地方再生戦略

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政府は11月27日「07年度地方再生モデルプロジェクト17件」を決め、11月30日「地方再生戦略」を決めました。


07年度の17件はどんなプロジェクトかは内閣官房地域活性化統合事務局のサイト にあります。来年度から始める「地方戦略書」も同じサイトにあります。


07年度の17件は来年度の新戦略の先行版だと書かれてます。そう思って17プロジェクトを見ましたが、新味がなくがっかりでした。


空き商店を活用する、アンテナショップをつくる、フォーラムを開催する、地域魅力発見セミナーとか、もうたくさんというような事業が多く、驚いたのは過疎地で橋梁補修、生活支援道路整備なんかもあり、これじゃ公共投資の減額分をこんな予算で補ってるのかと疑いたくなります。


これをつくった統合化事務局とは、都市再生、構造改革特区、地域再生、中心市街地活性化の4本部を10月に一つにまとめた組織で、新本部が早く実績を出すためにあわててやったのでこんなつまらない事業になってしまった様子です。


モデル作成に時間がなく拙速になったのは仕方ない感じもしますが、こんな過去の延長のような古びたモデルに21億円(うち国費10億円)を使うなんてあきれてしまいます。


といっても、おゃ、これはいいやというのも少しはあります。

例えば、諫早湾干拓地でソーラー発電で電気を起こし電動農業機械を使った次世代型農業の実験、鹿児島市でやる市電軌道敷の緑化整備による安らぎのある都市空間の創出です。


来年度から始める地方再生戦略(総務大臣の名前を使い増田プランと呼ぶらしい)では過去を延長するのでなく、こんな新鮮味のある事業をやって欲しいと願ってます。


来年度から始まる地方再生戦略では1事業につき5000万円程度で、総額は3年間で100億円程度のようです。


35ページの戦略書をざっと見ましたが、「予め国がメニューを示すことはやめ、民間主体を中心とする地域からの提案に柔軟に対応」とあり、これが一番大切な中心軸です。これは地方再生5原則の一番目に掲げられている「補完性の原則」で、民間とは「地域の実情に最も精通した住民、企業、NPOなど」となってます。「民間」が「地方公共団体」と連携し、実現性の高い事業に対して国が集中的に支援するとあります。


これは「社会起業」のすすめです。


ブレア政権は97年に政権についたとき、国はもはやスポンサーにはなれない(カネも知恵もない)、代わってパートナーになると宣言しました。国の相手になるパートナーとは例えば社会起業家でした。


ここまではっきりと書いてませんが、言っていることは同じです。


また「200年住宅」「地域クラスター」「暮らしの複線化」(二地域居住のこと)「緑の雇用」(農林業従事者の増加)「ソーシャル・キャピタルの充実」「新たな公」などの言葉も見えますが、この辺りにも新鮮なものを感じます。


意気込みは07年度の17件よりもよさそう、再生の基本戦略に沿い地域の社会起業家が出現できるときになったので、面白いことになるんでは。

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外国でコシヒカリを生産

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表題の番組をNHK総合テレビでやってました。


アメリカ、中国、アジアの国々でコシヒカリを生産、コストが五分の一から六分の一で品質は変らないので生産地は日本への輸出に燃えている。


秋田県大潟の大規模コメ生産地で大規模米作をやってもコストはこんなにも下がらないので競争できない、輸入米が増えて食料安全保障体制が崩れるというのが番組の主張でした。


いまさら輸入制限はできないので、国が価格差補給金を出して米作農家を保護すべきだというのが番組が訴えたかったことだと見抜きました。


ジャーナリスとしては定番の見方ですが、私はこれを見て、米作の高いコスト構造が変わるんだ、農協の高コスト流通構造が壊れ、農業機械では低コスト機械が開発され、肥料や農薬、農業資財にしても輸入品が増えると思いました。


こう考えるのが経済学の考え方です。やられるのは農家もありますが、農協、農業機械メーカー、肥料会社。。。なんです。対抗策が講じられ眠っていた農業で革新が起こり、競争力を取り戻す現象が現れますが、これが起こることです。


もう一つの感想は、食味は主観的なもので、中国人商社の社長が日本産と味が変らないといってもその通りかどうか、微妙に違っていそう、そこは消費者の選択でそう簡単に国産に代替するとは思えない、日本産でなくてはという消費者の思い込み効果もあり、外国産コシヒカリが消費者に受け入れられるのかどうかと直感しました。


今や食の安全が問題になっている時代になってますので、こうしたことはますます起こりそうです。


そう思っていたところ、こんどは12シャネルで山形の農家が5年連続コメ食味格付けで1位になっていることを放映してました。


コメのソムリエが毎年コメのうまさを格付けしてるらいしが、この農家は連続トップの評価で、新潟の魚沼の農家まで学びに来ている。


有機栽培で無農薬なのでコストは余計にかかるが、市場では4倍の値段で売れるので儲かる、4倍の価格といってもごはん一杯の価格に換算すると50円、このくらいなら家計にとっても負担にはならないとこの農家は自信満々でした。


50円とは知りませんでしたが、それならもっと価格が上がってもよさそうです。コメは安くなくてはという思いは昔のもので、他の農産物に比べ特別なものではなくなっているからです。


この農家は20年以上も前にヘリコプター農薬散布のときから疑問に感じ、それではまず農家が農薬にやられる、田んぼもいたむと思い、このときから有機栽培へ挑戦しました。


以後有機米づくりのノウハウを蓄積し栽培技術ではずっと先に行った、加えて他の農家にはないうまいコメをつくるノウハウがたくさん開発されて蓄積しているんだと想像しました。


さらに感心したのは、この農家が属している地域の産地有機米組合は地域ぐるみで高価格・高品質米の生産を始めている点で、共同で研究開発をやってるようなものです。


産地ぐるみで農協を通さず百貨店やスーパーに直接販売し、ネット販売もしてます。消費者と直接結びついてるので固定客も増えている、消費者の好みもわかっている、ここも新しいやり方です。


情報化社会になっているので農業の情報化も進んでますが、この格好の例です。有機栽培のノウハウを蓄積し、食味1位の評価をブランドにして(もっとブランド化戦略をやるべきです)、消費者を味方にしている、こうしてコメの付加価値を増した、消費財産業では当たり前のことを米作でやったから成功したのです。


こんなわけでこの農家は社会起業家だと思いました。これからこんな農家が増えてくる感じがします。

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今日発売、週刊エコノミスト12月4日特大号に私が書いた題名です。


エコノミスト誌編集部からメールが来て、団塊世代に社会起業をすすめたいのでいろんな事例を書いてくれと依頼がありました。


余生としての社会起業、これは個人が選択するライフスタイルとして人気があり増えてますが、それには関心がない、そんな記事が欲しいなら他の人を紹介すると返答しました。


それではどんなところに関心があるのかと言うので、社会を変えるビジネスモデルをつくったとか、アメリカでは団塊世代が65才になったらソーシャル・キャピタル化する提案があるが、そんなことを考えてると返しました。


その場はそれで終わり、数日たってからそれでは団塊世代が再び社会を変える話しで書いてくれというので受けました。


「社会起業」は「起業」よりも難しいので余生精神では無理で、そうではなくフルパワーでやることを提案したいと思ってます。老人は弱い存在はもう20年以上も前に死滅した概念ですので。


アメリカのソーシャル・キャピタル化の話はこのブログの05年9月23日号から以降20回書いてますので詳しくはそれを見て欲しんですが、ハーバード大学パブリック・ヘルス・スクール:ヘルス・コミュニケーション・センターが、2003年10月「 Reinventing Aging: Baby Boomers and Civic Engagement」の報告書を発表したときに打ち出したコンセプトです。


アメリカでは「2011年問題」、団塊世代第一陣が65才になる年ですが、定番の余生を送るのでなく、「起業家精神のあるボランティア主義」を社会に起こし、高齢者にも社会問題の解決に取り組んでもらうという提案です。


「65才以降どうするのか」に先進国では初めてこたえ、新コンセプトを提案している優れた研究です。アメリカはこうしたことでも先に行っている。


これは日本では2012年問題で、まだ世間では論じられてませんが、そこに一石を投じたいと思ってます。


ある会議で首長が高齢者向けバスの無料パスが財政負担になっていると嘆くので、それなら無料にするかわりに地域のために何かをやってもらったらとすすめたことがありました。


弱者なら無料でもいいが、元気なんですから代わりに働いてもらわなくてはです。


聞いた首長はなるほどという顔をしてましたが、老人の財政負担を嘆くのでなく、起業家精神ボランティア主義を地域に起こし、局面を打開しなくてはいけません。


日本中嘆いてばかりではいけません。


大前研一さんのメールマガジンに、ノルウェーは2010年度から年金受給年令を62才から67才に引き上げる改革を書いてました。ノルウェーは産油国なのでカネはある、財源不足で引き上げるのでなく労働力不足をなくすために、ずっと働いてもらうというのです。


これなんかも新しい老人観にもとずいたいい施策です。こんなことがこれから先進国では増えて行きます。


見開き2ページ、3000字の小品なので十分な論述ではありませんが、「一石」ぐらいにはなって欲しいと願ってます

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新しい人間関係をつくる

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社会起業の効用の一つがこれで、これがその人の資産になり将来を生きるのに役立つと思ってましたが、駒崎弘樹さんの「社会を変えるを仕事にする」(英治出版)を読み、駒崎さんがそうしているのを知って、社会起業は人間関係をつくるんだと改めて思いました。


そう思っていたところ五木寛之さんの最新の本「人間の関係」が出たので本屋でパラパラと立ち読みしました。人間関係をつくる新しいおこないとして何を提案してるのかを知りたかったからです。


五木さんは不安、自殺が増えてるのは、学閥、門閥、会社閥、地縁。。。の人間関係が薄れたせいで、それを取り戻さなくてはといっており、脳をつなぐ神経細胞のことをシナプスといいますが、人間をつなぐシナプスをつくれとすすめてます。


かっこのいい言い方ですが、それではどうするのかはありませんでした。言葉遊びです。


いまさら昔の縁に戻ることはできませんので、何か新しい人間関係ができるおこないをやらないことにはいざというときには役立ちませんが、そこが問題です。


「ネット進化論」の梅田望夫さんは、インターネット世界での人間関係を考えてますが、これなんかも新しい人間関係試論としては面白いアプローチです。


一度も会ったこともない人との関係をつくるというのですから大変ですが、具体的にはブログのコメントを次々に連ねるやり方を提案してます。


若い外科医が梅田さんの最新の本「ウェブ時代をゆく」を読み自分のブログに感想を書きましたが、梅田さんはそれを読み感激したことをブログに書いてます。


外科は年寄りの大御所が確立した術法が権威を持ち、若い外科医が開発した術法が権威を獲得するのが容易ではない業界です。


しかし内視鏡手術は若手が得意としているので、彼らが開発した術法が躍進中です。内視鏡はテレビ画面で行うのでその画面はネット向きでそれをインターネットで発信し、他の外科医に評価してもらったりノウハウを交換しあえば若手が開発したものでも権威を持つことができるというのです。


梅田さんはこうしたアイディアこそウェブ時代にぴったりだと誉めたのです。


これが人間関係とどうつながるのかですが、梅田さんはこの若い外科医にメールを書き会って、その先、ほんとにこういうサイトができるのかもしれない、そうなると起業ですが、こういうのがインターネット時代の人間関係です。


社会起業、ネット起業、どちらも人間関係をつくります。創造が人間関係をつくりますが、そんなことは密かに始まっている、そんな時代になってます。

消費税引き上げ問題

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前回財政審の消費税引き上げ建議を話題にしましたが、政府税調も引き上げを答申しました。財務省はよほど消費税を引き上げたいんですが、衆議院議員選挙を目前にしそんなことをやると自民党は負けるのでできないでしょう。


大前研一さんはニュースレターでこの税制議論を取り上げてますが、消費税一辺倒の議論だけでなく、外資や海外の金持ちが日本に投資するような税制にすることを提案してます。


これは新鮮な視点です。


大前さんの提案は、個人所得税の最高税率を下げる(日本は40%でイギリス、フランス、ドイツに比べて高いことはない、大前さんは日本ではこれに地方税が加わり50%をこえるといってますが)、相続税の廃止、フラットタックスを個人税に導入するです。


相続税のない国は、イタリア、カナダ、オーストラリア、スイス、スェーデン、アジアではタイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、香港とこんなにもあり、米国は02年から段階的引き下げで2010年にゼロ、英国は野党の保守党が廃止を掲げている、フランスはサルコジ大統領が選挙公約にしてこれから実現するという状況です。


フラットタックスを個人税に導入しているのは、ロシア13%(04年)、ウクライナ13%(01年)、スロバキア19%(97年)、ルーマニア16%(94年)、ラトビア25%(04年)、リストニア33%(05年)、エストニア26%(05年)と旧共産主義国家ではフラットタックスになっている。


こんなことは知りませんでしたがアメリカ経済学の影響なのでしょう。フラットタックスになると、やみ資金が出てきて申告所得が増え税収が増える利点があるからです。


消費税だけに凝り固まらずにいろんなことを考えればいいのにと思います。

税制改革

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今日、財政制度等審議会が08年度の予算編成に向けた建議(意見書)をまとめ、額賀財務相に提出した。


ここで消費税を含む抜本的な税制改革を実現させる、社会保障費などの分野で徹底した歳出削減をも求めるとしている。


西室泰三会長は記者会見で、「財政構造改革は進んでおらず、もう黙っているわけにはいかない」と消費税率の引き上げが不可欠との認識を示したそうだ。


財政再建には役立つが国民生活は悪くなる、衆議院選挙の年にこんな予算を政治家が組むとは思えない。


増税もできない、歳出カットもできない、策は窮してきた。どうするのだろうか。


知恵がないと感じるのは、増税と歳出カットの二者択一しか考えないからである。


同じ問題に直面しブレア元首相は第三の道の新しいアイディアをかかげて選挙で勝った。


具体的な政策の一つが社会起業家だったが、歳出カットの代わりに社会起業家がサービスを埋め合わせ、国家はそれを支援する政策をつくった。


そんなことをいっても社会起業家が全てのカット分を代替したのではないが、サッチャー元首相が大胆にカットしたいくぶんかを社会起業家がつくって代替できると国民が納得して賛同したからブレアは政権につくことができた。


新しいアイディアを国民は買って、これに賭けてみようと労働党に投票したのである。


日本にはこの新しいアイディアやコンセプトがなく、それに賭けてみようという気持ちを起こさせるものがない。


増税と歳出カットの前にはこうした国民がなるほどそれでやってみようかという新コンセプトが必要だ。


それは何かを創造するコンセプトで、+と-を合計して当座は-だが先に行けば+になると思うから-を受け入れる、そんなコンセプトである。


来年の衆議院選挙までそんなものが出てくるのかどうか

フローレンス駒崎弘樹さんが最近英知出版から出した本の題名です。


先週土曜日渋谷のETIC.で出版記念会があり出席しました。数十人の若い人たちが参加し賑わってました。


駒崎さんの自伝でフローレンスの事業にいたる物語が書いてあり良書です。


社会起業や事業型NPOの本は探すとずいぶんあり、できるだけ読むようにしてますが、入門編や事業化イロハの話しばかりで面白くありません。どれも退屈な本です。


その点駒崎さんの本は読みごたえがあります。やはり最近ジョン・ウッド「マイクロソフトでは出会えなかった天職 - 僕はこうして社会起業家になった、原題 Leaving Microsoft to Change the World」、アメリカで高名な社会起業ル-ム・ツゥ・リードの創業物語ですが、これは面白く感動する良書ですが、これに匹敵する内容です。


出版記念会では本の編集者である秋元麻望さんも来ており、売れるかしらと心配してました。まだ駒崎さんの本を読んでなく返答できませんでしたが、読んでみて大丈夫、社会起業を始める人はこの本から始めるぐらいの息長く売れそうな本で、将来社会起業の古典になってもいい本です。


実はこの春駒崎さんからメールがきて、本を書くのでコメントをというので添付のレジュメを見ました。最初のレジュメは未成熟なものですが、これもありふれたものでした。


そこでフローレンス創業にいたる間に直面したいろんな物語を書いたらどうかと返信しました。


駒崎さんは創業にいたる間、ぶんなぐってやりたいいやな経験や、反対に予想外の支援に出会い感動したことがあり、それを聞いていたのでそんな内容の本にするようにすすめました。


ぶんなぐってやりたいと思った話、感動した話しはこんなぐあいです。

ぶんなぐりたい話:
・区役所の担当者が、駒崎さんがマスコミに登場したことで有名になり、区への問い合わせが多く忙しくなって迷惑と怒られた話
・商店街の空き店舗で病児保育所を開設しようとしたが、区長の反対で中小企業庁の補助金を申請してくれない、区長はNPOは政治色のある左翼系の市民運動だと誤解(以前にそんな苦い経験をしていた)、そのために一刀両断された話
・厚生省の役人が訪れてきてフローレンスモデルについて聞かれたが、その後知らないうちにそれを厚生省の政策にして全国展開、フローレンス流の病児保育モデルをパクられた→これはその後全国で補助金申請をした人がノウハウがないので先に進めないと駒崎さんに相談してきて、フローレンスのコンサル事業になった


いい話:
・子育てしている女医から会費+10万円の寄付が送られてきた、聞いてみると女医は子育てのために休んでいる、女医にはこんなのが多い、フロ-レンスはそんな女医を少なくするので賛同して送金したと聞き駒崎さんは感動、女医がそうなら女性弁護士・会計士・経営者とマネジャー。。。これから女性プロフェッショナルが増えてくるのでフローレンスはの価値はますます増す
・子育てでときどき休むのでパートしか仕事がない、フローレンス会員になったおかげで正社員へ昇格できたと聞いて駒崎さんは驚いた
・フローレンスには病児を預かって欲しいという需要が多く、反対に預かれるる人が少ないという供給不足の問題がある、あるとき保育士から、子育てしている保育士は多い、また保育士は長時間労働なので若く独身でないと勤まらない、そのために資格を持ってるが仕事ができない人が多くいるのでこの人材資源をフローレンスで活用してはと提案をうけた、これを聞き駒崎さんは「子どもを癒すプロ」という新しい職業をつくると決心する

こんな具体的な話がたくさん出てきます。


駒崎さんは10才代に文学青年だったようで文章術には自信がある様子で、駒崎節には独特の臭いがありますが、それがぞんぶんに出ており、小説のような会話体、グログのように文節毎の一行空けもあって読みやすい本になってます。


彼は最後に
「ホームページをつくってインターネット上に公開すれば、あなたの志に共鳴する人たちがメールによって声を届けてくれるだろう。。。家にいながらネットバンキングで大量の寄付を振り込んでもらえる時代なのだ。なんというチャンスだろうか」
と書いてますが、ここに彼の実感を見ました。


私もそんな時代にすでになっている、日本にも社会起業の土壌はできてるんだと思ったのです

非営利で飯を食う ?

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社会起業は社会性の高い事業だったり非営利事業なので収益が少ない。そこでどうして飯を食ったらいいのかは難問題である。


もし従業員に十分に飯を食わせるようにすると事業費全体に占める管理費の割合が3割から5割にもなり、本来の事業にし支障が出てくる。


そうなると古い財団はメタボリックな体質に変り、新発の筋肉質な財団に事業で負けて衰退するが、これは企業社会と同じ。


財団間の競争とは奇妙なことであるが、資金の出し手・支援者が寄付・投資対社会貢献度をカウントするようになってきているのでこんなことになってしまう。


こうした流れの根本に金持ちがケチになり、非営利事業を支援する人びとが厳しくなってしまったためであるが、税金やもらった金を無駄に使う気風が先進国に蔓延してしまったので、その反動でこうなるのは自然な流れで健全なことである。


ただでも非営利で飯を食うのが大変なのに、一層そうなって来ている先はどうなってしまうのか。


私にも答えはわからないが、梅田望夫「ウェブ時代をゆく」にインターネットの世界にも同じ問題があると書いている。


インターネットは「パブリックでオープンでフリー」なのが本質で事業化すると非営利になる。


利用者がコストを負担しない「受益者非負担型インフラ」がインターネット事業の本質なので、事業モデルをつくるのが難しい。


グーグルは今でこそ検索エンジンの構築 → 検索連動広告 → 高収益事業となってるが、検索エンジンの開発に没頭していたときビジネスモデルを全く描けていなかった。


この流れができると最初の所を大きくするのが高収益事業のかなめになり、「世界中のネット情報を整理しつくす」、これは非営利だが、グーグルはそこへ突進すればよい。


途中で連動広告とドッキングすると収益事業になると思いついた人がおり、それを実行したのが高収益事業になったわけだが、創業者ほど名がなく個人資産も少ない。


現在のCEOシュミットはそんなことを進めた人で、フォーチュン金持ち100人ランクに入り報われてはいるが創業者に比べるとわずかなもので、なんとも不公平な話しである。


ウィキペディアはインターネットの典型的な非営利プロジェクトであり、創始者のウェールズは慈善事業だと硬く信念を守っている。グーグルのように連動広告に結びつけると高収益になるが、それではユーザーの信頼を犠牲にするかもしれないと頑固である。


広告と信頼性の犠牲の相関関係が強いとは思えないが、こういうのは個人の信念、それは宗教的なことかもしれないし、カネが入ってくると同志的な結束がなくなる心配とかいろいろ心配ごとがあり、そんなことを考えても仕方ない。


リナックスも典型的な非営利事業であるが、この開発でリーナス・トーパルズの右腕だったアンドリュー・モートンはグーグルに入り、9割はリナックスの仕事、1割がグーグルの仕事をやっているが、存在してるだけで価値があり、エンジニアの指導や相談相手になるだけの存在だと梅田さんは書いている。


実はリーナス・トーパルズも同じで、シリコンバレーの半導体開発会社に入ったが、リナックスの事業化会社レッドハットの株式をもらい(もらった理由がよくわからないが)、上場したときトーパルズは金持ちになり豪邸を建てた。リーナス・トーパルズの自伝では最後にフィンランドのおじさんがトーパルズ邸を訪ねて君は金持ちになったんだねと驚く話がでてくる。


大きな源流は下流にたくさんの支流をつくる。源流が非営利、支流が事業化した会社である。


支流がたくさんあるのでそこで飯を食えばいいんじゃないかというのが私の解釈で、梅田さんが「非営利だが飯が食える」事態とはこれを言っているのだろうと思う。


非営利で名をなし有名人になると営利企業から誘われ飯を食うのは大丈夫になるが、では、誘われなかったらどうするのか。


梅田さんは「けもの道のライフスタイル」「スモールビジネスの開業」を提案している。古い言葉でいえば、これは商店と同じような自営業の奨めである。


非営利の源流で技を磨いたので、家族を養うぐらいのことはできるというのである。


社会起業で食う話しはこんなところである

福田首相が総裁選挙のときにかかげたこの政策に注目してましたが、最近岸田国民生活担当相を呼び、消費者重視の視点ですべての政策や法令を見直し、年内に緊急対策をまとめるよう指示したそうです。


福田首相が指示した消費者主義とは
・食品偽装
・耐震偽装
・薬害肝炎問題

などの事件を受け


・品質表示の適正化や医薬品情報の開示
・輸入食品の監視
・高齢者らを狙った悪質商法の防止
などのことらしい。


政治家が考えた消費者主義とは何をさしてるのかと興味を持ってましたが、この例を見ると福田首相が考えてることは社会的な規制の強化のことです。


金融規制を緩和するとインサイダー取引などのいんちきが起こりますので証券取引監視委員会が監視を強める、規制緩和は監視強化がセットになった政策でした。


これと同じで規制の緩和は社会的な規制の強化とセットになってなかったので、遅まきながら規制強化をやることなのでしょう。


これなら新しい法律をつくらなくても現行法下でも不正をただすことはずいぶんできます。


これは役人の見ても見過ごしにする「不作為をただす」行為ですが、これだけでも大きな効果を上げることができます。


福田首相がいっている消費者主義とは役人の不作為をただす、役人倫理を取り戻すことが狙いなんだと思いました。不作為は蔓延してますので役人がしっかり働くだけで不正はかなりなくなります。


そう思っていたところ、政府関係者から「テーマが多岐にわたるうえ、生産者側からの発想に染まった官僚に案が出せるのか」「テーマを具体的に設定し、発想の転換を迫らなければ省庁側は動かない」という実現困難な声が身内から出てるようで、当事者には自己改革の難しさの予感があるようです。


岸田さんは難問を抱えてしまいましたが、どうするんでしょうか。いろんな監視機関を強化する、予算を増やす、人員を増やすことぐらいならできそうなことですが。


この問題は大前研一さんもメルマガで扱っており、
福田首相の見解は的を射ているが、「生産者第一」は「生産者のご都合第一」で、農水省にしてもかつての食糧庁にしても、業界の都合のいいように、ルール違反を黙認してきているのは間違いないことで、そもそも、業界を規制するルールそれ自体が不明確だと指摘することができると書いてます。


例えば、原産地証明などといいますが「原産地」の定義が曖昧で、「賞味期限」について明確な定義がない、この曖昧さが問題を生むといってます。


加えて消費者も「純国産は最高品質だ」「中国産は美味しくない、品質に問題がある」など、偏見だけで判断している、そうではなく消費者も判断力を身につけなくてはとか、また農協も農民を助けるという建前に固執せず、「日本の胃袋を守る」という大義名分を打ち立て、たとえ農民と競う立場になったとしても、商社のように世界各地から食料品を調達することに舵をきるべきでしょうと、ますます解決困難な方向に問題を広げてます。


私は福田首相の消費者主義を聞いたとき、小さな政府の反対側で市民社会や社会起業を促進する政策を展開すれば時代の流れに当たりだと直感しましたが、そうではありませんでした。


政治の消費者主義とはこのくらいいろんなことを想起させてくれる大きな概念です。


「規制の緩和」「小さな政府」「成長主義」などはもう手垢のついたことなので、同じことを別の切り口で「政治・行政の消費者主義」を政治の目的に掲げ議論を起こせば面白いことになるのにと思ったのです。


構造改革を別の切り口で提示することですが、同じことでもコンセプトを次々と刷新しないと国民やマスコミは飽き盛り上がらない、構造改革を続けるにはそのくらいのことをしなくてはと思ったのです。

Google.org

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梅田望夫「ウェブ時代をゆく」(ちくま新書)に

『ゲイツ財団、Google.org といった新しいタイプの財団がイノベーションを慈善の領域にもたらそうと考えるとき、オープンソースやマス・コラボレーションといった「新しい仕事の仕方」「新しい協力の仕方」がその発想の原点となるはずだ。。。「世の中を良くしたい」と思う気持ちが強い人にとって、政府や国際機関といったエスタブリッシュされた世界以外での活躍の場も、ウェブ進化とともに広がっていくに違いない』
とある。


梅田さんはウェブ進化とパラレルに社会起業のような事業も進化して行くと予感している。ウェブ上のマス・コラボレーションによる社会貢献はまだ小さな芽であるが、次ぎの10年で花開き、その周囲に新しい職業が生まれる予感である。


Google.org はグーグルが上場したときできた非営利法人で、three major growing global problems:
・climate change
・global public health
・economic development and poverty
の社会問題を解決するのが目的である。


Google.org のホームページ には「創業者の Larry Page と Sergey Brin は、グーグルの利益と働く人の時間と株式の1%( "one percent" commitments)をフィランソロピーにさき、そのことがいつの日にかグーグル自身に偉大なインパクトをもたらすことを望む」と書いてある。


世界の難問解決に、ネットでイノベーションを起こしたように同じようなイノべーションを起こすぞと自信たっぷりに宣言し、それはグーグル自身をしのぐほどのことだとグーグルのつぎの野望を告げている。


そのために投入するのはまずグーグルの株式で始めは300万株の寄付、以後20年以上続ける、つぎに90百万ドルの寄付で Google Foundationをつくり、3年で175百万ドルにする、そして人材、グーグルの全ファミリー(社員のこと)とパートナー、さらに情報技術である。


グーグルのこの新しい事業のことはあまり知られていないがグーグルも社会起業へ向かっている。


グーグルはすでにこんな寄付を行っている。

・ブルッキングス研究所、20万ドル
08年に開催されるプラグイン・ハイブリッドについての連邦政策に関する会議の支援
・アキュメンファンド、520万ドル
世界の貧困を失くすアキュメンの起業家アプローチへの支援
・セバ財団、200万ドル
インド、ネパール、チベット、バングラディシュ、エジプト、タンザニア、ガテマラでのめくらになるのを防ぎ、視力を回復するプログラムを支援


寄付額のケタが一桁多いが、グーグルの勢いならこのくらいのことができる。


マイクロソフトのゲイツ、グーグルのペイジとサージェイ、イーベイのオミディアとスコール。。。みなIT企業の創業者で個人資産は数兆円、つぎはその頭脳と資産を世界の難問解決に使うぞと乗り出した。


ITのつぎは社会起業だという決意にはすごさがある