1月25日に始まったダボス会議 に、国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長、国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長が参加した。


アナン事務総長
「スポーツは世界の言葉。社会的、文化的、宗教的な違いを超越することができる」


ブラッター会長
「世界のサッカー人口は2億5000万人。10億人が何らかの形でサッカーにかかわっている」


ロゲ会長
「スポーツは民族的少数派も(差別なく)取り込むことができる」


世界経済フォーラムのシュワブ会長によると、スポーツ界の代表がダボス会議に招かれるのは今年が初めてだそうだ。


スポーツの効用に、平和づくり、経済開発があるという発想が斬新だ。この提唱をきっかけにして、スポーツによる具体策が開発されるのだろう。ダブス会議は、また新しいことを一つ始めた。


貧困撲滅策は、グラミン銀行のマイクロクレジット、アメリカの社会起業家がやっている途上国でのビジネス開発、このblogでも何回か書いたが、ユニリーバ・P&Gモデルと呼ぶべきやり方、ビルゲーツがやっている疫病撲滅策など、いいモデルが出始めている。それに加えて、今度はスポーツによる貧困撲滅策だ。


貧困撲滅策をめぐり、ロールモデル競争が行われている。アイディアの出場所は欧米で、日本発のものは一つもない。昨年あったホワイトバンド・キャンペーンの成功をみると、日本だって貧困撲滅に関心は高いが、国際競争力のあるモデル開発はない。


NGOの話を聞くたびに、あぁ、これじゃだめだと嘆息してしまう。


IT産業では、アマゾン、eベイ、グーグルなど、ビジネスモデルの独創性で勝ったが、これと同じで、貧困撲滅の独創的なビジネスモデルで日本の力を発揮しなくてはと思うが、そんな雰囲気はない。


前回、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の女性の理事が、ferocity(獰猛)に貧困撲滅策を考えている話を書いたが、このくらいでなくては生まれない。

なんとかならないものか。

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ライブドアの次はどこか

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新聞や週刊誌は、これをさかんに書いてますが、続発するのでしょう。


こういう現象は、時代の雰囲気が起こしたもので、群れてつながった現象です。起きる土壌があったので、誰でもやっていることだと思います。当局はどこまでやるか知りませんが、種は山積してます。


92年に出版され、ベストセラーになったジェームズ・ステュアート「ウォール街 悪の巣窟」(ダイヤモンド社)という本があります。原題は「DEN of THIEVES、どろぼうたちの巣」ですが、ウォール街の金融犯罪者たりの実録です。
著者は、ウォールストリート・ジャーナルの記者で、87年10月のブラックマンデーの報道と金融スキャンダルのスクープ記事で88年にピューリッツァー賞を受賞しました。


86~89年にかけて、キダー・ピーボディのマーティン・シーゲル、トレクセル・バーナムのマイケル・ミルケン、デニス・レビンなど、投資銀行や投機家の連中が多数つかまり、3~5年の実刑を受けました。摘発したのは連邦検事とSECの捜査官です。


本棚から取り出し、パラパラめくってるんですが、ライブドアは、ほんの始まりで、今年から来年にかけて、アメリカの87~88年のような状況になるんではないでしょうか。今年と来年を予測するには必読の本です。


「こういう現象は群れてつながってるんだ」が、私の言いたいことです。


この本で印象的なことがあります。摘発する検事や捜査官は、ロースクールを出て経験が十分でない若い人でした。対する弁護人は、ニューヨークの大手法律事務所の老練な弁護士です。普通なら捜査官は勝てるはずのない相手ですが、それでも勝ってしまいます。


若い分、正義感が強く、あきらめすに捜査をやったからですが、加えて、これで名をあげるぞという野心(ニューヨークの弁護士事務所に入ったり、大企業の顧問弁護士になる)もあり、これが隠れたエンジンになっていると思ったのです。日本での野心は何なんでしょうか。


こうした事件と社会起業との関係ですが、正の相関関係があります。事件の反動で、社会起業が一層さかんになるはずで、私は、摘発されよと心の中で叫んでます。

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ferocity

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「獰猛、残忍、狂暴、蛮行」という意味ですが、私は知りませんでした。


京都文教大学川本卓史教授のblog (1月24日号)に出てきますが、ミランダ & ゲーツ財団が、タイム誌のマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた特集号に出てくるそうです。


ゲーツ財団に、マイクロソフトを退職した女性の有能なマネジャーがボランティアで再就職し、理事になり事業開発をしますが、彼女は、貧困問題では素人で、そこで ferocity に調査し、ferocity に問題の解決策を考案します。彼女の活躍が目に浮かび、好感を感じました。


辞書を調べてみますと、同じ意味の単語に brutality があり、これは獣性のことで、ferocity は知性の付いたそれなのでしょう。私はこれを知り、ハッとし、そうだと思いました。これは起業家の特性で、優秀な社会起業家は、起業家でもあるので、あって当然です。


社会起業家と聞くと、慈悲心のあるやさしい起業家と思いますが、それは違います。国家が解決できなかった問題を解決するんですから、相当なことでないと成功しません。だから、ferocity が許され、周りも共感するんだと思います。


そういえば、この間TV放送されたニュー・ヒーローに出てくる女性も、ferocity でした。日本でもそれらしいのがいますが、遠慮することはない、自然のまま出せばいいんですよ。

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今度の事件をみて、「バリューシフト 」を思い出しました。
この本、ハーバード大学のビジネススクールで企業倫理を教えてるリン・シャープ・ペイン教授が2003年に出した本です。


彼女は言います。社会貢献活動は、今やお飾りでも道楽でもなく( わざわざ書いてるのは、アメリカでもこれが多いんでしょう )、企業を永続させるためには重要なものだ、企業倫理に力を入れている会社は、信用が失墜したとき回復力が高く、訴訟リスクも少なくし、資金調達や雇用コストも下げる、企業倫理は、企業にとって「得」なのだと。


企業倫理がしっかりしてれば、不祥事は起こらない、信用も失墜しない、がほんとのところです。もし起こったときは、なにをやるよりも第一にやることは、企業倫理を作り出すことで、これが唯一企業を救う。


ソロモン・ブラザーズは、91年に国債入札で不正取引(顧客名義をかたって入札した)を告発され倒産寸前になりましたが、非常勤取締役だったウォーレン・バフェット(有名な投資家)が臨時会長になり、徹底した情報開示経営を行い、世界中をまわって顧客、投資家、当局の人を説得し、企業文化が変わったことを説きました。こうして2年で復活したのです。


これに対し、エネルギー商社エンロンは、バフェットのような人が現れずに、2001年に破綻しました。


彼女は、企業倫理の文化は、スキャンダルに打たれ強い企業をつくると主張してます。これ、新しい視点ですが、ライブドアの経営には、こうした視点が欠けてました。


若い人が経営してたのに、なぜ欠けていたのか、ほんとは若い人ほど、企業倫理に敏感で、肌でわかってるはずなんですが、ここが不思議です。先端にみえて、実は時代遅れの経営だったんです。


ITビジネスは、まだ若い草創期の産業であるうえ、技術・M&A・人などが、激しく動き、変動を大きなものにします。それだけリスクが内在してるんですが、そのために、不祥事やスキャンダルが起きやすい。


数年前ですが、ある若いIT起業家が、製造原価がないぶん粉飾は容易に見分けることができるので、ここに気をつけて投資していると話してました。彼は、それだけ粉飾が多いと言いたかったんです。


こういうの、ソフト産業の特色で、この不安定要素に備えるために、製造業に比べ、一層企業倫理文化を育て、いざというときに備えなくてはいけないのでが、それがなかったのです。


今度の事件のツボはここです。第二のライブドアにならないために、社会貢献活動や社会起業に力を入れたらどうですか。不祥事は、必ず起こるのですから。今度の事件は、社会起業の土壌を大きくしたと思います。

Canpan Blog

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センターhp ソフト化経済センターのHPエッセンス「ネット・ソフト化経済センター 」をつくりました。


これ、日本財団・公益コミュニティサイト「Canpan 」のblog サービスでつくってます。メルマガ「社会起業家クラブ」も掲載してます。

ある人から、センターのHPコンテンツを掲載するには、公益サイトのCanpan がいいと薦められつくってみましたが、使ってみると使いやすく、NPOをやっている人にはお奨めです。


こんな使い方がいいと思います。
公益事業を学んでいる大学生や研究者が、「私のアイディア・思いつき」を書く。
現場で事業をやっている人が、「私の奮戦日記」を書く。

個人でなく、グループで書いてもいいですね。Canpan には、グループサイトもあり、仲間で同一のテーマについて書けます。


昔の公益事業は、役所の下請け団体でしたが、もうそんな時代は終わり、現在は市民の公益活動が旬の時代になってます。全国で同じような活動があるのですから、ネットで発信して行けば、そこで結びつくことができ、問題解決のヒントがいろいろ得られるでしょう。


こんなのが集積すれば、有用な blog になるのは間違いないので、始めてみてはどうでしょうか。

50分2回のTV番組の話で、もう7回にもなりましたが、これで最後にします。


「ニューヒーロ」の題名は、同名の本もあり、やはりアショカフェローがたくさん登場、このTV番組もアショカフェローです。なるほど、”ニューヒーロー”は、アショカがプロデュースしてるんだとわかりました。


アショカは、個々の社会起業家を支援するだけでなく、アメリカで「社会起業」の国民運動を起こしてるんです。その運動の一端がTV番組だったり本だったりします。カネを出してるとは思いませんが、布教・説得をしてるんでしょう。


ハーバード大学に公共医療政策を研究している大変有力なスクールがありますが、アメリカの8000万人弱もいる団塊の世代の老後を社会資本にする「リインベンティング・エイジング」の研究と提案を、2003年にしました。


このことは、前にこのBlogでも書きましたが、このコンセプトを実現するために、「国民運動を起こすが、過去にも同じことをやって成功したので今度も成功する」と自信満々です。


国民運動の策の一つが、メディアとハリウッドに働きかける作戦があります。世論をつくるのです。ハーバード大学はこういうやり方が好きで、アショカを創設したドレイトンもハーバード出身です。日本では、まだここまでやりませんが、ネット時代ですので、メディアやネットを使うのは必然でしょう。


アショカの作戦も同じです。提唱するだけでなく、アメリカ全部を巻き込んだ作戦をたてるのは見習うべきことです。


同じ作戦は、他にもあります。
昨年末に、タイム誌が、マンオブザイヤーを選定しましたが、ビルゲーツ夫妻が選ばれました。このことも、このblogに書きましたが、京都文教大学川本教授は、タイム誌を読み、感想をblogに書いてます

ビルゲイツ夫妻は、マラリアなど疾病の撲滅のために、昨年10億ドルをメリンダ・ゲーツ財団から出しましたが、WHOの試算では250億ドルが必要です。ゲイツの出したのは、二十五分の一にすぎません。

そこで、残る額を連邦政府やイギリス政府が出すように働きかけ、さらに、共感者を探して共同作戦をとり、残る二十五分の二十四の実現にも力を注ぎます。


自らの力で、1→25にするのです。これを「レバレッジを効かせる」といっているようですが、これも国民運動を起こし、国民を巻き込んで実現させるやり方です。


思いは鉄をも貫く、すばらしい活動です。少しは学ばなくてはと思ってるんですが。。。

ニューヒーローに登場した6人は、みな海外で社会起業をやっており、アメリカではない。アショカフェローは、アメリカ国内にもいいのがおり、それもやればよかったのにと思った。国内公共放送なのに、なぜ、海外だけになったのか。


すいぶん前に、アメリカの社会起業家は、途上国好きと気づき、何でだろうと考えたことがあるが、そのとき、思いついたいくつかの説を紹介する。


まず「問題同質説」。
アメリカは、へんなところで、先進国なのに国内に途上国と同じ問題をかかえている。移民国なのと、20年、徹底した市場経済をやり、敗者が増えてしまったためだと思う。

だから、国内に社会問題が山積しており、社会起業家が、活躍する余地は大きい。国内問題と、途上国問題は同質なので、国内の解決策は途上国に有効で、逆も真である。こんなわけで、社会起業では、内外の差がない。


次が、「アメリカ型民主主義押しつけ説」。
ケニアで、手動の灌漑ポンプを普及させる社会起業がある。乾季には農業ができない。そこで雨季にため池をつくり乾季に使うのだが排水が大変、そこで灌漑ポンプを使う。普通はエンジンつきだが、高くて買えない。それなら、昔の手動式を復活してつくり、農家に売ればいいと、手動灌漑ポンプ製造業と販売業を始め、現地の人の雇用をつくり、さらに農業生産高を数倍に上げた。


これをやったアメリカ人の彼は、「農民が豊かになった先で、アメリカ型民主主義をケニアに広げる」と書いていた。


この社会起業は、アメリカでは有名で、このモデルは、南アジアにも普及中である。そうか、社会起業成功の先で、アメリカ型民主主義を押し付けるんだと知った。最終目的は、アメリカ型民主主義の拡散で、前段階が社会起業、アメリカ文化を広げたい気持ちが強いんだなと思った。


なかなか戦略的なやり方で、こういうのも社会起業のエンジンになっていると思う。


三番目が「母国同胞支援説」。
インドからニューヨークへ移民した人は、NYで同胞を支援してるが、同じ手法は、母国の親戚や知り合いにも応用できると気づく。そこで、母国に進出するのだが、これ、恩返しである。こんなのもあるでしょう。


最後が「新産業開発説」。
途上国といっても、ブラジル、インド、中国の三か国が大好き、マーケットが大きいからである。こういう社会起業には、モルガン、ゴールドマン、シティなどの大銀行が資金を出し、専門家を参加させている。


これ、結構あります。なるほど、社会起業は、新産業開発の一番先端なんだと気づいた。だから、寄付でなく投資のつもりでカネを出す。企業から見ると、国内よりは有望な途上国でやってくれた方が、支援しやすい。社会起業家が、企業とパートナーシップを結んでおり、企業のいろんな経営資源が使えるので、確かな社会起業になる。


私は、この最後のタイプに関心があり、調べてるのだが、企業から見ると賢いやり方で、日本でも応用ができるので、やってほしいと思っている。


問題同質、民主主義の拡散、母国支援の点では、日本は真似しようもない。日本では、日本型があるはずで、それに沿うのがツボである。

6人目が、Dina Abdel Wahab (エジプト)、幼児の障害児教育をカイロでやってます。組織名は Baby Academy です。2003年にアショカフェローに選定、彼女のページはここ


エジプトでは、障害児は、家に閉じ込め隠すのが普通で、学校に入るなど、とんでもないことです。彼女は、ダウン症の子供の母親で、法律では学校に入学できませんが、その伝統的な慣習に挑戦しました。
フランスとアメリカの障害児教育を調べると、学校教育をやっているじゃないかと、これらの国のカリキュラムを持ち込み、幼稚園児に普通の学校へ入学できる教育を始めたのです。


この試みには、そうだという賛成者が現れ、教師養成のトレーナー、事業開発の専門家などが参加しました。そんなことをやる熟度に達してたんですね。政府の関係者も驚き、政府がビデオを製作し、障害児も教育できるという広報をやったり、相談電話をもうけましたが、問い合わせは4ヶ月で16万件にもなりました。


彼女は、エジプト中に分校をつくって規模を拡大し、フランチャイズでノウハウを移転して、中東全域へ進出する考えです。こういやり方が、アショカ流です。IT業界では、ドックイヤーといいますが、アショカも同じで、よいことは一気呵成に広げてしまうのです。


彼女は、「社会問題を解決するのは、起業家の方が、政府より上手」と番組で語ってました。カイロ生まれで、アッパーミドル階層出身、French Lycee school(彼女は、フランス語ができます), American University of Cairo で教育を受けました。
1992年、 大学生のとき, the Environmental Awareness Association を創設, 国連の「マイクロクレジットで中東開発」をするプログラムをやってましたが、若いときから、それらしい人でした。


アショカの評価は、「Dina is a powerful model for other mothers and fathers of children with special needs」


私、彼女の場面で、明治の社会起業家を思い出しました。
明治20年ごろまで、医療、救貧、市民教育、障害者ケアーなどは、市民の仕事でした。今もある高校や大学、赤十字、病院、孤児院、上野の文化施設などは、このとき市民がつくったのです。


維新政府は、そこまで手が回らず、市民が社会起業を当たり前のようにやってました。それをやったのは、仕事がなくなった江戸幕府の選良たちです。彼らのキャリアの金ぴかぶりには驚きます。今で言うと、財務省や総務省や経済産業省の官僚が失業してやったようなものです。


彼らは、維新政府から誘われても応じませんでした。そこが偉いところで、福沢諭吉は、「やせ我慢の記」で、勝海舟や榎本武揚を非難し、なぜ寝返ったのか、私は誘われても断ったぞ、許せないと書いてますが、やせ我慢の高性能な人材が投入されたので、事業はどんどん進みました。


こういうのを、市民がやった公益活動といいますが、日清戦争や日露戦争時代になると、市民の公益活動を国家が取り上げ、戦争体制をつくることになります。以後、今日まで公益国家独占時代が続いており、それを再び市民が取り戻す時代に入ってます。


Dina は、明治初期の社会起業家と同じだと思ったのです。エジプト政府が、維新政府のように取り上げなければいいのですが、どうでしょうか。公益国家独占になる心配もするんですが。

ここからが、番組の2回目に登場した社会起業家です。今回の2人は、インドとタイで幼児売春で売られる子供を取り戻し、職業教育をする話で、私の知らないすざましい話でした。


Inderjeet Khurana インデルジェット・ウラナ(インド)は、地方都市 Bhubaneswar, ブバネスワー、Orissa の駅に学校(platform schoo)をつくって、Ruchika Social Service Organization を経営してます。

駅近くに、地方から上京してきた人のスラム街があります。ここでは、男児はギャングになり、女児は売春婦になるのが運命です。男は14才まで、女は10才までに救済しないと、ギャングなるか売春婦か、さもないと自殺しかない世界なので、悲惨だ。


そこで、駅の学校で、職業訓練をやり、子供に自立の道をつくります。ミシンを学んだりと当たり前の教育ですが、5つ星のホテルの料理人になったり、音楽大学を出たプロの笛吹き奏者にまで出世した人もいるらしい。「学校は希望を運ぶ」「インド中の駅に学校をつくる」と燃えてます。


Inderjeet は、BA from Isabella Thobure College, in Lucknow のあと、Mother Teresa のアシスタントを務め、幼児教育の大切さを知り、25年間幼児教育の専門家として仕事を続けてきました。

1977年~78年に、夫が軍隊をリタイアしたので、Bhubaneswar でたった一人のために小学校をつくったのが、この物語の始まりです。その後拡大し、現在では、生徒620人、教師30人、助手35人になってます。生徒は、6才から14才まで。


2003年にアショカフェローになりましたが、そのページはここ


次は、Sompop Jantraka (タイ)です。 北部国境都市 Chiangrai シャングライは、ラオス、ミャンマー、中国から児童がつれてこられ、100ドルで売られ、処女願望の観光客相手に売ってから、バンコック、パタヤ、チェンマイの性産業に売られます。ここは、麻薬と児童売買の巣窟です。


そこで、児童買春を防止するために、1989年にDEP Development and Education Program for Daughters and Communit を創設、8つの the Daughters' Education Program によって、2000人の職業教育をしました。

彼は言います。「10才までに救済しないとだめ、14~15才では遅すぎる」


番組では、中国から売られてきた子供が、彼のところに逃げてきて、両親の所に帰りたいと訴える場面がありました。身分証明書は売人に取り上げられており、すぐに中国に戻ることはできません。そこで、両国の大使館と連絡をとり、身分証明書を発行してもらうことから始め、両親のもとに返す。


タイでは、性産業は大きな産業で社会に深く広がっている。性産業は、役人、警察などとつながっているので、脅しなどしょっちゅうあり、幼児売春防止は容易ではなく、体をはった事業だが、彼の風貌は、いかにも対抗できるようなすごさがあった。


しかし、実際は相当なインテリです。Sompop は、南タイの貧しい家庭に生まれ、7才から働いていたが、小学校と中学校の教育を受けるためにお寺に入り、14才~16才のとき、アメリカから来た平和部隊の人に強い影響を受け、生涯のゴールを決めました。

the University of Chiang Mai を卒業後は、10年近く政治経済学の研究をし、売春の経済学でプロと認められるようになる。こんな経済学があるなんて、タイらしい。これが、現在の事業につながり、タイで子供の人権を擁護するネットワークをつくったり、国際ネットワークにつなげたりと、壮大な事業になってきました。


1994年にアショカフェローに認定、そのページはここ


先日、「SAYURI」を見ました。大正時代の話らしく、北陸の漁村で、飢饉のあと、娘が京都に売られて、芸者になる話でした。幼児売春は、日本だってあったことです。「体は売らない、芸を売る」気概は、見てる者をほっとさせますが、結局、電機メーカのオーナー(これが渡辺謙)の2号になり、夜だけの妻になり、まあ、幸せになったんでしょうが、「太陽が下に光をそそぎ、雨が下にむかって降るのを、もっと下に向かってそそげ、降れなんていったって無理なこと、夜だけではさびしいことだが、これ以上のことを望んではいけない」が、最後の場面で、この最後は、なんともいえない味があり、気に入りました。


今の日本は、ほんとによい所です。

三人目は、グラミン銀行をつくったムハマド・ユヌス。有名なので事業の説明は省略するが、番組で、「事業の狙いは、不公平な制度の破壊」「返済をすることで、自尊心を回復し、とるにたりない人間でないと自覚するのがすばらしい」「あきらめずにがんばる精神が女性にある」と語っていたのがなるほどだった。


意外だったのは、ユヌスに批判が多いことで、「ほんとにカネがいる極貧層に貸さない」「国際機関と競合、軋轢を起こす」「女性優遇はけしからん」、批判は、ねたみだけでない。


ユヌスは、番組で正面から答えた。
ほんとにカネがいる極貧層に貸さない点では、ときどき露天商をやり、ときどき物乞いする最下層の女性に20ドルの融資制度を開始し(70年代に始めたユヌスの最初の融資は、27ドルだった)、融資金授与式が場面に出てきたが、ユヌスが、女性に一人づつ、「これはあなたのカネです。賢く使いなさい」と渡していた場面があった。
ユヌスは寄付のつもりだろうが、事業に使い成功する例も出てきて、返済があれば、また新しい物語が始まる。


国際機関と競合、軋轢を起こす点では、「わが道を行く」と断言し、この批判は無視。ユヌスは、援助に巣くってる人には邪魔者だが、そんなのは蹴散らかす気持ちなのだと思う。


政府援助 → NGO → 社会起業の進化の段階がある。80年代と90年代は、NGOが花になった時代だったが、もう時代遅れで、今や社会起業で貧困を解決する時代になっている。


ユヌスが開発したマイクロクレジットが、そのモデルの一つだが、まだある。
アメリカの経営学者が書いた本で「ピラミッドの底の富」という、2003年に話題になった経営書がある。ピラミッドの底とは、最下層の人であるが、これを消費者として考え、事業を展開する話。最下層は、この事業で豊かになる。


インドで、一日2ドルで生活している女性が、シャンプーや石鹸を同じ2ドルで生活している人に売る事業で、P&Gやユニリバーなどの多国籍企業が開発したビジネスモデルである。あるいは、インドの携帯電話会社が、この層に携帯電話を売り、買った人は、携帯電話センターを設けて、それを貸す。いずれも元手が必要だが、それを貸す地元の銀行もできた。


企業力が、貧困を解決するモデルで、新しい多国籍企業モデルである。この本には、多国籍企業は200ぐらいあり、アメリカが一番多いが、二番目は日本と書いてある。大企業が、自ら社会事業開発をやり始めた話で、経営学者はそれをすすめているのであるが、日本の企業は、まだそんなことをやっておらず、経営学者もすすめてないので誰も知らない。


この二つのモデルは、NGO → 社会起業に向かってるよい証拠で、これから、ますますそうなるだろう。


男尊女卑社会で女性優遇はけしからんという点では、女性は起業家向き、理由は、つけたしの存在から自立の道を作るインセンティブが強烈だからだと言う。


これは日本でも同じ。高知のイチゴ農家のショートケーキ屋さんが有名になっているが、かつおつり漁港に、農家の主婦10人ぐらいでケーキ屋さんをつくり大人気、形が悪くて市場に出せないイチゴをショートケーキに加工して当てた。始めた数年は、赤字で大変だったようだが、TVで農家のおばさんが、「農村の女性はつけたしの助手、これではいや。店舗経営は、自主的にできるのでやいがいがある」。この精神が成功をもたらした。どこでも同じで、ここがツボ。


批判に対するユヌスの回答は、どれも見事だった。