今日もう帰る?

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今日もう帰る?

 

って皆さん使いますよね?授業終わったときとか、仕事終わったときとか、出先での用事が予想以上に早く片付いたときとか…。「今日帰る?」とか「もー帰る??」とか、ケースはいろいろありますがこの言葉よく、言いません?


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1週間ほど前、Twitter廃人の僕はいつものごとくタイムラインをぼーっと追いかけていました。仕事が終わって、シャワーを浴びてベッドの上でゴロゴロしながらツイッターランドを徘徊する、そんな自堕落極まるこの時間が何よりも大好きなんですが、何気なく読んだツイートの中にふと

high-context cultures

という厨二心をくすぐる大変興味のそそるワードが目に飛び込んできました。

しかしてここはツイ廃の見せ所。

好奇心の赴くままにsafariを開き、この「high-context cultures」を検索。いったい何だろうか?と調べてみることにしたわけです。




High-context cultures とは?

 

まずHigh-context cultures とはそもそも何なのか?ということで、Wikipediaの内容を、ここに掲載したいと思います。

 


高・低文脈文化とは高文脈文化(high-context cultures)文脈文化(low-context cultures)をまとめて呼ぶ際の用語。高コンテクスト文化と低コンテクスト文化とも呼ぶ。

この概念は、アメリカ合衆国の文化人類学者エドワード・ホールが『文化を超えて(英語版)』(1976年)[1]で世界中の言語コミュニケーションの型を高文脈文化と低文脈文化に分類したことに始まる。

なお、「高」「低」という用語が用いられているが、どちらか一方が他方より優れている、劣っているということを表すものではない。

高文脈文化のコミュニケーションとは、実際に言葉として表現された内容よりも言葉にされていないのに相手に理解される(理解したと思われる)内容のほうが豊かな伝達方式であり、その最極端な言語として日本語を挙げている。

一方の低文脈文化のコミュニケーションでは、言葉に表現された内容のみが情報としての意味を持ち、言葉にしていない内容は伝わらないとされる。最極端な言語としてはドイツ語を挙げている。

高文脈文化はより抽象的な表現での会話が可能であるが受け手の誤解などによる情報伝達の齟齬も生じうる。他方、低文脈文化では具象的な表現を行い、会話の文中に全ての情報が入っているため、行間を読む必要もなく、受け手は理解できる。

 

 

と書いてあります。

(出典:

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E3%83%BB%E4%BD%8E%E6%96%87%E8%84%88%E6%96%87%E5%8C%96)



そして何よりHigh-context cultureの、代表格はわれらが母国語、日本語だというのです。

そこで文頭の


今日もう帰る?


というフレーズ。今一度よくこのフレーズを考えてみてください。

どう、聞こえますか??
そしてこれ、日本人の皆さんどう答えますかね?


実はこの文章ものすごくHigh-contextなんです。

 

日本人における「今日もう帰る?」は単純に「今日家に帰りますか?」ではなくて

 

①この後(何かが終わった後、通常なら帰宅するケース)の予定を聞く

 

②場合や声のトーンによっては「もう帰るの?」という批判

 

③「どっか行かない?」という誘い文句

 

④「帰ろうか?」という提案

 

⑤単純に家に帰るかどうかの確認

 

 

といった様々な意味で使われています。
実際この「今日帰る?」という文章は額面上では帰るのか、帰らないのか?というYes or Noのクエスチョンなのですが、日本語において聞き手は帰るかどうかのその先の質問をしているケースがほとんどです。

①を例にとって考えてみると、どちらかと言うとこの「今日もう帰る?」は具体的に言えば

 

この作業(仕事やなにかが終わって一区切りついた場合など)の後に、あなたは何かする予定があるんですか?それともそのまま帰宅しますか?


です。…長い(笑)

 

冒頭でも挙げているように、日常会話を注意深く意識してみれば、授業終わりすぐや仕事終わりなど、極めてよく聞くフレーズです。むしろこれ言っとけば、日本人はこの後の予定をだいたい教えてくれますよね(´・ω・`)
一つの短文のうらに、いろいろなものを含み、声の調子や、状況によって変化していく、言葉の文化。これがHigh-context cultures です。

 

考えてみるとこの「今日もう帰る?」に対し、日本人は実に様々な返事をします。

 

単純に

 

はい、帰ります。
→⑤に対する返答

 

よりも

 

帰るけど、なに?

(予定があるわけではないけれど、あなたは何かする予定があって聞いてるの?と図った上で聞き返す表現。または、語気を強めると「帰るけど、文句あんのか!!」という批判への言い返しになる)
→①、②、③に対する返答


んー、どっか行きたいなぁ!

(裏の意味である「予定」を聞く内容に対する返答。「行きたい」という、要望を伝えているので、場合によっては質問者を一緒に外に行かないか?と誘っている表現)

→①、③に対する返答


そうしようかな。。。

(体調不良の時など、「帰ったほうがイイよ」という提案に乗る表現。保健室の先生は、具合の悪い生徒に、もう帰っとく?みたいなニュアンスで「今日もう帰る?」って言いますよね)
→④に対する返答

 

え?だめですか??

(帰るのが批判と受け取り、ダメなのかどうか、またはなぜダメかを聞く表現)
→②に対する返答

 

飲みに行きますよ。

(明確に予定を答える表現)
→①に対する返答

 

 

などとさまざまなバリエーションがあります。

 

実際質問する人も、帰るのかどうか、よりもむしろそれ以外の情報を知りたいことがほとんどです。日本人には一般的で、僕も日本語のネイティヴスピーカーなので、日常会話では特にこの①の「予定を聞く」というニュアンスが一般的な気がしますね。


逆に僕たちからすると

帰るよ〜

とあっさり返事をされるほうが、言外に

「あなたに予定を教える気は特にないです」

と言われてるようにも聞こえます。

あらやだこわい。



ついでに定時で帰ろうとしたら、毎回「今日もう帰るの?」と言われる状況は、立派なパワハラなので新社会人のみなさん気を付けてくださいねッ!!

…ちなみにHigh-context cultureのせいで、この手のパワハラは「帰るかどうか聞いただけだけど?」と言い逃れることが可能になっておりしばしば問題になってます(コソッ)




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お分りいただけましたでしょうか?


実は僕たち、日本人はこのハテナマークを含んだたった7文字のような言い回しで、常日頃から、相当複雑な会話を繰り広げているのです(´・ω・`)

 

外国のJapanese Learnerの方々に


「なんでわかるの?」

 

と聞かれても

 

「そういうもんだからなぁ」

 

としか答えれないんですよこれ!!笑

 


単純に日本語を学ぶ外国人の方たちは、「言葉を使える」だけでは「話せる」というふうになるわけではなく、この含まれる「裏の意味」を汲み取って返せるようにならなきゃいけないわけです。もちろんコミニュケーションの手段ですし、言語を学ぶ上で『習慣的な文化』というのは、どの言語でもありますので、べつに特段日本語が難しい、とか主張するつもりはありません。

どの言語もノンネイティヴスピーカーにとっては、それなりに難しい「壁」が存在しています。日本語の場合このHigh-contextが「壁」となりえる、という話です。
これに加えて日本には、様々な隠語や造語、俗語(スラングなど)があり、言葉そのものの流行や自由度も高ければ、おまけに尊敬語、謙譲語、ていねい語と場面によって細かく使い分けしないといけないというのはよく言われる話。


かの有名な夏目漱石が
「I love you」

「月が綺麗ですね」
と訳したという逸話から見ても、日本では古来よりわけのわかんない言葉の使い方をしているんです。

 

主張するつもりはないと言いつつ、やっぱ考えてみるとこれは本当に難しくないですかね、日本語?(;´・ω・)

 

 

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そしてこのHigh-context cultures。英語で喋るにあたってもこの感覚が出てしまいます。
僕は現在ニュージーランドに住んでいて、よく思うのですが、なによりも日本人の僕は口数が少なくなってしまう。いや、言い方変えましょう。

感覚的に口数が少ないほうに見えるのです。

ぼくの友達にドイツ人のイケメンがいるのですが、彼はものすっっっっごいよく喋る。1言ったら10ぐらい、いや、それは聞いてないんだけど…っていう内容まで詳しく返ってくるんです。


例えば

 

僕:昨日の仕事どうだった?

 

彼:いやー、すごいたくさんの仕事があってね。昨日は全部で10時間ぐらいかな。めちゃくちゃきつかったよ。だから、すごい疲れちゃったね。僕は毎日2杯ほどワインを飲むのだけど、どれぐらい疲れたかって言うと、昨日は一杯も飲み切らずにウトウトしちゃうぐらいで。まぁそのおかげでいつもより早く寝たから、よく眠れたんだけどね!…

 

とまぁ、こんな感じ(笑)

 

 

「大変だったよ」

 

で終わることなく、どれぐらい大変だったのか、どれぐらい働いたのか、どうなったのか、めちゃくちゃ多くのことを言ってきます。

しかも毎回(笑)

 

いや、べつに聞いてないんだけど…( ˙-˙ )


って思うことも多々あるんですが、改めて考えると実はこの感覚がhigh-context cultures と low-context cultures の文化圏の違いなのだと気付きます。

low-context culturesの文化圏の人たちは単純に言わなきゃ伝わらないという習慣の中で生きているから、説明が細かい。逆に彼らは僕たち日本人に対して常に思っているんです。


え? だから何?? それだけ??それで??

 

と(笑)

で、どうしたんだ。なにしたんだ、どう思ったんだ、と。


そういえば思い当たるフシ結構あるなぁ、と改めて思います。よくフラットメイトに言われていました。

「え、それだけだけど?」って言うと


は?じゃあなんで話振ったの??


みたいな顔されるんですよね(笑)

 

 

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元クラスメイトのミレン。僕のベレー帽被らせたらマジで僕より似合ってた。これは偏見なんですがフランス人はベレー帽が似合う。
相変わらず写真と本文はいっさい関係ありません。




考えてみると日本語には、状況や言い方次第で、文脈以外の部分を意味する言葉が数多く存在します。普段何気なく使っている言葉でも興味を持って観察してみると面白いです。




最後になりますが、言葉の表現とは、基本的に言わなければ伝わりません。
High-context cultures に生きる僕たち日本人は「分かるでしょ?」としがちですが、海外の人と話すとき、大事なことを伝えたいとき、「言葉にする」というのは非常に重要な意味を持ってきます。

ちらっとですが、頭の片隅に文化の違いを置いておき、外国人の方と会話する際には、「自分でも言いすぎかな?」と思うぐらい状況を説明してみるといいかもしれないですね(^^)


 

 

さ、今日は何しようかな。

 


みんな、今日は帰んの??


 

2017/04/02 Levin, New Zealand









※ちなみに僕がかぶるとこうなる

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