映画「52ヘルツのクジラたち」 | 晴走雨読な日々〜Days of Run & Books〜

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そんな暮らしがいい!

杉咲花ちゃんが主演する映画というだけで観に行ってきました。

 

3月1日に公開されたのに、1か月も経たないうちに上映終了するというので、最終日にあわてて劇場へ。内容が内容だけに人気が出ないのはわかりますが、最近はあまりにも終演が早すぎるのが残念です。

 

 

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あらすじ(映画HPより)

傷を抱え、東京から海辺の街の一軒家へと移り住んできた貴瑚(杉咲花)は、虐待され、声を出せなくなった「ムシ」と呼ばれる少年(桑名桃李)と出会う。かつて自分も、家族に虐待され、搾取されてきた彼女は、少年を見過ごすことが出来ず、一緒に暮らし始める。やがて、夢も未来もなかった少年に、たった一つの“願い”が芽生える。その願いをかなえることを決心した貴瑚は、自身の声なきSOSを聴き取り救い出してくれた、今はもう会えない安吾(志尊淳)とのかけがえのない日々に想いを馳せ、あの時、聴けなかった声を聴くために、もう一度 立ち上がる──。
 

変わったタイトルの意味はー(これも映画HPより)

〈52ヘルツのクジラ〉とは、他の仲間たちには聴こえない高い周波数で鳴く世界で1頭だけのクジラのこと。<世界で最も孤独なクジラ>たちにも、その声なき声に耳をすませてくれる相手がきっといる。その声はいつか届く─。

 

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この映画を観る前に、同じような状況を扱った映画を2本 AmazonPrime で観直してみました。

 

怪物

 

怪物がふつうの人間で、ふつうの人間が怪物になる。まさに「怪物、だーれだ」の世界です。

安藤サクラや二人の子役の演技が評価されていますが、個人的には田中裕子の怪演が印象に残っています。

 

「市子」

 

まさに杉咲花が「市子」に憑依したようにしか見えない作品ですね。無戸籍。DV、ネグレクト、ヤングケアラーなど、いろいろな問題を含んでいます。時系列のカットバックが目まぐるしく前後していて、ちょっと分かりにくい編集でした。

 

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そんな二つの作品を観た後で、この「52ヘルツのクジラたち」を観ると、暗く重い気分がさらにのしかかって来ました。

 

もう、杉咲花ちゃんの演技に圧倒されました。同じ役なのに、時系列ごとに表情や仕草が違っていて、とても一人で演じているとは思えないほど。すごい女優になりましたね。今年の日本アカデミー賞を獲ってもおかしくないと思います。

 

昔ぐっさんとCookDoのCMに出てた頃から知っていますが、何といっても注目され始めたのは「湯を沸かすほどの熱い愛」の娘役から。もう、同世代の女優の中ではダントツですね。

 

この映画も、DVやネグレクト、そしてトランスジェンダーという扱いにくい問題を取り入れています。「市子」と同じようにみられますが、こちらの方が編集が上手くて、訴えたいことがすっと入ってきます。

 

周りの女優さん達もいいですね。貴湖の友人役の小野花梨、”ムシ”の母親役の西野七瀬、貴湖の母親役の真飛聖、安吾の母親役の余貴美子。それぞれ熱演です。

 

それに比べると、男優陣がちょっと物足りない感じ。安吾役の志尊淳はトランスジェンダーという中性的な役柄の雰囲気には合っていましたが、花ちゃんと相対すると見劣りしてしまいます。

 

貴湖の恋人役の宮沢氷魚も、金持ちのボンボン役はいいけれど、こちらも花ちゃんと絡むと演技力の差が出てしまいますね。

 

原作は本屋大賞の受賞作ですが、まだ読んでいないし、読むつもりもありません。映画である程度のイメージが出来てしまって、これから読んでも自分の想像するものが違ってくる気がします。

 

誰かのレビューで上手いことを言っていました。

「杉咲花にも杉花粉にもヤラれた!」

 

最終日の上映ということで、意外に観客が多くて、特に春休み中の女子が目立ったのは、志尊君目当てだったんでしょうか?

 

もっと多くの人に見てほしい映画です。とりあえず、今年の映画の中ではマイベストです。

 

追記

重い映画ですが、唯一笑えたところ。

貴湖→きなこ、安吾→あんこ、という会話が面白かった。