例によって、トリックは、やりすぎコージー(小島)の本領発揮。この作者、師匠、島田荘司の奇想、とんでも部分の発展形を極めつつある。マンガみたい、と切り捨ててはいけないのだ。島田師匠の論を読むにつけ、本格ミステリーの究極は、ファンタジーに昇華していくような気がしてならない。ともあれ、叙述トリックに逃げない本格ミステリーの王道を継承している数少ない作家である。もちろん、僕は応援するし読み続ける。ただし、今作は理系的謎解きが多かったので、ちょっとおいてけ堀にされた感じもした。現実的にそんな科学作用がありえるのか、という疑義なしとしない。こちとら判断できる知識がないし。
あと、探偵、海老原のキャラはいい感じ。