって思うくらい、お互いが思い合ってるのが伝わってきて、見てるこっちが恥ずかしいわ笑
〈なんかあの2人、もう付き合ってるみたいですよね笑〉
《たしかにな笑》
〈あ、一応、茂木先輩のぶん、作ってきたんですけど食べますか?〉
《あ、いいの?笑》
〈茂木先輩ようなんで笑〉
《ありがと笑》
〈でも、なぁくんと同じくらい茂木先輩もモテますよね?私が作らなくても貰えるんじゃないですか?〉
《なに、嫉妬?笑》
〈違いますよ、私は別に、そういうのじゃないです笑〉
《あっそ笑》
〈笑笑〉
《じゃあ、おにぎりありがとう!教室で食べるわ!》
〈はーい!〉
別に俺に本気じゃない子でも、だいたいちょっと優しくすればその気になるんだけど、
みおんちゃんは、その辺の子と違って、恋愛に興味がないのか全くだ。
それもそれで面白いんだけど笑
なにより、みおんちゃんと話してると、変に気を張る必要がなくて楽。
いつもチャラチャラ女の子に話しかけてるより全然楽しい。
好きとかそういうのじゃないけど、一緒に居たいと思った。
けど、そう思ったことが急に恥ずかしくなって、逃げるように教室へ向かった。
パクッ
モグモグ
パクッ
モグモグ
《うまっ》
普通の鮭とツナマヨのおにぎりだけど、みおんちゃんが握ったのはいつもより美味しかった。