小説フランス革命5 王の逃亡 | 雑読日記

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→ 小説フランス革命4 議会の迷走

佐藤賢一「小説フランス革命」第5巻、「王の逃亡」です。
内容は題名の通り。

議会随一の論客にして、もっとも篤王家であったミラボー伯爵を喪い
フランス王ルイ十六世がパリからの逃亡を謀ります。

王本人は革命に肯定的な啓蒙君主を自認するものの、
パリ市民からも議会からも、それほどとは受け取られていない
このフランス王は、なるほど「王」らしい唯我独尊さで
種々の出来事を解釈してゆくところがなかなか面白かったです。

まぁ、「王」という存在だからと言うわけではなく
人ならば誰しも失敗は他人のせい、成功は自分のせいにしたがるもの。

本来的には王族や貴族といった存在は、無条件に尊崇されるゆえに
失敗や成功とは無関係であってもおかしくないのですが、
ルイ十六世がその辺にこだわるあたりの人間臭さが良い味でした。

この記事へ続きます。
→ 小説フランス革命6 フイヤン派の野望

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