昨日、フローレンスの駒崎さんが主催した社会起業家の会合に出て、本城さんの話を1時間聞きました。


本城さんは、昨年4月開校の横浜市東北部の港北ニュータウンに新設された横浜市立東山田中学校の校長に公募で応募し、33才で就任した人物で、若い校長と楽天副社長から転進したことで、マスコミの話題になりました。


話のテーマは、私のキャリアや楽天の話をしてもしょうがないのでそれでなく、「ベンチャーと一流」でした。紙を渡されてベンチャーと非ベンチャー、一流と非一流をそれぞれ5つずつ具体例を記述せよ、と演習があり、具体的に記述することが大切だと強調してました。中学生になったみたい。


話のおちは、ベンチャーでも一流でなくてはいけないということのようでした。普通、ベンチャーで一流なんて考えないので、両者が一致してることが必要と考えるのが新鮮でした。


マイクロソフトは、ベンチャーで始まり、圧倒的なシェアを取ったあと一流企業になりました。普通ベンチャーで始まったあと、長い時間がかかって一流になりますが、そうでなく、ベンチャー = 一流で、そういえば、グーグルはこれです。


本城さんによれば、ベンチャーも一流も、「世の中を変え続ける」存在のもので、これが本城流思考です。なるほど、言われてみれば、そういうのあるなと思いました。新しい一流づくりですね。


ネットで調べてみましたら、本城さん、慶応の藤沢の大学院時代、卒業したら興銀へ入り、日本の産業を変えたいと思い、興銀OBの三木谷さんに会いに行き、君、そんなのはもう古いよ、ベンチャーを起こして日本を変えるんだと言われて三木谷さんと一緒に楽天を創業しましたが、このときは興銀を一流だと常識的に思ってたんでしょうが、当時の興銀は確かに一流銀行でした。


私は長銀にいましたが、ここにも行員に一流の自負があり、この気持ちが活力になっており、一流精神は、世の中を変えるには有効と実感します。でも、長銀は国有化、興銀は、DKBと富士と合併し、古い一流は消滅してしまったので、本城さんは入らないでよかった。それなら、世の中を変え続けて、新しい一流をつくるぞという気概が生まれたのでしょう。


ところで、東山田中学校は、ニュータウンの新開地に新設された公立校で、近隣は、昔から住んでいた農家のような住民、ニュータウンの転居所帯と雑多な人が住んでます。本城さんは、それをまとめて学校協議会をつくり、学校経営に参加してもらうことをやってます。地域に密着したコミュニティスクールへの挑戦です。これは面白そうです。


イギリスには、80年代の後半に、公立小学校が、地域の人々を結集して空き教室を使い地域のセンターにしてしまった校長の成功物語があります。ニューキャスルにあるウォーカー・プライマリー・スクールで、これをやったノーマ・レッドファーン校長(女性)は、シビック・アントレプレナー(起業家精神を持った公務員、公民起業家)のかがみとして讃えられてるんですが、本城さんは、公民起業家です。


私は、自治体の若い世代の職員に、起業家精神を持った人材がずいぶんいるなと思っており、自治体改革が本格的に始まれば、既にその兆候が出てきてますが、潜在してたものが面に現れると観察してましたが、本城さんは、中途採用とはいえ、そんな現象の火付け役なのでしょう。


また、本城さんは、昨年の開校にあたり、父兄に三つの方針を伝えました。
・「正解より回答」ーだれかに正解を求めるより自ら回答を出すこと
・「思考より試行」ー考えていないでやってみること
・「成功より成長」ー現状に満足せずに日々成長していくこと


昨日もこの話をしており、自分の指針にしてるんでしょうが、暗記するのでなく、自分で考えて行動する脳をつくる教育を中学校から始めるのです。


この成果は時間がかかり、まだ1年半の実績しかなく、成果は見えませんが、この中学校をベンチャーで一流にするのが、本城さんの挑戦です。ベンチャー=一流は、本城さんの夢なんですね。


横浜市の担当者は、採用したのは、創業者マインドを買い、アイディア、創意工夫に期待し、この成功例が他の学校へ伝わっていくことをこそ期待したいといってますが、安部首相が、さっそくやるのが公立校の改革で、安部政権の第一波の追い風には合っており、タイミングはよい。


ベンチャーで一流モデルを見せてほいしと願い、会場をあとにしました。

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不良教員

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銀行の不良資産の処理、企業のリストラ社員。。。今度は公立学校の不良教員処理の話である。

文部科学省は、都道府県・政令都市でやっている公立学校の「指導力不足」認定教員の数を集計したが、05年度は506人だったそうだ。(asahi.com9月22日

へぇー、こんなことやってるんだという感じ。


認定者の特色は
・72%は男性
・40代が45%と最多、50代の37%、30代の17%
・学校種別では小学校が50%、中学校が26%、高校が15%

特色は、企業の不良社員となんとなく似ており、どこでも同じだと感心した。


認定は、校長が評価→教育委員会→弁護士や医師ら第三者を交えた判定委員会の審議を経て決定する。おおげさな長いプロセスだが、訴訟にあったときを考えるとこうなってしまうのか。


判定基準は、都道府県毎にちがうが、
・児童らの学力を考えずに指導する
・広く豊かな教養に欠ける
・自習時間が多い
・高圧的な言動が多い
主観的な基準が多く、評価基準をもっと精密にすることが必要なのでは。認定者は、再研修を受けて復帰するか、退職するが、それぞれ半分ぐらいの分布である。


教員は組合が強く、当局が踏み込めない牙城だったが、それが崩れてきたのはよいことで、教員リストラの始まりの現象だと思う。しかし、不良教員数500人は、全教員数90万人の0.05%にすぎず、少なすぎる、もっといるはず、臆病な判定だと誰でも感じることである。

こんな数字を発表するのは、文部科学省と自治体の教育委員が、世間とずれてることを示しているので、もっと世間の常識に近づけて欲しいと願う。


安部首相は、教育バウチャー制の導入を提案しており、実現すると両親が学校を選ぶ時代になる。そうなると、こんどは教育委員会だけでなく、両親が教師を選ぶので、うかうかできない。


以上の話を社会起業家と結びつけるとこうなる。

イギリスには、公立学校の校長が起業家精神を発揮し、荒れた学校を再建したり、地域の拠点にしたりすることが行われているが、こういう人をシビック・アントレプレナー(私は公民起業家といっている)とよび、称えている。


イギリスの経験では、教員は教育の現場におり、地域のニーズに合わせていろんな事業が展開できる立場におり、起業家精神が発揮しやすい。日本の現在の問題で言えば、不登校生の再教育、ニートの再訓練、学校区の安全確保、児童虐待の防止。。。などの社会問題を解決するために、学校がいろんなセンターになるのに好都合である。


要は、教員は視野を広げて、学校区がかかえる社会起業に関心を持ち、解決の旗振りぐらいなることを目指して欲しいと思う。こういう気持ちがあれば、リストラなんて怖くない。

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東京財団がやっている会合の案内です。


「WILL(意志、思い)のままにやれば、SKILL(専門力、わざ)は磨かれる」「SKILLがあれば、WILLが実現する」、大組織に入り、10年我慢をしようというライフスタイルでなく、20才代から思いのままのライフスタイルを実現しようと挑戦している人たちの物語です。


今回は下記の二人の話、社会起業ではありませんが、働く感性は同じ似たものです。


日 時: 2006年9月29日(金) 19:00~21:00
会 場: 日本財団ビル2F・大会議室(港区赤坂1-2-2)
参加費: 無料
申込み:名前、所属、連絡先(fax、メールアドレス)などを

FAX(03-6229-5505)またはEメールuchida@tkfd.or.jp まで


ゲストスピーカー:
●楠本 修二郎 カフェ・カンパニー(株)代表取締役
「WIRED CAFE」「TOKYO PEOPLE'S CAFE」「PLANET 3rd TOKYO」など17店舗の飲食店経営

21世紀型のコミュニティをつくるためにカフェ事業を開始、オープン・ソース型経営が広がり、また在宅勤務やフリランサーが急増、働く人のライフスタイルが激変する時代に、人々がリアルに出会う場を創造


●柳澤 大輔 (株)カヤック 代表取締役
慶応藤沢の仲間で始めたソフト開発会社、海が好きなので鎌倉に立地

フラットな組織、トップダウンでないボトムアップ型の会社を創設。
クラウド・ソーシングの経営手法を取り入れ、群集の叡智を集める事業の先端を行く、ネットワーク時代の会社の原型を示す

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「地域における若者自立支援ネットワーク整備モデル事業(地域若者サポートステーション事業)」は、ニートを再生する厚生労働省の委託事業で、本年度からスタートしました。


この事業は、典型的な社会起業だと思ってましたが、全国25のステーションが決まり、早い所は8月から事業を始めてるので、どんな所が指定されて、どんな訓練してるのか調べてみました。委託された25ステーション はここ。


やることは
・臨床心理士が面談して閉じた心を開ける
・キャリアコンサルタントが仕事の設計をする
・職場を訪問して仕事の現場を見たり、短期の仕事にトライして仕事になじむ
などが共通したことです。


さて委託先は
・各地の労働協会や福祉協会、青年協会などの在来団体

・不登校生徒の教育やジョブカフェ、自立塾。。。などをやっているNPO
・人材派遣会社や専門学校
の三種で、一番目の在来団体が半分以上で相変わらずだなというのが感想です。NPOは結構ありましたが、不登校生再教育などは、前からNPOがやっていたことで、基盤がありました。意外なのは、人材派遣会社や専門学校が少ないことで、社会性の点で不信を持たれたのでしょうか、もっとあってもいいんではと思います。


興味があったのは、どんな仕事で訓練をするかですが、事業が始まったばかりで、まだ実績は少なく、見るべきものはありませんでした。でも、想像はつきます。以前からあったジョブカフェなどでは、清掃、倉庫、援農、折込チラシなどで、中国の留学生がアルバイトでやるような仕事ばかりで、やらされる方はきのどくで、親もこれではいやでしょう。もっと仕事を見つけてあげなくてはと思いますが、サポステでは、その辺り突破できるかどうか事業のツボです。


実は、世の中にはニートに面白い仕事をできるようにしてあげようという活動があります。「NPOコトバノアトリエ 」は、作家、ライター、漫画家などのクリエイティブな仕事に就きたいニートやひきこもり、フリーターの若者を支援しています。


好きなことをやってれば事は進みます。ライターになれなくても、人と交わることで、社会恐怖症や対人恐怖症は、薄まって行きます。ニートに必要なことは、まず人と交わることなんですから、こうした活動が有効です。


サポステは、自治体→厚生労働省経由で申請があり決まるので、自治体の外郭団体が増えますが、ここにニート再生の経験やノウハウはない。そこで、既に先行している活動と連携し、外郭団体が「場」だけになって、いろんな所をサポステに呼び込むのがよい。こんなことでもやらないと、サポステは機能しないんじゃないかと思います。

全国市民オンブズマン会議は、都道府県と政令指定都市の外郭団体について、常勤役員として天下っているOBの数、05年度の業務発注総額や随意契約の割合を調べた。(asahi.com 9月15日


市民オンブズマン連絡会議のHPにある調査方法(5月にメールで質問を発し、やり取りで8月までかけて集計したらしい)と集計結果はここ。
http://www.jkcc.gr.jp/13fukuoka/13fukuoka.html


都道府県:
(天下り数)
把握していない静岡、岡山の2県を除く45都道府県が回答、外郭団体数は1785、常勤役員数は2395人のうち自治体OBは1220人
(随意契約率)
把握していない沖縄県など12都県を除く35道府県が回答、外郭団体への発注総額3974億円のうち94%が随意契約


政令指定都市:
(天下り数)
15全市が回答、外郭団体数は513、常勤役員数1118人のうち自治体OBは573人
(随意契約率)
把握していない千葉などを除く12政令指定都市では、発注総額約2792億円のうち98%が随意契約


調査結果はこの16、17日、福岡市で開かれた市民オンブズマンの全国大会で報告された。連絡会議の事務局が書いたブログには、大会で「国及び地方公共団体は,外郭団体に対する業務委託の実態を調査・公表するとともに,委託業務のあり方,外郭団体の必要性などについて,市民が検証できるデータを全面的に開示すること」と決議されたと出ている。


手間のかかる調査のわりには、予想された範囲内のもので新味はないが、実数で示した点に迫力があり、価値がある。


市民オンブズマン会議は、各地の弁護士が主導して行政をチェックしているグループで、情報公開請求と住民訴訟を武器にしているせいか、全国大会での決議も「情報公開」を迫るだけだった。問題はどう変えるかで、その辺りの具体的な提案が欲しかったが、私の感想はこうである。


(指定管理者制度で、既に改善されてるのかも)
自治体の外郭団体は、9月2日期限で民間の競争入札にすることになっており(03.9の地方自治法改正、3年の経過措置のあと移行、移行期限がこの日)、これにタイミングを合わせて毎日新聞が調査(約100の自治体の外郭団体約3万の調査)を行ったことを8.22のこのブログで書いた。


毎日の調査では、2割が公募して民間へ開放、3割が特命施設(自治体ではなくては運営できないもの、だったら自治体へ戻せという声がある)と認定し自治体が継続運営、5割がまだ未定(解散や合併、自治体に戻すなど期限までにどうするか決める)だったが、市民オンブズマンが集計したのよりも、既に実態が大幅に変わってしまっている。


私は、予想外に変り始めてるなという印象を持ってるが、行政をチェックしてるんだから、この辺りの変化率の評価が欲しい。


(非効率な組織はもういらない)
都道府県と政令都市の発注総額は6800億円、天下りOB総数は1800人、一人1000万円の年収として1800億円、三分の一弱が役員人件費で、加えてオフィス賃料、通信費、光熱費、旅費。。。などの経費を考えると、管理費が4割以上にもなっている公益法人の姿が浮かぶ。

外郭団体の狙いが、市民にサービスを提供するのでなく、第二の職場を提供するのが目的になっていたので、こうなってしまうが、アメリカでは、公益事業の内部管理費の割合を1割にする議論が行われてるぐらいなので、こんな非効率な団体はいらない。組織を効率的に改組するのは難問だが、改組の具体的な提案が欲しい。


(民間開放でビジネスの需要を創造)
中央官庁では、各省庁が05年度に天下り先企業などと随意契約で発注した3万件、2兆2000億円のうち、67%にあたる2万3000件、1兆5000億円の事業について、今年6月に、競争入札などに改める方針を打ち出している。

これに習えば、外郭団体への発注額は6800億円で、7割が競争入札だとすると、4700億円が民間に開放されて、地域の需要になり、地域振興に役立つ。


などなど、安閑としていられた自治体の外郭団体は、国の方針や自治体財政の再建に圧されてピンチに陥って混沌としてきているが、08年度施行の新公益法人改革法に合わせて、すっきりとさせられてしまうんではないかと思う。

この過程で、地方の社会起業家にとっては、活躍の場ができチャンスが到来するので、望んでいた変化である。

安部さんの当選は確実で、この秋から再チャレンジ政策が動き始めますので、この問題を考えてみました。


小泉さんは、記者会見で、競争の促進で敗者が出たのはたしかなので、それを救済する再チャレンジ政策には賛成と答えているが、失敗した人が、やり直せる社会に賛成かどうか聞けば、誰でも賛成と答えまず。小泉さんの郵政民営化と同様に、国民の大多数の賛成が得られるテーマ(憲法改正は、半分の賛成、半分の反対)で、政策にしやすく、あとはやり方が問題です。


そこで、ブログでこの件について調べてみましたが、安部官房長官の下で再チャレンジ推進会議(各省の局長や審議官がメンバー)で考えたニートやフリーター、中小企業の再生よりも、もっと広く考えてる傾向があり、なるほどそうかと思ったのです。


◆ブログに載っていた再チャレンジについての卓見
(敗者は金融サービスが受けられない)
・会社が倒産し、連帯保証人になっていれば、ブラックリストにのって5年間金を借りられない。
・自己破産をした者は、金融機関のブラックリストに載って、クレジットカードがない
・銀行は、担保でなく、アイデアや経営者の能力を評価しなくては、再チャレンジ社会にならない

確かに昔からそうで、挑戦社会にするには金融は変革を迫られそうである。


(制度の残骸が邪魔)
・終身雇用が前提の社会保険制度では、個人の自由な働き方を援護できず、「再チャレンジ可能社会」の足を引っ張ぱる
・公務員のキャリア制度では、22才の公務員試験だけで、40年近くの人生が決まってしまい、再チャレンジできない

制度が邪魔してることは、実際に体験しないとわからないが、見えないところで多々ありそう。


(のんびり生きたい、敗者のいない社会が素敵)
・弱肉強食社会、強者の論理の社会を補完する仕組みでは
・負けても負けても、勝つまでチャレンジしなさいというメッセージは、すべての人がそう思ってるわけではないので、大いに疑問。のんびり生きることを許容しない社会へと向かっているような気がする
・勝ち組と負け組を作る社会システムを固定化したことを前提にしたもの、負け組みがいなければ、「再チャレンジ」などということは、考える必要がない

今はこんなことを言いたい人が増えている。ただ願望だけで、実際やるかというと少し違うのでは。


(その他)
・新卒の機会を逃すと、それから普通の道に戻ることは難しい
・二ート、フリーターの履歴では、応募書類を手にしても、会おうというモチベーションはわいてこなかった(人事担当者)
・再チャレンジでなく、若手起業家の1回目のチャレンジで必死にがんばっている企業も大切にしてほしい
・「再チャレンジ推進会議」のメンバーは、全て官僚なのは不思議、実際に再チャレンジ事業に取り組んでいるNPOやNGOの経営者が参加しなくては


再チャレンジの現場で、ぶつかった壁を具体的に記述しており、そこがよく、再チャレンジの具体策は、官僚が考えるのでなく、現場感覚がある群集が考えるテーマだと思いました。


そこで、国民運動にしたらどうか、再チャレンジを邪魔している制度や慣習を見直し、チャレンジを邪魔しない社会をつくる国民運動に発展できるのではと思ったのです。今よりずっと大きく構えるのです。


安部さんが考えている憲法改正や教育基本法改正は、戦後の枠組みを変える話ですが、チャレンジ社会づくりも同じで、50年の因習や慣行を変えるのは、安部さんのスタンスに合っている。


安部さんは、選挙の候補者を公募することをやっており、来年の参議院選挙でもそうしたいらしいが、これと同じで、審議会で再チャレンジの具体策をつくるやり方をもう止めて、具体策は、国民の方が考えて提案し、政府は、それを吸い上げる仕組みをつくる、トップダウンでなくボトムアップ方式ですが、このやり方は、言うならオープンソースです。ネット社会なので、政策づくりに、群集の叡智を集めることをもうやってもいいのでは。

市議会議員大学院生

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Asahi.com が市議会議員・区議会議員が大学院へ通っていることを記事にしてましたが、こんな記事です。


・動機は、政策立案の力をつけたい
・色々な立場の人と交流したい
・大学は、立教大大学院21世紀社会デザイン研究科、明治大大学院ガバナンス研究科、同志社大大学院総合政策科学研究科、大阪市立大大学院創造都市研究科、早稲田大大学院公共経営研究科など
・授業時間は、平日の夜と土曜日なので議員活動に支障ない
・授業に出てくる他地域のケーススタディが役立つ、視野が広がる
・支援者から「地域で顔を見なくなった」、区議の中には「生意気だ」という人もいる


私もこうした議員に何人も会ったことがあります。会う前は、公費をもらってるんだから、学ぶ時間があるなら働けと批判的にみてましたが、会ってみると印象は変り、若手の市民派の議員で、やる気があり、脳が活発な人で、こうした人が増えれば地方政治が変ることを直感しました。社会起業家精神のある地方政治家です。


それで、ソーシャル・イノベーションを実現するには、こうした若手の議員が増えて、公民起業家(起業家精神のある役人、これは潜在的にずいぶんいます)、社会起業家の三者がパートナーになることの大切さに気づきました。この中で一番足りないのが議員なので、活発な若い人に会うと、君、議員になったらどうか、年収は1500万~2000万円と高く、同期の数倍ですよとすすめたのです。


正論的に言えば、生活の現場に下りて問題を摘出し、即座に政策にせよですが、まだ知識が不足してたり、考える力が十分でない、そこでトレーニングしようでしょうで、動機はまともです。


小泉さん、安部さんで、中央の政治はずいぶん変りましたが、まだ地方がだめで、相変わらず税金への依存体質のままです。そこで大学院生議員に期待したいのです。遠回りにみえますが、地方政治を変えるには早道ではないかと思う。地方議会が、改革派の手に握られたときが、日本がほんとに変り始めたときだと思いますが、5年ぐらいででそんなときになるといいなと思ってます。

NHK衛星放送でABCニュースを見ていたら、ミシガン州のある町で住宅ブームが起こっており、画面には大工が登場し、いくらつくっても追いつかないと嬉しい悲鳴をあげていた。


町の慈善家が、地元の公立高校の卒業生が、ミシガン州内の大学に入ったら授業料を全額あげるので、全米からこの町への移住が始まっているからである。画面には中南米系の母親が登場し、これで私の3人の子供は大学へ行けると嬉しそうだった。


この高校の生徒数は400人、田舎町にしては大きな高校だが、昔、繊維や雑貨の軽工業で栄えたところで、画面では昔の工場の画面が出てきて、活気があった時代の様子をうつしていた。


さて、肝心の慈善家、テレビではそう呼んでいたが、軽工業で栄えていたときの資産家で、資産家が集まり奨学基金をつくった。この人は今の言葉だと社会起業家だが、奨学金を出すだけでなく、進学指導の非営利法人活動もやるはずである。


所得の低い黒人や中年米系の子供を高校卒業後カレッジに入れる事業は、社会起業で定番の一つで、大都市にはいろいろある。両親が移民し、なんとか食べられるようになった、子供の世代は大学に行き、もっと所得の高い仕事について、アメリカン・ドリームを実現してやろうという事業である。


これが田舎の町にも波及した事例で、他州の市や町でも真似するところが出てきたそうだ。


これを見た感想は、税金でなんとかしてよでなく、資産家が自分の金を出しなんとかしようという精神がすばらしい。日本だって地方に資産家がたくさんいるのに、こうはならない。もう政治家や自治体に頼むのをやめて、自分たちでやり始めたらどうかということを考えさせてくれた番組だった。

皆で富を分配しよう

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『シリコンバレーの凄いところは、ナードを搾取しなかったところにある。「プログラムさえ書いていれば幸せ」という人に対し、きちんとストックオプションを用意し、成功したときの富の分配ルールを明確にし、何千人、何万人ンのナード・ビリオネアを生み出したことだ。
ナードたちの中には、金のことには全く無頓着、ミリオネアになったって同じ物を食べ、同じ狭いアパートに住み、同じように朝から晩までプログラムを書いている連中が多い。皆のおかげで成功できたのだから、皆で富を分配しよう』


梅田望夫「シリコンバレー精神」(ちくま文庫)184ページに出てくる記述である。ナードは、大好きなプログラミングの作業を、朝から晩まで誰にも邪魔されずにやっていたい人で、若いときのビルゲイツ、リナックスのリーナス・トーパルズなどが元祖。


梅田さんの本にこんな話が出てくる。スタンフォード大学の学生団体が主催したシンポジュームにシリコンバレーの会社に転職したリーナスが登場するというので、梅田さんは聞きに行った。会場には500人以上の聴衆が集まり、リーナスの話に会場はしんと静まり耳を傾けるが、期待に反し話べたで、司会者から促されてマイクから離れてボソボソ小声で話す状況だった。そんなとき、会場の赤ん坊が泣き出し、泣き止まない、誰もがお母さんが外に連れ出せばいいのにと思っていたとき、リーナスは席を離れて赤ん坊の方に近づき、全員注視の中で赤ん坊を抱き上げた。彼の子供だったのである。そのとき梅田さんの隣の大学生は、「リーナスの行き方はナードの夢なんだよね」とささやいたそうだ。


ナードのライフスタイルは独特で、並みではない。数億円、数十億円の金持ちなのに頓着せず、相変わらず好きなプログラムを書き続ける気持ちはなんとなく理解できる。シリコンバレーは、こんな所らしい。


これなら富を独り占めせず、皆で分配するんだと、社会起業に金を投じるのが自然なことで、こんな数万人が社会起業を支援している。


日本だって似たものはいる。例えば、㈱はてなの近藤淳也社長は、8月末シリコンバレーへ転居した。アメリカ法人を設立するためだが、シリコンバレー日記を読んでいると、毎日プログラム言語の英書を読んだり、久しぶりにとプログラムを書いたり、趣味の自転車で丘陵をサイクリングしてるという生活で、典型的な社長のものではない。ナード的なのだ。


こんな人が日本でも増えていると思うが、まだビリオネアーではなく、しかも一箇所に集まっていないのが違いである。ずっとそうなのか、それともソフト経済の熟度の違いで日本のどこかに似た所が出てくるのか、熟度の違いと考えたいのであるが。

梅田望夫「シリコンバレー精神」(ちくま文庫)に、シリコンバレーのアーリー・リタイアメントの話がでてくる。


友人のフィナンシャル・プランナーから、君のゴールは何才かとたずねられ、まだ考えてないと答えると、そうじゃないんだ、資産形成の話なんだ、ある年までに働いて資産をつくり、あとは死ぬまで運用で生活できる状態、この境目の年がゴールの年なんだ、実際に退職する年令ではないんだと言われる。


このときの話に出てくるゴールは51才、資産額は3億円から5億円で、35才から始めるとして、15年でこの額を蓄積する。フィナンシャル・プランナーは、その戦略を立てるのが仕事である。資産の蓄積をデザインするのがフィナンシャル・プランナーの仕事なんだ、これなら30才代の前半に頼み、描かれた設計図を目前に置いて、仕事にがんばりがきく。


シリコンバレーのように、ストックオプションがあったり、ベンチャービジネスへの投資のように何十倍にも増加することがなければ戦略の立てようがない。ニューヨークの投資銀行、弁護士事務所や会計士事務所のような所でなければ、こんなことができない。アメリカでも、アーリー・リタイアメントのコンセプトは、例外なのだと思う。


こんなアーリー・リタイアメントの風習があれば、40才から50才で、数億円、数十億円の資産のある人がたくさん生まれ、以後何をしようかというとき、余暇生活では長すぎる、そこで今度は社会のために働こうとなり、シリコンバレーで社会起業がさかんになっているわけがわかった。


ビルゲイツは、50才でマイクロソフトを退き、ゲイツ財団の仕事に専心するのはこの風習のためで、アメリカの財団の経営者やマネジャーに、えぇ、こんな高品質な人がいると驚くことがあるが、アーリー・リタイアメントで再就職し、給料が安くとも資産があるので生活に心配がなく、仕事に意義を認め面白いからやっている人たちで、社会起業の隆盛は、アーリー・リタイアメントと表裏の関係なんだとわかった。


このライフスタイルは、高性能な人材が20才代で官庁や金融、大企業に入る風習のある日本には無縁なことに思えるが、若い世代で職業の選択が変り始めているので、20年もすれば日本のどこかの大都市、例えば東京で生まれてくるという感じはする。