DOWAホールディングス

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社会貢献を本業にした例。


昔の同和鉱業、社名を変更し持ち株会社をつくり、先端技術立社を社是にかかげている。


金、銀、銅などの非鉄金属の精錬業が本業だが、高精度金属製錬技術を活用し、東南アジアから使用済みの携帯電話を輸入し、金や銅などの非鉄金属を取り出して再利用する計画を進めている。


これは有害廃棄物の輸出入を規制するバーゼル条約事務局との共同プロジェクトで、有害物質(例えばヒ素)の不適切な処理も防ぐ国際的なシステムをつくる。


東南アジアでは使用済みの携帯電話が中国に運ばれ、有害物質を残したまま貴金属だけが取り出されたり、一般の廃棄物と同様に焼却処分されていた。バーゼル条約事務局はこれに憂慮し、環境省の仲介で資源回収の協力を要請してDOWAとの共同事業にした。


複数の金属が含まれる電気製品から金属を取り出すための製錬所を持っているのはDOWAがアジアで唯一の企業で白羽がたった。


使用済みの携帯電話には1トン当たり400グラムの金、172キロ・グラムの銅が含まれている。鉱石(1トン)には金は5グラム程度、銅は10キロ・グラム程度しか含まれておらず、電子・電気機器の方が効率的に非鉄金属を取り出せる。


工場が東南アジアへ行く時代に反対に日本の工場が大きくなるのが面白い。日本の進んでいる環境技術を活用すると似たことはこれからもありそうなことである。


有害物質の拡散を防ぐだけなら社会貢献活動だが、取り出した希少金属はDOWAの収益になるのでこの事業は社会貢献活動でなく本業の精錬業である。


収益を目的にした会社がやる典型的な社会起業ではないだろうか。


当座はタイ、マレーシア、シンガポールの3か国が対象であるが、そのうち中国、インドからの回収も行うようになると、埋蔵量が大きな人工鉱脈を掘り当てたようなもので社会性の強い本業が利益を生む好例になるのでは。


こんないい条件の社会起業はめったにないが、社会起業を本業にすえると思いがけないことが起こるような時代になってる。

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千葉大と環境エネルギー政策研究所が自然エネルギー(太陽光、風力、地熱、小規模水力、バイオマスの5種)で地域の電力需要をどのくらいまかなっているか市町村ごとに調べた。


この結果がなかなか面白い。


全国平均で3.4%だったが、比率が高いのは大分30.8%、秋田26.3%、富山23.4%、岩手20.2%の順、低いのは東京、大阪、千葉、福岡、、神奈川、兵庫などの大都市で1%未満であった。


種別では、小規模水力が59.8%、地熱18.1%、風力12.4%、太陽光6.0%、バイオマス3.7%、昔からの技術がまだ自然エネルギーの大そうをしめており、大分、秋田などの20%超の地域はこれである。


話題の風力、太陽光、バイオマスがそれほどでなく新技術への投資がまだ足りない。


新技術による自然エネルギーはまとまって大きな規模になることが欧米の経験からわかっており、ここへの投資が増えている。これが世界の趨勢で、現在では大手の金融機関が設備融資する時代になっている。


こういうのに比べると声だけが大きく、投資では日本は遅れてしまった。


安部首相は環境保護で世界の先進国になると意気込んでるので、社会保険庁の解体をやったほどのエネルギーで自然エネルギーが増える政策を展開して欲しい。

そうすれば環境改善の社会起業が爆発的に増える。

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三菱重工は、自社の風車35基(1基1000キロワット)を黒海沿岸のブルガリアで建設(現地企業との合弁事業、建設費59億円)、国際協力銀行とみずほコーポレートが協調融資する。この担保がCO2排出権、欧州で排出権取引所が開設されるので担保価値が出てきた。


排出権を担保にしたのは世界初で、日本企業グループがこうしたビジネスモデルを開発したのはすばらしく、古い大企業が社会起業へ進出したのもよい。


クリーンエネルギーは発電コストが高いのが悩み、そこで補助金を出してつじつまを合わせてるが補助金にも限界がある、それに代わって排出権売却収入が入れば普及にはずみがつく。いいビジネスモデルである。


次はアメリカの例で排出権を小売した例。
シリコンバレーにあるTerraPass Inc.は、自家用車の所有者を顧客にして、インターネット販売で年数十ドルでCO2排出権を売っている。
http://www.terrapass.com


05年5月の設立から1年で6000人の顧客を獲得し、集まった金を風力、バイオマスなど9つのエネルギープロジェクトに投資し、1億200万ポンド相当のCO2排出と相殺させた。100万人、100億ポンドの温暖化排出ガスの削減を目標にしている。


事業化のきっかけは、ペンシルベニア大のウォートンスクールの授業で、排出権取引は卸売りしかなく小売がない、これでは自動車の所有者は温暖化ガス削減の闘いに参戦できない、排出権を小売する新しいビジネスモデルをつくろうと04年10月から設計を始め、ペンシルベニア大のベンチャーキャピタルから50万ドルのスタートアップ・キャピタルを出してもらって、ウォートンのMBAが集まって設立された。こんなわけで集まった金はペンシルバニア大学の関連プロジェクトへ投資されている。


独創的なビジネスモデルだったので、マスコミの評判はよく「個人が地球温暖化と闘う心を開いた」「フェアトレードコーヒーを買うのと同じファッション」と評価され、フォード、パタゴニア、スコール財団、スタンフォード大学。。。と支援者が続々とあらわれた。社会が待望していたモデルだったからだろう。


TerrapassのCEOトム・アーノルドはウォートンのMBAだが、大学で学ぶ前に非営利の低所得者向けベンチャーキャピタルやコンサル会社の職歴があり、非営利事業の方が入りやすかったが、社会起業を起こしたいと強く思っていた様子で営利にしたそうである。


社会起業にはこんなビジネスモデルがあるんだと感心したが、日本にもあってもよさそうなモデルである。

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前回、滋賀県で環境産業の育成をやったらどうかと書いたが、環境ビジネスは、雇用創出効果が大きく、地方経済向きである。


前出の「エコロジーだけが、経済を救う」には、ドイツの例がたくさん出てくる。
・環境相は「環境保護は雇用キラーでなく、雇用ヒッターなのだ」と、環境政策

 は、雇用拡大のスローガンになると言った。
・ドイツのソーラーエネルギー革命で、110万人の雇用が生まれると予想
・ドイツの環境ビジネスには、135万人が従事してるが、自動車は95万人にとど

 まる
・風力発電産業は、原子力発電よりも、5倍の職場を提供する
・都市内交通を公共交通機関に組み立て直すことで、100万人の雇用が達成さ

 れる(東京が先進モデルと書いてある !)


こんな数字がたくさん出てくる。当時の政権が、環境政策をかかげたために、官庁や大学、シンクタンクが、いろんな試算をやり、環境産業が、雇用を生むという点では、社会の中ですでに合意ができてるのだろう。


ドイツでは、メルケル首相が、これから小泉型の構造改革を進め、その結果、失業率は上昇する。西ドイツで10%弱、東ドイツで20%弱の失業率なのに、さらに上昇するので、それを吸収するセクターへの投資が増えないと、構造改革はできない。こうして、環境産業には追い風が吹く。


環境産業が、雇用を増やすのは直感的に理解できることである。環境産業とは、バイオ農業、農業のエネルギー産業化、自然エネルギー利用産業、公共交通機関などのことを指すので、労働集約型の産業だからである。


ITや金融のように、高給というわけにはいかないが、生み出した付加価値を多数の人で分け合うタイプの産業で、日本は既に高賃金のうえ、こんなに個人資産の多い国なので、それでいいのである。


しかも、この種の雇用は、地域で生まれるので、大都市だけで雇用を吸収してしまう情報産業や金融とは違い、地方経済に活力を取り戻すにはぴったりである。こんなわけで、滋賀県での挑戦をすすめてみたのである。

環境主義者が政権につくと!!!

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前回、環境の専門化が滋賀県知事になった話を書いたが、その続き、環境主義者が、政権につくと何をやるかだが、いい例がドイツです。


ドイツの緑の党は、平和主義と環境主義をかかげ、98年~05年まで社会民主党と連立政権をつくり、党の政策を実行しました。


平和主義では、イラク派兵を拒否し、ブッシュとの関係を悪くしましたが、環境では、世界のモデルとなるような政策を初めて実行し、こちらの方は、世界に広がりそうなものがあります。また、この党は女性が強く、女性の力で政策を実行したのも先端的なことでした。


反原発政策は、リアリティが欠けていたので、現メルケル政権によって元に戻ってしまう気配で、やりすぎですが、下記のような政策は、現政権にも引き継がれ、ドイツの新しい競争力になりそう、日本でも、低床型市電が復活してきましたが、これはドイツで開発された技術です。

・化学農業に代わり、エコロジー農業(有機農業)の振興、この先進国
・自然エネルギー(太陽、風力、バイオマス)生産の増大
・鉄道などの公共輸送機関の開発と投資の拡大(連邦政府の仕事にし、民営化

の反対を行った)


フランツ・アルト「エコロジーだけが経済を救う」(洋泉社)に、この辺りの事情が詳しく書かれてます。この本は2002年に出版され、著者は、環境問題の著名なジャーナリストで、オピニオンリーダーです。


ここに、「「ドイツの休耕地で、中国葦を植えれば、19の全ての電子力発電所と同量のエネルギーが得られる」と、連邦農水省の研究を紹介してる。葦をエネルギー源としたバイオマスエネルギーのことですが、葦はC4植物(分子に4つの炭素を含む、身近なC3植物から区別)で、成長が速いのでエネルギー源として利用できる、こうして、「農業を食料供給産業からエネルギー産業へ転換」が提唱されてます。


農業をエネルギー産業にするなど、新鮮です。


バイオマスでの現在の話題はエタノール車、ガソリンが高くなったので、それに代替するエネルギーとして、世界で普及が始まっており、日本は欧米に遅れをとってるが、その分、キャッチアップが行われるので、関連産業は、高成長する。


私は、葦をエネルギー原料にするドイツの話を読んだとき、すぐに思いついたのが琵琶湖湖畔です。ここは、昔から葦が生活に利用されており、それを復活する非営利活動があるが、上記の本に書いてある政策は、滋賀県が似合うのだと思ったのです。


こんなわけで、滋賀県では、ドイツ型環境産業の育成政策をやったらどうなんでしょうか。環境産業では、日本のメッカになる決意で、事業モデルを次々と打ち出し、これだ、とやるんです。そうすれば、県民が奮い立ち、面白いことになるんですが。

多摩川のアユ復活大作戦

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東京都は、年間100万匹のアユを多摩川に遡上させるそうだ。


まず、漁協と協力して、産卵期前の秋口に、中下流域の川底の石をくわを使ってひっくり返す「石洗い」をして、15カ所の「産卵場」をつくる。


次に、上流域では、土砂を取り除き、巨石を置いて、アユを襲うカワウなどから、身を隠す「隠れ場」をつくる。(年間6.3トンのアユがカワウの餌食になっている)


また、40近くの堰(せき)がアユの遡上を阻んでいるので、改修したり、土砂をどけたりする。


さらに、下水処理水のにおいがつくのを防ぐため、処理水を川に流す前に地場の間伐材を使った木炭でろかする実験にも乗り出す。台所の流しが、アユのすみかにつながっているんだと都民に呼びかけるのが狙い。


大作戦だが、現在、人々はこんなことに関心があり、いいプログラムである。


多摩川の東京側の土手に、是政から羽村堰まで約30キロのサイクリングロードがあり、土日には、ツールド・フランスのようなかっこでサイクリングしている人がたくさんいて、驚いてしまう。


こんな縁の深い人も参加できるとよい。上流から下流までと広域なうえ、市民に環境意識を受け付ける狙いもあるので、都が自分だけでやるのでなく、昨年成功した「ホワイトバンド」キャンペーンのようなことをやり、市民の自主的な参加をうながし、環境の壮大な非営利事業にデザインするとよい。


大切なのは、非営利事業のデザイン力ですよ。

三菱重工業は、風力発電装置の生産能力を、メキシコ工場の設備を増強し、3倍に拡大、年600―700基に引き上げる。米国などの需要増に対応、風力発電を原子力やガスタービンなどに続く電力分野の主力事業に育てる。(日経、12月22日


重電は典型的な成熟産業になってしまっていたが、数年前に、ドイツとスイスの重電メーカーが、風力やバイオマス発電機の生産設備を主力事業にする戦略をたて、研究開発投資や設備投資を始めた。このとき日本企業は遅いリストラ中で、これでは競争に負ける思ったが、やっと新路線に踏み出したのはよいことである。


最近の製造業は、アナログTVがデジタルに変わったり、ウォークマンがipodに変わったり、ビデオがHDDになったりしてるが、これを社会性の強い新製品とは思わない。代替製品だからで、最近はこれが多い。


これに対し、製造業でも「社会性の強い製品」がある。ここに出てくる風力発電機がそうで、新しい社会需要に対応し、それを供給することであるが、これは社会事業の匂いが強い。


例えば、明治時代の生活史に、明治時代の半ばにエンジン付の漁船が東北の漁民へ普及したとき、それを神のように崇めた話が出てくる。強力なエンジンで波を乗り切り海難事故を防ぎ、遠くの漁場に出かけて漁獲量があがったからである。


19世紀の初めにイギリスで産業革命が起こり、機械化された紡績機ができたり、蒸気機関車が登場したが、このとき、人々は、工業を社会性の強いものと思い、「かっこよい」と感じ、社会の進歩に役立っていると感じたはずだ。20世紀初めのフォードの自動車もそんな存在だったのだろう。


このように工業化初期の製品には、みな社会性が付随しており、社会事業開発の色合いが強かったのだが、それが工業の成熟化とともに、こうした感性が薄れてしまい、大企業からこの感性がなくなったのが問題である。


ところが、企業からなくなってしまっても、非営利法人活動でそれが復活してきたことを感じる。特に、アメリカの非営利法人ではそうで、途上国向けの医療器具の開発がよい例で、このブログでも何回かそれを取り上げた。


社会需要の出現は、企業にとっては新しい市場だが、見えないために非営利法人に取られてしまっている話である。アメリカの大企業は、最近それに気づき、社会貢献でなく社会事業開発に投資する傾向が出てきたが、この三菱重工の話は、それと同じトレンドだ、これは斬新だと思ったのである。


企業は、成長分野の社会需要を追っかけることで、忘れていた社会事業開発をやるようになるのだろうと思う。いうなら、工業の先祖帰り現象で、こうなることで、社会起業家とのつながりが強くなってゆく。