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2012-02-14 20:10:30 テーマ:☆☆☆

軍師の門[下]

この記事の続きです。

→ 軍師の門[上]


豊臣秀吉の軍師、竹中半兵衛と黒田官兵衛を描く
火坂雅志「軍師の門」の下巻です。


秀吉による毛利攻めの陣中に没した半兵衛を継いで

官兵衛が軍師となり、秀吉による天下統一をへて

その後の関ヶ原までが語られます。


本能寺直後の「中国大返し」を秀吉に決断させ、

天下への道筋を示した官兵衛でしたが、

その大きすぎる野望と才能が秀吉の疑心を生み

以後、重用されなくなるのは皮肉。


ひとりの人間の中にある様々な思惑、願望、理想を

たくみに描いて重厚な内容ながら、とても読みやすく

良作であったと思います。


軍師の門 下 (角川文庫)/火坂 雅志
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2012-02-11 20:20:07 テーマ:☆☆☆

軍師の門[上]

豊臣秀吉に仕えた二人の軍師を描きます

火坂雅志「軍師の門」の上巻です。


竹中半兵衛と黒田官兵衛。

秀吉を織田家の将へ、そして天下の関白へと押し上げた

二人の名参謀の物語ですが、上巻は半兵衛。


まず、秀吉・半兵衛・官兵衛の三人が世に出る

最初期のころから語り起こします。

若き官兵衛が、播磨から半兵衛に会いに来て

秀吉にも偶然出会うところなどは、ちょっとした趣向でした。


戦国という時代に、綱渡りのように危ない賭けを繰り返し、

自分の命を掛け金にして夢と野望を実現させてゆく

強烈な匂いを漂わせる人生が、ここにはあります。

安定した筆致で、面白く読めました。


この記事へ続きます。

→ 軍師の門[下]


軍師の門 上 (角川文庫)/火坂 雅志

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2012-02-09 20:00:26 テーマ:☆☆☆

なずな

昨年の本の雑誌年間ベスト1となりました、

堀江敏幸「なずな」です。


主人公は、未婚の四十代男性。

彼が生後二、三ヶ月の女の子なずなちゃんを預かり、

すこしの間だけ育児する物語です。


なずなは主人公・秀一の弟夫婦の子供なのですが、

父親は海外で怪我をし、母親は病気で入院をし、

どちらも子供の世話ができない状態に。

そこで伯父の出番となったわけです。


小説自体は、とくに事件が起こるわけでもなく

淡々と進んでいくのですが、淡々としているのはテキスト上だけ。

育児自体は山あり谷あり苦労の連続であることが分かります。

とくに最初のほうはスゴイ寝不足だし。


その辺のバランスがなんとも妙な読後感です。

とりたてて特別なことは起こらないけれども、

赤ん坊の世話をする(しかも初めて)ことそのものが

どこか特別な出来事めいているわけで。


不思議な魅力をもった一冊でした。


いやぁ、しかしデカイ、重い、長いの三拍子がそろっていて

電車の中で読むのは一苦労でした。


なずな/堀江 敏幸
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2012-02-04 19:15:16 テーマ:☆☆☆

コーヒーブルース

読み終わってから気付きましたが、

「モーニング」の続編なんですね。

小路幸也「コーヒーブルース」です。


なるほど、なら肯けるかなという感じなのですが、

本書はいつもの小路作品とは少し違う印象を受けました。


主人公である喫茶店マスター・ダイがふたつの事件に

関わり、それを解決していく物語なのですが

前提となる五年前の事件、そして今回のいずれも

シビアな事件であると言うことができます。


小路作品の場合、犯罪が語られていても義賊であったり

どこかしらハートウォーミングな要素とか、

あるいはユーモアのある描写だったりが満載で

あまり深刻さを感じさせないのですが

この作品はのっけからシリアスな印象を抱きます。


思えば、「モーニング」も設定こそ突拍子もないものの

内容そのものはシリアスで真剣であったように記憶しており

なんとなく今作に似ているように思います。

いや、後付の印象かもしれませんが。


たまには、こういう小路幸也もいいかな、と思いました。


Coffee blues/小路 幸也
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2012-02-01 21:03:19 テーマ:☆☆☆

上杉かぶき衆

「天地人」に連なる短編集と言えましょう。

火坂雅志「上杉かぶき衆」です。

越後の戦国大名、のち会津百二十万石、米沢三十万石に

転封された上杉家に仕える「かぶき者」を描きます。


上杉の「かぶき者」と言えば、代表格はなんと言っても

隆慶一郎「一夢庵風流斎」や、その漫画化で名の知られた

前田慶次郎かと思います。

本書でも取り上げられております。


しかし、その前田に代表されるような、奇抜な姿で奇抜な行動の

人物たちばかりを取り上げているというわけではなく、

「かぶき者」の「かぶき者」たる理由である

「自分の信じる道をただ進む」人々を描いております。


全部で七人の主人公による七編が収められていますが、

そのいずれもなかなかに面白い。

心にグッとくるエピソードも盛りだくさんで

「天地人」が楽しめた方ならば、買って損ない一冊です。


上杉かぶき衆 (実業之日本社文庫)/火坂 雅志
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