アメリカの公民起業家

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今回から何回か、アメリカからゲスト・スピーカーを招いてやったフォーラムと専門家会議のトッピクスを書いてみます。その第一回目。


公民起業家は、役人の起業家のことですが、イギリスのシビック・アントレプレナー(シビル・サーバントの起業家のこと)を、私がこう訳しました。


8月29日、アメリカから来日した社会起業家助成非営利法人、ASHOKAとREDFの経営者を招き、アメリカンセンターで専門家会議がありました。日本側の参加者は、社会起業家、その研究者、官僚、大学の先生など、30名ぐらい。


前半に、日本の社会起業家7人が、”私の事業”を5分ぐらいずつ話しましたが、それを聞いたアメリカ側の感想は、数年前に比べ、日本では社会起業家が急速に事業を進めている、アメリカとかわらない、たいしたものだというものでした。
日本人として、うれしい感想です。


午後の討論の時間に、日本の公民起業家のことが話題になりました。来日したASHOKAのビル・カーターさんは、ビル・ドレイトン(アメリカでは高名な人です)といっしょになって、ASHOKAを創設したメンバーですが、ドレイトンとともにEPA(環境保護局)にいたことがあり、ここで排出権取引のモデルをつくった人なので、カーターさんは、公民起業家をやっていたことがあるでしょう、それ話してくださいといったところ、こんな話をしました。


マッキンゼーでコンサルタントをやっていたとき、ある州から環境対策のプラン作りの依頼があり、排出権取引を提案しましたが、州の側からこれは全米に広げたほうがよいとなり、カーター政権に働きかけ、EPAでも取り上げることになり、マッキンゼーを辞めて転職し、現在の排出権取引の政策をつくったそうです。彼が、30才代の半ばのことでした。

政策ができると、もうここでやることはないと、EPAを辞め、ASHOKAをつくったのです。


コーヒーブレークのとき、カーターさんは、私のところへ来て、さっきはよくぞ言ってくれた、私は排出権取引の研究を10年もやってきたのだぞと、10年を数回繰り返し、その政策が、京都議定書で世界中で実現できそう。。。と誇らしそうな顔をしました。


カーターさんは、もう60才ぐらいの人ですが、目の前のこの人が、排出権取引の元祖なのかと、私は感動しました。また、マッキンゼー → EPA → ASHOKAと渡り歩いたキャリアを思い、元祖に甘んぜず、面白い仕事をもとめて、転々とした生き方がナイスだなと思ったのです。

社会起業家運動のリーダーには、こういう人がいて、うらやましいですね。

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社会起業は、最貧国をターゲットにすることが多いが、Endeavor は、エマージング・マーケットに焦点を絞っているのが優れた点だと思った。HPに書いてあるターゲットはここだ。


・アジアー中国、インドネシア、インド、タイ、韓国
・中南米ーアルゼンチン、ブラジル、メキシコ
・中東とアフリカーエジプト、イスラエル、南ア、トルコ
・東欧ーチェコ、ハンガリー、ポーランド、ロシア


ここで起業家をつくるのが狙いである。
98年にアルゼンチンとチリーで起業家育成を開始、2000年にブラジルとウルガイ、2002年にメキシコという具合に進んできたが、アルゼンチンでは、経済の崩壊にもかかわらず、Endeavor の起業家は、売上高を60%以上も伸ばし、Endeavorモデルの強さを人々にみせ、モデルの格が上がった。2004年に南アフリカへ進出。

以後、上記の国へ広げて行く。


工業化に成功し、高成長を続けてるところもあり、外資がどんどん入ってきているので、いまさら支援は必要なさそうだが、そう考えるのは公的な機関で、そうでないという発想が、民間らしく気概を感じる。


アルゼンチン、ブラジルなどで、起業家がてがけた分野は、IT・ネット、マイクロ・ファイナンス、PCソフトウェア、マーケティング、小売り、外食、物流など、アメリカが強いソフトな分野が多い。もちろん製造業がないというわけではないのだが。


日本で、エマージング・マーケットの成長というと、技術移転したり、工場を建設するなどの直接投資を考えるが、そうでなくソフトなビジネスを狙い、ハードウェア思考でなく、起業家養成というソフトなアイディアを私は気に入った。


ここが面白いところで、日本でも、こういう発想法をおおいに学ぶべきである。
大企業の直接投資と競合することはなく、むしろ補完関係になっているのも、大企業から支援が得られやすい理由で、巧みなモデルである。


これを社会起業とよぶのはどうかな、と疑問に思う人もいるだろうが、杓子定規に狭く考えることはなく、これでいいのだ。

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Endeavor(2) LINDA ROTTENBERG

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Endeavor は、Peter Kellner と Linda Rottenberg が共同で創設したが、両者ともまだ30才代なかばと若く、こういう若い人が始めたんだと感心。


CEOは、Linda Rottenberg がやっているので、こちらの方が有名であるが、もう一人いる。
PETER KELLNER は、コミュニケーション・ソフトウェアに投資するベンチャー・キャピタル Richmond Financial LLC( San ancisco)の経営者である。
彼については、ネットでずいぶん検索したが出てこない。唯一、Endeavor の成功で、Aspen Institute’s Henry Crown Fellow に指名されたのがでてきたが、 これは45才以下で、コミュニティ・スピリッツを持ち、社会をつくる次世代のリーダーに挑戦している人たちで、ノミネートされたのをみると、期待された人材なのだろう。
期待されてるのにこのページぐらいしかなく、地味な人物とみた。


これに反し、Linda Rottenberg の方が、華やかで高名である。ここに写真があるが、派手な雰囲気。人をひきつけるには、派手さは必要である。

ハーバード大学で社会学を修め、エール・ロースクールを出たあと、かねてから望んでいたアルゼンチンへ行き、ブエノスアイレスで Masters of Law program with the Universidad de Palermo をつくったが、これは、Yale Law School - U.S. A.I.D. Linkage ograms で、ここのマネジャーになった。
その後、1994年~1996年、Ashoka のディレクターとなり、中南米で起業家育成の仕事の経験をつみ、97年に Endeavor を創設。


渡邊奈々「チェンジメーカー」(日経BP)では2番目に登場してくるが、アルゼンチンでの活躍にたいし、大統領が数十万ドルを出すといったのを、役人は大嫌いと断ったところ、かわりに民間から数百万ドルの寄付があった話がでてくる。
ことわれば、倍のお返しがあるぐらいのことがよめる才覚の持主である。


彼女じしん起業家であるが、「起業家精神は、アメリカのベストな輸出品」と信じ、それを実行したのが Endeavorである。
世界に輸出されたアメリカ文化は、昔なら大量消費文化、ハリウッド、金融、IT・ネットであるが、同列に起業家精神とやったのが新しい。


輸出するものは具体的には、ビジネス・スクール、コンサルタント、投資銀行、助成財団などの、アメリカ最強のソフトであり、PCのOS、ネット販売やネット銀行や証券のソフトに比し、こちらの方が、社会全体を移転するような話しなので、はるかに壮大なアイディアである。


意地悪くいえば、アメリカの起業家植民地づくりで、これはありだなと思うが、昔、平和部隊をつくり、世界中に若者を送ったが、それに代わり、こんどは起業家育成部隊を送り、所得を上昇させて、アメリカの願いの民主国家をつくるんだという意気込みがすごい。


社会起業をこえ、次世代の国家戦略、経済戦略の感じもあり、これが、大手の銀行や大企業やジャーナリストを引き付け、支援を引き出しているのだと思う。たいしたやり方である。

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ENDEAVOR GLOBAL は、1997年にニューヨークで誕生した会社だが、やたらに評判がよい社会企業で、21世紀のモデル企業と評価されている。
例えばこんな具合である。


Time Magazine, Wall Street Journal, World Bank,

Inter-American Development Bank、Harvard Business School から、途上国が成長するための21世紀型モデルをつくったと賞賛されており、次のような受賞歴がある。


・100 Innovators for the 21st Century by Time Magazine
・one of 100 "Global Leaders for Tomorrow" by the World

  Economic Forum
・"Leading Social Entrepreneur"  award by the Schwab

  Foundation
・the Fast  Company magazine / Monitor の

  2005年社会起業家賞
・Bain & Companyn の、one of 11 certified organizations

  for a potential Global Exchange for Social Investment (他に

  認定されたのが、Soros Open Society Institute-あのソロス

  の財団,

Rockefeller Philanthropic Advisors-あのロックフェラーの社会

 起業を支援する新しい財団, Ashoka,  

Accionー中南米向マイクロクレジット、グラミンバンクと並ぶマイク

 ロクレジットの二大巨頭)

仕事は、エマージング・マーケットで、ローカルな起業家を育てて仕事を創造し、国際的な投機家にかき乱されてもだいじょうぶなように、基盤のしっかりした経済をつくり、その先、新しい中産階級をつくって、政治を安定させることである。意図は遠大だ。


ベンチャー・カタリスト(ベンチャーの触媒)と自称してるが、起業家の素材を慧眼で探して本物を見分け、それをビジネススクールの教授やMBA、コンサルタント、投資銀行の専門家などが、アドバイサーやメンターになって指導し、投資家へつなぐ。


創業してまだ8年目で、世界中に誰でもが見えるインパクトを与えたのではないが、それでも、「これが21世紀のモデルだ」と絶賛されてるのにはわけがある。

Novica(3)

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Novica のウェブサイトには、宝飾品、耳飾、首飾、家具、アパレル、室内装飾品、ガラス製品、鏡、レーザークラフト。。。、多品目がびっしりと並び、見るだけでも楽しい。現在、17,000点が並んでいるそうだが、この多さが競争力になっている。


創業者一族は、ペルー系とブラジル系アメリカ人で、社員も工芸品産地出身が多い。HPにはわざわざ「チーム・ノビカ」と書いてあるが、工芸品産地のチームというぐらいの感じだろう。

このため、商品の調達力が優れ、他の追随を許さない。


世界中から集めるので、一日に扱う言語は30ヶ国語以上で、従業員は、それぞれのローカルな産地出身者である。
アメリカに留学し、そのまま憧れのアメリカで就職した人だが、このあたりのノウハウが、類似のウェブの真似のできないところである。


National Geographic がスポンサーになってるのも、好都合である。ここは、100年以上も前にできた世界の地域情報を提供する巨大な非営利法人だが、Novica の信任になり、よい組み合わせだ。


工芸家には「あなたの仕事を特別なカメラで写真に取り、作品をサイトのマーケットに載せなさい」、消費者には「ウェブサイトで、工芸家について読み、彼らの文化を探り、商品を選んでください」とすすめている。
産地の工芸家のネット術指導は、Novica にとって必須である。


これ物語消費で、日本でも有機栽培農家でやっているが、どれも似ていて面白くない。それに比し、この物語は多様で、真正物語消費になっている。
買った消費者の物語も写真付でついており、購買動機や使い方の物語が書いてあり、あなた、そんなライフスタイルだったの、と驚くやつもある。


社会起業だが、ここまでやってるので、これなら営利と競争しても勝てる。Novica は、営利の先に行った社会起業である。

ASHOKA

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今週の土曜日(27日)午後、ASHOKA のボードメンバーが来日、社会起業のフォーラム が開催される。
来日するのは、C. William Carter, 創設者の Bill Drayton: CEO, Chair and Founder とは、環境保護局やマッキンゼー での同僚で、ドレイトンが、1982年にインドで事業を始めたのがはじまりだが、このときから参加したアショカ創業の一人でもある。


ASHOKAは、中進国(インド、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ。。。)で、社会起業家を支援するのが仕事である。活動分野は、教育、環境、医療、人権、経済開発、市民参加の6つで、アショカ・フェローで有名である。


これは社会起業奨学生(年をとっていてもよい)だが、アーリー・ステージでの生活保証を行う。受給者は既に53カ国、1500人にもなり、フェローになるのが名誉だ、というぐらいのブランドを確立している。

さらに、社会問題を解決する革新的なアイディアを実現し、すばやく広げて、社会に与えるインパクトを大きくするために、いろいろのプロフェッショナル・サービスを提供し、事業の成功の確率を高めている。


社会起業家に年1700万ドル以上を助成しているが、そのカネは、個人、企業、助成財団からファンディングし、、政府からは絶対にもらわない精神はすばらしい。
97年からは、アショカ・フェローを卒業したあともフォローし、助成事業の効率性測定を行っており、社会起業評価でも先に行っている。


ASHOKAは、紀元前3世紀にインドを統一した王だが、統一後武力を否定し、理想の平和国家をつくった伝説がある。
ドレイトンは、10代のときに公民権運動の影響を強く受け、高校のときにはアジア・ソサイエティ、ハーバード大学のときにアショカ・テーブルをつくったほどの活動家であった。
現在でも、ASHOKAのCOOはインド人で、インドの事業を立ち上げた女性のジャーナリスト(編集者)である。


中進国、エマージング経済(中国、インド、ブラジルなどのこと)をさらに経済発展させるには、世銀がインフラ融資をやったり、先進国が技術移転したり、NGOが支援活動をやるのが定番だが、アショカモデルは、それとは全く違い、起業家をつくり、産業を起こして雇用を増やし、所得を上げて中産階級をつくり、その結果民主主義がねずくという理念に基づいており、このやり方が、画期的とアメリカで絶賛されてカネが集まる。


アメリカの社会起業では新種で、近くここで取り上げる Endevor Global も同じことをやっているが、小さな政府の国際版モデルで、効率の悪い国際援助機関に代わぞ、という意気込みがすばらしい。

ASHOKAは、The Citizen Sector の力を誰よりも早く見抜き、それを事業化したことで、アメリカでは、バングラディシュのムハメッド・ユヌスのマイクロ・クレジット並ぶ代表的な社会起業と評価されている。


このフォーラム、NGOに関心がある人、社会起業評価を知りたい人におすすめ。日本には全くないやり方の話で、新鮮な話が聞けますよ。

Novica(2)

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Novicaのウェブサイトには、月、300万人も訪れる。
理由は、「Artisans make more、customers pay less」、
出品作が豊富にあふれており、値段が安いからである。


途上国の工芸家は、地場の売値の1割~5割高い値段でNovicaに売れる。
ひと月の月収が年収に匹敵する場合もでてきた。
おかげで、商品が豊富に集まり、しかもよいものを優先的に出す。


一方、アメリカの消費者は安い価格で買える。
例えば、$220→$ 50、$1400→$ 300という具合で、
「400% savings for consumers」がセールスポイント。
産地の仲買、消費地の輸入商や小売店が省かれるので、安くなる。


世界中の辺境にいる工芸家と、先進国の消費者を結びつけるには、
ネットこそぴったりであるが、それを初めてやった。
工芸品は希少価値で高いものという常識があり、誰もそれをやらなかったが、

Novicaは、途上国の工芸家の生活を豊かにするという入り口から入り、

誰もやらなかったビジネスモデルをつくることができた。
消費者の方から入ったら、できなかっただろう。社会起業が、成功する視点を与えてくれた。


収益事業なら単なる工芸品のディスカウンターだが、
「goals with a humanitarian mission」で非営利にしたのが、ブランドづくりに成功したもとにある。
貧困な産地で、消費市場から孤立していた工芸家を繁栄させ、
地域経済を成長させるという社会性の高いコンセプトが、消費者の好感を獲得した。


市場の成長もあった。

Traditional, handmade arts and crafts 市場 ー 部屋や身の回りを飾り、贈り物に使う ー は、

世銀の Department of Commerce の調査では、米国だけで$22 billion、世界中で$280 billionで、

成長を続けている。 しかも、online for specialty gifts は、2000年には2億7100万ドルになり、急増しているのである。


巧みな戦術は、まだあった。

Novica(1)

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アップルが、iPotのビジネスモデルで世界中をあっといわせたが、
成熟経済では、人々を圧倒するビジネスモデルは、もうつくりずらい。
それに比し、社会起業では、マーケットが隙間だらけなので、
それが自然に生まれる。よい例がNovica である。


中南米、アジア、アフリカの工芸家1万人を、
ウェブサイトでアメリカの消費者に結びつけ、工芸品を直売する事業。


工芸品のウェブサイトならたくさんあるが、
Novicaが、ファースト・カンパニー誌で、
Fastest 50 Companies in the World に選ばれたり、
The leading online world style marketplace と絶賛されたり、
シュワブ財団のフェローになったのは、それなりのわけがある。


1998年、Milk RobertoとArmenia Nercessian de Oliveira が、
共同創立者となり、ロスアンジェルスで設立。
Milk Robertoは、Armenia Nercessian de Oliveiraの娘と結婚しているので、
義理の母との共同事業である。


Milk Roberto CEO、ペルー系で、スタンフォード大学国際関係学科卒後、
金融アナリスト、Prudential SecuritiesでInvestment Bankerをやったあと、

strong business model with a humanitarian missionをつくった。
ヒューマニタリアン系のビジネスモデルの先駆である。


Armenia Nercessianは,父がアルメニア出身のブラジル人で、
国連のhuman-rights officerを20年もつとめ、

戦争で生活基盤を破壊された難民を助ける仕事をやっており、アイディア力では定評があった。
いうなら、平和部隊の関係者や緒方貞子さんが、ビジネスを創業したような話。


仕事柄、途上国には広いネットワークがあり、
これが世界中の工芸品作家のITネットワークをつくるのに役立った。
このモデルは、Novica's grass-roots structure といわれ、絶賛されている。

TransFair USA

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社会起業で消費マーケットでブランドをつくった話。
TransFair USA は、モニターグループやスコール財団の社会起業家賞を受賞した有名な社会起業である。コーヒー、紅茶、ココア、果物の4品で、フェアトレードをやっている。カリフォルニアのオークランドで1998年に創業。


創業者はPaul Rice, 44才,の個性こそすべて、1983年にエール大学経済政策学部卒後、バックパックでニカラグアへ行き、Nicaraguan coffee cooperativesで、産地コンサルタントとして11年間働き、産地輸出組合 PRODECOOPをつくった。現地農民の貧困の循環を知って、生産者、消費者、コーヒー産業、地球にとって、公正でそれぞれの利益になる国際取引モデルをつくりたいと願い、1994年アメリカに戻り、96年MBA at the Haas School of Business, UC erkeley、その後2年間で、TransFair USAのビジネスモデルをつくった。 ここに写真があるが 、いい男である。


ライスは言う。
「スペシャリティ・コーヒーは、30年で2%から40%のシェアになったが、フェアトレードは、スペシャリティー・マーケットの4~5%を占める」
「私の例は、ビジネススクールは、社会起業のためにいかに有用かの例だが、社会を変えるために、ビジネスツールを使って考えるようになるからである」


2000年にAshoka Fellowship、2002年にSchwab Foundation for Social Entrepreneurship as one of the world’s top social entrepreneurs 、2004年のダボス・ワールド・エコノミック・フォーラムで講演。
「I thought I was a revolutionaryー and now there was another label、 Social entrepreneur」


コーヒーのフェアトレードは、80年代から始まってるので、98年創業では遅い参入であるが、TransFair USA は、Procter & Gamble、Starbucks、Green Mountain、Dunkin'Donutsなどに入り、すでに強力なブランドになっている。


コーヒーでは20年近い経験があり、産地事情に通じているうえ、少数産品に特化した戦略が当たり、遅い参入でも成功した。現在では48カ国の110万農家から仕入れ、全米300地域の25,000のコーヒーショップに売っている。設立以来、産地には5400万ドルを払ったが(売上高はこの数倍)、この額は、2009年には1億5000万ドルになる予想。


このブランドをさらに広げるために、スコール財団から2005年、3年で615千ドルのグラントを受けた。このノルマは、オペレーションを合理化し、コーヒーブランドを一層広げるだけでなく、産物のバラエティを増やすことも含まれている。スコールが望むのは、末永い事業の成長である。


5年ぐらいで数十億円のビジネスにした経営力はたいしたものだ。日本にもフェアトレードがあるが、こんなのはない。重ねて言う、社会起業はブランドをつくりやすので、ブランドづくりを急ごう。

Rugmark Foundation USA

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rug mark


これから何回か、社会起業が「ブランドをつくる」「ビジネスモデルをつくる」話をしたい。アメリカの社会起業を調べていて、「今の時代、社会起業の方が、ブランドやビジネスモデルをつくりやすい」と気づいたからだ。営利より非営利の脳の方が、営利としても成功するなんて驚きだ。


ラッグマーク財団 は1994年に設立され、ネパール、パキスタン、インドで、児童労働(15才以下)でつくったのでないじゅうたんを探し、認定マークを与えて、欧米で販売、ワシントンDCにある。


現地の人権擁護団体と連携し、児童労働でないカーペットメーカーを探し、輸入商と小売店(現在300店以上)に冒頭のマークを与え、そのかわりに1,75%のロイヤリティをもらう。小売店には、マーケティングなどのこまかいコンサルをやり、売上げを増やし、インパクトを拡大する。


「6才の子供が、14時間労働で両親を思い泣けば、厳しくぶたれ、ときには木から吊るされ、タバコを押し付けられて焼かれる」- Kailash Satyarthi, Rugmark Founder


1999年に、Nina Smithが、エグゼクティブ・ディレクターになって躍進した(その前の6年でビジネスモデルを発酵させた)。現在、アメリカのマーケットで1%のシェアをもち、15%のシェアを狙う。すでに2000人の児童労働を救済し、4つの学校で1000人の教育を行った。今年、スコール財団(eBayの創業者がつくった財団)から、3年で44万ドルのグラントを受け、組織を拡大し、2007年までに5%のシェアを獲得する。


HPには、「It’s good business」「It’s a forward-thinking business strategy」「socially conscious consumers」が並んでおり、なるほど。


こんな事業モデルを支えてるのはどんなボードメンバーか調べたが、人権擁護派の弁護士、環境ベンチャーキャピタルの経営者、投資銀行家、コミュニティ活動家、社会貢献コンサルタント、非営利のコンサルタント(能力構築、戦略立案、経営陣開発)、エール大学ロースクールで人権を教えてる先生などで、女性が多く、女系事業ですね。


これ、成熟した資本主義国に登場した新しいブランドビジネスで、社会起業は、ブランドをつくり易い。環境コンシャス、健康コンシャス同様、公正・倫理コンシャスな消費者を狙い、営利でも成り立つが、それをヒュマニタリアンな非営利事業でやるなんて。。。時代です。


アメリカの4000~5000万人は、value-based purchasing decisionsを行い、アメリカ人の84%以上が、pay more for products made without child laborなのだ。こんな消費者を相手にし、意外に手堅い商売である。児童労働は、カーペットだけではないが、広げずカーペットに絞ったのもよく、ここでブランドを確立すれば、すぐにでも横に広がる。


この財団を取り上げたのは、なぜ、こういうのが日本にないんだ、と思ったからである。アメリカにつぎ、世界二位の消費市場なのに、このたぐいのビジネスモデルがないのは、へんだ。誰か、始めてみては、成功し、時の人になれますよ。