総務省が、04年9~11月時点の1世帯あたりの家計資産調査 (6万世帯を対象、5年毎の調査)速報を発表した。


現在、格差拡大問題が話題だが、資産格差は、ほんとに拡大してるのかどうか。


家計資産とは、
1、住宅の土地と建物
2、預貯金、株式(ローン引いた純金融資産)
3、自動車などの耐久消費財(購入価格1万円以上で耐用年数が5年以上)

のことで、一世帯当たり3900万円で、前回調査の99年に比べ、11.1%減っているが、前回調査が、94年調査に比べ、18.4%減だったので、減少幅は縮小している。地価が下げ止まり、株価が上昇に転じたからである。


資産毎の内訳は、
1、宅地が前回比18.6%減の2180万円で全体の55.9%を占め
2、住宅資産は同2.3%減の606万円
3、金融資産は同6.1%増の950万円
4、耐久消費財などの資産は同15.3%減の164万円
これが、2004年の家計資産の状況である。


資産格差というと、年収が最も高い層と最も低い層の資産額の格差のことであるが、バブル期の89年調査が4.3倍→94年は2.8倍→99年が3.1倍、04年が3.4倍というように、この10年間は、拡大を続けている。次回調査の09年になると、家計資産の6割を占めている宅地価格が、既に増加に転じており、景気回復につれてパラレルに一層上昇して行く。加えて、金融資産も株価の上昇や預金金利の上昇により増えるので、格差は、一層拡大して行く。


景気拡大にともない、自家保有をし、金融資産のある家計(年収の高い層)の家計資産が、増えてゆくのだが、この現象は、景気拡大期に発生する自然な現象で、非難されるようなことではない。

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これは、3月27日の毎日新聞の見出しである。
財政制度等審議会(財務省)は、財政再建のための長期試算を行い、29日の経済財政諮問会議に提出するそうだ。


小泉内閣は、6月に「骨太方針」を作成するが、これは小泉さんの遺言で、首相がかわっても、小さな政府路線が続くことを願っている。政府系金融機関の整理統合、特別会計の整理、公務員の5%削減などは、これである。この財政審の試算もそれである。


こんなわけで、いろんな省から日本の中期ビジョンの素案が出るようになった。そこで、ときどき、そのビジョンを話題にしたいと思う。今回は1回目で、歳出削減か増税かの議論である。財政審の試算 は、こんな具合である。


2011年度に、国の政策経費を税収だけで賄える状態(赤字財政脱出)にするには(政府の目標)
1、2006年度の予算に比し、13兆1000億円(約18%)を削減


2,その後も改善を続け、国債残高の国内総生産(GDP)比を2015年度から減少させるには、26兆9000億円(約32%)の削減が必要


3,医療費の患者負担は6割増、国立大学授業料は3,8倍へ、公共事業費と防衛費は7割削減


4,歳出削減なしで、増税のみにより達成しようとすると、消費税率は、2011年度に15%に引き上げることが必要、国債残高の縮小には、2015年度の消費税率を22%まで上げなければならない


歳出削減だけでもダメ、増税だけでもダメ、両方をミックスするのか、それとも全く新しい道を探すのかは、経済財政諮問会議で考えてくれというのだろうが、この議論は、90年代半ばから後半のイギリスであった議論にそっくりである。


このときは、97年春にブレア政権ができて、古典的な歳出削減か増税かの二者択一の選択でなく、第三の道論をぶち、全く新しいやり方に挑戦したのだが、その一つが「社会起業家」の登場だった。

こんなわけで、この試算をみて、日本でも社会起業家登場の必然性を強く感じたのである。

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日本医療政策機構(シンクタンク、代表理事=黒川清日本学術会議会長)が行った調査(4000人に郵送、1011人から回答)では、医療制度に不満を持ってる人が、60%にもなった。


不満の内訳は、
1、制度決定への市民参加が少ない不満が76%
2、既得権益の排除、医療費、平等性が7割前後で続き
3、医療技術の質への不満は41%にとどまった


医療制度改革をだれが主導すべきかでは、
1、市民・患者代表が64%で最も多く
2、専門家・有識者が53%
3、医療提供者が48%
4、厚生労働省42%
となっている。


また、「予防が可能な生活習慣病は患者負担を重くすべきだ。そうすれば健康管理が進み、医療費負担もより公平になる」との考えに、56%が賛成していた。


政治家、官僚、医者、学者が決めていた医療制度を、消費者主権にせよという意見で、国民の気持ちはこうだろうと思う。

医療サービスは、社会起業家が活躍できる分野だが、制度ががっちりできてるので、それが進まない。社会起業家の本家、イギリスでもそうである。


上記の調査は、こうした硬い制度が、一気に崩れることを予感させる。医療は、大きな政府になっている典型的な場所で、既得権益の巣窟になっているが、道路公団や郵貯などとは違って、小さな政府へまだ手がついていない。それが不満のもとにあるが、今の制度が続くはずはなく、小さな政府への道に進むのだと楽観したい。

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トラスト・スクール

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イギリスのブレア首相がすすめている「公設民営校」のことで、これをもりこんだ教育改革法案が、3月15日下院議会を通過した。


対象は、小学校と中学校の義務教育の学校で、成績を向上させるのが狙いである。トラスト・スクールができることは、
1、予算の作成(ただカネは税金)
2、教員の採用
3、入学者の選考
4、カリキュラムの作成

経営できるのは、保護者、企業、非営利法人など、どこでもよい。


ただ、利益を上げるのは不可で、寄付金などのカネをもらうこともできず、授業料も徴収できず、地方教育機関(LEAs)の監督を受けるので、全く自由に経営できるわけではない。


この新学校は、貧しい家庭、能力の低い生徒を締め出す(締め出された結果、近くの学校に行けない)、イスラム教を教えるような宗教学校が出てくる、民間の参入は少なく、大都市に限定されるなどの批判があり、下院の投票でも、賛成458、反対115のうち、反対の半分は、与党労働党左派の造反票だった。こんなわけで、上下両院の協議しだいで、修正案が出てきて、後退してしまう不確かさはまだある。


しかし、イギリスでは、小学校と中学校で、私立へ通ってる生徒は7%で、93%は公立校なので、増える可能性はあり、また、公立校の先生は、社会起業家タイプがすでに登場しており、こういう先生が先頭に出てゆくようになると、進むかもしれない。


学校経営は、社会起業家が活躍できる一大分野だが、公立学校が独占し、それを阻んでいた。それが取り除かれそうになってきており、93%の半分でも社会起業家に明け渡されればたいしたもので、社会起業家の躍進が期待できる。


ブレア政権第二期目の需要課題は教育改革で、これが実現する。アメリカには、同様な学校がチャーター・スクールとしてあり、相当広がってるが、先進国の公立校は、公設民営に向かうのがトレンドになってきた。日本だってそんなことになるのだろうと思う。

人口が減っている過疎県は、団塊の世代の誘致予算を組み、誘致作戦を展開する。こんなぐあいである


青森県「人口減に苦しむ地方に還流してもらう」
島根県「「団塊世代の大量退職をきっかけに、高齢化と過疎化に歯止めをかけ

     たい」
愛知県「人材バンクに登録し、技能継承を求める企業に紹介する仕組みをつく

     る」
千葉県「定年退職者らが就農する際に生産技術の指導や経営計画の助言をす

     る事業を新年度から始める」
香川県「(団塊世代の旅行客を増やし)観光産業の活性化で、税収増にもつなげ

     たい」


予算減が当たり前の時代に、予算をつけて新事業をやるのは珍しいことで、自治体の意気込みが感じられる。しかし、東京都の調査では、東京の団塊世代は、郷里に帰るつもりがなく、住み続けるので、Uターンさせるのは容易なことではない。


進まない理由は、地方に仕事がないことだ。急がば回れ、こんなことに予算を使うのでなく、新産業を起こし、仕事を増やすことが先ではないのか。

松下電器は、育児休業の取得可能期間を「子どもが満1歳の3月末まで(2才まで)」だったのを、4月から「就学前まで(6才まで)」に拡大する 。春闘で、労組が「満3歳まで」延長するように求めていたが、会社は、要求を上回る回答をする。


ソニーは1才まで、NTTドコモは満3才までなので、就学前までに延長するのは画期的なことである。


さらに、松下は、「ワーク&ライフサポート勤務」(在宅勤務、週2~3日勤務、コアタイム勤務、半日勤務などをこう呼んでいる)の期限を、子どもが「小学校1年生まで」から「3年生まで」に広げる。

ワーク&ライフサポート・プログラムは、松下のホームページの社会性報告ページに記載されているので、雇用条件とか勤務体制でなく社会責任を意識した制度で、社会責任をはたすという強い気持ちがあるのだろう。


本業のリストラや業績の回復では、ずいぶん賢いことをやってきた会社と思っていたが、社会性の点でも、松下は企業の先端に立ち、一層賢い企業になった。

映画シリアナ

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(写真は、男性がスコール財団の創設者ジェフェリー・スコール、女性が、スコール財団CEOのサリー・オスバーグ、財団の経営者は、みな感じが似ている)


映画「シリアナ」を見ましたが、理由は、ジェフェリー・スコールが、エグゼクティブ・プロデューサーをやっていたからです。


スコールについては、このブログでスコール財団の社会起業家支援活動を何回か書きましたが、ネットオークションのeベイを Pierre Omidyarと創業し、初代の社長を務めたあと、はやばやと引退しました。
ついこの間発表されたフォーブスのビリオネアーランクでは、114位で、50億ドルの資産の保有者です。現在でもeベイの第2位の大株主で、資産はそれです。


経営から離れたあとは、スコール財団をつくり、社会起業家を支援し、2004年から、「Skoll Awards for Social Entrepreneurship」をつくり、2005年は15人を表彰しましたが、受賞者は、3年間で50万ドル前後の賞金がもらえます。Sally Osberg は、2001年に初代のスコール財団のCEOに就任しましたが、非営利法人経営のプロです。


スコールのもう一つの事業が、映画の製作です。この「シリアナ」のほか、「グットナイト&グッドラック」(マッカーシー上院議員の赤狩りと闘ったニュースキャスターのエド・マローの物語)、「スタンドアップ」(鉱山労働者が、セクハラ訴訟で勝った有名な物語の映画化)のエグゼクティブ・プロデューサーをやってます。


アメリカでは、George Clooney’s movies と呼ばれ、クルーニーが、製作者、監督、出演者になっている映画のことですが、これをプロデュースしてるのがスコールです。60年代と70年代の出来事を映画にした社会派の作品で、この間のアカデミー賞では、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞などにノミネートされた優れた作品群です。


「シリアナ」は、産油国の第一王子が、アメリカ離れをし、高く買ってくれる中国に石油を売る決心をしますが、これが許せないとCIAが、無人偵察機からミサイルを発射し爆殺する話です。軍事力を石油資本の擁護に使うのは許せない、イラク進攻は反対だといってるのでしょう。


スコールは、eベイのビジネスモデルをつくって賞賛され、また、スコール財団の活躍でアメリカでもっとも革新的なフィランソロピストと評価され、さらに、映画制作でも、この前のアカデミー賞のノミネートで、一流と評価されたのだと思います。


ITビジネス→財団活動→映画制作と関係ない連鎖に見えますが、社会にインパクトを与える点で共通しており、社会変革の先頭に立つのが彼の思いなのでしょう。


50億ドルの資産をうまく使って、何をやっても成功してしまう。まだ41才と若く、次は、どんな社会変革のメッセージを発するのか。日本でも欲しいタイプの人材です。

フォーブス誌恒例のランク が、3月9日に発表された。2006年ランクに入ったのは793人で、3年前の476人に比べ大幅増、世界のどこでも株式市場が好調だったので増えた。

793人のうち、アメリカが371人で第1位、2位がドイツの55人、以下、ロシア33人、日本27人、英国24人と続く。アジアからは、インドが23人、中国が8人というぐあいである。


アメリカのビリオネアー371人の大方は、父祖、父の代に、重化学工業やサービス業で財をなし、妻、子供、孫に相続したものである。

その中で、ソフトビジネスと金融(投資ファンドの運営者が多い)、不動産、娯楽ぐらいが、初代の起業家が、自ら創造した富である。


下記のランクは、私の興味から、500位の範囲内でピックアップしたアメリカのソフトビジネスのビリオネアーである。
これをつくったのは、こうした人が、社会起業家を支援しているからで、社会起業家支援者のランクでもある。こうした個人の金持ちの支援があるから、社会起業家の事業は隆々と進む。


今年から、日本でも株式相場は活況をていし、ソフトビジネスで、長者が増えるが、こうした人が、数年後には社会起業家を支援してくれるのではないかと思う。


ソフトビジネスのビリオネア:順位は、フォーブスの順位
1 William Gates(50才) 500億ドル
 このほか、290億ドルは、既にBill & Melinda Gates Foundationへ寄付されて

 いる。

6 Paul Allen (53才)220億ドル
 Microsoft cofounder、病気のために、1983 辞任、Paul G. Allen Family

 Foundation は、教育、アート、サイエンスに寄付。

12 Michael Dell(41才)171億ドル、デルコンピューター

15 Lawrence Ellison(61才)160億ドル、オラクルの創業者

24 Steven Ballmer(50才)136億ドル
 ビルゲーツのハーバード大学時代のクラスメート、マイクロソフトを創業

26 Sergey Brin(32才)129億ドル
 グーグルの創業者、ロシア移民、10億ドル以上の株式を売却済み

27 Larry Page(33才)128億ドル
 グーグルの創業者、10億ドル以上の株式を売却済み

43 Pierre Omidyar(38才)101億ドル
 ebayの創業者、フランス移民、Meg Whitman に経営を任せ、ベンチャーキャ

 ピタルに専念、Omidyar Network は、無数の非営利、営利ビジネスへ寄付をし

 ている

114 Jeffrey Skoll(41才)50億ドル
 ebayの初代社長、現在第2位の大株主、カナダ人、現在は経営から離れ、映

 画に関心を持ち、エグゼクティブ・プロデューサーとなって、George Clooney

 films(シリアナなど)を制作

147 Jeffrey Bezos(42才)43億ドル、アマゾンの創業者

140 David Geffen(63才)44億ドル 、ドリームワークスの創業者

140 Steven Jobs(51才)44億ドル、アップルの創業者

194 George Lucas(61才)35億ドル、映画制作

(221 Masayoshi Son 31億ドル )
(224 Hiroshi Mikitani 30億ドル)

240 David Filo(39才)29億ドル、ヤフー創業

245 Steven Spielberg (59才) 28億ドル 映画制作

317 Jerry Yang(37才)24億ドル、ヤフー創業、台湾移民

前回の「社会責任企業ランク」で、社会責任行動は、「社会のムードでやるようなことでない」と書いたところ、えりこさんから、ムードでも企業はやるようになるとコメントをいただきました。


確かに、こういうことは起こりますので、社会のトレンドが変わることは大切です。企業が、ムードに触発されて新しいことをやるのは歓迎です。


しかし、その先が問題です。企業の道楽になって、入り口にとどまってしまうのか、深くずっと奥まで行けるのかが問題です。聡明なCEOなら、独特の企業理念に取り入れ、ずっと先まで行ってしまうでしょう。あるいは、その企業固有の事情があれば、どんどん進化して行きます。


フォーチュン・ランクに登場した企業は、社会責任行動を企業固有の事情と融合させて、社会責任行動をどんどん進化させて行ったところだろうと思ったのです。


さて、フォーチュン・ランクの最後で、品質に関するランクです。これ、アメリカならではのランキングで、このランクをつくった経営の専門家の好みは、こんなところにあるのかと凝視してしまいました。


日本では、登場するだろうハードウェアが絶無なのが面白い。品質といっても、サービスのそれのことなのです。こういうのを見ると、アメリカ経済は、ソフト産業主力に経済になってしまってることを実感します。


Quality of products/services :
1 Nordstrom
2 United Parcel Service
3 Walt Disney
4 FedEx
5 Procter & Gamble
6 New York Times
7 UnitedHealth Group
8 Polo Ralph Lauren
9 Herman Miller オフィス家具
10 Anheuser-Busch

社会責任企業ベスト10

テーマ:

フォーチュンランクで、社会責任をはたしているベスト10がこれ(下記)。

社会から最も尊敬されている企業と聞くと、このランクを思い出すが、ランクを見ると、業種にかたよりがある。


特色は、環境汚染の業種(製紙、石油精製、タバコ)、環境コンシャスな消費者を顧客にした小売業、地域会社(電力とガス)である。どれも、社会責任を果たす動機が明確で、やることがはっきりしている業種である。


フォーチュン以外の同様なランクでも、同じような傾向が見られる。こうしたことから、企業の社会責任行動は、企業論理のなかで、動機に必然性がないと、進まないことを思わせてくれる。社会のムードでやるようなことではないのだ。


Social Responsibility :
1 United Parcel Service
2 International Paper 製紙
3 Exelon 地域電力・ガス
4 Chevron 石油
5 Publix Super Markets 食品・ドラックストア
6 Weyerhaeuser 製紙
7 Starbucks
8 Walt Disney
9 Herman Miller オフィス家具
10 Altria Group 食品のクラフトとタバコのフィリップスモリス、ステークホルダー

           に丁寧な説明をしているのが評価されている