前回フォーチュン誌の金持ち400人ランクのことを話題にし、アメリカのIT・ネットや投資ファンドで巨大な財産をつくった起業家が社会起業への投資を始めたのでパラレルに社会起業もしやすい社会になっていることを述べましたが、アメリカでコンサルタントをやっているcloudgrabbeさんからコメントをいただきました。ありがとうございました。


日本ではどうするかのコメントですがこんな内容です。
1. CSRの動きをうまく活用:
「社会起業家の育成への貢献度」、「社会起業家を通じた社会変革への貢献度」といったものを、可視化・指標化し、ランキング公表をすることで、企業からの資金の流れを促進する。

2. ノンプロフィット資本市場を形成:
social venture capitalまたはventure philanthropyと呼ばれるようなアプローチを飛躍的に進化させる。


二つの指摘ともに賛成です。私見をちょっと長く話してみます。


前者は企業の社会貢献活動を社会起業に向かわせる話だと理解しました。これには二つのパラダイムシフトが必要です。


CSRの方向を社会起業に向かわせるには、企業業績やCSRと社会起業が高い相関関係にあることを証明することが必要ですが、これに成功したのが5月11日にこのブログで書いたハーバード・ビジネスレビュー、マイケル・ポーターとマーク・クラマーの「戦略と社会」です。この論文は昨年のハーバード・ビジネスレビューに載ったベスト論文としてマッキンゼー金賞を受賞しました。


CSRは社会から強制されてやる受身の活動ではなく、企業戦略そのものに組み込んでやれという主張です。企業戦略の本丸に社会との関係を明確に描けというのです。


そこにはマイクロソフトやGE、トヨタ。。。の事例が出てきますが、先進的な大企業が優位な競争戦略を築くために、社会との相関関係を高めるよう経営戦略をデザインして成功した話が出できます。


言われてみると当たり前の定石ですが、それが今頃ハーバード大学ビジネススクールで金賞を受賞したのが時代なんでしょう。短期収益の視点だけで戦略をつくりすぎた反省からこんな当たり前のことが称賛されたのです。


この論文の翻訳がダイヤモンド・ハーバード・ビジネスレビュー10月号(9月に発売)に掲載予定と8月号に予告が出ており、出るかと期待してましたが10月号にはありませんでした。翻訳が遅れてるのかな。


この翻訳が出ると日本でも広く読まれ、当たり前のことが書かれてますので、なんだそうなのかと理解されて、日本の大企業のCSRも方向が変って来ると期待してます。ハーバード大学だというブランドも変えるには威力があります。


この論文はアメリカの大企業のCSR戦略の先端を研究して書いたもので、現象としてはアメリカにある、こういのはまもなく日本にも上陸し影響を与えます。


日本の大企業には風見鶏のところがあり、社会の風向きによって一斉に変る性質があります。CSRが社会起業に向かうととなると一斉にそうなります。


そうなったときの心配は大企業が投資する社会起業が足りない、投資先が過小になるという事態が予想されます。また社会起業を評価する手法もまだ確立されてないので、これも必要です。


と、現在とは反対のことが思い浮かびますが、そんな時代になると楽観してます。


二番目のコメントは小口の支援ですがこれも有望です。日本では大企業のCSRよりもこちらの方が有望なのでは。


2001年~2002年ごろ、地方のJCなどに呼ばれて社会起業の話しをずいぶんやりました。そのとき、なんだそれならおじいさんの時代にそんなことはやっていた、ここには今もあるなどと返してきました。


彼らは英米の新しいコンセプトを日本に昔からあった文化ですぐに理解しました。これが歴史の長い国の伝統です。


ですから日本でも小口寄付、草の根支援は社会の遺伝子の中にあるのだと確信してます。


ソーシャル・ベンチャー・キャピタルでは、LLP:東京SVPでは若い人が一人10万円を出して50人以上が参加し(現在はもっと増えているんだと想像します)、これはという社会起業に投資してます。これを横で見ていて、こんなことが成り立つんだと驚いたことがあります。社会を変えるんだという人が集まり、社会を変える会員制クラブのようなものをつくってるんですが、けっこう楽しそうです。


この人たちは金持ちではありませんが、高賃金国、資産大国ではこのぐらいのことは誰にでもできると思ったものです。


9月12日のこのブログでKivaのことを書きました。インターネットを使って社会起業への資金の出し手と受け手を自動的に結びつけるウェブ投資サイトですが、日本だってこんなサイトは可で、ビルゲイツがいなくても日本ではこんなことが成り立つ社会になってます。


この二つの他にも有望な資金ソースはあります。


まず自治体がやっているサービスの代替です。

この間NHKBS1で放映されたD.C.セントラルキッチン、ワシントン市政府から年160万ドルの仕事を受注してホームレスへ食事を供給している社会起業ですが、自治体がサービスを社会起業に任せることは、これから日本でもありそうなことです。


現在、ある政令指定都市から頼まれて2010年代の基本構想をつくる会合に出てますが、テーマの一つはその地域に社会起業をつくることです。あぁ、自治体もそうなってきたんだと時代の流れを感じました。


公共性の強いサービスは社会起業が担うのが当たり前の社会になるんだということを実感しました。


さらに金融、大手銀行、地銀、保険会社などの社会起業融資制度もできますよ。金融業はこの10年不良資産処理や短期収益を上げることばかりやってきましたが、このテーマは一段落したので次ぎの段階に進みます。


私は長い間銀行にいましたが、社会とつながりをつけるのは大好きです。自らを社会性の強い存在だと思ってるのが日本の金融業です。


この10年、マネエコノミーが入ってきて大分変りましたが、この遺伝子はまだ残ってるはずだと期待してます。


アメリカでは地域から集めたカネは一部を地域に返すルールが70年代の後半にでき、コミュニティバンクが発達しました。大手行は地域のコミュニティバンクに資金を卸売りしますが、高利のために儲かる、いやいややった金融が儲かるんですから融資額は自然に増えます。


要は世の中の資金の流れが社会起業に向かう、これが社会の雰囲気なってくる、こんな時代が訪れると思います。

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フォーチュン誌毎年恒例の金持ち400人リストが今年も発表になりました。

このリストでの興味は、社会起業にカネを出している金持ちがどうなったかですが、なんといっても次ぎの2人です。


1位、William Gates III  590億ドル、マイクロソフト
2位、Warren Buffett  520億ドル、金融、投資ファンド


ゲイツは来年よりゲイツ財団の仕事に専念しますが、この資産は社会起業に投じられる。


ウォーレン・バフェットは自分の財産をゲイツ財団へ寄付しゲイツの次ぎの事業へ投入します。合わせて1000億ドル以上が社会起業に投資されるんです。


ゲイツの資産は昨年より60億ドル増、1年でそんなにも増えてるのはすごい。財産はマイクロソフトの株式ですが、それを元手に他の株式に移し変えて運用してることもあり、ゲイツの投資作戦は成功してます。


ゲイツが個人資産をつくったのは97年~99年の3年間で、このときに年に200億ドル以上もの資産の増加があり、今の財産をつくりました


バフェットは昔から有名な投資家でしたが、現在の資産をつくったのが01年~04年にかけてやった投資で、このときは年に50億ドルぐらいの積み上げがあった、株価の値上がり巨財をつくりました。


日本でも投資会社はばっこしてますが、バフェットはそうしたトレンドのさきがけをやった投資家で、このときの勝負が成功したのです。


2人とも巨大な資産をつくったのは10年以内のことで、同じ時期に登場した社会起業に投じるのは何かの相関関係がありそうです。


この2人は巨額な個人財産を社会を変えるために投資するという「ゲイツ・バフェット・モデル」と呼べるスタイルをつくりました。昔の金持ちが自分のためだけに使ったのとくらべ、画期的なモデルです。


2人以外で社会起業に関係がありそうな金持ちは、
32位、Pierre Omidyar  89億ドルです。 Ebayの創業者でベンチャー・キャピタルをつくり社会起業に投資してます。


同じEbayの創業者にはジェフェリー・スコールがいますがランクにはない。個人資産をスコール財団に移したのでしょう。資産額はオミディアと同じぐらいなのでこれも社会起業に投じられている資産です。


これ以外にIT・ネット長者はこんなにいますが、ゲイツ・バフェット・モデル、個人資産を社会を変えることに投資する、に追随するのかどうか、ゲイツほど徹底しないが同じようなことをやるのではと思います。


4位、Lawrence Ellison  260億ドル、Oracle
5位、Sergey Brin  185億ドル、Google
5位、Larry Page  185億ドル、Google
8位、Michael Dell  172億ドル、Dell
11位、Paul Allen  168億ドル、Microsoft, investments
35位、Jeffrey Bezos  87億ドル、Amazon


金融ではKKRのロバートがサンフランシスコで財団をつくり社会起業に投じている。
57位、George Roberts  55億ドル、leveraged buyouts

KKRのクラビスもいます。
57位、Henry Kravis  55億ドル、leveraged buyouts


フォーチュン金持ちランクの上位は、ITとネットの起業家、金融(ヘッジファンド、レバリッジバイアウト)の起業家、石油成金、不動産です。


このうちIT・ネットと金融で成功した金持ちが広く社会に投じて社会を変えることを始めてる、すごい風景です。


日本にはこれがないので社会起業が進まない、真似しようにも真似ができない、別の突破口を見つけなくてはいけません。大口支援ができないなら小口支援なんでしょうか、それとも企業支援なのか、道はまだ見えませんが、自ずから形成されてくるでしょう。

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ダイヤモンド・ハーバドビジネスレビュー10月号の巻頭言でアショカのビル・ドレイトンが「社会起業家の時代」のコラムを書いてます。


日本でも社会起業家の時代になってきたと日本の編集者が認識し、わざわざドレイトンに登場してもらったのでしょう。


ドレイトンはこんなことを語ってます。
・私は社会起業家の父と言われてるが、80年ごろ環境保護局(EPA)の幹部だったとき、時代の変わり目になってきたことを感じ、退職してアショカをつくった。
・当初は成功する社会起業モデルやアショカフェローになる社会起業家を探すのが大変だった。
・グラミン銀行のムハメド・ユヌスはアショカの初期の段階から支援してきたが、ノーベル平和賞を受賞するほど世界から認知された。ユヌスは典型的な社会起業家である。
・日本でも社会起業家が出てきたので日本法人をつくろうと思っている。東京は物価が高いので作らない方がよいという反対意見が内部にあるが、年内につくる予定、中東でもアショカは成功してるので日本だって成功できる。


80年ごろドレイトンが感じた時代の変わり目は、レーガンとサッチャーが小さな政府、規制の緩和を大胆に進めることがはっきりしたが、代わって公共サービス、社会性の強いサービスを担うのはそのときあった「古い民」でなく、起業家が社会問題を解決するサービスを創造するという「新しい民」の出現を予感したからだろうと想像しました。


ドレイトンが環境保護局を去ったのは、レーガンが大統領になり肥大化していた環境保護局がリストラされたことが直接の理由ですが、その前にマッキンゼーにいて州政府からの委託で公共サービスの再構築をデザインする仕事をやっていたとき、再構築でなく新たに創造する必然性を感じていたからでしょう。マッキンゼーに入る前は、インドなどの途上国を放浪し、実態をよく知っていたことも直感が働くのに役立ったのだろ思います。


ドレイトンが直感した起業家が社会性の強いサービスを創造するというアイディアは、時代の流れよりもはるかに早い直感でしたが、彼から見ると苦労してそこに到達したのではなく、自然にそこに到ったという感じだったと思います。


ドレイトンの直感は当たりでした。今ではその思想は世界中に蔓延をはじめ日本でも広がってきました。


日本では社会起業のコンセプト遊びの時代が終わり、いよいよ成果を見せる時代になってきました。なるほどそれはすばらしいという成果が出るのかどうか、それが出てくると期待してるんですがどうでしょうか

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前回、インドのモバイル・メディカルのことを書き、準備不足を指摘しましたが、しっかり準備して成功したビジネスモデルのことを話します。


途上国では医療のような社会性の強いサービスは国家がつくるのでなく社会起業がつくる、例えばインドでは経済成長で所得が上がり、医療需要が伸びており、それを国がやる医療サービスで待っていては時間がかかりすぎます。そこに医療の社会起業が成長するわけがあります。


中国、インド、ブラジルにも同じ問題があり、医療は国家が担う常識をこえて社会起業が国家が出てくる前にやってしまうんだろうと思ってます。


インドではアメリカ人のデイビッド・グリーンがやって成功した白内障治療病院が有名で、彼はこの功績でアショカフェローになりました。


アショカ自慢のビジネスモデルです。


まずアメリカで特許にひっかからない価格の安い白内障用のレンズを開発しインドで生産、次にこのレンズを使って白内障病院を開設し、患者のうち金持ちの三分の一からはよぶんに料金をもらい、これを貧しい患者にまわして料金をタダにします。


レンズ生産で現地の雇用が増えて、白内障が治り見えるようになるので働きに出ることができるというわけです。


この安いレンズは90カ国へ輸出され世界中に普及を始めました。つれて白内障診療病院も世界へ広がってます。


グリーンのビジネスモデル設計は、レンズの生産を先行して事業を確かなものにして、それから病院を経営しました。巧みな設計です。


インドにはこんな成功例があるので、モバイル・メディカルだって素質は有望です。


前々回書いたKivaの創業者マット・フラナリーの事業にも十分な準備がありました。


Kivaはインターネットサイトでマイクロファイナンスのカネの出し手をアメリカで募り、それを途上国にあるマイクロファイナンス機関へファイナンスして現地の起業家へ再ファイナンスするモデルですが、フラナリーがこのモデルをつくったのにはこんな事情がありました。


彼は30才と若いITプログラマーですが、奥さんがアフリカへの援助プログラムにかかわっていたので一緒にアフリカへ行った経験がありました。そこで現地のマイクロファイナンスの実情を見て、アメリカの資金の出し手をインターネットでつなげるアイディアを思いつき、誰に話しても理解してくれないので仕方なく自宅で奥さんと2人で1年以上をかけてプログラムを書きサイトをつくり、これを人に見せて賛同者を募り事業を始めました。


この1年が準備期間です。


インターネットを熟知しており、マイクロファイナンスの現地事情も体験して知っていた、しかも子どものときから毎日新奇なアイディアを一つ出すことをノルマに課すほどのアイディアマンで、それが1年もかけて事業の実験をやっていたのです。


起業に比べて社会起業は一層難しい、そこで机上のビジネスモデルの実験することが必要です。この間運がよければ支援者が現れ事業スタート時に一緒にできることができます。


Kivaの場合支援者はeBayやマイクロソフト、ユーチュブ。。。などのブランドのあるIT企業です。皆、そのソフトウェアは面白い、世界を変える力があると認めてはせ参じたのですが、こんなことがあると成功間違いなしです。


社会起業が成功するにはこの辺りのことが大切です。

モバイル・メディカル(1)

テーマ:

15日のNHK衛星第一チャネルで放映された世界の社会起業家シリーズの2回目を見ました。インドの農村でやっている移動診療所「モバイル・メディカル」の話しでしたが、インドでは国家が医療サービスを整える前に社会起業家がやってしまうんではないかと思っており、その始まりの姿を見たかったからです。


ニューデリー近くの衛星都市の理工大学を出た青年がこの事業をデザインし、この春から始めた社会起業の行方を追ったドギュメントです。社会起業のアーリーステイジの半年が描かれており、途上国でのアーリーステイジがどんなものかわかりました。


インドでは病院の8割は都会にあり、患者の8割りは農村に住んでいる、農民は通常一日かけて都市の病院へ行き診察してもらいますが、患者が動くのでなく医師と看護婦と薬剤師が自動車に乗って農村に出かけ、患者のいるところで診療するビジネスモデルでした。


この青年は大学卒業後会社に勤めるのではなく起業家になる決心をし、大学の友達5人と前記のビジネスモデルをつくり、サンフランシスコであった世界ソーシャル・ベンチャーコンペに出て最優秀賞を受賞し、2万数千ドルをもらいました。審査員は、このモデルにはマイクロクレジットのように世界中に広がりそうな大望だけでなく、患者から料金を取るので持続性もあると評価し、それで最優秀賞にになりました。


受賞で、彼はこのモデルは世界初めてだと自負しインド中に広げるぞと自信を持ち、賞金を元手に事業を始めましたが、やってみると予想とは違いました。損益分岐点は一日15人の患者が来ることでしたが、実際には3~4人しか来ず、毎月赤字です。半年近く赤字が続き、賞金の2万ドルはあと一月でなくなります。


村の有力者に相談すると、料金は問題ではない、この村の人はそのくらいは払える、しかも都市に出かけるバス代を考えると割安なので料金のせいで来ないのでないといいます。


料金が問題でないのは意外な返事でした。日本では医療費は保険で払うのが常識で、100%自己負担の診察料なんて考えられませんが、診察料は数百円と安いうえ、この村は大都市の近くにあるので子どもが都市に働きに出ており、農家には農外所得があるので払えます。


診療所の近くの村民に聞いてみると、そんなサービスがこの村で行われていることをほとんどの人は知らない、人口が数千人の村なので知ってれば来るだろうという返事でした。


告知不足、住民が知らないことが患者が来ない理由でした。マーケティングなしで事業をやるなんて信じられないぐらいに抜けた話しで気楽なものです。


そこでビジネスプランを一緒につくった仲間と再び相談し、当座は診察料は無料にして医薬品代だけもらうことにしてみたら、一日百数十人が来るようになりました。これでまず認知を広げる作戦ですが、さてその先どう料金を取るのか、取らないと黒字になりませんが、番組はここで終わりでわかりません。


ビジネスコンテストの審査員は持続性ありと見抜きましたが間違いでした。外見上はありそうに見えてもマーケティングがないのでだめでした。審査のときマーケティング戦術を聞けばよかったんですが、そんなことをやらなかったのでしょう、ここもあきれた点です。ソーシャル・ベンチャー・コンペなどまだこの程度のことなのです。


モバイル・メディカルには事業を始める前の実験、机上のプランがほんとに動くのか、見落としてるものが何なのかを探る実験ですが、これが欠けてました。


モバイル・メディカルでは、村を三グループに分けて一グループ三村ぐらいですがここを1日かけて回り、三日に一度回ってくる診療所でした。


その前に実験をする一村を選び、そこで試しにやってみればよかったのです。そうすれば告知不足に気づいたはずです。これをやっていれば2万ドルを浪費することもなかった。


机上の事業が動くのかどうか、社会起業が成功するにはこの実験が不可欠ですが、次回にそれに成功した事例の話をします

社会起業家への批判

テーマ:

この夏、テレビや雑誌で社会起業家のことがずいぶん取り上げられ、社会起業家ブームになってきたことを感じたが、いくつかと付き合い社会起業家への批判をジャーナリストが持っていることを知った。


彼ら、彼女らは鋭敏な感覚で社会起業を取材したのだが、言われてるわりには「社会を変えたのが見えない」と感じ、これが批判の中身になっている。


実効性が疑われているのである。


そう言われると私も返す言葉がない。始まったばかりで実効性が見えるのはこれからですよといっても、はぁ、そうですかで終わってしまう。


日本で社会起業家コンセプトが広がったのは2000年代に入ってからで、今は事業がやっと始まったばかりで、社会を変えるところまで行ってないのは仕方ない。このまま進めば2010年代になり社会を変える成果が見えるようになると思っても、それは主観で他の人に押し付けることはできない。


しかし見えるところまでインパクトがないのは、始まりだからだけではなく、そうなっている理由があり、それが日本の社会起業の欠点だが、その点の私見を話してみたい。


第一は事業の最初のデザインに「社会を変える大望、ソーシャル・インパクト」が十分に計算されて入ってないことである。


事業は最初は小さく始まり、時間をかけて大きくなるとインパクトも自然に大きくなると考えるのが普通だが、英米の社会起業では最初からインパクトを大きくしようという野心がある。


事業スターと同時にインパクトも大きく設計するなどおおそれたことだが、これがない。


第二は蛸壺型、地域限定思考、マイペース・ストレス嫌いの精神である。


社会起業が登場する前にコミュニティビジネス、事業型NPOがあった。これは地域に限定してその範囲内で事業をやるので、ソーシャル・インパクト思考など論外である。


収益主義では収益を上げるノルマがありこれがストレスとなって背中を押し、収益目標が実現される。市場経済のエンジンとは人が感じるこのストレスで無理をしてでも前に進める気概が成果を上げる。


社会起業ではこの感覚が少なくマイペースである。社会起業が好かれるのは実はこの点にあるが、ストレスがなければ物事は進まない。


私はこのマイペース・ストレス嫌いに何度も遭遇した。そのつど、あなた、問題の解決を待ってる人がいるんですよ、事業のスピードを上げて問題を解決してあげたらどうですか、と答えることにしている。言うとたいていの場合黙殺されるのだが。


「よけいなことだが他人の問題を解決してあげる精神」が欠けており、それに優先してマイペース主義があるのがソーシャル・インパクトを見えなくしているわけである。


第三に日本にはまだ社会起業を育てようというインフラがない。


社会のインフラができるには長い時間がかかる。英米で社会起業が出てきたのは80年代のことで、それからもう20年がたつ。そんなわけで日本よりこのインフラがあるが、それが日本にはまだない。


例えば、社会起業に対して資金提供するサービスがあるが、こういう所は社会起業を評価し、点数の高い所へ援助する。格付会社が企業に評価ランクをつけて、これが資金調達を容易にするのに似ている。


社会起業の熟度が増して行くほと、インフラも整い社会起業が起こしやすくなり、社会起業と社会の間に好循環が起こるが、日本はまだそうではない。


こうした点ではアメリカの方がずっと先に行っており、10年ぐらいのタイムラッグがある感じだが、日本だって2010年代には整ってくると楽観してる。


ソーシャル・インパクトが見えない理由はこんなことがあるためだと思うが、最後に金太郎問題を話してみたい。


これは他のところと同じことをやりたくない気持ちにことである。


社会起業は地域性濃厚だという信仰がある。信仰があるから地域に限定してしまいその場所の独自性を出そうとするあまり、インパクトを少なくしてるのではと思っている。


ある会合で自治体の長期計画が似てることが話題になり、それではだめでもっと地域性を入れなくてはという批判が出された。


似てしまうのは中央官庁がつくった政策をそのまま採用したり、自治体の計画はシンクタンクに注文してつくることが多いが、ここがあっちの計画をこっちの計画にもってきて手抜きで仕事をするからだという解説が定番である。


このときの会合でもそんな意見が出た。相変わらず面白くない話しだなと思っていたところ、ある首長が、それは住民が望むものが同じだからですよとぽつんと言った。


私は、なるほどそうだと首長の発言に感心したが、こっちの問題解決策はあっちでも役立つ、これがソーシャル・インパクトだと思ったのである。


社会起業のソーシャル・インパクトとは、金太郎飴をつくるのがインパクトなんでは。


この夏、こんなことをずっと考えていたのである。

Kiva

テーマ:

前回書いた「ザ・ビッグイシュー」の社会起業家特集で慶応大学総合政策専任講師井上英之さんが、「ゲーム感覚、オシャレ、カッコよさ。。。ミッションの素晴らしさだけではないアメリカの社会的企業」でサンフランシスコにあるKivaについて語ってます。サイトはここ


井上さんが今最も注目してる社会起業だそうですが、なるほど斬新なビジネスモデルでアメリカの社会起業はここまで進化したのかと驚きました。


Kivaはインターネットを使ったマイクロクレジットで、こんな仕組みになってます。
1,ビジネスを選ぶ
アメリカの貸し手はKivaのサイトで途上国の事業プラン(世界中のフィールドパートナー、途上国でマイクロファイナンスをやっている機関のことですが、ここが厳選してサイトにアップロードした事業プラン)を選び、クレジットカードで貸し金を振り込む
2,貸付
Kivaは世界中のフィールドパートナーへファンディングし、ここからそれぞれの借り手に貸し出す、期間半年から1年の短期貸付
3,事業記録と返済金を受ける
パートナーは返済金を集め、ビジネス記録をつけてKivaへ返す
4、回収と再貸付
ファンドは貸し手に返して、貸し手が回収するか再ローンされる


地球規模でカネと情報が動きますが、インターネットでなくてはできないことです。


サイトには日々、どのくらいの資金が貸し付けられているのか出てますが、今日現在1100万ドル、11万人の貸し手と書かれてます。一人平均100ドル(25ドル以上が原則になってるようですが)ですが、このくらいなら金持ちでなくても誰でも寄付感覚で出せます。


カネの出してを検索して見ますと、若い人もけっこういるのは少額でもいいから気楽に出せるからでしょう。


借り手は商店、農業、食品製造、繊維、雑貨、手工芸品。。。などの開業資金にしますが、必要なカネは数百ドルから千ドルぐらい、数人の貸し手が集まるまで貸し手を探します。


Kivaの事業が成功するには
1,貸し手と借り手をインターネット上で結びつけるインターネットソフト開発
2,貸し手を増やすマーケティング
3、世界中にちらばってる確かな借り手探し
が必要です。


1,と2,はシリコンバレーにある一流IT企業が協力し、3、は途上国のマイクロクレジット機関をパートナーにしてやってます。


一流IT企業とマイクロクレジット機関がKivaを介して結びつき、コミュニティを形成したのがKivaがやった創造です。ITビジネスとマイクロクレジットがミスマッチしてるのが斬新で人びとを引き付けます。


また協力企業との関係がすばらしくよく出来てますが、こんなぐあいです。
・Paypal
ebayのインターネット決済部門、オフィシャルパートナー、IT技術(借り手への送金システムと資金決済のセキュリティシステムを無料提供)と人材を提供(転職とボランティア活動)

・YouTube
タダのバナー広告、貸しての増加に貢献

・Google
寄付、グーグルアドワード広告の無料提供、貸し手を増やすのに役立つ

・Yahoo
ヤフー・サーチ・マーケティング・キーワードの無料提供、貸し手をふやすのに貢献、人材提供

・Microsoft
マイクロソフトの研究機関が途上国のフィールドパートナーのコンピュタシステムを開発

・Myspace
06年マイスペースのインパクト賞にノミネートされ、貸し手を増やす活動を一緒にやっている

・Starbucks
サンフランシスコ地区のスターバックスの店のコミュニティパートナーとなり(顧客を固定化するためにそんな制度があるらしい)、店で顧客とイベントをやり貸し手を増やすのに貢献


協力企業は今勢いのあるブランド企業ばかりで、そんなところが協力してるのかと驚きますが、IT技術を提供してもらい、また貸し手を増やすマーケティング、ネットマーケティングですが、で企業が協力している、この関係は企業から見ると無理なく軽くできる関係で、この軽さがクールです。


IT企業で働く人の感性とこうした事業との相性がいいので、こんな協力関係が築けるのだ、社会起業はITビジネスと親族だという感じが強くしました。IT産業がまずあり、その先に勢いのよい社会起業があるという前後の関係になってます。



こんなビジネスモデルを思いついたのが創業者でCEOのMatt Flannery(写真で黄色のTシャツを着てる人)です。


彼はスタンフォード大学でシンボリック・システムで学位、アナリカル・フィロソフィーで修士(こんな学科があるとは知りませんでした)をとり、Tivoでコンピュータプログラマーとして働いていたとき、アフリカのマイクロクレジット機関を訪問したことがありましたが、このときKivaのアイディアを思いつきました。


その後働きながらサイドプロジェクトとして04年末にモデル開発を始め、05年12月に退職してKivaをスタートしました。


06年のスコール財団(eBay創業者のスコールが作った財団)のソーシャル・エッジ・ウェブサイトでグローバル・ソーシャル・ベネフィット・インキュベーターをつくった起業家として掲載されましたが、スコールと出会ったのも幸運でした。


KivaのサイトにはeBayの臭いが強くしますが、そこから寄付、技術や人材の提供をたくさん受けてるからでしょう。


Kivaの事業を拡大してるのがプレジデントのPremal Shah(ユヌスと並んでいる人、インドとかバングラディシュ系の人のようです)ですが、Paypal(eBayの決済部門)のプロダクトマネジャーをやり、Kivaに転職しました。


彼はスタンフォード大学経済学部卒後コンサル会社で働き、マイクロファイナンスの研究でスタンフォード大学から賞を受賞したことがあるぐらいの専門家ですが、彼はフィールド・パートナーの仕組みを拡大して、資金の受け手の規模を拡大しました。


Matt Flanneryがコンピュタシステムをつくり資金の出し手を増やす方策をつくり、Premal Shahが世界各地のマイクロクレジット機関と提携して借り手をつくった分業になってますが、強力な組み合わせです。


ホームページには経営陣とマネジャーのページがありますが、それを見ると
・若い→ITビジネス
・起業家歴がある→社会起業
・経済学、国際経済学を学んだあと途上国でNGO経験がある→現地を熟知してる
・マイクロファイナンスの専門家集団→現地パートナーのネットワーク作り
・ITの専門家は少ない→協力企業に一流のIT企業があるのでいらない
・女性が半分近くいる→女性の感性にぴったりの事業
・地球規模へ拡大する大望を持つ
の特色がありました。


若いがプロの集団で、グーグルが出てきたときもこんな感じの人材によって事業が開発されたんだろうなと思いました。グーグルのつぎはKivaのような事業が躍進する時代になってるんではという感じがします。


「少額だが利息のない貸付」、「返済のある寄付」、これは非常識なことですが、昔はこんなことは普通にありました。だから人びとの関心が向くのは自然なことだと納得しました

ザ・ビッグ・イシュー

テーマ:

9月1日に発売になった78号では創刊4周年特集にイギリスの社会起業家が載ってます。イギリスの情報は少ないので貴重な情報で考える材料になり助かりました。


ちょっと長い読後感です。


特別インタビューはロック歌手U2のボノ、7年間アフリカの貧困撲滅のために闘ってますが、先進国のアフリカ債務帳消しのために、アメリカ合衆国の全ての下院議員に会い説得したそうですが、そこまでやったとは尋常なことではなく、ボノの並みでない決意が見えます。


ボノは自分には二つの顔があるといい、歌手の顔は理性のかけらもなくなりふりかまわない状態、もう一つが分析的な側面でこの顔がアフリカ問題に向かわせる。


フランス大統領官邸やドイツ首相官邸を出たとき、一体こんなところで何をやってるんだ、僕本来のビジネスではないと悩み、自分のスピーチに耳をふさぎたくなることもある、以前のようにただ歌っていられたらと思うこともよくあるといいます。


二つの顔を両立させるのは大変ですが、アフリカで命のはかなさと生き延びる意思の驚くべき強さを知りやめることができません。


来年7月の北海道サミットは地球温暖化と食の安全がテーマになりそうですが、これではボノは不満、どんなメッセージを発するのでしょうか、見るのが楽しみです。


本文では今年3月にあったオックスフォード大セッド・ビジネススクールであった2007年社会起業家世界フォーラムの様子を伝えてますが、700人が参加し、熱気と興奮に満ちていたそうです。


ここでチャールズ・ハンディ(イギリスの経営コンサルタント、イギリスのドラッカーといわれる、90年代の半ばに社会起業家の有用性を見抜き、福祉国家に代わるものとして世論に訴えこれから社会起業家で行こうと提起した、私もハンディの本で社会起業家のことを知り98年ごろから研究を始めました)は「起業家たちはもう気づいている、政府は何もできない、いや政府には何もかもはもうできない」と話し、拍手に包まれた。


政府に代わり起業家が公共サービスをになうのがハンディの描く社会です。


基調講演は、ヨルダンのラニア王妃、グラミン銀行のムハマド・ユヌス、ロックバンド・ジェネシスのピーター・ガブリエル、グーグルの社会貢献部門トップのラリー・ブリリアント、ジェフェリー・スコール(ebayの2人の創業者の一人、このフォーラムのスポンサー)、日本とはずいぶんちがいます。


新しい社会について語るとき古いブランドで選んでいないのがすばらしい、このあたりは日本が学ぶべきことです。


スコールは「私たちは今変化の節目におり、組織への信頼から人への信頼へ、政府への信頼から起業家への信頼への変化です」と挨拶しましたが、イギリスでも政府は嫌われてるのは日本と同じ、人・起業家の時代とはまともです。


イギリス政府の06年11月の調査では社会起業家は55,000人、この数字は初めて見ましたが意外に少ないなという感じです。


シュワブ財団(スイスにある財団で世界経済フォーラムをやったり、社会起業家を見つけて表彰してる)へオックスフォート大、ケンブリッジ大、ハーバード大、スタンフォード大のMBAから履歴書が殺到しているそうで、社会起業は一流大学生の出口になってるのは、なるほどそういう社会になってきたんだと思いました。このあたりも日本の変化の先行指標です。


イギリスのビッグイシューは社会起業家と提携し「ビッグ・インベスト」を設立し、企業を買収して社会起業に再生する仕組みをつくったそうです。


アメリカが買収して眠っている資産を再稼動させ高収益にして株価を高くするなら、イギリスは社会性を復活させ消費者をつかまえるです。収益が増えれば株価は上がりますが、社会性を復活させて固定顧客を増やせば株価が上がる関係もありそうです。


社会起業に再生させるアイディアは日本でも応用できるので、金融機関はこれにチャレンジしたらいいのにと思います。


この特集にはアショカ英国代表が推薦したTHE Hubが1ページで出てました。サイトはここ 、写真はハブのレンタルオフィス、日本と同じような座椅子のオフィスもあるのが面白い。


大学院生ジョナサン・ロビンソンが創業した事業ですがHPにはこうあります。


「ザ・ハブはソーシャル・イノベーションのインキュベータである。世界の主要都市でソーシャル・イノベーターが、働き、会い、学び、結びつき、プログレッシブなアイディアを放つのにインスピレーションが湧くような居場所をメンバーシップで提供する。


ハブは事を成す場所である。全ての道具や装飾(オフィス環境のこと)は、アイディアを耕し、プロジェクトを打ち出し、ミーティングをホストし、ビジネスに走るに必要な所である。あなたはロンドン、ブリストル、サンパウロで私たちを見つける。あなたは招かれている」


1時間、1日、1ヶ月単位で貸してますが、小型ビジネスパークでないと主張してます。






ロビンソンはこう言ってます。
「有益で財政的にもうまくいくようなアイディアが次々に出てきている、チャリティモデルで問題に対処する時代はとっくに過ぎた」
「大企業は世の中のために役立とうとしているわけではないという感覚がみんなにある」
「成長する社会起業を創り出すことは可能だということを証明したい」
「ハブには同じ志を持った人が集まっている、このネットワークづくりに時間をかける」
「社会という要素が彼(テナント)らの原動力で決意の源でもある、最強のアイディアや発明は人びとがコラボレートして分ち合う中から生まれる」
「25年後には社会起業でなければ成功する可能性がずっと少なくなるでしょう。従来の企業に残された時間はわずかだと思います」


ハブは、ハブ$スポークのハブで、社会起業のハブはレンタルオフィスから始まると思いついたのが発見です。入居者を結びつけるのがロビンソンのメインの仕事で、ホームページにはハブはプロデュース業だと書いたあります。


このビジネスモデル、日本でも成り立つ、この10年以上の間、イベントブームでプロデュース業をやった人は多い、人を結びつけるノウハウも蓄積したので、ハブモデルは成功す土壌があると思いました。


谷本寛治一橋大学教授もコラムで登場してます。
「(社会起業は)日本社会に根づいてるとはいえない」
「収益性と社会性の両方の保持に苦しんでいる」
「日本では資金調達は容易でない」
「もっと政府はしっかりしてくれよとお上意識を持つ人が多い(ので社会起業家を育てない)」
「社会起業活動を受け止めるだけの成熟度が社会にまだない」
「10年後になっても右肩上がりで増えてる可能性は少ない」


谷本先生のことをよく知ってますが、コメントはなんだか暗い。指摘はどれもその通りですが、日本社会で進んでいる変化率は大きく社会起業家が活躍する社会になって行くと確信してます。


この雑誌には慶応大の井上英之さんがKiva(サンフランシスコ)について語ってますが、これがびっくりするほどすばらしいビジネスモデルなので次回にそれを論じます。

アイディアがあっても部屋にこもっていてはだめ、似たものが出会い触発しあいながらアイディアを磨くのが狙いです。

ネットカフェ難民対策

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厚労省は08年度にネットカフェ難民への支援策予算1億7000万円を計上したそうです。


具体策は
・NPOへ委託して、賃貸住宅への入居する資金を積み立てるための金銭管理術を教える
・ハローワークと連携して住み込みで働ける就職先を紹介する
・支援情報を提供するホームページを開設、メールや電話で相談できるようにする
そうです。


これでは迫力不足で、難民対策にならないのでは。


厚労省の調査では
・ネットカフェ難民数は5400人
・失業者は1300人
・建設現場の日雇い労働やアルバイトなどの短期直接雇用が1200人
・短期派遣の日雇いのパート労働者が600人
・年齢は20代が26.5%、50代が23.1%、30代が19.0%
・4割が路上生活を経験


家がないのは「仕事を辞めて家賃が払えない」「仕事を辞めて寮や住み込み先を出た」からです。


数はもっと多いというのが世間の見方でこの数倍はいると読み替えればいいんですが、マスコミで騒いでるわりには少ない数で意外です。この数ならなんとかなりそうです。


路上生活の長い人は世捨て人になってますが、この層はまだ働く意欲があり住むところを世話して、食事やいろんな届出や医療サービスなどの支援サービスを提供して、仕事を教えると、見込みのある人たちです。


アメリカではホームレスにまず住むところを世話して当座いろんなサービスを提供し、次に継続して働くすべを仕込む事業は社会起業の定番です。


有名なのは、ニューヨークにあるグランドコモ、ここは荒廃したホテルを改装してホテルに復活し住居を与え、ホテルの仕事をトレーニングして被雇用力をつけます。


ワシントンDCには、ホームレスを料理人に鍛えるなるキッチンがあり、有名な社会起業になってます。


前回書いた横浜寿町で横浜ホステルビレッジではNHKTVの画面で、病気のために仕事がなくなりドヤ街の住人になった40才代の男性が、ホステルの掃除を仕事にしてる画面が出てきました。グランドコモに似てる話しです。


このくらいのメニューがないと対策とはいえません。


横浜ホステルビレッジをやっている谷津倉智子さんから昨日メールがきて、簡易宿泊所のオーナーから空き室を使って欲しいという申し出がいくつか続き、空き室の所有者がホステルにする有効性がわかり、谷津倉さん頼みますとなってきたんですが、今年度中にホステルの使える部屋は100室をこえるそうです。


谷津倉さんはドヤ街の人々を支援するNPOにも関係しており、食堂もあります。あとは被雇用力をつける教育プログラムがあれば万端整います。


こんなわけで厚労省は、谷津倉さんへ頼べばいい。世間ではいい社会起業が始まってるのに、それを見ないで政策をつくるなんて、これではいけません

9月3日、4日、NHKTV教育チャネルの福祉の時間に社会起業家の活躍が紹介されてました。


一日目は横浜寿町でYokohama Hostel Villageをやっている谷津倉智子さん、二日目は田辺大さんでしたが、盲ろう者が働く場所を創造してオフィス訪問マッサージを事業化する話でした。


両者からは事業をはじめる前に事業プランを聞いたことがありましたが、谷津倉さんは2年、田辺さんは1年の業歴ですが事業化できるという自信が湧いてきた段階の話で、ここまでくるときっと成功するんだろうと思いました。


この番組のコメンテーターは二日連続で服部篤子さんでしたが、前にNHKに出たときに比べて落ち着いた感じで、よいコメントを発しており感心しました。


NHKBS1では、
9月8日(土)PM10:10、アフリカのマイクロクレジット
9月15日(土)同上、インドの貧困層向け医療事業
9月22日(土)同上、ワシントンDCのホームレスを再教育して料理人にするキッチンが放送されるようです。


雑誌ではニューズ・ウィークが世界の社会起業家100人を特集し、このブログでも8月27日に取り上げましたが経済セミナー9月号が社会起業家を特集し、日経トレンディ10月号9月4日発売には、トレンド探索で『「社会起業家」は社会の弱者を救えるか』が載ってます。


ここにはETIC.の宮城さん、CACの服部篤子さんなどたくさんの写真が大きく載っており、それぞれの事業の紹介をし若い人たちが社会起業を目ざしてる姿を伝えてます。


若い人が社会起業をめざす動きが大きくなってきたが、実際に社会を変えるところまできていない、その成果がまだ見えない、事業が成長してインパクトを社会に与えるのか、それとも一過性のトレンドで終わってしまうのか正念場というトーンの記事ですが、その通りです。


日経購読者向けのニュース新聞日経マガジン9月2日号にも社会起業家特集があるようです。読んでませんが読んだ人の感想はよく書けているそうです。


ビッグイッシュー最新号にも社会起業家の特集が載っており、ウェブの目次をみるとイギリスの社会起業家事情がたくさん載っているようで、日本ではイギリス情報が少ないのでそれを知るにはいい教科書になりそうな内容です。


またついこの間、宝島の編集部から電話があり、社会起業家を記事にするので電話インタビューをというので付き合いました。


こんな具合にこの夏、社会起業家は突然メディアで露出をはじめました。歓迎すべき傾向です。


こうした企画で映像にしたり記事のするジャーナリストは社会起業家コンセプトにはじめて出会うのですが、戸惑いを持っているのを感じました。


起業 = 収益・株価が固定観念で、社会起業はそこから外れているからです。一度脳に染みこんだ観念はなかなか刷新されないのです。


相手をしている私の方がイライラすることはしょちゅうありますが、わかりずらいコンセプトなので仕方のないことです。


日本の社会起業は、事業のデザインの段階で「社会を変えるんだという大望」と「事業拡大のスピードを上げる」ことが足りません。ソーシャル・インパクトが広がり誰にでも見えるようになっていると実物を見て理解できますが、そうなっていないのは欠点です。


でも、現在は日本社会で社会起業家が一人前になるための一里塚にあり、ソーシャル・インパクトが見えるようになるのはこれからだと楽観的に考えてます。


ジャーナリストの怪訝な目を感じますが、新コンセプトが広がるときの普通に起こる現象で、目にとまるようになってきただけでもいいことだ思うのです。