「真実の声に耳を傾けられず、17年半もの長きにわたり自由を奪う結果となった」。3人の裁判官が立ち上がり深々と頭を下げた。菅家さんは裁判長のひと言ひと言をかみしめるように、正面を見据えたまま、じっと聞き入った。
 午前10時すぎ、宇都宮地裁206号法廷。菅家さんはグレーのスーツにピンクのネクタイ姿。やや緊張した表情で主任弁護人の隣に座り「ふーっ」と大きく息を吐いた。
 「菅家さん、証言台の前にお進み下さい」。裁判長が声を掛ける。直立する菅家さん。裁判長と顔を合わせ、お互いにおじぎした。「菅家利和氏に対する殺人などの事件の再審公判における判決を宣告します」。裁判長が静かに述べる。
 一瞬の沈黙。「主文、被告人は無罪」。ざわめく法廷の中、菅家さんは裁判長に深く頭を下げると、証言台のいすに戻り、判決理由に耳を傾けた。
 約50分続いた判決の読み上げを終え、最後に裁判長がゆっくりと口を開いた。「通常は適当な訓戒を述べるところだが、今回は自戒の意味を込めて謝罪させていただきます」。異例の言葉に、菅家さんは弁護士の1人と目を合わせ、肩に力を込めた。「菅家さんの真実の声に耳を傾けなかった」。「誠に申し訳なく思う」。求め続けて来た謝罪の言葉が続く。
 最後に、裁判長が「今後の菅家さんの人生が幸多きこととなるよう祈っています」と声を掛けられると、菅家さんは顔を紅潮させ、2度頭を下げた。
 判決に先立ち、「裁判所にも謝ってほしい」と述べていた菅家さん。閉廷後、傍聴していた支援者に肩を抱きかかえられ、あふれる涙を小さな手でぬぐった。 

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