【麗し大和】

 薄紫の花穂(かすい)を垂らし、香り豊かに咲く姿は貴婦人のよう。藤の名所、春日大社の「砂ずりの藤」が、満開を迎えている。今年は4月の寒さが影響し、見ごろが少し伸びているそうだ。

  [フォト]春日大社の本殿後ろに自生するヤマフジ

 春日大社と藤は縁が深い。公的には平城京の守護のため、私的には藤原鎌足を祖とする藤原氏の氏神として768年、時の左大臣、藤原永手(ながて)によって創建されたと伝えられる。それ以前も春日山(御蓋山、みかさやま)一帯は聖地で、平城遷都後は山頂に中臣氏(鎌足の出身氏)ゆかりの茨城県・鹿島神宮から御祭神の武甕槌命(たけみかづちのみこと)を迎え、まつっていたそうだ。

 藤原氏といえば、江戸時代まで千年以上にわたって貴族社会を席巻した氏族。その繁栄を見れば、霊験あらたかといえるだろう。平安京に都が移っても、一族の氏の長者や摂政関白らが「春日詣(かすがもうで)」に赴き、かの藤原道長も訪れた。

 その境内は藤でいっぱいだ。社紋は「下がり藤」だし、神職の衣装や巫女(みこ)のかんざしには藤があしらわれ、萬葉植物園では早咲きから遅咲きまで約20品種、約200本の藤が参拝客の目を楽しませている。そういえば、藤原氏出身の紫式部が書いた源氏物語では、主人公・光源氏のあこがれの女性は「藤壺」だったっけ。

 藤は日一日と房を長く伸ばして咲くため、昔から長寿のシンボルとされてきた。確かに藤棚の下に立ち、華やかな香りに包まれると寿命もなんだか延びそうな…。(文 山上直子)

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