ゲーツ財団の国家化

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前回、ゲーツ財団へバフェットが300億ドルを寄付する話を書きましたが、一昨日、オラクルの創業者エリソンが、ハーバード大学の医療プロジェクトへ1億ドル寄付する話を取り止めた記事が出てました。


理由は、サマーズ学長が辞めるから、しかし、サマーズの辞任は、ずっと前からわかってたことで、ゲーツとバフェットの波紋でしょう。エリソンは、ゲーツ財団へ寄付を変えるのかどうか。二人は、あるときは仲がよく、別のときは悪い、微妙な関係です。


アメリカの金持ちの寄付が、ゲーツ財団へ集中する予感がするのです。それだけ、ゲーツが考えた社会を変える事業プランが、すごく、磁石のようにカネを引き付けるのではと思いました。そうなると、ゲーツ財団の基本財産は、数十兆円になり、これは、ミニ国家です。


そんな現象の一番最初が、06年6月、アメリカで起こったと考えると、愉快な気持ちになります。次世代現象でなく、さらに先の、次次世代現象ですね。


私は、日本の総生産額600兆円の三分の一とか半分を、社会起業家がつくり変えると大げさな提唱をしており、聞いた方が半信半疑になってる様子がわかりますが、ゲーツの今度の話をいろいろ考えると、私の提案も、そんなにおおげさなことでないと思えて、自信を得ました。


変化は、こんな方向へ向かってるのです。

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投資会社バークシャー・ハサウェーを経営しているWarren Buffett が、個人資産370億ドルのうち、300億ドルをゲーツ財団へ寄付するという驚くべきニュースが飛び込んできました。


これを聞いた私の感想はこうです。
1、昔なら、こうした金は、連邦政府や市政府へ寄付するのが常識でしたが、そうでなく、ゲーツ財団へ寄付するのが画期的なことです。非効率な公的部門はもうノーサンキューです。


2、ゲーツ財団のHPには、これが出てますが、ゲーツとバフェットの付き合いは15年におよび、マイクロソフトとゲーツ財団の経営について、ゲーツがアドバイスを受けてきましたが、バフェットの知性と公平感は、エクセレントなものだったと語られてます。


3、一方、バフェットの寄付の話は、フォーチュン誌で語ったものが新聞記事になったようですが(ゲーツ財団のHPから、フォーチュン誌のこの記事にリンクが張られてます)、バフェットから見ると、ゲーツの貧困問題解決策は、効果の高いやり方で、そのためゲーツに資金を寄付した。


4、このブログでも書いたことがありますが、ゲーツ財団には、途上国の貧困をなくすために、まず結核、ハンセン病、マラリアなどの感染症を撲滅するプログラムがあり、10年で500億ドルを投入、うち100億ドルはゲーツが出し、残りは、連邦政府やイギリス政府などが出すようゲーツは説得を続けてますが、バフェットは、こうした呼びかけに応じたのだと思います。


5、バフェットの300億ドル、ゲーツの100億ドルで、500億ドルのうち、400億ドルが調達できましたが、バフェットの寄付は、バークシャー・ハサウェーの株式で、簡単に市場で売却というわけにはいかない。ゲーツ財団は、バークシャー・ハサウェーの大株主になるんですから、株主価値の増殖をやるはずで、このあたりの関係は、見ものです。


6、バフェットは75才、ゲーツは50才、メリンダ夫人は41才、若い世代に金を託した、ゲーツが、財団に専心するのもバフェットの心を誘ったと思います。


7、ゲーツは、8兆円近い基本財産の経営者になります。バフェットと同じような寄付が来る予感もする。前代未聞の財団になります。昔、大企業が国家並みの規模になったと語られたことがありますが、今度は、財団が国家並みになるんだ。愉快で爽快な出来事です。すごいことだなー。

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前2回、アメリカで女性が活躍してる話を書きましたが、アメリカ在住のマチスさんから、「日本人男性でこんな風に考えてくださる人が、もっと増えることを願います」とコメントをいただきました。


私は、長銀調査部にいましたが、ここは、80年代から女性エコノミストを意識的に育ててました。私もずいぶんこれをやりましたが、調査部担当役員だった竹内宏さんが、おれは女性を育てたので役員になったんだ、とよく自慢してました。数ヶ月前に会ったときも、この話をしてたので、よほど頭にそう思ってるのでしょう。


そんなわけで、女性が基幹労働力になるのを不思議なこととは思いませんが、この問題を考えて見ます。結論は、産業構造が、ハードからソフトに変わるので、必然だ、です。


既に、アメリカとイギリスがそうで、製造業で、日本などのアジアに負けた結果、ソフト産業への移行が一層進み、女性が活躍する経済になってますが、日本でも、タイムラグがあるだけで、同じです。


産業構造のソフト・クリエイティブ化→女性の基幹労働力化→製造業に適応してた古い制度の変更の順で、現在は、2番目と3番目の先端現象が、日本で起こってるのです。政治家や政策をつくる官僚が、市場の力に尻を打たれて、追いかけられてる姿が浮かびます。


来年度予算で、育児をしやすい政策をつくるのが今の流行ですが、これは、産業が女性向に変ってるのに、古い制度のままで女性が働きづらい、それを修正しようという現象だと思ってます。


残業規制など、女性保護の規制があり、だいぶんなくなりましたが、こんなのもなくさないといけません。


IT産業、金融、消費財での商品開発などで、既に女性の活躍が見られますが、社会の制度が追いついていないのがダメで、この辺りは、安部さんへ期待したいことです。「再チャレンジ」を政策の軸にかかげてるので、女性の再チャレンジ、ソフト経済で主力労働力になる、でいいじゃないですか。


製造業社会については、「ネット進化論」を書いた梅田望夫さんも、日本企業のものづくり体質について怒ってることをブログに書いてますが、ものづくりしか賞賛せず、ソフトづくりを讃える風潮がないことを嘆いてるのです。問題の根っこは同じです。


梅田さんは、日本の大企業をコンサルしており、シリコンバレー風の開発をすすめてるんですが、そのリアクションとして怒りが湧く。私も、ソフト化経済センターを経営していたので、全く同感で、今考えると、腹がたつことが多々あった。


しかし、なくなって行くトレンドで、ろうそくの最後の輝きみたいなものですから、冷静に見つめてるだけでよく、最後のロウソクを眩しいと怒るのは、無益なことだと、いつも思ってました。

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女の直感が男社会を覆す

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前回、アメリカの大企業が、創造力を取り戻すのに女性がリーダーとなって社内変革する話を書きましたが、これで思い出したことがあります。


「女の直感が男社会を覆す」は、ヘレン・E・フィツシャー(人類学者で有名な評論家)が、99年に出版し、ベストセラーになった本ですが、情報社会は女性化すると主張してます。


目次に出てくる言葉をかかげると、女性が秀でてるのは、「文脈で考える(ウェブ思考向き)」「横のつながりを愛する(コミュニティをつくるのが上手)」「言語表現に秀でる(新しいメディアをつくる)」「ひとの心を読む(人間相手のサービス業向き)」「癒し手(医療サービス向き)「市民社会づくり(官僚国家、福祉国家から社会を動かす)」。


このために、21世紀に伸びる職業ー医者と医療サービス従事者、教師、コンサルタント、エコノミスト、アナリスト、プロデューサー、クリエーター、小売業、弁護士、会計士、財団経営者。。。は、女性が占めるというのです。


男社会を覆す主張はたくさんあるが、ただ叫んでるだけのものが多いが、フィッシャーの主張には、説得力がある。私は、この本を読み、彼女の知性の輝きに驚き、なぜ、日本にこれだけの女性がいないんだろうかと残念に思ったのです。


製造業をつくった男社会を、女がつくり直す現象が、今進行中で、ビジネスウィークは、大企業で今それが起こっていることを特集にしたのです。


そういえば、フランス革命を描いたドラクロアは、進軍する市民の真ん中に、三色旗をかかげた女性を描いてますが、ここでも革命の先頭は女性だったんです。情報革命だけでなく、革命の先頭は女性だったんだ。

Innovation Champions

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ビジネスウィーク、6月19日号 に「Innovation ChampionsーMeet 25 innovators building cultures of creativity that are driving change in the corporate world 」が特集されている。


これが大変面白い記事で、
・アメリカの大企業では、CEOのもとに「創造企業文化」をつくる特別チームがで

 き始めてる
・チームリーダーは、女性が多い
・こうして、企業内での創造活動を、稀なことでなく、日常的なことにする


これをやって成功した25人(ビジネスウィーク誌編集部が探してきた人)にインタビューし、記事にしてる。創造の概念が、常識より広く、女性が主導してる話が面白かった。


アメリカでは、大企業の中に「創造企業文化建設」チームをつくるのが流行である。「シックスシグマ」(品質管理技術)は、中国やインドへのアウトソーシングで、もう競争力を保証せず、イノベーションこそが、競争力をつくりだす通貨になるからだ。


チームの仕事は
「イノベーションを、稀なことでなくルーティンワークとし、辺境で起こることでなく、

 中央で起こることにし」
「臆病を払い、社内をエクサイティングにし、教育し、(人材を)雇い、鼓舞し、お

 だてて、(アイデャイアを)採用し、ワイロで買収し(成果報酬を与え)、罰を与え

 て、創造文化を浸透させる」
「オープンソースなアイディアマシン」
「グローバルなエンジニアとトレンドスポッターのネットワークをマネジする」
「消費者ニーズに出会うようにする」


チームは、革新を作り出すコミュニティだが、博識の集団で、一人一人に多彩な才能があるうえ、右脳と左脳の両極を使って考え、電子工学の教育を受け、さらにMBAでもある。


このチームのトップは、C-suite" manager(スイートルームで陣取るクリエイティブチームのマネジャーぐらいの意味だろう)と呼ばれ、呼称は
・chief marketing officer
・chief innovation officer
・director, design and brand experience
・forward-thinking leader
・top Champions of Innovation


奇想天外な肩書きであるが、三つの特色があり、
1、デザインとユーザーフレンドリーの言語を話す
2、CEOからの強打と委託を、創造性企業文化開発のドライバーにする
3、7割、25人のうち17人は女性


創造性開発のマネジャーが女性向きとは目から鱗であるが、そうなる理由は、私見ではこうだ。
1、創造力を、デザインやマーケティングで発揮するので、女性でも勝負できる。

 創造開発を、男性社会の技術や研究開発だけで狭く考えるのでなく、もっと広

 い分野をも対象としてるから、こうしたことが起こる。
2、男がつくった製造業で形成された古い秩序を混乱させ、破壊して創りなおす

 のが仕事なので、これも女性向き。
3、古い企業を子供にたとえると、なだめすかし、怒ったり、おだてたり、激励した

 りするのは、まるで母親の仕事で、こうした点でも女性の仕事。
4、自ら画期的な商品を開発するだけでなく、そうしたことが起こる環境を企業内

 につくるのも仕事なので、きめ細かい目線の女性には、得意なことだ。


17人の女性の写真が出ているが、それから見ると、どこにでもいそうな顔で、普通の感じの人である。彼女たちが使った具体的なツールキットは、25人の成功物語に出てくるが、5人だけ例示するとこうである。画期的な技術開発による創造ではなく、ありふれたことを、遅れた硬い企業文化の中で、非常識にも実行したことから生まれてくる創造性で、女性ならではのことである。日本でもできそうなことなので、タイムラッグをともなって、起こるだろう。


・Kellogg の、Senior vice-president, global supply chain、Donna Banksは、ケロッ

 グでの創造開発の先駆者。ローカロリーフードのへの消費者の関心をつかま

 え、低カロリースナックを開発し、ネットセールスの割合を、5年で倍増。


・ユニリーバのInnovation champion、Sarah Lloyd Jones は、ピラミット型のティ

 ーバックを開発して25%以上のシェアを獲得、ユニリーバの凡庸な創造性をク

 リエイティブなものに変える開拓者になったが、パーソナルなライフスタイルでも

 革新的で、週5日のうち、4日を圧縮して働き、残る1日は、心理カンウセラーと

 して非営利事業で働いてる。


・Procter & Gamble のClaudia Kotchka は、太陽の光が好きで、サンカラーの服

 を着ているほどである。冬には、シンシナティ(本社)の吹きさらしが嫌いで、フ

 ロリダから通勤してる。彼女のサンカラーが、デザインに革新を起こし、企業文

 化を暗から明に変えた。


・Coca-Cola のExecutive vice-president, marketing, strategy & innovation、

 Mary Minnick は、コカコーラは創造性ではペプシに劣っていたが、日本法人を

 率いていたとき、飲み物の風味を健康志向で美容向きにかえることを素早くつ

 かんだが、現在、それを世界中でやっている。(健康で美容によい商品開発の

 日本市場のすごさを物語る話)


・Citibank のChief innovation officer、Amy Radin は、主催してる創造チームの

 なかで、灰色で単調なウォール街の文化を、シリコンバレー風なカラフルで可

 動家具つきで、ホワイトボードもあるものに変えることを議論している。彼女が

 いるオフィスは、シリコンバレー風だが、これが、ウォール街文化を崩壊させる

 ために最初にやったことの一つだった。


女性は、妥協や調整が嫌いで、新しい文化を持ち込んで混乱させても気にしない。伝統的なやり方では非常識だが、平気である。こうして女性が、創造文化の発火点になっている。


ビジネス・ウィークのこの特集は、それ自身で面白いが、ブログに書いたのは、社会起業家の話しと大変似ていると思ったからである。旧弊を破壊し、新しいものを創造するのは、どこでも同じことで、アメリカの大企業では、いよいよクリエイティブな企業文化の創造を開始し、一方、公共サービスの分野でも、社会起業家が、新建設を始めてるのだ。

日本地域保育協議会設立

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6月16日(金)の夜、日本財団ビルでお披露目の会があると、フローレンスの駒崎弘樹さんからメールが来たので、出席してみた。参加者は100名ぐらい、盛会の印象だった。


日本地域保育協議会 は、日本チャイルドマインダー協会が中心となり設立、駒崎さんは、それに率先して参加してる様子、「君が、この会の中心か」と聞いたところ、「発起人の一人です」と謙虚だった。「事業の見通しは」の問いには、「これからです」、「任意団体だが、どうするのか」には、「将来のこと」だった。08年度から始まる新公益法人法の社団法人になればいいんだと思ったが、関係者多数で迷走するシナリオもあるが、彼が事業を引っ張れば、事業化に成功すると思う。


通称ウバネット、21世紀の乳母をつくり、それが集まったコミュニティである。フローレンスは、病児保育を在宅で行ってるが、こうしたコンセプトと合致しており、駒崎さんが乗り出した。


駒崎さんが事業計画を説明したが、
・ウバのネットワーキング
・情報発信:在宅なので見えない、密室保育の悪いイメージを払式
・ノウハウ共有
が三つが協議会の事業で、それを統合し、自主基準作成、成果の書面化、政策提言、全国へ配布などを行う。ネットワーク事業に強い駒崎さんらしいデザインである。


日本チャイルドマインダー協会 は、95年に本家のイギリスの日本法人になったが、そのカリキュラムでチャイルドマインダーを育成している。今回、イギリスの National ChildMinding Association、NCMA、の代表理事チャールズ・ライスさんが来日し、1時間の記念講演があった。Minding とは、世話をする意味。


その時聞いた話。チャイルドマインダーとは、
・幼児を在宅で預かるサービスのことで、マインダーはそれをやる職業のこと
・1948年に規制法ができて、初めは、医療保健省の仕事だったが、70年にソ

 ーシャルサービス部門へ移り、98年に教育・雇用部門の仕事に変り(女性雇

 用の創出)、2000年には、教育(幼児の能力開発)に重点を置くように変って

 いる。
・誰でも、週12時間、無料でサービスが受けられる。これに投じられる公的資金

 は、97年以来170億ポンド、06~08年には29億ポンドが投じられる。
・これをやる職業が、チャイルドマインダー、現在71,500人
・NCMAは、この団体で、トレーニング、サービスの品質確保を事業にしてる
・施設保育とパラレルに存在、利用者は、どちらを選択してもよいが、在宅保育

 の方が、コストが半分ぐらいと安いので、公的助成はこちらに向かっており、こ

 の職業は成長している
・サービス提供者は、自治体とパートナーシップを結び、大枚の補助金をもらって

 る


昔は福祉国家のサービスだったが、財政赤字でもうそれができない、そこで、福祉のコンセプトを変えて、幼児の才能開発に狙いを変えて、自治体が、サービス提供機関とパートナーシップを結び、サービスを続けている。


国家が、スポンサーからパートナーに身分を変えるのは、ブレア政権の得意芸だが、その典型のサービスである。しかし、公的助成が出てる関係で、品質確保などの規制が強く、供給者には窮屈な感じ。


話を聞いた直感は、NCMAのサービスは、低所得者の家庭を対象にしてる感じだった。イギリスには、アメリカと同様の移民問題があるが、それを解決する策というのが、私の感想である。


会場には、女性の国会議員も数人きており、日本でもイギリスと同じような政策になるのかどうか、少子化対策、子育て政策などを考えるのが今の流行だが、それにはよい事例である。ただ、今の財政状況では、イギリスほどの財政支援はできないのでは、イギリスのように、財政赤字を削減したあとなら、なんとかなるとは思うが。


また、日本の育児問題は、イギリスとは違うので、そのまま持ち込めない、日本では中産階級のワーキングママが、仕事と育児を両立させる需要があるので、補助金支援でなく保育減税が有効という感じがするが、その辺りは、駒崎さんが、フローレンスの経営をやりながら、この仕事にも挑戦し、突破するのだろう。相変わらず、たいした起業家精神だと敬服したのである。


ビル・ゲーツが「引退」し、余生を慈善事業で送るとテレビや新聞が伝えてますが、これは典型的な引退でなく、本人も言ってるとおり、マイクロソフトの経営から「撤退」して、次の目標に挑戦するのです。


マイクロソフトのHPには、引退後、「spend more time on his global health and education work at the Bill & Melinda Gates Foundation」と出てます。


写真は、HPのプレスリリースに出てるものですが、右から二番目が、Ray Ozzie 、50才、chief software architect で、ソフト開発の最高責任者、ゲーツがやっていたポストの後継者です。左から二番目が、Craig Mundie 、56才、chief research and strategy officer 、研究戦略最高責任者で、真ん中の二人が、ビルゲーツの仕事を引き継ぐ。写真を見てもわかりますが、意外に年寄りなのに驚きましたが、ソフト開発は、若者のものというのは、もう古い概念なんですね。一番右が、CEOのバルマー。


カジュアルな服装にも注目ですが、地味で自然で、休日に家で着る服装みたいです。カジュアルなビジネススーツといっても、わざわざ高価なものを買う必要なないのだ。


Ray Ozzie もCraig Mundie も、経営者でなく、ここが面白い。普通なら経営者のはずですが、経営は高級な雑用で、そこから離れ、ソフト開発や研究や事業戦略策定に専心しますが、これが新スタイルです。


さて、ゲーツは、今50才、2年後というと52才でマイクロソフトの経営から引退し、財団の仕事に専念しますが、2000年にバルマーにCEOを譲り、ソフト開発の責任者になってますので、そのときから経営から撤退してたので、ゲーツが去るといっても混乱は、起こらないでしょう。


ゲーツ財団については、このブログでも何回か書いてますが、世界の貧困を撲滅する遠大な事業計画を持ってます。だから、ゲーツは引退でなく、次の事業に挑戦という感じで、そうした点では、遅すぎる引退です。


アメリカのマスコミは、ゲーツのこの二番目の挑戦に期待してる感じがしますが、待ち望まれていたことなのです。これで、ゲーツ財団の貧困撲滅作戦は、加速し、世界は、また驚くことになるのではと思います。


財団の経営革新の点で、どんな斬新なことが起こるのか、ゲーツの動きから一層目が離せなくなりました。ゲーツは、引退し、一層輝く感じがします。

今回が、再チャレンジ政策の最後です。支援政策のツボは、複線のライフスタイルを日本にも創造することです。単線のライフスタイルの常識を破壊し、パラダイム転換を起こすことです。


複線ですから、何本あってもよい。既定の路線を歩けない不安はありますが、「わが道」を行ける楽しさもある。これから10年ぐらいは、そんな時代になります。


中央線に乗ってたら、車内広告に、東京経済大学で団塊世代向けの大学院をつくり、生徒を募集する広告が出てました。この大学は、国分寺にあり、沿線の利用者に呼びかけてるのです。募集人員は10人、入試では学力テストはなく、口述試験やリポート提出するだけでよく、入りやすい。


07年からの5年で18才になるのが600万人、一方、60才になるのは1100万人、大学は、若年生徒の代わりに高齢者の生徒を募集し、経営を安定させる作戦をどこも考えてる。文部科学省もこうしたやり方を薦めてますので、これから「シニア入試」や「熟年大学」が流行るでしょう。東京経済大学は、そのさきがけです。


定年退職後、2年間大学で学び直し、3年目から新ライフスタイルにスタートするのは、よいやり方です。支援政策としては、この教育減税なんかあるといいのですが。


問題は、学んだあとの出口開発です。まず、出口のイメージが何本かあり→それに応じてカリキュラム開発があり→それを見て応募するのが、自然な流れです。まだ、これがありませんが、大学での開発が進むのでしょう。


以上の話は、日本で複線のライフスタイルを創造するのに、大学が仲介機関になる話ですが、同時に大学の硬い体質も変わります。こうしたことが、あらゆる分野で起こり、全く新しい時代になるんです。

村上ファンドの失敗理由

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ウォール街の投資銀行やファンドマネジャー、シリコンバレーの成功した起業家には、社会起業家精神の持ち主がいますが、日本のそれにはない、この違いはなぜなんだろうと考え、世の中の進化の違いで、日本でもやがてそうなるだろう、タイムラッグだと思っていたところ、この事件が起こりました。


村上代表、明敏な頭脳の持ち主らいしが、脳のどこかにぽっかりと空白のところがあり、木を見て森を見ない人、大局観のない人だと思いました。


「証券市場のプロ中のプロを自認」してるわりには、インサイダー取引の初歩を知らなかったなんて、どこかいびつな脳で、肝心なことが抜けてます。抜けてるのは、自分こそ社会という自負が邪魔して、社会の中の自分という視点が抜けている、東大法学部卒にありそうなことです。


「自分は嫌われている」と言ってましたが、そうなったのは、20年以上も前のアメリカのモデルを、現在の日本でやったためだと思いました。20年もたってるので、オールドなモデルをやれば、「嫌われる」のはあたりまえです。日本社会だって、その間、進化してるのですから。こんな点にも大局観がない。


このブログで、何回か最近のアメリカの投資ファンドが、社会起業を支援してることを書きました。左で短期投資収益を最大にし、右で社会起業支援のような活動で、バランスを取るのが最近のやり方です。


三つの例をあげます。


長銀が、ウォール街の投資ファンド、リップルウッドに買収されてしばらくたってから、ある人にこう言われました。「リップルウッドを経営してるコリンズは、エール大学で同級生だったが、ウォール街で投資ファンドをやり、同時にケニアで、学校に行けない人のために、学校経営もやっている、彼はそういう人だ。あなたは、社会起業家精神を提唱してるらしいが、長銀には縁があるのだから、コリンズさんに、日本でも社会貢献活動をやるように提案したらどうか。そうすれば日本でも社会起業がすすむのに」と薦められたことがありました。コリンズさんの社会貢献活動は知ってましたが。。。結局言いませんでした。


このブログでも、ナビスコを買収したので有名な投資ファンドKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)のロバーツがやっているREDF財団の活動を書いたことがありますが、ロバーツは、サンフランシスコのホームレスを仕事につける事業、これがREDF財団の事業ですが、に2000万ドルを出したのです。KKRは、昨年東京にファンドをつくりましたが。。。


あるいは、ニューヨークにある非営利法人エンデボア・グローバル、中南米で社会起業家を支援する事業をやってますが、ここにニューヨークのゴールドマンやモルガンのような投資銀行の経営者や専門家が多数参加しており、びっくりしたことがありました。こうした投資銀行は、中南米経済に投資してますが、それが成功するように、教育とか福祉事業にも支援してるんです。昔なら、国家に税収が増えて、それでやるんですが、そこまで待てない、経済発展とパラレルに社会のインフラづくりを社会起業でやろうというのが、新しいやり方です。


こういうことは、最近のアメリカの金融文化で日本にはないことです。アメリカの金融が、一歩先に行っている点です。村上さんにやって欲しかったのは、こういう左右でバランスを取ったやり方のものです。もしやってれば、こんなことにはならなかったのに。


投資ファンドは、投資収益最大化を狙いますが、一方、成熟した企業社会を変える崇高な理想も持ってます。官僚化した企業の刷新です。だから、資金が集まり、収益も上げられる。


社会起業家を支援するのも、汚い金儲けを浄化する気持ちもあるでしょうが、社会を変革する精神が同じだからでしょう。崇高な理想が同じなのです。村上さんには、ここが抜けていた。明敏な頭脳になぜ見えなかったのかが不思議です。


村上さんは、ファンドから引退後、映画をつくるか、小説を書くか、「慈善事業をやるか」と話してましたが、慈善事業という古い言葉使いにもびっくりしました。昔の知識のままで、脳が進化してない、ここにも時代の流れを読む大局観がないのを感じました。


村上さんは、社会の進化から何周も遅れたラストランナーだったのです。

社会起業コンサルタントをやっている田辺さん(フォレスト・コンサルティング)が、3月初めにハーバード大であった社会起業フォーラムに参加した様子をメールに書いてました。ここでゲストスピーカーだったアショカのドレイトンが、基調講演で「Market New Idea」(ニューアイディアを市場に出す)と提案したそうです。


いいフレーズです。アショカは、ワシントンDCにある社会起業を支援する高名な非営利法人ですが、ドレイトンは、その創業者です。


江戸時代に大阪に仲間取引の米相場があり、株取引も、初めは仲間取引だった。そのときと似ており、ニューアイディアの仲間取引の提案です。


ニューアイディアとは、社会や経済の問題を解決するアイディアのことで、政治家や行政にお願いに行かずに、市場で問うのが新しいことです。市場で問うて、アイディア実現の賛同者を集めて、事業化することです。


株式会社なら集めるのは資本ですが、ここではカネだけでなく、事業化に必要な専門知識、政治力、人材などのことです。


安部さん、このくらいのことを言ったらいいのにと思います。