大きく考えるクセ、流儀のこと。


ティーチ・フォア・アメリカ(TFA)を創業したウェンディ・コップのやり方がこれである。


ウェンディ・コップは昨年の前半タイム誌の今年世界を変える100人にノミネートされたアメリカ希望の星である。このブログでも昨年の5月7日に取り上げた。


彼女が書いた「いつか、すべての子供たちに」、原題は、ある日、この国のすべての子供はエクセレントな教育を得る機会を持つだろう(英知出版)に、このやり方がしばしば出てくる。


この本は2001年に出版され、TFAの90年代10年間の物語だが、日本では今月出版された。日本でもやっと社会起業コンセプトが広がりTFAの経験が役立つときになったからだ。


面白い本で社会起業の原型を知るにはよい本である。


TFAは一流大学の卒業生を低所得地域にある学力の低い学校に先生として2年間送り込む事業をやっており、2008年には3600人も採用した。(90年以来延べ14,000も送った)


驚くべき雇用力である。


レーガン大統領の8年間で小さな政府のために公共支出がカットされ、低所得地域の小学校から高校までの学校が荒廃した。中退が多かったり、大学進学者が少なかったりと生まれた場所しだいで教育の機会が違い、機会均等になっていないことにウェンディ・コップが怒りを感じ始めた事業である。


1年目の90年には500人の先生を派遣し、2年目は1000人目標のところ700人になってしまったが、スタートにしては多い数である。


ウェンディ・コップがこうしたのは社会に与えるインパクトを大きくするためである。


教育市場は政府が事業をやっているほど巨大である。それを変えるにはビックに考え、急いで成長しなくてはいけない。しかしTFAがこれだけ大きくなっても、教育界が変ったとはまだなっていない。


社会起業は巨大な領域を相手にする。国家が事業をやっていたようなところであるが、ここで創造的で破壊的なイノベーションを起こして古いやり方を変えるアイディアで始まる。


そのために大きく考える流儀ですばやく大きくなって影響力を発揮しなくては価値がない。数十年の覚悟がいる事業である。


この辺りのことが日本ではいまいちで、TFAのほどのものはまだ出てきてない。学ぶことである。