【「グーグル秘録」著者に聞く】(下)

 --米国で人気の電子書籍は、書籍販売のメーンストリームになっていくか

 米国の電子書籍の売り上げが全体の書籍販売量に占める割合は3~5%ぐらい。紙メディアの書籍販売が横ばいであることを考えると、これでもロケットのような伸びだという見方がされている。今後、5年から8年の間で、電子書籍の売り上げは全体の25~40%になるのではないかとみられている。このようにアメリカのほうが事象が早めに出てくる分野については、日本は学んでほしい。

 電子書籍の割合は高くなっていくと思うが、紙の本がなくなることはないと思う。しかし、電子書籍は実際に非常に早い速度で伸びており、その理由の一つに便利さがある。今回の出張で、韓国、中国に行って日本に来たが、5~6冊を持つのではなく、(電子書籍端末の)キンドル1台に詰めてきた。重さも1ポンドもないので、非常に便利だった。

 願わくば、電子書籍もある、紙の本もあるという状態が望ましい。電子書籍が主流になってくれば、印刷コスト、輪転機のコスト、返却コスト、配送コスト、保管費などがかからないので、出版社にはプラスに働くだろう。

 --すでに大企業病が芽生えていると書いているが

 グーグルは、非常に偉大な企業だ。成長は遂げているが、そのスピードが鈍化していることは否めない。彼らのコアビジネスは検索機能だが、検索機能については今後、成長の伸びが鈍化してくることになるだろう。だからこそ、検索以外の収益源を積極的に模索しているのだと思う。

 その点、グーグルは敏捷性があり、起業家精神にあふれた取り組みをしている。普通ではない会社とはいえる。

 --プライバシー問題で、小説「1984」に登場する独裁者ビッグブラザーのような存在になるのではという懸念は

 グーグルは、一般ユーザーから非常に良く思われている企業だ。何しろ、サービスは無料だし、サービスの質がいい。しかし、(街並みの画像を閲覧できる)ストリートビューのように、収集すべきではないデータを収集していたということが分かってきたという流れも一方ではある。

 加えて、3つ目の問題点があるとするなら、グーグルが巨大化することによって与えてしまう恐怖心だろう。それが、今後のグーグルの名声、成功を左右してくる可能性がある。

 --ストリートビューで自宅周辺を見ると、ベランダに干した愛用の枕が見える(笑)

 エンジニアにとって、データは美徳というか、強みになる。データを集めれば集めるほど、いい仕事をしたような気になってしまうきらいがある。しかし、データの持ち主は誰かというと、こっち側だ。だから、もしもバルコニーに干された枕を撮られたらどう思うかというような考え方は、エンジニアはしてこなかった。しかし、そのような疑問が世間で出るようになったことから、グーグルもそういう見方をせざるをえない状況になってきている。

 --創業者2人の印象は

 サーゲイ・ブリンは、ラリー・ペイジに比べるとより外交的。一方、ラリーは下向きで、PDA(携帯情報端末)をいじくりながら人とミーティングしているぐらいだから、めったに目を合わせてこないようなタイプだ。サーゲイのほうは、もっとユーモアがある。

 ただ2人とも、人好きするタイプではない。一生懸命、人にこびて分かってもらうことに対しては、効率の悪いことだと2人とも考えているようだ。2人の関係は非常に近く、オフィスも同室。私が2年半取材していて、2人の間にきしみが生じたことは、ただの一度もなかった。2人とも非常に才能あふれる若者だとは思うが、休みの日に一緒に旅行にいきたいようなタイプの人間ではない。

 --「GOOGLED」という原題の意味は

 世界がグーグルの登場で「グーグル化」されてしまったという意味。例えば、グーグル化されることによって、伝統メディアも変わってきたし、人々のITを通じての情報とのかかわり方も変わってきた。インターネットに情報を載せるだけでなく、それにアクセスできるようにしてなんぼのものという見方に変わってきた。

 --過去、グーグルに匹敵するような企業は

 例えばマイクロソフトはソフト業界で圧倒的な力を誇っていたし、今もかなり力のある企業だと思う。ただ、その力が集中してしまったことで、人々の不安をあおってしまった部分があった。

 その前では、IBM、巨大な電話会社のAT&T、いずれも、その規模などが懸念の原因となり、裁判を起こされたことがある企業だ。グーグルも大きな会社になったが、今後も、そういう面から係争に巻き込まれていくかもしれない。

 グーグルは冷徹なビジネスマンではない。彼らが冷徹とするなら、冷徹なエンジニアであるだけだ。エンジニアが求めるものは効率化。効率を良くしていくことは、消費者にメリットをもたらす。一方で、伝統メディアに対しては、痛みをもたらすが。グーグルが今後、圧倒的な地位を維持していくことができるのかどうか、それは誰にも分からない。

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