コムケアセンターのビジネスプラン選考会が10月16日(日)午後、飯田橋のしごとセンター講堂であったが、審査員をやってるので出席した。
参加者が集まるか事務局は心配してたが、会場は補助イスがおかれるぐらいでいっぱいに埋まりひと安心。
150件から予備審査を通過した20件が発表され、会場の投票で10件(助成金30万円)が選ばれた。

選考先はここ


書類審査の段階では、こつぶな案件が多く、例年に比べ水準低下かなと思ったが、実際に話をきいてみると、想像とは違い、なかなかよいものもあった。

障害者支援、外国人支援、福祉作業所支援など、どこでもおめにかかる案件もあったが、目に付いたのは新鮮な切り口のもので、NPO活動は進化してるんだ、それぞれの現場で、新しいアイディアが花開く時代になっているんだと思わせるものがあった。


例えばこういうものだ。
1、滋賀県の近江八幡の「八幡山景観修復」
 荒れた八幡山の森林の伐採を地元の定年退職者が始めた。森林の手入れはどこでも問題になっており、自治体でも取り組み始めたが、伐採でなく「景観修復」とやったのがアイディアである。
 よく考えると、遠景の景観と伐採は関係がない。禿山なら木を植えて、景観を回復するが、禿山ではない。八幡山は、地元民には子供のころから親しんでいる山で、ハイキングに行ったとき、山道から見える風景が見苦しいので、それをきれいにするぐらいの感じらしいが、二つを結びつけて、退職者の仕事にしたのが優れている。
 伐採では人は集まらないが、子供のころから見慣れている風景をとりもどすなら人はくる。作業のあと、いっぱいやるらしいが、これも楽しみ。


2、友達のいない発達障害児の話し相手になる仲間づくり
 自閉症や引きこもりの子供の親が、自ら乗り出して話し相手の子供をつくったり、社会に交わる道をつくる活動。学校の先生や自治体、医者やカウンセラーだけに依存しないで、自らやる姿勢がすばらしく、起業家精神そのものである。


3、散歩をスポーツ化する
 散歩をスポーツとは考えない。しかし、老人が散歩をすれば体力が回復し、引きこもったために起こるうつ状態もなおる。そこで、散歩のやり方を、「散歩駅伝」にしたり、いろいろ工夫して散歩を強制するのだが、なるほど、老人には散歩はスポーツだ。


4、成年後見人支援
 痴呆症の老人の生活支援と財産管理をやるのが後見人だが、2000年から始まってる制度なのに、普及はまだ対象者の数%にすぎない。制度が想定してるのは弁護士、司法書士、社会福祉士などだが、料金が高いので、低所得者は頼めない。また、実際には子供がなっているケースが多いので、そこへ専門知識でサポートする親族支援サービスがあると普及する。それをNPO事業でやるという。
 アメリカのNPOの一大分野になっているアドボカシー活動(まず主義主張があり、それを普及させるための支援活動、仲介活動のこと)と同じで、日本でもほんとのアドボカシーが登場してきたことを予感させた。


5、流産、死産の家族を元気づける
 両親、兄弟、親戚が慰めることをやっているが、それを社会化してNPO活動にするという。まずは、当事者のお母さんが読む冊子をつくるそうだが、目から鱗だった。


NPO活動については、自治体、大学教授などの識者、NPOセンターなどがつくった事業の雛形や定番がある。これ、水戸黄門のご印籠と同じ匂いがして、「これだー、問題ないだろう」とやな感じだ。


そうでなく現場の匂いがして、地域性も感じられ、「こんなのどお ? なるほど !」というリズム感がいいと思ったのである。

NPO活動は、みえないところで、どんどん進化しており、時代遅れのものと、進化してるものに分かれ始めてるんですね。