今日届いた大前研一さんのメルマガで、安部政権が骨太方針で「5年間で労働生産性を1.5倍にする」ことを批判してます。


『労働生産性とは、付加価値を就業人員で割った数字ですから、この数値を高めるためには就業人員を減らす必要があります。具体的には、就業人員を約30%減らさなければ、労働生産性を1.5倍にすることはできません。すなわち、「30%分の失業者が増える」ことを意味していますが、この失業率の上昇という点を考慮した内容は全くありません。』


これが批判の内容です。


労働生産性は05年でアメリカを100とすると日本は71と低く、主にサービス産業の低生産性のためなので、規制の緩和をやってここで生産性を上昇させるというのが骨太方針の心です。


したがってサービス産業から労働力が排出されてどこかに移転する必要があり、うまく移転できなければ大前さんのいうように失業問題が起こります。


労働力不足経済に突入した入り口で失業問題発生とは奇妙なことですが、排出された労働力を再教育して付加価値の高い産業へ移転させるような説得力のある説明が安部政権には必要です。


生産性産出の分母になっている付加価値生産額を増やしても生産性は上昇します。この点は大前さんはふれてませんが、付加価値の高い産業へ生産をシフトして行けば労働力が同じでも生産性は上がります。


こうした話の筋で考えると、社会起業はサービス産業の労働生産性を上げるのに有効です。


産業構造を付加価値に高い所に移転して成功したのがイギリスです。


ついこの間、イギリスではゴードンブラウン首相が誕生し、新政策と新閣僚が発表になりましたが、イギリス経済を21世紀型の産業で武装しEUの先端になることを表明しました。これはブレア時代から付加価値の高いクリエイティブ産業立国政策をすすめていたので、それを継続延長するのです。


驚いたのは、そうしたことを実現するために省庁再編成をともなっている点で、日本の通産省に相当する貿易産業省を解体再編したことです。


ブラウン新首相のスタートはなかなか迫力のあるものに感じました。これに比べ骨太方針は劣ります。


骨太方針も目標だけでなく、実現手段をいくつか列挙しておけばよかったのです。


この5年間は製造業の割合が一層減り、ソフト産業の割合が高まって行きます。産業構造が付加価値の低い所から高い所へ変るのは、そうなるべきだと叫んでいた時代が終わり、強制的にそうせざるを得ない時代になります。


またインターネットが今よりもさらに経営で使われるようになるので労働生産性が上がるのは必然です。


骨太方針があろうとなかろうと労働生産性は上昇するのだろうと確信してます。

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Craigslist

テーマ:

サンフランシスコにある新聞の三行広告に相当する地位密着型サイトを経営している会社、、求人、アパート、自動車などを探すときの公共広場、06年11月現在世界の450都市でサイトを開いている。


無料なので新聞に三行広告を出すよりもとくで、新聞社は打撃を受けた。アメリカで毎月1000万人が訪問、月50万人の求広告が載る。世界最大の地域密着サイトである。


数年前に日本でも話題になり、真似をしてネットで地域情報を発信する事業が流行ったがその原型である。


クレイグ・アレキサンダー・ニューマーク(Craig Alexander Newmark、54才、写真の人、ケースウェスタンリザーブ大卒のプログラマー)が95年にベイエリアで創業した(写真がオフィス、24人が働いている)。


このころはヤフー、eベイ、アマゾンが創業したときで、それと比較されるが、ここが変ってるのは会社なのに非営利的に運営してる点にある。


もし旧来の会社コンセプトで経営してたらクレイグは大金持ちになったが、そうしなかったことに価値が出てきた。


クレイグ自身地味で、穏やかで、控えめ、大げさな言葉を使わない人物であるが、信念はこうである。

「会社はもっと多様な形で活躍でき、こんなふうにできますよと身をもって示しているのです」「人間味のある非営利の方法でインターネットに人間の声を復活させる」「(会社を)ブランドにしない、金を集めない、競争しない」


こんなわけでサイトには広告がなくすっきりしてる。東京サイトはここ 、シンプルさを味わって欲しい。


非公開で経営数値が不明だがジャーナリストは売り上げは年1000万から2000万ドルといい、フォーチュン誌はお金に無関心であるがゆえに利益がほとばしり出る、相当な利益を上げてることを書いた。


売り上げは大都市で求人広告を出す企業からは料金を徴収し、求人広告でサンフランシスコ75ドル、ニューヨーク、ロス、ボストン、ワシントンDCなど大都市で25ドル、アパートは10ドル、これで家賃や人件費を出し、残った利益は財団をつくり非営利法人活動を支援している。


上場するつもりはないので、期待はずれの株主の株式を買い取り、それを04年にeベイが25%取得している。eベイもこの会社の新コンセプトに賛同したのだろう。


クレイグは06年にはタイム誌の世の中をつくる100人に選ばれているが、典型的な社会起業家である。


会社は収益を目的にしてるというのは一つの考えにすぎず、それでなくてもよい。この会社はそれでないことを示して好例である。


ネット事業のなかには公共性、公共の広場という感性がある。したがってこんな斬新な会社が存在できた。情報化社会が進化すればするほどこんな会社が増えて行くのだろう。






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アメリカでは団塊世代のジュニアが「デジタルチルドレン」といわれている。この世代は77年から96年に生まれた世代のことで、10才から29才、親の世代よりも人数が多く、世界全体で10億人以上もいる。


この世代はデジタル時代の第一世代で、子供のときからコンピュータやネットを自由に使い、双方向のコラボレーションが当たり前のことだと思っている。


自由を好み(国家や親の押し付けろきらう、上の世代への抵抗)、自分も公平に扱って欲しいと望み、生活と仕事のバランスをとることを望み、楽しさや新しいアイディアを受け入れ、メディアコンテンツ受信するだけでなく、自ら生み出して発信する。


人とコラボレーションするのが当たり前の感性になっているので、自分と同じ感性の人びととつくったコミュニティ好きである。


こんなわけで公益性や集団としての社会や市民の責任といったものに敏感である。社会起業もこの世代に合った感性で、これが社会起業のエンジンになる。


日本では子供の社会性が欠けてるので道徳教育を復活するといってるが、ネット世代はネットでのコラボレーションによって社会性を自然に身につけるので、道徳教育でなく子供にネットをもっと使わせてコラボレーションの感性を養えばよい。


ネットのコラボレーションによって社会性を身につけるという考え方はアメリカの社会学者が発見したことであるが、こうした子供のコラボレーションが日本よりもずっと進んでるからだろう。


日本でも団塊世代のジュニアがいるが、こんな研究はない。コラボレーションはアメリカほど進んでないが、実際にはネットを使った人びととのコラボレーションは始まっており、事態はアメリカと同じ方向に進んでいる。


ネットによるコラボレーションが社会性を育むのは指摘されれば納得で、こうした新しい社会性が登場して社会が変革されて行くのである

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公務員から脱出

テーマ:

行政管理庁だったかどこかの政府機関が国家公務員Ⅰ種受験者の調査をやり公務員志望について調べました。対象は合格者ベスト10大学の学生。


結果は公務員志望は1割から2割と少なく、多かったのは法科はロースクールへ、経済は金融とコンサルを志望してました。


公務員は沈むゆく泥舟、こんな所に乗らないのは自然な指向です。


でも、ロースクールのあとどうするんだろう、全員が裁判官、弁護士になるとも思えない、金融、コンサルもそうで、最終的になにになりたいんだろうかという疑問が湧きます。


ロースクールも金融も「踊り場で深呼吸」という感じなのでしょう。


前二回、ゲイツのハーバード大学卒業式での講演について書きましたが、聞いたほうは共感したと思いますが、それで決まっていた投資銀行へ、弁護士事務所への就職をやめて社会起業家をめざす、世界の貧困問題を解決することに挑戦する。。。というコースへ進路を変えるということはないのだろうと思います。


どちらもあいまいです。


大学の卒業生に求められてるのは、まだはっきりとした進路のない道を歩むことを求められてるんですから、仕方のないことです。


未来は待つんでなく、自分でつくったものが未来なんだという考え方がありますが、卒業生が直面してるのはまさにこれです。


不安ですが、面白い時代です。

前回、ビルゲイツのハーバード大学での卒業式講演について書きましたが、ここでゲイツは第二次大戦後の欧州の復興を提案したマーシャルプランのことを話してます。


「60年前、George Marshallは、この卒業式にやってきました。そして、彼は大戦後のヨーロッパを復興する計画を発表しました」と語り、今度は世界の飢え、貧困、疫病撲滅のために、卒業生の知性、ハーバードの最高の頭脳、もっとも偉大な知的能力のコレクションを使い、この大きな問題を解決するために捧げられるべきだと提案しました。


自分をマーシャルに擬してるのですが、そうとうな自信です。


解決には四つの予測可能なステージを通ることが必要で
1、目標を決め
2、最も影響力の高いアプローチを見つけ
3、そのアプローチのための理想的なテクノロジーを発見し
4、貴方達がすでに持っているテクノロジーの中で最もスマートなアプリケーションを作る、それが薬剤のようなものであろうと、bednet(蚊帳)のような単純なものであろうと、洗練されたものであろうとなかろうと。


「民主主義、強力な公教育、平等な医療・介護、もしくは広範な経済的な機会を通じてであろうとなかろうと、不平等を減らす事こそが、最も偉大なる人類の進歩なのです」「複雑な問題、深刻な不平等、そしてそれに関してのスペシャリストになってください」


世界でもっとも恩恵を受けた人々は、世界で最も恩恵を受けてない人々の生活について学び改善すできだというのですが、これは選良思想です。こういうのは日本ではなくなってきましたが、アメリカでは選良が社会を変えるという感性がまだあるんでしょう。


ゲイツはハーバード大学の中途退学者ですが、父親にいつもハーバードに戻って学位を取るといっていたようで、30年たってそれを実現しました。


「ハーバード大学が私に自分の特別な同期生の卒業生総代(注・卒業式で別れの言葉を述べる卒業生)をさせる理由は・・・・私が落ちこぼれ組み全員の中で、最高の仕事をしたからだと思います」といってます。


なかなかのユーモアで、講演を楽しんでる様子で、余裕があります。

ゲイツは、6月はじめにあったハーバード大学の卒業式記念講演で創造的資本主義の開発を説き、「もっと創造的な資本主義を開拓できれば――市場の力が及ぶ範囲を拡大し、もっと多くの人々が利益を得る、あるいは少なくとも生計を立てられるようにして、最悪の不公正に苦しんでいる人々の役に立てれば――もっと貧しい人々に利するように市場を動かせる」とすすめた話が新聞に出てました。


こんなぐあいです。
・先進国の富とテクノロジーの恩恵を、それが届かない人や場所に与えるような新しい方法を見つける
・世界の不公正を減らせる持続可能な方法を見つける
・この課題に答えようとする努力が世界を変える
・このネットワークの魔法のようなところは、同じ問題に一緒に取り組める優秀な人材の数を劇的に増やすことだ
・この仕事に終わりはなく、終えられない


創造的資本主義とはわかりずらいコンセプトですが、ゲイツがメリンダ&ゲイツ財団でやっているような世界の貧困をなくすために、市場経済の原理とそこに参加している人の頭脳を使うことをさしているのでしょう。


ゲイツは若いときには起業家になることをすすめ、年をとってから社会起業家になることをすすめてるのです。


ゲイツはハーバード大学の中途退学者ですが、この卒業式で学位を与えられたので「わたしは来年転職する。素晴らしいことに、やっと履歴書に大学の学位を書ける」と冗談もいっているが、来年転職とは財団の仕事に専念することです。学位が得られ新しいところに就職するので気持ちは新入生なのでしょう。


そのうち、どこかの雑誌に講演録がのるでしょうが、アメリカ社会の選良に社会起業をすすめてるのが画期的なことです。日本では東大の卒業式でこんな挨拶をする人はまだ誰もおりません。


こういうのを見ると、市場経済一辺倒だった社会はそれを終わり、つぎのステップに進んでることがわかります。


日本ではコムスンとかノバとか時代遅れのコンセプトで経営していたところが問題を起こし社会から糾弾されてますが、そんなことで騒いでいてはいけません。資本主義はどんどん進化をしてるんですから。

ファミリーマートが、コムスンの買収先と提携し、介護サービスへ進出することを表明した。


狙いは
・全国にある7000の店舗網を活用し
・コンビニ店員に介護福祉士の資格を取得させ
・弁当を宅配
・高齢者の安否確認
を組み合わせたサービスを提供。


かねてから介護サービスへの進出を検討してきたが、ちょうどよいタイミングと進出を表明したようだ。


ファミマは西武から伊藤忠が引継ぎ伊藤忠系列となったので、コムスンの引き受けについては、三井物産につぎ商社の二番目の進出である。


そうなると、ローソン(三菱商事)やセブンイレブンだってよい、流通資本がいよいよ出てきたのはなるほどである。


チェーン展開力、マーケティング、情報技術、人材管理、法令順守など、進んだ経営技術を介護サービスに移転すれば威力を発揮する。


介護というと旧来の社会福祉法人系の経営を思い浮かべるが、この際新しい血を導入したらいいと思う。まだ買いたい先が登場するだろうが、どんなところが出てくるのかみるのが楽しみである。

コムスンの買収先

テーマ:

同業が買収先の候補となり手を上げてます。すでに20社が名乗りを上げておりまだ増えそうですが、買いたい先が多いのは予想通りでした。


ニチイ学館が買収すると介護サービスでガリバー企業になることができますので、ニチイにとってはなにがなんでも欲しいはずです。


ソフト企業には製造業とは反対に収穫逓増原理が働き、トップシェアのところが一層独走する性質がありますが、そんな点からもニチイはこれによって圧倒的な強さを持つことができます。


でも、同業だと同じような不正請求、人員の虚偽申請など、介護業界の悪いところが出やしないかと心配です。


コムスン問題が提起したものは業界の共通した問題だという感じが強く、介護サービスで社会が納得するビジネスモデルがまだ確立しておらず、それをこれから構築しなくてはいけない段階なので、同業他社にいってしまうのはどうかなと思います。


その点ベネッセと三井物産が名乗りをあげ、これからもこうした新規参入者が現れるでしようから、こうした新規参入企業が引き受け社会性の強いビジネスモデルに挑戦してほしいと期待します。


今度のことで、介護サービスは営利会社ではダメだ、介護公社のようなものをつくりそこがやるべきだというありそうな意見が出てこないのが救いです。誰もが、もう公的サービスはたくさんと辟易してるからですが、こういうのを見ると世論もずいぶん変ったものだと感心しました。


そこで収益+社会性のビジネスモデルが求められてるんですが、それはまだなくこれからのことです。


社会起業の模範となるようなビジネスモデルが既にあればそこが引き受ければいいんですが、それができないのが問題の解決が進まない理由でしょう。


そんなわけで、ベネッセや三井物産が、コムスンを引き受ける条件に新しいビジネスモデル、社会起業モデルを開発するんだと社会に向かって提唱したらどうなんでしょうか。


この挑戦的な姿勢は社会から拍手喝さいされるはずで、今度の問題をみて、日本ではすでに社会起業の実需はあるのにまだ供給がない状態で、社会起業のコンセプトを万人で共有した社会になっていれば、問題の速やかな解決ができたのにと残念な気持ちがします

居酒屋で社会起業

テーマ:

ブログの読者からメールをもらった。
・地方都市で病院のリハビリの先生をやっていたが、現在では病院を辞め,昼はリハビリの先生をやり、夜は居酒屋をやっている。
・そうしたのは、店という舞台があって、あったかい人が交わる文化の拠点にし、そこから、優しさが街に拡がることをやりたかったからである。
・街で一番イケテル食べ物屋、そこに店員として障害をもった人やフリーターや老人がいたなぁという感じにしたい。
・夢を見つけられない若者や自分のポテンシャルを使いあぐねている老人の方々に自分の命をお客さんを喜ばすという形で燃やす事が出来るような店を創る、お客さんとしてきた人が自分の中にあった燃えるものを発見するような場を作ると決めている。


開業2年、店は黒字で数百万の貯金ができたきたので、これをさらに進めたいがどう思うかと問うてきた。


障害者が働くレストランやカフェはこの5~6年ずいぶん増えてきたが、それだけで満足せず地域で社会起業が起こる「場」にしたいのだが、「場」はつくったら来た人にまかせる「あなた任せの所」で、それで社会起業が進むかどうかはわからない、来た人しだい。


休日の午後ソーシャル・イノベーチョンを起こそうという会合は、終わったあとの二次会で居酒屋なんかに行くので、志が同じ人が集まるにはいい場所である。


居酒屋と社会起業はミスマッチだが、社会と起業だってミスマッチなので「居酒屋で社会起業」は盲点で、いいところを突いた感じである。


問題は「場」で、受身だけでは社会起業は進まない点にある。


ネットでも「場」づくりは盛んであるが、利用する人に任せてばかりしてると物足りない気持ちになるんじゃないか、実際にそういうことをやってる人に会うと「場」の先に行きたい気持ちが自然に出てきていることを感じる。


そこで居酒屋経営だけでなく、店主自ら何かの社会起業の提案・発信をすればいいのだが、これは居酒屋を経営する才能とは別なものなので難しい。


固定客といっしょにやるのもいいが、これも客しだいで運にめぐまれないと進まない。


こんなことを思うが、やってればそれらしい人が自然に集まり、個人間で化学反応が起こり、案ずるよりは生むが易し、生態系では自然に進化が起こるように、予想外のいいことが起こるかもしれない、今はそんな時代になっていると思っている。

コムスンの失敗

テーマ:

コムスン騒動は日ごとに大きくなってますが、これは社会起業のいい教材です。


01年から02年ごろ、まだソーシャル・アントレプレナーコンセプトが広がっていないとき、初めて知った人から「コムスンはそれですか」とずいぶん聞かれました。コムスンがまだ海のものとも山のものともわからないときで、そうかも知れないが違うかもしれない、直感としては違うとこたえました。


これから介護サービスが成長する、介護保険が払ってくれるので支払いは確実だ、だからビジネスチャンス、というコンセプトだけありコムスンの企業理念に強い社会性がないビジネスモデルだったのでこうこたえたのですが、直感は当たりでした。


このブログでも書いてますが、現在では収益性と社会性には正の相関関係がある、経済価値と社会価値のバリューチェーンをつくるのが最新の経営だ、こういうのが経営学の先端ですが、コムスンの経営は古いやり方でだけで走って失敗してしまったのです。


成長分野でブランドも確立しこれからだというのに、無知のためにもったいないことをしました。社会よりも早めに社会起業家コンセプトに近づき、社内社会起業家育成や外の社会起業家支援などやってれば、こんなことにはならなかったのにと思います。


コンセプトのパラダイムチェンジができなかった失敗です。


それにしても六本木ヒルズの会社は、なぜ時代に遅れた同種の失敗ばかりするのでしょうか。見えない何かがありますね。


コムスンには6万人の顧客がいますので、この事業の買い手はいるでしょう。買い手はサービス業で社会から信頼されているところ、大手商社、流通業。。。といったところが思いつきます。


今は底値で買えるので買い得、それなら投資ファンドだっていいんです。投資ファンドは社会性の強い事業に一番縁遠くみえますが、そんなことはありません。


現在ドイツでサミットをやっており、テーマは環境ですが、そのためか大手の投資ファンドが中国で環境投資をやるファンドを立ち上げると新聞に出てました。ヘッジファンドが環境投資をやる時代になったんだと感動しましたが、投資を3年で高く売却したい、そのためにはなんでもやる、社会性こそ企業価値を上げる根幹だとなれば、経営を社会性に徹することをやるのが投資ファンドです。


その事業の本質を見抜きそうするのが彼らですから、コムスンを買って再生してもいいのです。これが再生の早道かも。


コムスン事件には「モラルハザード問題」もあります。制度に欠陥があった、利用者のモラルハザードを防ぐ仕組みが足りなかったんだ、という感じがします。


この問題は医療保険があるために医療費がタダだと、患者は医療サービスを乱費したり、失業保険でその支給期間が長いと仕事を探さない傾向を生むとか、自動車保険で事故を起こしたとき保険支払いの負担がないと、注意して運転しない傾向になるとか、リスク回避の保険は、狙いと違ってかえってリスクを増す傾向が人間にはあることをいいます。


人間がやる自然なことですが、保険ではそれを押さえることが仕掛けられてます。

例えば、保険支払いの請求審査を厳格にやり過剰請求をチェックする、患者に一部自己負担をさせて利用抑制する、自動車保険で無事故なら翌年の保険料が安くなるのも防止策です。


経済学では当たり前の考え方ですが、医者は患者の医療知識の無知につけこみ、過剰検査や診療をしますが、そのために患者は医療知識を増やし、医者に対抗せよとなります。学校で医療知識を教えよと提案している経済学者もいるくらいです。


これを応用すると、介護保険では利用者の子供に介護サービスや介護保険のことを教えることが必要になります。利用してればヘルパーが足りないなんてことはちょっと知識があれば直感でわかりますので、告発すればいいんです。


そうすれば摘発はもっと早く小さい段階でできて、こんなおおげさな事件にはならなかったでしょう。


今度の介護保険の改正ではこうした点で改善してますが、コムスンのような悪質業者は絶えないでしょうから、制度欠陥を少なくするために知恵を入れ込まなくてはいけません。


社会起業コンセプトが当たり前の時代になると、企業の倫理として社会性が増してきますので、チェックや防止策が手薄でも事件になることは少なくなりますが、それはまだまだ先のことです。


などなど、この事件は社会性の強いビジネスモデルについて考えるにはいい教材です。