シューマン:ピアノソナタ第3番「グランドソナタ」
ブラームス:3つの間奏曲

ピアノ:仲道郁代

CD:RVC R32C-1107

 このCDは、今や円熟の境地に入った仲道郁代が20年前に録音したもので、まだ、初々しさが溢れて聴くものを和ませる。仲道は1986年、第42回ジュネーブ国際音楽コンクール第3位(最高位)受賞、1987年、メンデルスゾーン・コンクール第1位入賞、エリザベート王妃国際コンクール第5位入賞という輝かしい受賞歴を誇っている。ちょうど同世代の小山実稚恵とよく似た経歴で、現在二人とも日本で第一線のピアニストとして活躍していることは、ご存知のとおり。今や仲道は日本を代表するピアニストの一人なのである。最近ではベートーベンのピアノソナタの全曲録音CDをリリースするほか、クラシック音楽の日本での普及活動を展開するなど、今が旬のピアニストとしてわが国のクラシック音楽界に占める地位は大きいものがある。

 このCDは仲道が二十歳前の録音なので、特にシューマンのグランドソナタで若々しさが、聴くものすべてにいい印象を与えずにはおかない。素直で温かみのあるピアノタッチは、限りなく開けた将来に向けて夢を語ってるようで、シューマン独特のロマン性を如何なく表した好演といえよう。一方、ブラームスの3つの間奏曲は、がらりと変わり抑制の利いた表現が成功している。このCDはこれから羽ばたこうとしている大器の、若々しい記録として大いに存在価値がある。(蔵 志津久)