深刻な虐待を繰り返す親などから親権をはく奪する「親権喪失宣告」について、児童相談所の申し立てで家庭裁判所が認めたケースは、08年度までの35年間で31件にとどまることが、厚生労働省の資料から分かった。児童虐待は07年度に年間4万件を突破。親権喪失宣告は長年、親子関係断絶などの結果の重さや手続きに伴う負担の重さから機能していないと指摘されてきた。

 親権喪失は親族か児相所長、検察官が申し立てる。児童虐待では児相の役割が期待されるが、親権を失うと回復が難しく、親が反発して提訴する場合がある。戸籍に載るため児相がためらう場合も多い。子の保護先や親権代行者も事前に確保する必要があり、「最近までは踏み切れない児相がほとんどだった」(申し立て経験のある九州の元所長)という。

 厚労省が毎年まとめる「福祉行政報告例」に掲載された児相関連データの、記録の残る74年度分以降を毎日新聞が集計。90年度までの申し立ては計20件で、喪失宣告が出たのは5件しかない。児童虐待の急増が表面化した91~99年度も計23件の申し立てに対し宣告は14件。児童虐待防止法施行の00年度以後も、申し立ては34件に増えたが、宣告は12件にとどまった。

 児童虐待防止法は07年改正で、10年度内に親権制度を見直すことを付則に盛り込んだ。法務省の研究会は1月、「期限なく親権すべてを失わせるため申し立てや宣告がためらわれる現状がある」と指摘。千葉景子法相は2月、親権を一時的に停止させるなどの親権制限制度を導入する民法改正を法制審議会に諮問している。【野倉恵】

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