70代男性。数年前にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、今はホスピスに入所されて、私たちのデイサービスをご利用して下さっています。
ADL(日常生活動作)は、両上肢の活動範囲に制限があります。全身の筋力の衰えもはっきりしており、疲れやすいですが歩行はしっかりしております。
喉の衰え予防に、カラオケをご利用いただいておりますが、とても美声。皆様ウットリと聴き入ってしまいます。三橋美智也や渡哲也、春日八郎などを選ばれて歌って下さいます。

彼が、この秋に沖縄旅行へ行ってきました。弟さんが同行され4泊5日、楽しまれたそうです。
ただし、空港までの満員電車で悲鳴を上げ、途中下車。借りた車椅子の座面が硬く、痛みに耐えながらの移動など、トラブルはあったそうですが、来春には長崎旅行を予定されているそうです。次は、遅めの飛行機でクッション持参で。

私たちのデイサービスには、ご利用者様46名在籍していらっしゃいますが、私用でお休みされる方は殆どいらっしゃいません。元気に通って来て下さるのは大変喜ばしい事なのですが、元気な今だから外に出かけるチャンスだとも思います。

旅行帰りで、「くたびれたよ〜、でも旅行に行けたよ!」と嬉しそうに報告して下さった彼のように、ご利用者様の旅行自慢を聞きたいなと思う今日この頃です。
バイバイ、ブラックバード
伊坂幸太郎      双葉文庫


太宰治のグッド・バイという
未完のまま絶筆となった作品の
続きを書いて下さいと依頼され、

続きは書けないが、伊坂ワールドで
表現してみたいとの経緯がある作品。

5股していた男が、一人一人と別れて
行く連続短編集。
登場人物が、その出会いが、そのバックボーンがそれぞれが全て良い。

やはり上手い。
この作者はやはり変人だ。

中学生、高校生に読んでもらって、その感想を聞きたいので、すぐ息子に渡した。


尊厳死。高齢者本人が死と向かい合い、自分で生死を選ぶ方法を見出してあげたいと思うのです。人生会議。

102歳の女性は、今年の初めに転倒し大腿骨頸部骨折で車椅子生活になりました。それまでは杖でヒョコヒョコと歩行し、買い物に行き、オムツも不必要でした。

一緒に暮らして介護をしている80代の息子さん、持病があり状態は良くないです。
デイサービスに来ては、「もう十分。早く死なせて欲しい」と。息子に迷惑をかけているご自身を責めていました。認知機能が衰えていないのが、とても不憫に感じられます。

在宅介護が厳しく、ショートスティを頻回利用するようになりディサービスは休むようになりました。
あんなに元気で、神々しいお姿の方が自宅のお部屋で1度転んだが為に、寝たきり超高齢者へと。

ショートスティ先より、食欲不振と足の浮腫が酷くなり入院させましたと連絡がありました。
報告があり1週間後、ふと思い立ちお見舞いに行きました。

そこにいたのは、両手にミトン拘束され、病衣ははだけ、胸に付けられたモニターのコードは身体の下に入っていて、手足が浮腫んでパンパンなのに、点滴が繋がれていました。
口の中はカサカサで舌はバリバリ。
自身で寝返りをうつこともできず、苦悶な表情で真っ直ぐな姿勢でした。

「ウオーウオー」と声にならない呻き声を発していました。時折顔をしかめて、苦痛を表現していました。
目の前にテレビ画面があり、見たくなくてもテレビが付いている状態。

身体の下に入っていたコードを救い出し、突っ張っていた肩の緊張をほぐし、病衣を整えました。声掛けにはうなづかれますし、まばたきも増えました。

私はのんびりと話しかけ続けました。
最後に、
「また来ます。でも、待たなくていいですからね。もう十分、頑張ってきたのですから。安心して、ゆっくり休んで下さい。」
みたいな事を伝えました。

翌日、また連絡がありました。
昨夜、息を引き取りましたと。

私は、病院ではなく住み慣れたお布団の上で、安心してゆっくり休める終末期医療に携わりたい。デイサービスの看護師のままでは、何もできない。
彼女の死は、一生忘れない。