用済みな公益法人の一掃

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前回、公益法人改革の話したがその続き。
国会法105条に基づき、会計検査院が70法人の116基金を調べた。国庫補助総額は約1兆3000億円に上り、国民生活や特定産業の支援、育成など個別の目的ごとにプールされている。


その結果が、10月の国会に報告されたが、33基金がほとんど利用されず、うち12基金は、01~04年度まで4年間の事業実績が著しく少なく、全国商工会連合会、プラスチック処理促進協会、電炉業構造改善促進協会の基金は、利用実績がわずか1件ずつしかなかったほか、古紙再生促進センター、食品流通構造改善促進機構の基金は各3件だけだった。


こんなのが、公益法人のだめな実態で、これほどひどくなくても、似たことはまだたくさんあるのだろうと思う。ほんとは、基金が用済みになったときに解散して国庫に返還すべきことだが、放置されたままになっていた。


今度の公益法人改革によって、旧公益法人は、自動的に新公益法人に移行するのでなく、見直されてだめな法人がごみ掃除のように一掃されてきれいなものになるのではと思う。


先進国比較で、日本は、英米に負けないほとの非営利法人の活動が大きな国だが、実態は官庁の下請けのような法人が多く、これが日本の後進性と他国から指摘されていた。数年でこれがなくなるだけで、今度の公益法人改革は、価値のあることである。

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公益法人改革概要

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政府は、公益法人改革の概要を決めた。
1、社団・財団法人、中間法人は廃止(NPOを含める議論もあったが今回は除

  外された)
2、新たな非営利法人をつくるために3月に関連法案を国会に提出
3、2008年度から新制度に移行
4、非営利法人は登記のみで設立できる
5、公益性があると認められた「公益認定法人」のみが非課税になる
6、公益性の認定は、民間有識者による第三者委員会が行ない、内閣府と都道

  府県に設置
7、現在の社団・財団法人には5年の移行期間を設け、移行期間中に公益性の

  認定を申請し、公益認定法人とならなければならない。

  (12月26日 読売新聞


新非営利法人は、届け出だけで設立できるので、NPOと同様に使い勝手がよく増えそうだが、所得が非課税になる公益認定法人にならなければ意味がないので、そのあたりが問題である。


読売新聞には、「公益事業と営利事業の線引きや、公益性の基準をどうするのかなどの判断は容易ではない。第三者委員会は重い課題を背負うことになる。委員の人選が重要になり、事務局に民間人を起用する案も取りざたされている。」とある。


公益性の認定を、イギリスではチャリティ委員会(財務省管轄下の独立委員会)が行っており、アメリカは、内国歳入法501条で要件を明示し、税務当局が行っている。日本はイギリス型を採用した。
両国ともに、数十項目を明示し、認定基準をつくっており、基準づくりは難しいことでないので、日本だってできることで、言われてるほどの問題ではない。


問題は、現存する公益法人が、新法人へ移行する点にあり、公明公正に、26,000法人のうちどのくらいの数が移行できるかである。一説では、10,000ぐらいが事業をやっていないか、用済みだと言われており、これは消える。残ったものでも、21世紀の公益性の観点から存在価値がなくなってるものもあるだろうから、移行できるのは10,000以下ではないのか。


政府は26日、各府省の課長・企画官級以上で、今年8月15日までの1年間に退職した国家公務員1206人の再就職状況を公表した。財団・社団をあわせた公益法人が438人で最も多く、36.3%を占め、自営業222人、営利法人160人となっている。(朝日新聞、12月26日


相変わらず公益法人が再就職先になっている。こんな状態で、有識者委員会は、いろんな認定圧力に負けない力量が問われる。例えば、情報公開して市民の監視下でやるようなことが必要なのでは。


日本の公益法人は、官庁の認可のうえ、天下りや補助金などがあり、先進国のなかでは、いびつなかたちをしたものだと他国から非難されていたが、これでやっと後進性を廃し正常な姿に戻れるのだから、誰もがなるほとと思うような移行をやって欲しいのだ。

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さっぽろ農学校

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日経の電子版 にこれが出ている。


札幌市の農業体験講座「さっぽろ農学校 」のOB約20人が集まり、NPO「さっぽろ農学校OBセンター」をつくり、市から1ヘクタールの遊休農地を借り、スイートコーンや大豆など十種類程度を栽培し、市のイベントなどで直売する。4~5年後には5~6ヘクタールに拡大する。


市民農業講座「さっぽろ農学校」は、経済局の農政課がやっている農業体験、知識・技術の習得講座で、何十もある市民講座の一つである。
2001年にスタートし、基礎コースは定員30人、期間3ヶ月、受講料は12,000円、上級の就農コースは20人、半年、25,000円、定員の何倍も応募があるほど人気講座で、老若男女が参加している。


OBは、200人ぐらいになるが、その有志が集まり、農業を事業にしたNPOを設立する。農業は、9月の法改正で一般法人でも参入できるようになったが、NPOは道内では初めてで、他に広がる可能性がある。


2006年は、遊休農地の再生に取り組むが、団塊世代が2007年から定年退職するのを狙い定年帰農を進めたり、市から農学校の運営を受託したり、市内の農家に会員を派遣し、農作業を手助けする事業もやって、活動を広げて行く。


都市近郊の遊休農地に目をつけた着眼点がよい。遊休農地は、過疎地のものだが、都市近郊でも農家の高齢化によって遊休農地が増えている。昔なら、アパートやマンションになったり、ファミリーレストランやスーパーやホームセンターに転用し、非農地化できたが、どれも成長期を通り過ぎ、転用需要が減ってるので、農地として再生するだろう。


最近見た中では、大変できのよい社会起業のビジネスプランだが、そこで、アメリカでやる社会起業を評価する5つの基準で評価してみたい。


Aspiration(社会を変える展望)
衰退一方だった都市近郊農業を再生し、緑地を保存して環境問題に取り組み、健康コンシャスになっている消費者に向かって農産物を提供するのはトレンドに乗っており、しかも、団塊の世代対策になっている点、A+ の評価。


Sustainability(事業には持続性があるか)
都市農民になるのは、今やかっこのよいライフスタイルになっているので、なり手は多いだろう。また、都市遊休農地も増えるのでだいじょうぶ。趣味でやる一坪農園よりもずっとやりがいがあるはずで、団塊の世代をソーシャル・キャピタル化する具体的なよい方法を提示してるので、ここも A+ である。


Social Impact(影響と広がりは強力か)
ビジネスプランがシンプルな点他の都市でも真似ができる。農水省あたりが旗を振ってロールモデルを作り、自治体が、遊休農地の斡旋だけやり、農業資材や器具は参加者が負担したり、販売代金でまかなえば、補助金は小額ですむので財政負担は小さく、すぐにできる。広がりがあり、ここもA+ である。


残る二項目が、Entrepreneurship(起業家精神があるか)とInnovation(解決策は革新的か)であるが、その点が少しもの足りずにかB+ といったところ。


「札幌農学校」は、由緒あるブランド名なのだから、国民運動を起こす中心になるぐらいのことをやってほしい。団塊世代の次の出口だけでなく、ニートが社会に交わるための入り口にしたり、障害者の雇用の創造、精神を病んでいる人々の回復の場所。。。いろいろな事業の発展が思いつく。こうした点で、ロールモデルをつくって示して欲しいのだ。


農業体験、農業学習は、全国のどこでもやっているが、園芸や家庭菜園などの趣味の領域のことで、さっぽろ農学校は一歩踏み出し、事業にしたのがよい。広がりが大きくなりそうな事業で、持続性の点でも優れたプランである。あとは、起業家精神や革新性を加えて磨けばよいが、食品企業やIT企業と提携すれば、革新的な事業モデルになりそうな感じがする。


将来、「都市近郊農業の再生は、さっぽろ農学校から始まった」と言われるぐらいのことを期待したいのだ。

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三菱重工業は、風力発電装置の生産能力を、メキシコ工場の設備を増強し、3倍に拡大、年600―700基に引き上げる。米国などの需要増に対応、風力発電を原子力やガスタービンなどに続く電力分野の主力事業に育てる。(日経、12月22日


重電は典型的な成熟産業になってしまっていたが、数年前に、ドイツとスイスの重電メーカーが、風力やバイオマス発電機の生産設備を主力事業にする戦略をたて、研究開発投資や設備投資を始めた。このとき日本企業は遅いリストラ中で、これでは競争に負ける思ったが、やっと新路線に踏み出したのはよいことである。


最近の製造業は、アナログTVがデジタルに変わったり、ウォークマンがipodに変わったり、ビデオがHDDになったりしてるが、これを社会性の強い新製品とは思わない。代替製品だからで、最近はこれが多い。


これに対し、製造業でも「社会性の強い製品」がある。ここに出てくる風力発電機がそうで、新しい社会需要に対応し、それを供給することであるが、これは社会事業の匂いが強い。


例えば、明治時代の生活史に、明治時代の半ばにエンジン付の漁船が東北の漁民へ普及したとき、それを神のように崇めた話が出てくる。強力なエンジンで波を乗り切り海難事故を防ぎ、遠くの漁場に出かけて漁獲量があがったからである。


19世紀の初めにイギリスで産業革命が起こり、機械化された紡績機ができたり、蒸気機関車が登場したが、このとき、人々は、工業を社会性の強いものと思い、「かっこよい」と感じ、社会の進歩に役立っていると感じたはずだ。20世紀初めのフォードの自動車もそんな存在だったのだろう。


このように工業化初期の製品には、みな社会性が付随しており、社会事業開発の色合いが強かったのだが、それが工業の成熟化とともに、こうした感性が薄れてしまい、大企業からこの感性がなくなったのが問題である。


ところが、企業からなくなってしまっても、非営利法人活動でそれが復活してきたことを感じる。特に、アメリカの非営利法人ではそうで、途上国向けの医療器具の開発がよい例で、このブログでも何回かそれを取り上げた。


社会需要の出現は、企業にとっては新しい市場だが、見えないために非営利法人に取られてしまっている話である。アメリカの大企業は、最近それに気づき、社会貢献でなく社会事業開発に投資する傾向が出てきたが、この三菱重工の話は、それと同じトレンドだ、これは斬新だと思ったのである。


企業は、成長分野の社会需要を追っかけることで、忘れていた社会事業開発をやるようになるのだろうと思う。いうなら、工業の先祖帰り現象で、こうなることで、社会起業家とのつながりが強くなってゆく。

プロ野球NPO

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横浜ベイスターズは、地域のスポーツ振興を手がけるNPO「横浜ベイスターズ・スポーツコミュニティ 」を、12月に神奈川県に申請し、4月ごろから事業を始める。新日本石油野球部と共同して、少年野球教室や中学校野球部への指導をおこなう。


プロ野球がNPOをつくるのは、ソフトバンクの「ホークスジュニアアカデミー 」(8月設立、九州での野球振興)、ヤクルトの「つばめスポーツ振興協会 」(8月設立、野球、ラクビー、陸上教室)につぎ三番目である。


プロ野球には、いろんな問題が噴出しだしており、難関突破のために地域に溶け込み、地域球団の色彩を増そうとしてるが、NPO化はその戦術の一つで、ほかの球団にも広がりそうである。


ソフトバンクは、孫さんの意向らしく、ヤクルトは古田新監督の意向がはたらき、横浜は、NPO活動がさかんな土地柄のせいなのか。楽天は、新しい球団のうえに、仙台の市民球団を標榜してるのだから、ほんとは一番最初に始めればよかったものを、一番乗りの名誉を逃したのは、どこか抜けている。


実は、スポーツはNPOと相性が大変よい。というのは、スポーツは社会性が強く、またスポーツ文化というように文化性も濃厚だからである。特に、日本社会ではそうした感性が強く、日本にあったやり方で自然である。


こんなわけで、プロ野球NPOは、青少年野球教室から事業を始めるが、その先、本体の営利活動とうまく住み分け、スポーツNPOの新しい領域を開発して行くのではないかと思う。


地域密着のプロスポーツでは、Jリーグのほうが先に行っている印象が強いが、J1とJ2のクラブでNPOをつくってるのは一つもない。実は、Jリーグのクラブで非営利法人になってるのはモンテディオ山形が社団法人となっているだけで、あとはみな株式会社である。


数年前、Jリーグの事務局長に会ったとき、クラブ運営は、非営利法人のほうがよかったのにとただしたところ、Jリーグが開幕した93年にはまだNPOはなかったので、みな株式会社になってるんですよ、これからの課題ですねと言っていた。Jリーグのクラブは、独立性が強く、全体の方向づけが大変な様子だった。


難関に直面したプロ野球で改革機運が起こり、NPO活動では、サッカーを追い抜き、先が面白くなりそうだ。

ビルゲイツ夫妻とボノ

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タイム・マガジン は、恒例の「今年の人」にマイクロソフトのビル・ゲイツ夫妻とアイルランドのロックバンド「U2」のボーカル、ボノを選んだ。


「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」を通じて、途上国の疫病撲滅に巨額な資金を投入、ボノは、7月のグレンイーグルズ・サミットに合わせ、アフリカの貧困撲滅を訴えるコンサートを開催、債務削減をセクシーなものにした。


選考理由はこうである。
「The Good Samaritans For being shrewd about doing good, for rewiring politics and re-engineering justice, for making mercy smarter and hope strategic and then daring the rest of us to follow 」


朝日新聞 はこう訳した。
「いいことをすることに如才なく、正義を設計し直し、慈悲を格好良く、希望を戦略的にし、ほかの人たちを追従させた」

これ出来のよい意訳だが、丸く収めている感じ、タイム編集者の真意は、貧困の撲滅を政府援助や世銀融資でなく (これだと間に入った悪い政治家や官僚がカネを抜いたり、官僚主義で生産性が低くなる)、民力だけで貧困撲滅をやる手法を開発し、慈善活動をかっこよくして新世代のものにし、英米の人々を大胆にも巻き込み、大きな影響を与えたことを、褒め称えたのだと思う。


1年前がブッシュ大統領だったので、その反対を選んだことで、アメリカは、全く変わっちゃたことを世界に発信している。


三人の組み合わせは意外だが、アイルランドは、アメリカ人の母国で、アメリカ人にとってはピーンと来るところもあるんでしょう。
また、タイムの電子版には、ゲイツ夫婦とボノの三人の対談(冒頭の写真)がのっているが、三人は前から知り合いだったらしい。


対談で、ゲイツは、マイクロソフトの共同創設者のポール・アレン(ギタリストでもある)から、音楽への関心を植えつけられ音楽通だとか、シアトルであったボノのコンサートへ行き、ただ本人を見たいというほかのフアンと違い精神的な刺激を受け、興奮して午前3時まで話合ったとか、ゲイツ夫妻は、月に一度反省会をやり、財団やマイクロソフトなどのことで、正しい道を行っているのかどうか話し合い、ずれていると軌道を戻したりするとか、途上国の悲惨な現場を見ると、落ち込むのでなく、誰よりも楽観的な希望をだく(解決策をみつける)とか、メリンダ主導で話が進み、この金持ちは、奥さんのおかげで社会とのつながりをつけていることがわかって面白い。


ゲイツ夫妻もボノも社会起業家なのだが、さて、この三人に相当する日本人は誰か考えたのだが。。。すぐに思い浮かばないのが寂しいが、遅れて日本でも出てくる予感はすると楽観したい。

2006年度税制改正で、個人が公益法人(社団と財団)やNPOへ寄付しやすくするため、所得税の寄付金控除の範囲を、「1万円を超える部分から5000円を超える部分まで下げ」、控除範囲を拡大する。

日本の1世帯当たりの年間寄付金額は約2900円で、アメリカの約19万円の60分の1、欧米のように個人が民間団体に積極的に寄付する文化の育成を目指す。(12月15日読売新聞


これだけではたいしたことにはならない。NPOで寄付金減税に認定されているのは、2万5000近くあるNPOのうち、30数団体だけであきれるほど少なく、原則寄付金減税はしない精神である。公益法人だってそんなに多くないので、少ない所への寄付金範囲を拡大したって、寄付金文化が育つなんてことにはならない。


この他、来年度の税制改正大綱には、認定NPO(寄付免除が認められたNPO)の認定要件を緩和するために見直しを行い、公益法人改革(法案は、次期の通常国会に提出されて、2008年度から実施予定)に対応した措置を講ずると書かれている。この二つについては、例えば、認定NPOは過半のNPOをそうするようなことにすれば(新聞の観測記事では、そうした意見が出ていると伝えている)、やりようでほんとに寄付金文化育成の起爆剤になりうる。


税調では、審議の様子をネットでビデオ放送してる ! が、それを見ると非営利法人への寄付金を増やす税制をめざしてることが、委員の発言からわかる。増税が当たり前の時代に逆行するが、もうなんでも税金でやる時代ではないので、民力が活躍できるよう資金をそこへ誘導するような税制にするのは、もう逆らえない天命に近い自然なトレンドになっている。


そう考えると、1万円を5000円まで下げる改正は、それ自身はたいしたことでないが、天命の始まりの現象が起こった重要なできごととみることができる。


日本は寄付の少ない国だったが(それは国家がなんでもやるので必要ないことだったから)、税制面から、民力による非営利法人活動のインフラが整ってくる動きが始まり、非営利法人活動には、急に追い風が吹いてきた。

イギリスの人気職業

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ブリティッシュ・カウンシルのホームページに、最近、イギリスで人気の職業が出ていた。


1位 美容師、2位 聖職者、3位 シェフ、4位 エステティシャン、5位 配管工。


資格授与機関シティ&ギルド協会がやった調査で、人を幸せにする職業が、やっていて満足感が高いので、こうなっているそうだ。


美容師が一位なのは、「若い活気に満ちた、流行の先端を追いかける職場で、大勢の若者と接し、ばりばり働く人たちと一緒にいるのが楽しい。美容師っていうのは感謝される仕事、お客さんの気分もルックスも良くしてあげるんですから」


聖職者と配管工が入ってるのはイギリス的な事情であるが、「クリエイティブな仕事」で、さらに「人を幸せにできる仕事」に人気が高いのは、ソフトな時代には自然なことで、日本でも美容師、シェフ、エステティシャンは同じ。


クリエイティブで活気に満ち、人を幸せにできるのは、社会起業家になりたいとのと同じ感性で、根っこがつながっていると思ったのである。


自民党税制調査会の試算によると、05年度から07年度の3年間で家計の負担は5兆円増える。


06年度は前年度比で2.1兆円増えるが、これは99年に導入された定率減税の廃止と国民年金・厚生年金の保険料引き上げなどのためである。 07年度は前年度に比べ、すでに同1.8兆円の負担増が確定。


景気回復が続くうちに財政再建を進めたい政府・与党は、税や社会保障制度で負担増を相次いで打ち出している。(朝日新聞 、12月3日)


歳出カット、増税、自己負担増によって財政再建のプロセスが始まった。これは80年代に英米がたどった道で、この土壌から社会起業家が出現した。日本でも社会起業家の出現の土壌が整ってきた。

新しい社会問題が増えるにつれ、自治体では相談窓口が増える。最近の出来事では、欠陥マンション問題から、この相談窓口ができ、また、新規上場株をめぐる詐欺的な事件(上場株をすすめ、株を渡さなかったりする事件)から、金融庁に電話相談窓口で相談できると新聞が伝えている。


当座は起こってしまった事件の相談だろうが、そのうち相談窓口が、うまく機能しだして、事件になる前に予防できるなら、社会コストは減るので望ましい動きである。

昔、伝染病を防ぐために下水道を作ったり、火災を防ぐために建築基準法ができたりと、行政の仕事には「予防行政」があったが、そんな時代に再び戻る予感がする。


しかし、相談窓口は、うまく行くのかどうかは疑問で、こんな話がある。
子どもへの虐待相談窓口は、児童福祉法が4月に改正され、都道府県の児童相談所から市区町村に移ったが、担当者の3割以上が児童福祉司の専門資格を持たない一般職員であることが、厚生労働省の調査で分かった。
さらに、緊急対応のための夜間や休日相談は、過半数の自治体が受け付けていない実態もわかった。


調査は、全国2399市区町村を対象にして6月に行った。担当職員は計6951人(うち専任2016人)、最も多かったのは資格を持たない「一般行政職員」の37%、次いで「保健師・助産師・看護師」の資格を持つ職員が25%、専門知識を持つ「児童福祉司」は5.3%だった。
朝日新聞 、12月2日)


私は、こういう記事を読むと、自治体は自分だけで全部やろうと考えすぎて、すでにある市民の同じような活動とパートナーシップを結ばないのだろうか、そうしたほうが、ずっと効果を上げるのにと思ってしまう。
自治体の職員に児童福祉司を増やそうと思っても、今は職員を削減する時代なので、どこかを削らないとすぐにはできない。


そこで、市民社会で始まった活動と連動すれば効果があがる。パートナーシップなどやったことがないので、初めはとまどうが、新しい行政サービスを創造すると思えばやる気の職員が出てくるのでないか。


90年ごろのアメリカの自治体であった話であるが、相談が多くなりすぎ窓口がパンクして、もうやってられないと相談サービスが、民間の非営利事業に移転した。これを読んだとき、なるほど、自治体のサービスが民力のサービスに変わるのは、こんな当たり前のことが起こって変わるのだ、目から鱗と感心したことがあるが、これから日本でも起こりそうなことである。


行政は、なんでも自分でかかえず、既に始まっている市民社会の社会起業に仕事を譲れといいたいのである。