産経新聞 2008.2.2 朝刊


 【北京=福島香織】人民日報系国際時事紙「環球時報」は1日、中国製冷凍ギョーザの中毒事件の政治問題化を懸念する論評を掲載した。この事件で中国紙が本格的な論評を発表するのは初めて。インターネット上では「日本人が毒で死ぬのはいいことだ」といった“民族主義的”書き込みもあるが、当局としては迅速さと誠実さを必死にアピール。事件はすでに香港、韓国などにも波紋を広げており、五輪開催直前、自らの立場を擁護しつつ国際社会の反発をかわそうとする中国側の腐心ぶりがうかがえる。

 環球時報の論評は、「日本メディアが中国ギョーザを包囲攻撃」と題し、「中毒事件の真相がはっきりしない前に、日本メディアが口をそろえて中国ギョーザの罪を責め、日本市場に中国食品恐怖症を引き起こした」と批判。「こういう時、新聞は一層慎重に報道してこそ、消費者にとって真に責任ある態度なのだ」と日本側の報道抑制を呼びかけた。

 さらに中国商務省専門家の発言を引用する形で「日本のメディアは些細(ささい)なことを大げさに報道して人を驚かせるのが好きだ」「中国企業が故意に日本に有毒物を輸出することはありえない」と中国側の立場を主張。問題の背景に、日本の戦略的安全保障問題や中日農産品貿易の紛糾などの矛盾があると指摘し、事件の政治化を懸念した。また社会科学院の専門家は「日本の貯蔵、流通など技術上の問題」など中国側以外に原因がある可能性をほのめかした。

 全体で報道のトーンが抑えられている中、あえてこういった論評が出るのは、ネット世論など庶民の反応に反発的なものが増えているからだろう。捜狐ネットなどの掲示板では、国家品質監督検査検疫総局が製造元企業に生産停止を命じたことに「なぜ日本人を怖がるのだ?」「中国食品を悪者にするのは中国の発展への嫉妬(しっと)だ」「小日本を毒殺しろ」といった感情論がでている。














『台湾の声』  http://www.emaga.com/info/3407.html