ZeroCinema -3ページ目

マイティ・ハート / 愛と絆

マイティ・ハート / 愛と絆      ≪公開時コピー≫
     世界中があきらめても、
     彼女は愛する人を待ち続けた。
     生まれてくる新しい命と共に…。

       製作国:アメリカ
       製作年:2007年
       公開年:2007年

 【監督】   マイケル・ウィンターボトム

 【製作】   ブラッド・ピット
         デデ・ガードナー
         アンドリュー・イートン

 【出演】   アンジェリーナ・ジョリー (マリアンヌ・パール)
         ダン・ファターマン (ダニエル・パール)
         アーチー・パンジャビ (アスラ・ノマニ)
         イルファン・カーン (キャプテン)
         ウィル・パットン (ランダル・ベネット)
         デニス・オヘア (ジョン・バッシー)
         アドナン・シディキ (ドースト・アリアニ)
         ゲイリー・ウィルメス (スティーヴ・レヴァイン)

 【Zero的評価】 50円

 【リピート率】  

 【見所】   マリアンヌのタフさ

 【鑑賞本数】  年間:19作目  通算:460作目


 【 感 想 】

 戦争・紛争映画がたまっているので、いっそひと思いに祭りにしてしまえと「マイティ・ハート」を手にしたが、社会派ドラマだった。実話を元にした作品ということで、丁寧に再現されているのはわかるが、いかんせん社会派ドラマとの相性が最悪な自分にはきつかった。

 決して、ドンパチものが大好物だというわけではないが、政治的しがらみや、世界情勢をセリフの長回しでやられても頭にさっぱり入ってきません。いい年してえばっていうことじゃないが、「政治は大人に任せた!」と、多分に思っているのも一因。こりゃ字幕で見る映画じゃないなと。何故か社会派ドラマを見ていると名前と顔と立場の判別がつかなくて、余計に話が見えなくなるという自分勝手な事情はさておき。

 これはアンジーじゃないほうが良かったかもしれない。アンジェリーナ・ジョリー自身UNHCR親善大使という立場もあるし、マリアンヌ・パールの手記に共感して「やるなら私」と思った心は悪くないし、マリアンヌの強さと気丈さを、アンジーはとても上手に表現していた。

 妻であり、ジャーナリストでもあるマリアンヌのタフさ、被害者からもジャーナリストとしてのシフトチェンジ「女だ」としみじみと思った。そういう多面性は人間が持ち合わせているものだから、別にいいんだけど、したたかすぎてついていけない。

 事実を忠実に再現しようとした努力は伺える。実際に事件が起こったカラチ、イスラマバードなどで撮影したというだけあって、リアルさは生々しいぐらい。でも、マリアンヌから見た事実で、そこに製作・脚本・演出といったフィルターは何重にもかかっているわけで、そうなるともう事実とはえらくかけはなれちゃって嘘になっちゃう。製作チームにキャストが頑張れば頑張るほど白々しくなると感じた。

 理不尽としかいいようのなに誘拐事件をドキュメンタリー風に仕立てられるとチャンネルがあわせづらい。自分の理解能力のなさが一番の問題ではあるが。



にほんブログ村 映画ブログへ←ポチっとしてくれると嬉しいデス^^ヾ

さくらん

さくらん      ≪公開時コピー≫
     花魁をなめんじゃねぇよ
     


       製作国:日本
       製作年:2007年
       公開年:2007年

 【監督】   蜷川実花

 【製作】   寺嶋博礼
         堤静夫
         亀山慶二
         工富保
         山本良生
         庄司明弘
         那須野哲弥
         中村邦彦
         渡辺正純

 【出演】   土屋アンナ (きよ葉・日暮)
         椎名桔平 (倉之助)
         成宮寛貴 (惣次郎)
         木村佳乃 (高尾)
         菅野美穂 (粧ひ)
         永瀬正敏 (光信)
         美波 (若菊)
         山本浩司 (大工)
         遠藤憲一 (坂口)
         小池彩夢 (幼ききよ葉)
         山口愛 (しげじ)
         小泉今日子 (お蘭)
         石橋蓮司 (楼主)
         夏木マリ (女将)
         市川左團次 (ご隠居)
         安藤政信 (清次)
         蜷川みほ (桃花)
         近野成美 (雪路)
         星野晶子 (遣手)
         翁華栄 (番頭)
         津田寛治 (粧ひの客)
         長塚圭史 (きよ葉の客)
         SABU (床紅葉の客)
         丸山智己 (日暮の客)
         小栗旬 (花屋)
         会田誠
         庵野秀明
         忌野清志郎
         大森南朋
         ゴリ
         古厩智之
         村松利史
         渋川清彦

 【Zero的評価】 200円

 【リピート率】  ★★

 【見所】   菅ちゃんの生尻

 【鑑賞本数】  年間:18作目  通算:459作目


 【 感 想 】

 戦争モノが続いたから、ライトで頭使わなくてすみそうな、ついでに字幕なしでも見られるように邦画で「さくらん」をチョイスでござい。

 CMを見た時、めくるめく蜷川実花ワールド展開中だと思ったけど、どこからどう見ても蜷川実花ワールドだった。日本人離れしたビビッドな色の使い方はキライじゃない。むしろ、リュック・ベッソンに通じる確固たる美的センスを貫く姿勢は好きかもしれない。

 江戸時代の遊郭を見たわけじゃないから、適当な印象だけど。このぐらい思い切った作品を見ると邦画も捨てたもんじゃない。と、思う。漫画の安易な映画化は否定的だし、TVドラマの映画化なんてくだらなすぎるし、邦画の幼稚で薄っぺらい恋愛ドラマなんてもってのほかなわけで、邦画に対する期待値は低いんだけど、これは意外とよかった。

 土屋アンナは決してうまい役者とは思えないし、私生活がオープンすぎてちょっとついていけない感じ。でも、出てくると目が離せない引力があって、ロック人生地で走ってる真っ直ぐさはまぶしい。そんな彼女が花魁って大丈夫かいなと思ったが…。嘘くさく「花魁でございま。」なきよ葉はその性格からして、あれがよかったと思う。男を手玉にとりつつ「チョロいよ。」なんていっちゃう様子は悪くない。吉原というとんでもなく女の園の中で異色を放つ存在。花魁なのに時々見せる男気が気持ちいい。限りなく地でやってる感満載だけど、憎めない。

 きよ葉を挑発する先輩花魁・粧ひ演じる菅野美穂はよかったな。顔といい、雰囲気といい、「THE女」な花魁を嫌味もなく、嫌味に演じていた。
 逆に木村佳乃演じる高尾が…。いつも思うけど、学芸会レベルの演技しかできないんだろう。何と言うか、日本バカにしてるような帰国子女独特の雰囲気がぶち壊し。ちょっと妖怪じみてて、トホホな気分。ミスキャストにもほどがある。ということで、評価は低め。いっそ深津絵里か中谷美紀あたりがやればよかったのに。



にほんブログ村 映画ブログへ←ポチっとしてくれると嬉しいデス^^ヾ

イノセント・ボイス 12歳の戦場

イノセント・ボイス 12歳の戦場      ≪公開時コピー≫
     神様、きこえますか?
     ぼくは戦わなければいけないのですか?


       製作国:メキシコ
       製作年:2004年
       公開年:2006年

 【監督】   ルイス・マンドーキ

 【製作】   ルイス・マンドーキ
         ローレンス・ベンダー
         アレハンドロ・ソベロン・クリ

 【出演】   カルロス・パディジャ (チャバ)
         レオノア・バレラ (ケラ)
         ホセ・マリア・ヤスピク (ベト叔父さん)
         ダニエル・ヒメネス・カチョ (司祭)
         グスタボ・ムニョス (アンチャ)
         オフェリア・メディナ (ママトーヤ)
         ヘスス・オチョア (バスの運転手)
         エクトル・ヒメネス

 【Zero的評価】 100円

 【リピート率】  

 【見所】   チャバの笑顔

 【鑑賞本数】  年間:17作目  通算:458作目


 【 感 想 】

 少年兵つながりで「イノセント・ボイス」。1980年代のエルサルバドル内戦が舞台。公開当時、この映画についてカメラマンの長倉洋海さんが講演をされていた。講演は聞けなかったけれど、聞きたかったな。長倉さんの写真の世界が、この作品の中にあって、現実がリンクして怖くなったという話はさておき。

 少年兵の映画ということを大々的に取り上げられていたおかげで、もっと血なまぐさい作品かと思っていたが、そうではなかった。内戦中とはいえ、そこにはいつもとはちょっと違うけど、いつもの毎日がある。当たり前だけど、当たり前の日常にドキッとした。自分は何を期待しているんだ。

 主人公のチャパは、年の割りに小柄で、あどけない顔立ちの可愛い少年。学校に行くし、家計を助けるためにバイトもするし、時には友達とふざけたりもする。初恋だってしちゃう。ただ、そこだけ見ると、貧しい国の健気な少年。
 でも、12歳になると政府軍に徴兵される。まだ、子供なのにだよ?体も未発達で兵士のたしにもなりそうにもないのに、子供を徴兵するってどういうことさ。同級生達が泣き喚きながら、政府軍に強制連行されるのを間のあたりにして、ビビらなきゃ嘘だよ。逃れるためには何だってするさ。誰が少年を兵士にしようと思いついたか知らないけど、卑怯だ。と、腹が立つ。

 おじさんがゲリラにいて、チャバからしたら、政府軍より、知った顔がいるゲリラのほうがマシに見える。海のものとも山のものとも知れぬ政府軍より身内がいるゲリラ軍を身近に思えてもいたしかたない。それが政府軍にとっての脅威なのはわかる。政府軍もゲリラも、だから、少年を確保し、洗脳し、行く行くの戦力としたいのはわからないでもないけど、姑息で卑怯だ。

 武力じゃなくて、話し合いで解決する努力をしようと思うわけで、それができたら内戦も紛争も戦争もとっくになくなっているよ。と、わかっているけど、何もできない事実があってひどくもどかしい。



にほんブログ村 映画ブログへ←ポチっとしてくれると嬉しいデス^^ヾ

ブラッド・ダイヤモンド

ブラッド・ダイヤモンド      ≪公開時コピー≫
     [自由][家族][真実]──
     彼らはダイヤにそれぞれ違う輝きを見た。


       製作国:アメリカ
       製作年:2006年
       公開年:2007年

 【監督】   エドワード・ズウィック

 【製作】   ジリアン・ゴーフィル
         マーシャル・ハースコヴィッツ
         グレアム・キング
         ダレル・ジェームズ・ルート
         ポーラ・ワインスタイン
         エドワード・ズウィック

 【出演】   レオナルド・ディカプリオ (ダニー・アーチャー)
         ジェニファー・コネリー (マディー・ボウエン)
         ジャイモン・フンスー (ソロモン・バンディー)
         マイケル・シーン (シモンズ)
         アーノルド・ヴォスルー (大佐)
         カギソ・クイパーズ (ディア・バンディー)
         デヴィッド・ヘアウッド (ポイズン大尉)
         ベイジル・ウォレス (ベンジャミン・マガイ)
         ンタレ・ムワイン (メド)
         スティーヴン・コリンズ (ウォーカー)
         マリウス・ウェイヤーズ (ヴァン・デ・カープ)

 【Zero的評価】 1500円

 【リピート率】  ★★★★

 【見所】   夕焼けと赤土。

 【鑑賞本数】  年間:16作目  通算:457作目


 【 感 想 】

 武装解除・瀬谷ルミ子さんのブログでちらっと紹介されていた「ブラッド・ダイヤモンド」。「紛争映画」ともいえるし、ヒューマンドラマとも捉えられるし、想像以上に骨太な作品だった。

 アフリカのシエラレオネ共和国が舞台。まず、シエラレオネがどこか見当もつかないことが恥ずかしい。紛争地帯のアフリカ=南or東側と勝手に想像していたが、正解は西アフリカ。ダイヤモンド他鉱山が経済の基盤となっていて、利権をめぐって、内戦が起きている模様。背景に移民と宗教が複雑に絡んでいるのは想像がつく。それはさておき。

 ディカプリオ演じるアーチャーは、反政府勢力RUFに武器を調達し、代金として受け取ったダイヤいわゆる紛争ダイヤを密輸しているローデシア生まれの白人傭兵。ざっくり言うと悪い奴。ただ、彼がそういう風にしか生きられなかった背景が何ともはや。
アフリカ生まれの白人が何を意味するか想像できなくもない。アーチャーだって、真っ当な生き方を選べるなら選びたかっただろうに、利用され続ける人生だったことが垣間見える。アフリカを脱出するチャンスが垣間見えた今、一か八か賭けて何が悪い…と、思わないでもない。

 「この大地の赤色は、流してきた血の色で染まっている。そして、おまえの故郷でもある。ここからおまえは離れることはできない。」

 ソロモンの何が何でも家族を取り戻すんだ。という気概と行動、そして、アーチャーと友情を深めるあたりは見ごたえがあるんだけど、どんなになっていても息子に「一緒に家に帰ろう。元の親子に戻ろう」といえる親父に号泣。

 ダイヤモンドは女性の永遠の憧れ(らしい)けれど、ダイヤを買うことで、ゲリラの資金を与え、間接的に紛争の片棒を担ぐとしたら…。知らないということは、ホントに恐ろしいことだよ。

 「ブラッド・ダイヤモンド」とは紛争ダイヤモンド(武器や麻薬の資金源)のことで、作中に出てくるピンク・ダイヤモンドのことではない。と、付け加えておく。



にほんブログ村 映画ブログへ←ポチっとしてくれると嬉しいデス^^ヾ

パーフェクト・ストレンジャー

パーフェクト・ストレンジャー      ≪公開時コピー≫
     ラスト7分11秒まで、
     真犯人は絶対わからない──。


       製作国:アメリカ
       製作年:2007年
       公開年:2007年

 【監督】   ジェームズ・フォーリー

 【製作】   エレイン・ゴールドスミス=トーマス

 【出演】   ハル・ベリー (ロウィーナ)
         ブルース・ウィリス (ハリソン・ヒル)
         ジョヴァンニ・リビシ (マイルズ)
         ゲイリー・ドゥーダン (キャメロン)
         クレア・ルイス
         リチャード・ポートナウ
         ニッキー・エイコックス
         フロレンシア・ロザーノ
         ハイジ・クラム
         ポーラ・ミランダ
         タマラ・フェルドマン
         ジェイソン・アントゥーン
         キャスリーン・チャルファント

 【Zero的評価】 100円

 【リピート率】  

 【見所】   知的でスマートなブルース・ウィリス

 【鑑賞本数】  年間:15作目  通算:456作目


 【 感 想 】

 誰が何と言おうとブルース・ウィリス狙いで手に取った「パーフェクト・ストレンジャー」。どの辺がパーフェクトなのか、とりあえずツッコみたい。

 そして、ブルース・ウィリスが脇役だ。ストーリー上の重要度でいったら、ハル・ベリー、ジョヴァンニ・リビシ、ゲイリー・ドゥーダン、ブルース・ウィリスの順番。ハリソン・ヒルはブルース・ウィリスである必要はなかった。むしろ、ジョージ・クルーニーのほうがハマっていたと思う。女好きで、スマートで、知的な経済人っていう柄ではないだろう。と。何で、こんな作品出ちゃったかなぁとツッコみたい。

 ストーリーとは別の次元で、スーツ着こなして、ハル・ベリーをくどくブルース・ウィリスはかっこよかったけど。それはさておき。

 思えば「シック・センス」以降、言うほど意外性のないものにも「ラスト○分が・・・」みたいなキャッチがつくようになった気がする。そして、そういうキャッチがつくものが大抵読めてしまうかつまらないか。どっちもか。

 これも「ラスト7分11秒まで、真犯人は絶対わからない…」というキャッチつきで、御多分にもれずな感じ。ラスト7分11秒がどこかわからんととりあえず、ツッコんでおく。

 監督の狙い通りラスト7分11秒まで犯人はわからなかったけど、そのしてやったり感に軽くイラッとする。ミステリーの割りに伏線の張り方がなっていない。というか、伏線なくない?思わせぶりなちびっ子リビシ君や、ウォリック以外の誰でもないゲイリー・ドゥーダンもハル・ベリーの引き立て役か?というほど、絡みきれていない印象。

 しかも、肝心のハル・ベリー演じるロウィーナのキャラがたっていなくて、どうしたものやら。セクシー路線もキャリア路線もダメダメでどうしちゃったのとツッコみたい。これは間違いなく脚本が良くないでせう。

 中途半端にハッキングとかデジタルを駆使するとヤケドするパターンをハリウッドは学習したほうが良いと思う。



にほんブログ村 映画ブログへ←ポチっとしてくれると嬉しいデス^^ヾ

ザ・ヒットマン

ザ・ヒットマン      ≪公開時コピー≫
     
     


       製作国:ベルギー/オランダ
       製作年:2003年
       公開年:未公開

 【監督】   エリク・ヴァン・ローイ

 【製作】   アーウィン・プロブースト
         ヒルデ・デ・ラーレ

 【出演】   ヤン・デクレール (レダ)
         ケーン・デ・ボーウ
         ウェルナー・デスメット
         ヒルドゥ・デ・バールデマーケル
         ヘールト・ヴァン・ランペルベルフ
         ヨー・デ・メイエレ
         ジーン・ベルヴォーツ
         フィリップ・ペータース

 【Zero的評価】 320円

 【リピート率】  ★★★

 【見所】   レダ全般

 【鑑賞本数】  年間:14作目  通算:455作目


 【 感 想 】

 完璧にジャケ借り。なんとなく面白そうと手に取った「ザ・ヒットマン」。ベルギー・オランダ合作のサスペンス・アクション。ハリウッド映画のような見た目は派手だけど、ただの見せ場でしかない軽薄なアクションではなく、ストーリーにのっとった重厚なアクション。職業ヒットマンとでも言えばいいのか、確固たるポリシーを持って、仕事に取り組む堅い暗殺者なんだけど…。

 オリジナル・タイトルは「The Alzeheimer Case」。主人公のヒットマン・レダはアルツハイマーを患っている。そんな暗殺者イヤだなと思うが、アドレナリンのシェブよりマシかもしれないというのはさておき。

 アメリカ映画も面白いけど、それ以外の国の映画も面白い。特に外国作品は先入観なく心地よい緊張感を持って観られる。映画って、元々、緊張感を持ってみるものだったよなー。ということを思い出した。

 ベルギー・オランダ映画がどんな性質を持つか、この一本では判断できないけれど、もっと見たいと思わせる魅力がある。役者さん一人ひとりは決して、美男・美女ではないけど、しっかりと年を取ってきて、人として魅力を感じる。

 ストーリーもシンプルな構造なのが好ましい。このぐらいすっきりとしたサスペンス・アクションだと、適度に脳みそ使って、気持ちよく観終わる。とはいえ、決して後味スッキリな作品ではないけど。

 児童買春や誘拐はものすごく遠いことのように思えるけど、公開当時、ベルギーでは児童誘拐殺人事件の裁判が行われていたというから、何ともはや。そういえば、スティーブン・セガールの「ICHIGEKI」もモチーフとして児童誘拐を絡ませていただけど、作る人・国が違うだけで、全く異なる作品になるもんだと当たり前のことを思ってみる。

 アングルも独特で、色の使い方とか面白い。建物も重厚で、雰囲気がそれだけで物々しい。国としてのたたずまい。警察組織のあり方とか、いろんなものが垣間見える。もっと色んな国の映画を見る機会が増えたらいいな。



にほんブログ村 映画ブログへ←ポチっとしてくれると嬉しいデス^^ヾ

グース

グース      ≪公開時コピー≫
     この冬、熱い感動が
     大空に飛び立ちます。


       製作国:アメリカ
       製作年:1996年
       公開年:1996年

 【監督】   キャロル・バラード

 【製作】   ジョン・ヴェイチ
         キャロル・バウム

 【出演】   ジェフ・ダニエルズ (トーマス)
         アンナ・パキン (エイミー)
         ダナ・デラニー (スーザン)
         テリー・キニー (デイヴィッド)
         ホルター・グレアム (バリー)
         ジェレミー・ラッチフォード (グレン)
         デボラ・ヴァージネラ
         マイケル・J・レイノルズ
         デヴィッド・ヘンブレン (キリアン博士)
         ケン・ジェームズ
         ノーラ・バラード

 【Zero的評価】 320円

 【リピート率】  ★★★★

 【見所】   「ヘイ、ヘイヘイ、ヘイ」なエイミー。

 【鑑賞本数】  年間:13作目  通算:454作目


 【 感 想 】

 忘れもしない初見は受験真っ盛りの高校三年生。「ピアノ・レッスン」「ショーシャンクの空に」などがやっていたクラスで、どさくさにまぎれて借りた。なんて可愛い子がでているもんだと驚いたのを覚えている。実際、今、見てもアンナ・パキンはかわいい。名子役といわれる俳優さんは多いが、子供の時もかわいくて、大人になって女性としても美しいのって、アンナ・パキンかナタリー・ポートマンだけだと思う。それはさておき。

 邦題は「グース」だけど、オリジナルタイトルは「Fly Away Home」。オリジナルのほうが個人的には好きだ。これをナイスな邦題に訳せ。といわれても難しい。というのもさておき。

 作品全体を通して、フェアな雰囲気があって、そこが好きだ。ライトなファミリー向きを装いつつ、環境問題も織り込む脚本のセンスは悪くない。

 「あきらめない。」というテーマが根底にあって、グースを沼地に連れて行くことはもちろん。人間関係(娘と父、父の恋人)や、沼地を埋め立てることなど。あきらめない気持ちがグースを沼地に送り届けることにつながっていて、人の力はすごいとちょっと涙した。

 母を亡くし、離婚した父に引き取られ、新しい生活を送るエイミーの閉じた感じはすごい「ヤな感じ」なんだけど、周りの大人たちがフェアで、可哀相がるわけでも、子供扱いするわけでもなく、人として対等に接しているのが暖かい。

 グースを沼地に送り届けることで、エイミーが少し大人になる。という冒険と成長も織り交ぜているけど、押し付けがましさがなくて、ほほえましい気持ちになれるのもいい。

 16羽のグースが愛らしくて、エイミーじゃなくても心を開かずにはいられない。お決まりで、どんくさい一匹がいて、それがまた、可愛い。だけど、どんくさいのは“渡り”が無事できるかどうか。という、シビアな目で見ると連れて行かないという選択肢が彼or彼女に対しての幸せかもわからないんだけど、全員連れて行くというのもフェアでいい。



にほんブログ村 映画ブログへ←ポチっとしてくれると嬉しいデス^^ヾ

おくりびと

おくりびと      ≪公開時コピー≫
     キレイになって、
     逝ってらっしゃい。


       製作国:日本
       製作年:2008年
       公開年:2008年

 【監督】   滝田洋二郎

 【製作】   信国一朗

 【出演】   本木雅弘 (小林大悟)
         広末涼子 (小林美香)
         山崎努 (佐々木生栄)
         余貴美子 (上村百合子)
         吉行和子 (山下ツヤ子)
         笹野高史 (平田正吉)
         杉本哲太
         峰岸徹
         山田辰夫
         橘ユキコ
         橘ゆかり
         朱源実
         石田太郎
         小柳友貴美
         岸博之
         宮田早苗
         大谷亮介
         星野光代
         諏訪太朗
         奥田達士
         内田琳
         鈴木良一
         ト字たかお
         藤あけみ
         山中敦史
         樋渡真司
         白井小百合
         坂元貞美
         大橋亘
         飯森範親

 【Zero的評価】 320円

 【リピート率】  ★★

 【見所】   納棺までの流れ

 【鑑賞本数】  年間:12作目  通算:453作目


 【 感 想 】

 「おくりびと」を観た数日後に祖父が他界し、両親と共にでリアルおくりびとを楽しみにしていた不謹慎な話はさておき。

 日本映画としては普通。だけど、外国人から見たら「お葬式」は幻想的に映るし、「おくりびと」は外国人が求める日本人の精神性が詰め込まれているんだろう。その辺がアカデミー賞受賞の一因かと思ってみる。

 人の死に立ち会う機会が減り、葬儀社が一手に引き受ける葬式が多く、納棺の現場をまず見ることがない。そんな現状で、納棺の一連の流れを見ると、静かに人をおくる昔ながらのお葬式はいいなと素直に思った。

 死に関わる仕事=汚らわしい。という思想は、田舎に行けば行くほど根強い。中学高校をすごした東北の地でもそういう思想は残っていた。だけど、死に関わる仕事を誰かがしなければ、世の中うまく回らないのも事実。というのを踏まえた上で、広末涼子演じる美香が夫である大吾が納棺の仕事をしていると知って「汚らわしい」とはき捨てるシーンはムカついた。

 平均的な感情として「死=汚らわしい。」をわかりやすく形にして、大吾の心境の変化とともに、素晴らしい納棺師の仕事につなげる作為的なモノが垣間見えたのもイラッとはした。

 だけど、山崎務演じる佐々木がいたおかげで作品が成立したような印象。納棺の仕事を「旅のお手伝い」と表現するユーモアだったり、納棺師になろうと決意したくだりをフグの白子を食べながら話す胡散臭さだったり、人として魅力がありすぎる。
 大往生する人もいれば、孤独死で腐っている場合もある。でも、どんな時でも「おくる」ことに誠心誠意向き合う姿は、職業云々ではなく、仕事人として素晴らしい。

 個人的に評価が低めなのは、大吾と父親のくだりがチープで、白けたから。余貴美子演じる上村の「最後の姿を見てあげて」のくだりも何だかなぁ。美香も散々言ってた割に父親が亡くなったと知ったら「あなたがやるべきだと思う。」というのも、何だかなぁ。



にほんブログ村 映画ブログへ←ポチっとしてくれると嬉しいデス^^ヾ

つみきのいえ

つみきのいえ      ≪公開時コピー≫
     
     


       製作国:日本
       製作年:2008年
       公開年:未公開

 【監督】   加藤久仁生

 【Zero的評価】 1500円

 【リピート率】  ★★★★★

 【見所】   おじいさんの思い出。

 【鑑賞本数】  年間:11作目  通算:452作目


 【 感 想 】

 公開作品ではないし、12分と映画としても短いけれど、アカデミー賞短編アニメ映画賞を受賞したので映画としてカウント。

 あっという間におわってしまう「つみきのいえ」。やわらかいタッチと、ぬくもりのある灯りが印象的。水没していく町。おじいさんの淡々とした生活。とんがりがなくほっこりとする。

 ストーリーも、構成もシンプルで「色んなことやものを感じ取ってください」的な作りがいい。絶対、ナレーションなしで見るべき。想像でも、妄想でもいいから、何かを感じ取ってストーリーを組み立てる作業を自分でしたほうがいいと思うし、解釈も正解はないと思う。自分がこうだと思った解釈でいい。そんな作品。

 おじいさんが落としたパイプと共に、過去にさかのぼっていくこのアニメ。おばあさんを看取ったフロア。孫を抱いたフロア。娘が結婚相手を連れてきたフロア。娘が生まれたフロア…。と、どのフロアにも思い出がある。水没とともに持っていけなかったモノが、思い出として残っていて切なくなる。

 家には思い出が染み付いていて、実家というか、帰る家を持たない自分には「家」はノスタルジーの象徴でもあり、憧れでもある。人として、帰るべき場所があるというのはとてつもなく贅沢なことで、例え、どんな田舎であっても、ボロ家であっても、それは大切にしたほうがいいと思う。

 一人残されたおじいさんだけど、家にはすごした家族の面影があって、そこで暮らせることは幸せかもしれない。「ストレイト・ストーリー」とかぶるものがあって、年をとるのも悪くないと思わせる何かがある。

 たったの12分だけど、12分の中に試行錯誤した面影は残っている。色の具合や、アングル、水の感じ、どれもすごく丁寧に描かれていて、人の手仕事っていいなと思った。パソコン処理はもちろんなされているんだろうけど、パソコン特有ののっぺりとしたマットな感じじゃなくて、人のぬくもりのあるムラだったり、均一じゃない感じがいい。



にほんブログ村 映画ブログへ←ポチっとしてくれると嬉しいデス^^ヾ

ストレイト・ストーリー

ストレイト・ストーリー      ≪公開時コピー≫
     人生のわすれものを探しに―
     


       製作国:アメリカ
       製作年:1999年
       公開年:2000年

 【監督】   デヴィッド・リンチ

 【製作】   アラン・サルド
         メアリー・スウィーニー
         ニール・エデルスタイン

 【出演】   リチャード・ファーンズワース (アルヴィン・ストレイト)
         シシー・スペイセク (ローズ・ストレイト)
         ハリー・ディーン・スタントン (ライル・ストレイト)
         エヴェレット・マッギル (トム)
         ジェイン・ヘイツ (ドロシー)
         バーバラ・イー・ロバートソン

 【Zero的評価】 1500円

 【リピート率】  ★★★★

 【見所】   トラクターから見る風景

 【鑑賞本数】  年間:10作目  通算:451作目


 【 感 想 】

 前々から気になっていた「ストレイト・ストーリー」。デヴィッド・リンチ監督作品ゆえに、見るのをためらっていたのだが、食わず嫌いもいい大人がどうなんだと。見たけど、何ですか。コレ。めっちゃいいじゃないですか。

 淡々としたロード・ムービーで、主人公はおじいちゃん。トラクターを改造して、560km先の仲たがいした兄に会いに行く。ただ、それだけなのに、胸を打つ。デヴィッド・リンチ。こんな作品も撮れるんだと心底驚いた。

 会話も少なく、ひたすらトラクターを走らせるだけ。ドラマティックな演出もなく。うっかりすると寝てしまいそうなくらい、淡々としている。盛り上がりにかけるけど、でも、いい。好きだこういうの。

 素人が撮った風なんだけど、アングルとか構成とか、すごく考えられている。でも、「どや!」的な作為はなくて、静かに見守る感じがいい。

 主人公のおじいちゃんアルヴィンもいい味出している。「The 田舎のおじいちゃん」で頑固で偏屈。時速8kmのトラクターで560km先に行くなんて言ったら、バカにもされるし、ムリだからやめろとも言われるし、皆すごく当たり前な反応をする。でも、アルヴィンは「これが乗りなれているからいい。」と、頑固にスタートしてしまう。そういう頑固さって大事だ。情報が飛び交ってコミュニケーションをとる手段がありすぎるけど、自分の足を使って会いに行くことは大切だし、自分にあったスピードでいけたらステキだ。

 560kmというと、札幌から根室の距離。考えるだけでぞっとする。例えが、ローカルすぎるのはさておき。アルヴィンが何を考えているかは知らない。所々で出会った人たちと交わす会話から、彼の人生が垣間見えるけど、楽しいことも辛いこともあった、当たり前の人生。それを淡々と独り言のように語る口調には押し付けがましさがなくて、心になじむ。

 殺伐とした世の中だけど、人のぬくもりが暖かい作品。自分にとっては、「バグダッド・カフェ」よりはるかに癒された一作。



にほんブログ村 映画ブログへ←ポチっとしてくれると嬉しいデス^^ヾ