民間投資が貧困をなくす

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前回書いたグラミンフォン物語「グラミンフォンという奇跡」の書き出しにこんな話があった。


02年のはじめにメキシコのモンテレーであったブレトン・ウッズ機関(IMF、世銀、国連)が主催した開発資金国際会議に、グラミンフォンのビジネスプランをつくったイクバル・カディーアと著者が招かれた。


こうした機関は民間人を軽視していたが、途上国への民間投資が成長のきっかけとなり貧困を減らす例が出てきたので、試しに民間人を招いてみようと考え始めたからだと書いている。


公的な国際機関も援助でなく民間投資が必要だと考えはじめたのは02年ころからである。


途上国開発に民間事業による経済開発モデルが有効だという説は、C.K.プラハラード「ネクスト・マーケット」などで提唱され、アショカ財団、オミデイア・ネットワーク、スコール財団などの社会起業家支援が進み成果を上げたり、多国籍企業と現地の非営利事業とのジョイントベンチャーもできはじめていたからである。


現在では公的機関の援助でなく民間の投資の方が貧困を撲滅するには効率的という説は定説になりつつあるが、こうした考え方は日本ではあまり広がっておらず、日本企業の投資もまだ少なく、社会起業家を支援する非営利活動も少ない。


前出の本には民間投資を進めてるアメリカの起業家が「バングラディシュではあらゆるものが援助で作られている。ホテル、ゴルフコース、豪華のクラブのプールまでもが、日本からの援助で建設されている。援助を受け取る政府が購買力の大部分を支配し、政府との距離の長さに比例して貧しくなっていく」と書いている話を紹介している。


日本が遅れてることを批判しバカにしている記事であるが、日本への認識はこんなもので困ったことである。ここでも日本は世界のトレンドから遅れてしまっている。どうしたものだろうか

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数回前に書いた「グラミンフォン」の本を読みましたが、社会起業家イクバル・カディーアの成功物語でした。ユヌスに負けないぐらいの社会起業家です。


彼は勉強のできる子供でしたが(全国統一テストで満点を取るぐらいのでき)、バングラディシュを嫌い奨学金をさがしアメリカの高校に留学、大学でエンジニアリングを学び、ペンシルバニア大学ウォートン・スクールの博士課程終了後世銀に入ります。


ここで2年間働きましたが、世銀の仕事では貧困はなくならないと幻滅して、ニューヨークのベンチャキャピタルへ転職します。


これが92年ごろのことですが、このときからバングラディシュの貧困をなくすビジネスプランを考え続けます。


マンハッタンを歩いているとき「携帯電話を牛のように使えばいいじゃないか」とひらめきます。牛は乳を出して農家を助けます。携帯電話も同じように使えばいいじゃないかというのです。


このアイディアをアメリカの携帯電話会社へ話したところ、バングラディシュは投資するところでない、行くのは赤十字と断られます。


しかし理解してくれる人もいました。弟(アメリカに留学)の高校時代の友達の知り合いのジョジュア・メイルマンがソーシャル・ベンチャー・ネットワークの事業をやっており、アイディアに賛同して12万5000ドルの資金を出してくれました。


これは事業を始めるためのシードマネーでしたが、以後携帯電話会社が認可になるまでの4年間、この資金が役立ちました。


バングラディシュには国営のバングラディシュ電信電話公社がありますが、都市の電話だけやっており農村部はカバーされてません。一時帰国してグラミン銀行のユヌスに事業化をうったえますが、面白いと賛成してくれますが農村の極貧地帯に携帯電話をひくなどユヌスですら腰が引けて投資をしてくれません。


こんな調子でニューヨークでやっていたはだめだと知り、帰国して本格的にやらなくてはと思い、20年ぶりに36才のとき帰国し携帯電話をつくる会社を起こします。


ユヌスは事業化のためにコンサル会社に頼む資金は出してくれました。ユヌスのほかにもバングラディシュにも賛同してくれる人はおり、それを支えにして動き出します。


携帯電話は北欧がメッカなのでそこへ行き、インドへ進出経験のあるスェーデンの電話会社と話をつけますが、この会社はインドへ投資を集中するためことわり、代わりにノルウェーの携帯電話会社テレノールをすすめられ、結局ここが進出することになります。


テレノールの出資のほかグラミン銀行はジョージ・ソロスの資金援助で出資し、日本からは丸紅が参加しました。


最後に残るのは政府の認可ですが、国営鉄道沿いにひかれた光ファイバーケーブルが使われてないのを見つけて、これを使うと提案したり、農村に銀行を展開しているグラムン銀行と提携する、北欧の進んだ携帯電話技術を導入する、なんども行った北欧のコンサル会社の緻密な事業化計画があり事業の信頼性を高めた、ユヌスが政治家に対しロビー活動を行ったなど、認可する政治家や官僚に納得させて96年に認可になり、マンハッタンでアイディアを思いついてから4年たって97年にサービスを開始します。


この4年間のさまざまな問題を突破する精神は起業家のものです。現在では売上げ10億ドル以上、利益2億ドル以上の会社になりました。


グラミンフォンのビジネスモデルはこうです。


農村部の主婦がグラミン銀行からマイクロクレジットを受けてグラミンフォンから携帯電話を買い電話サービスに加入します。買った人は自宅の机の上に携帯電話を置き、誰でも利用できるようにします。電話屋になるんですが、すでに25万人のテレフォンレディがいます。


この利用料でグラミン銀行へ返済し、グラミンフォンへ回線利用料を払いますが、残った額はそれまでの年収の2倍になるので電話屋の仕事は広がります。


バングラディシュでは農村部の若い労働力は中東などへ出稼ぎに行く人が多く、そこから残った家族へ仕送してきますが、このカネで出稼ぎに行っている家族と通話したり、グラミン銀行からマイクロクレジットにより家業を起こした成功した起業家が利用するのです。


海外に出かけている出稼ぎ労働者は安心するでしょう。またグラミン銀行がすすめているマイクロビジネスにも好都合です。この電話を使い農家が農産物の価格を調べ高値で出荷したり、経済開発のインフラなので用途は多様です。


カディーアは世銀にはできないプロジェクトで、世銀に代わる新しい経済開発モデルだと自信満々で、このモデルは世界中に応用可能といいます。


社会起業家は先進国内のイギリスやアメリカで、効率の悪い政府に代わって事業を代替したり、政府がやっていなかった社会性の強い事業を起業しますが、もうひとつグラミンフォンタイプの事業を起業するのも仕事です。


このタイプを「貧しい国の貧困を撲滅する」といいますが、このやり方はアメリカが大好きでビルゲイツも来年からこれに専念します。


ここでの先進国の役割は海外投資をやり技術を提供する、一方貧しい国での社会起業家づくりの支援をやります。


「グラミンフォン」の著者、ニコラス・P・サリバン(アメリカのジャーナリスト)は三つの条件、「IT」「現地の起業家」「先進国の投資家」を上げてます。現地の起業家はアメリカの大学に留学した現地人、グラミンフォンの場合カディーアですが、これがあるのでアメリカはこの新しいやり方に強くすすめやすい、ここがアメリカの新しい競争力です。


こんなことではアメリカが途上国の市場をみな占拠してしまうんではとう感じがします。


日本にはIT(技術)も先進国の投資家(大企業)もありますが、現地の起業家に縁がうすい、だから添え物として誰かについて行くしかないのが残念なことです。


途上国の経済開発はこの数年で様変わりしてしまいました。

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ワークライフバランス

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政府の男女共同参画会議はワーク・ライフ・バランスの推進に関する報告書をまとめたそうです。


提案骨子は
1,ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標を開発する
2,国や地方公共団体は成果を上げている企業・組織を顕彰する
3,個人の多様な選択を可能にする支援やサービスを展開する
4,情報通信技術の活用など関連する技術革新を推進する


間違ってないが迫力不足、考えてることが小さい。


官庁、自治体、そのほかの政府機関などで働いてる人は500万人以上もいるんですから、まずそこからワークライフバランスを実現するとなぜ考えないんでしょうか。


民間企業はワークバランスのある雇用体制にしないといい人材がこないので、やるに決まっている、政府の仕事はそこでじゃましてる制度や法律を変えることです。


昔なら政策課題は投資を増やすとか、減税するとか、補助金を与えるとかありましたが、もうそんな時代じゃない。


そこで自分の範囲できることをやる、社会にたいしては新コンセプトを広げるために国民運動を起こすようなソフトな政策が望まれます。

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農業の社会起業家

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ついこのあいだあった毎日新聞主催の全国農業コンクール(予選を通過した43農業法人が競う)であった審査委員長の講評を読むと、先進農家はいい方向にむかってるんだとわかります。


講評はこうでした。


ここ数年は遊休農地、耕作放棄農地をリースして大規模化で利益追求をして成功した農家が決戦に残ったが、今年はそのうえに自然環境の荒廃を防ぐ、後継者を育成するなどに熱心なところが増えているというもので、補助金依存の農業を脱し未来のある経営が進んでます。


農水省は農家に補助金をばらまいてましたが、今年から方針転換し大規模化が進んでいる農家にだけ補助金を出します。大規模化がすすんでいる個人農家、それができないところでは地域ごとに大規模化する集落営農にだけ補助金を出します。


この方針転換でもれた農家は大騒ぎし、今度の参議院選挙ではもう自民党へ投票しないなどと騒いでますが、コンクールの決戦に残った農家は、はるか以前から自力で大規模化を進め、つぎのテーマ環境や安全に挑戦しているところです。


今年の大賞はコッコファーム 、熊本県菊池市にある鶏卵事業で売上高25億円、タマゴと鶏肉の通信販売をしてますが、オムライス、親子丼のレストラン、農業学校で後継者育成、タマゴの殻を肥料にしたバナナ園の経営(殻はバナナのいい肥料になる)、たまごかけ醤油(昔の味の醤油)の製造など、事業のバリューチェーンが連鎖しており起業家タイプの経営です。


鹿児島の健康食品会社㈱健康家族のにんにく卵黄がテレビコマーシャルで有名ですが、南九州には鶏のエサににんにく入れる飼育法が昔からあったようで、コッコファームでもこれをやっており、健康食品をつくっているのも今流です。


農業は環境とか健康とか収益+αの要素が強い、農薬を使わない、抗生物質や成長ホルモンを使わないとかは当たり前のことになってきましたが、先進農家はその先に行き、経営+社会、社会とは地域の環境を修復、地域で雇用をつくる、自分のビジネスモデルを地域で広めるために農家を育てるとかをやってます。


農業は典型的な社会起業ですが、コンテストに出てくる農家はその先進的なビジネスモデルを作ろうと挑戦してるところなんでしょう。心強いことです。

Grameenphone

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「グラミンフォンという奇跡 - つながりから始まるグローバル経済の大転換」(英治出版、7/12刊)が発売になりました。


著者のニコラス・サリバン、Nicholas P. Sullivan、はアメリカの起業家雑誌インク誌の編集長、この人はバングラディシュのグラミンホンを取材し、社会起業家の物語を書きました。


私は本屋に注文した段階でまだ読んでませんが、社会起業の画期的なモデルであるグラミンホンについて書かれた本でおすすめです。


Grameenphoneのサイトはここにありますが 、1999年設立、05年で550万人が利用している携帯電話会社です。グラミン銀行のユヌスなどが構想した電話会社で、実際の運営や株式(62%所有)はノルウェーのTelenor AS が主役です。


電話線のインフラがない、馬が運搬する郵便しか伝達手段がないバングラディシュの村で携帯電話ビジネスを起こす、グラミン銀行から融資を受けてグラミンホンから携帯電話を買い村民に貸すビジネス、この家族事業をはじめた人をフォーン・レディースといいますが、この事業から年収の6倍もの収入を上げてます。こうして貧困から脱出する。


マイクロクレジットと携帯電話を組み合わせた事業で、貧困所帯でも容易に出来る事業を開発したのが画期的で、このビジネスモデルはアフリカでも中南米でも中東でもアジアの他の国でも応用できます。その原型について書かれた本なので読んでおいて損はないでしょう。


現在こんな社会起業の世界モデルとなるようなビジネスモデルが続々と誕生してるのはすばらしいことです。


現在では当たり前の百貨店、スーパーマーケット、証券会社、投資銀行、ホテルチェーン。。。などは誕生のはじめはそんなものだったんですから

恒例のフォーチュン500社ランクの07年版が発表になりました。ベスト10はこれ。社会起業じゃありませんが、経済の話題ですから書いておきます。


1、 Wal-Mart Stores
2、Exxon Mobil
3,Royal Dutch Shell
4,BP
5、General Motors
6,Toyota Motor
7,Chevron
8、DaimlerChrysler
9、ConocoPhillips
10、Total(フランスの石油会社)


ベスト10のうち6社が石油会社、自動車が3社というぐあいで面白みがありません。


フォーチュン誌の解説では原油の値上がりで石油会社が躍進、ベスト10には入ってませんが世界的なM&Aブームのために証券・投資銀行がランクを上昇させた、この二つが今年の特徴だと書いてあります。


この500社ランクは売上高規模によるランクで、昔は企業が大きいことはいいことだ、社会に威力がある、尊敬される、仕事が安定しているなど大規模信仰があった時代には500社ランクに入るのが夢で、日本の企業は何社入っているとマスコミが騒いだことがありましたが、企業を見る目が激変してきましたので昔ほど魅力のあるランクではなくなりました。


でも、このベスト10を見ると、どれも国境を越えて世界化した企業で経済の世界化を体現した企業です。オールド・エコノミー・カンパニーはこうしたランクを目ざしてますが、しんどいことです。


女性CEOの企業もわざわざ別項目であり、昨年が7社だったが今年は10社になったと書いてありますが、500社のうち10社に増えても誤差程度の増加でどうということがありません。


こんなことをわざわざ書くというのは、アメリカでは女性がオールド・エコノミーのトップに立つという願望が社会にあるのかしら、なんだか不思議な感じがしました

千葉大と環境エネルギー政策研究所が自然エネルギー(太陽光、風力、地熱、小規模水力、バイオマスの5種)で地域の電力需要をどのくらいまかなっているか市町村ごとに調べた。


この結果がなかなか面白い。


全国平均で3.4%だったが、比率が高いのは大分30.8%、秋田26.3%、富山23.4%、岩手20.2%の順、低いのは東京、大阪、千葉、福岡、、神奈川、兵庫などの大都市で1%未満であった。


種別では、小規模水力が59.8%、地熱18.1%、風力12.4%、太陽光6.0%、バイオマス3.7%、昔からの技術がまだ自然エネルギーの大そうをしめており、大分、秋田などの20%超の地域はこれである。


話題の風力、太陽光、バイオマスがそれほどでなく新技術への投資がまだ足りない。


新技術による自然エネルギーはまとまって大きな規模になることが欧米の経験からわかっており、ここへの投資が増えている。これが世界の趨勢で、現在では大手の金融機関が設備融資する時代になっている。


こういうのに比べると声だけが大きく、投資では日本は遅れてしまった。


安部首相は環境保護で世界の先進国になると意気込んでるので、社会保険庁の解体をやったほどのエネルギーで自然エネルギーが増える政策を展開して欲しい。

そうすれば環境改善の社会起業が爆発的に増える。

世界を変える社会起業家

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ニューズウィーク日本語版7月18日号にこの題名のカバーストーリーがあります。副題は「Selling a Dream ノーベル平和賞グラミン銀行に続け 社会貢献で稼ぐビジネスリーダー100人」です。


前文にはこんな調子です。
「21世紀型ビジネスモデルの最先端」

「貧困や環境破壊といった社会問題の解決をめざしている」

「刺激的で大きなことをなし遂げたいという望みと、世界をよくしたいという願いがかなうのだ」

「今や社会起業家は憧れの的」

「みんながヒーローになれるわけではない、彼らの多くが失敗する運命にある」

「社会問題の解決と事業運営の両立は別々に行うよりもむずかしい」

「理想主義者はすぐにあきらめる、真の起業家精神をもつ人なら事業を軌道に乗せる道を探せるはず」

「一般の起業家の考えと手法を取り入れるにつれ、社会活動とビジネスの境界線は消えていく」


社会起業家を支援するアショカ財団、シュワブ財団、スコール財団(eベイ創業者スコールがつくった財団)、サードナ財団などの話も出てきます。


ビジネスウィークの編集者は社会起業家に期待してる反面、難しさを気にしている様子で、評価するのはまだ早いといったところなのでしょう。もっとほれ込めばいいのに。


驚いたのはこの100人のリストは世界中に分散していることで国を列挙するこうです。
・アメリカ、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、ペルー、コロンビア、コスタリカ
・イギリス、オランダ、スペイン、ドイツ、フランス、アイスランド、ポーランド、イタリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ハンガリー
・日本、中国、インド、シンガポール、オーストラリア、インドネシア、タイ、スリランカ、フィジー、ネパール、バングラディシュ、カンボジア
・ヨルダン、イスラエル、エジプト
・南アフリカ、ルワンダ、ケニア、ナイジェリア、モーリシャス


日本からはフローレンスの駒崎弘樹さん、いろどりの横石知二さんなど数人が登場します。


よく探してきたものですが、アショカあたりが編集部に教えたんでしょう。


グラミン銀行のムハンマド・ユヌスが88番目に入ってるのにビル・ゲイツやウォーレン・バフェットの大物が抜けている、ゲイツは来年から社会起業家に専念するというのに、編集部は灯台下暗しです。ゲイツが社会起業家に転進するのがぴったりとこないんでしょうか。


このリストを見ると社会起業家は世界中で登場してる現象だということが実感できます。


90年代の後半に社会起業家という人種がいるぞと発見したのは英米のシンクタンクや大学の研究者ですが、それから10年ぐらいしかたってませんが、世界中から好かれて広がっているなんてたいしたものです。


このカバーストーリーのおかげで日本人は社会起業家に一層関心を持つようになるでしょうが、日本の政治家や財界人はこの事実をもっと深く考え、社会起業家では世界のリーダーになるぐらいのことをやって欲しいと願います

前回書いたユヌスがNHKBS1に登場して自分のことを語ってましたが、おやっと思ったのがつぎの3点です。


「グラミン銀行は数十ドルを貧困層に融資して事業を始めさせてきたが、最近では事業に成功して大きくなり、数千ドル、数万ドルの融資が必要になる先も出てきた。こうした事業金融を続け、バングラディシュの国民をみんなグラミン銀行の顧客する」


これを聞き、ユヌスの本質は今までなかった新しい銀行のモデルを創造した、銀行革命を起こしたんだと思ったのです。途上国開発の新しい開発銀行です。


銀行は古いビジネスで昔のままやってます。日本でもネットを使った銀行が出てきましたが、それでも元になっているビジネスモデルは昔のままです。


アメリカでも事情は同じで、そこで現在全く新しいコンセプトの銀行を起こす事業が始まってます。


例えば、「銀行は小売業である」と考えて小売業のノウハウで銀行をやったり、「銀行は貯蓄するだけのところ、消費者ローンやカードで消費をあおるところではない」といったぐあいです。


こういう現象は2000年代になってから起こったことで、今のところうまくいっておりこの先斬新な銀行が生まれる予感がします。グラミン銀行はこんな並びの銀行に仲間入りしてます。


もう一つが2015年までに貧困をなくす、それは実現できるという自信です。


「2000年の国連のミレニアムサミットで、2015年までに世界の貧困を半減する宣言を出しているが、私はバングラディシュでこれを実現してみせる。目標をかかげればそれはできることである。貧困がない社会なんてすばらしい。」


これを先進国の援助でなくビジネスのツールを使ってやる、こう考えるのが先進国の最先端の思潮ですが、現在の貧困が減ってもつぎの別種の貧困が出てくるとか、いろいろ考えてしまいますが、ユヌスの思想は考えていてもしょうがない、目標に向かってやってみようという楽観論です。


3番目が新しい会社観をつくることで、「会社は収益を上げることと社会の役に立つことの両方が必要、収益だけを目的にした会社があってもいいが、収益と社会に役立つことの二つを目的にた会社がもっと増えて欲しい。グラミン銀行はその会社をつくる」と熱っぽく語ってました。


これは会社観の先祖戻りです。


ユヌスは経済学者ですが、経済現象を事後的に研究するのでなく、自ら新しい資本主義経済をつくり経済学を一新したいという思いを感じました。


ユヌスは昨年ノーベル平和賞を受賞しましたが、経済学賞のほうがふさわしいんだという意見がありました。インタビューを聞き、なるほそうだと思ったのです。

ユヌス来日

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グラミン銀行のムハメッド・ユヌスがシンポジュームに出席するために来日してますが、新聞のインタビューでこんなことを言ってました。


・ひところバングラデシュの政治腐敗の撲滅を考えたが、これは到底無理とわかり貧困撲滅に専念する
・国内の融資先全員を2015年までに貧困層から脱却させる
・貧困の解消には慈善的な支援だけでなく、ビジネスの力こそが必要
・日本の政府や経済界に対し「政府開発援助(ODA)によるインフラ整備に加え、市民が直接恩恵を受けられる仕組みが必要と訴えた


ユヌスは10年前にはビジネスの手法で貧困を撲滅するなんていってませんでしたが、グラムン銀行の仕事をやっているうちにこんな思想に到達したのです。


このやり方は社会起業で、ビルゲイツと同じです。


こうした考え方は2000年代に入り急速に広がり現在ではこれが最先端の思想になりました。


80年代に途上国の開発援助は政府に代わって民間のNGOがよいといわれ、現在再び変り、NGOからビジネスツールを使った社会起業になっているんです。


このブログでもこのビジネスモデルをいくつも紹介してますが、日本ではまだこうした思潮が弱い。ユヌスの来日をきっかけにして政府も財界も早くこうしたことになれて日本が先導するぐらいになって欲しいと願ってます