■政府は見直しも検討

 薬のインターネット販売などを禁じた改正薬事法の施行から6月1日で1年を迎える。大衆薬を店頭での対面販売に限ることで、薬の安全な使用を促す狙いがある一方、長年、通信販売を行ってきた漢方薬や伝統薬まで規制の対象となったことで関係者から不満が噴出した中での施行だった。1年がたち、漢方薬や伝統薬の中には、存続すら危ぶまれるものも出てきた。政府の行政刷新会議が見直しを検討している。(蕎麦谷里志)

 「うちの客は北海道から沖縄まで全国にいる。高齢者も多く、店まで買いに来なければダメなんて、薬を使うなと言っているようなもんですよ…」

 日本漢方連盟理事長で、「漢方平和堂薬局」(東京都大田区)店主の根本幸夫さん(63)はこう嘆く。遠方の顧客からは電話や手紙で注文を受け、薬を郵送するという、従来の販売ができなくなったからだ。

 薬事法改正の背景にはネット販売など大衆薬の販売方法の多様化がある。ネット販売などでは販売時に安全性に関する十分な説明が行われない懸念があるため、国は大衆薬を副作用のリスクに応じて3段階に分類。最も副作用が少ないとされるビタミン剤などの「第3類」以外は原則、店頭での対面販売とした。

 その結果、何十年も電話や手紙などで販売を続けてきた漢方薬なども規制の対象となったのだ。

 漢方薬は一般の薬局で扱っていないものが多い。改正法施行前から、業界団体などは「薬が入手できずに困る利用者が多数出る」と指摘。国も2年間の経過措置を設け、(1)薬局のない離島に住む(2)法施行前まで利用していた薬を継続利用する-といった場合に限り、従来の販売方法を認めた経緯がある。

 しかし、それでも不都合は生じ始めている。

 平和堂薬局を訪れた千葉市稲毛区の女性(68)もその一人。広島県の母(92)の代わりに、毎月1回、電車で1時間半かけて薬を買いに来ているという。

 女性の母は骨粗鬆(こつそしょう)症の治療で同薬局の漢方薬を10年以上、郵送してもらっていた。それが、法改正により、薬局まで足を運ばなければいけなくなった。

 経過措置は「同じ薬を継続的に使うこと」を前提としている。女性の場合は、母親の症状や季節によって薬の組み合わせを変えていたために、規制の対象となってしまったのだ。

 「母は胃が弱くて西洋の薬が飲めない。だから、ここまで買いに来るしかない。なんとかならないのでしょうか…」

 ヤツメウナギの胆(きも)の油を使った薬など、特定の地域で長年使われてきた伝統薬なども、同様に苦境に立たされている。業者の多くが販売網を持たず、遠方の利用者には電話で症状を聞いて薬を処方するという販売手法を続けてきたからだ。

 全国伝統薬連絡協議会によると、改正法施行以降、加盟する43社の売り上げは平均で2~3割減少した。井原正登会長(64)は「伝統薬は小さな業者がほとんど。経過措置が終われば経営が立ちゆかなくなるところも出てくるだろう。ほかに類のない貴重な薬の存続にかかわる問題だ」と話す。

 規制への国民の反発の声は強く、行政刷新会議が国の予算や制度について、国民から意見を集めたところ、約4800件の要望のうち、薬の通販規制の撤廃を求める要望は約1800件と最多だった。同会議の分科会は6月中にも見直しを含めた一定の結論を出すことにしている。

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