インド映画噺

主に映画の、主にインド映画の、あとその他の小咄を一席。
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インド映画夜話
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DEVIL デビル (Raman Raghav 2.0) 2016年 127分
主演 ナワーズッディーン・シディッキー & ヴィッキー・コウシャル
監督/製作/脚本 アヌラーグ・カシュヤプ
"ずっと、ずっとお前を見ていた…"

 

 

 ラマン・ラーガヴ。通称”サイコ・ラマン”。
 彼は、60年代に最も恐れられたシリアルキラーであり、彼の手にかかった犠牲者は41人にのぼる。1969年に逮捕され死刑宣告されるも、後に終身刑に減刑。1995年に獄中にて死去。
 これは、その彼とは"また別の物語"であるー
***********

 

 序章 2013年1月
 クラブで引っ掛けた女シミィ(本名スムルティカー・ナイドゥ)を連れて、スラム街へ向かうラーガヴァン・シンは、そこでたった今行われた殺人現場跡を目撃する…!!

 

 第1章 幽閉された男 2015年8月
 半年の間に9件の殺人事件がムンバイで発生し、警察は犯人逮捕できないまま。そんな中、事件が起こるたびにシンディ・ダルワーイと名乗る男が毎回警察署前までやって来ては警視長ラーガヴァン・シンと話をさせろと執拗に要求するが、警察は彼の言葉を誰も気にしていなかった…これまでは。
 「知ってますか? ラマン・ラーガヴと言う殺人鬼を。彼の本名はシンディ・ダルワーイと言います。だから私も、その名前を名乗っているのですよ」

 第2章 妹

 


プロモ映像 Raghav Theme


ニコニコ 60年代中頃に実在したシリアルキラー ラマン・ラーガヴの事件を狂言回しに、それに着想を得た現代の殺人狂の姿を描くサイコサスペンス・ヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語)映画。
 アヌラーグ・カシュヤプ14作目の長編映画監督作である(前後編2部作の「Gangs of Wasseypur」、オムニバス映画「Bombay Talkies」の一編含む)。

 

 日本では、2017年にNetflixにて「ラーマン・ラーガブ 2.0」のタイトルで日本語字幕配信。IFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル)にて「ラマン・ラーガヴ2.0 ~神と悪魔~」のタイトルで上映。さらに「DEVIL デビル」のタイトルでDVD発売された。

 

 わりと静かで動きの少ないカメラアングルで構成された、殺人狂のラマンナとサイコパス警官ラーガヴァンの2人(ともに、ヒンドゥー叙事詩の英雄ラーマ王子に因んだ名前)の追跡劇を描く映画で、ちょっとした気持ちの動きで簡単に殺人を起こしていく快楽殺人狂の恐怖と狂気を全編にわたって見せていく。
 その簡単な殺人動機、そこはかとなく狂気をにじませるラマンナの饒舌さ、徐々に内なる狂気を覗かせていくラーガヴァンの静かな暴力性とそれでも一般人を装う論理性の裏に隠されたもの…シリアルキラーが特殊な背景や環境にいるのではなく、なんの変哲もない日常の中になんの変哲もない一般人の顔をして紛れている恐怖が、序章を含めて9章に分かれた事件のそれぞれで描かれていく。定点カメラを多用したドキュメンタリー的なタッチがより現実感と恐怖感を煽っていく演出的な狂気表現が、ラストに向かってどんどん高まっていくトンデモなさ。アングラ的な現代都会人の持つ性悪説な不安定さを描かせたら、アヌラーグ・カシュヤプの右に出る人はいませんなあ…。オソロシイ。

 

 とにもかくにも、この映画のサスペンス度と狂気度を跳ねあげてるのは、脚本・撮影・演出の全てを効果的に盛り上げてくれる、主役ラマンナを演じるナワーズッディーンの底の見えない演技力!!
 「神が殺せといった」とうそぶくその態度の、どこまでが本気でどこまでがフリなのか、次にどんな行動に出ようと言うのか、なにを考えなにを求めているのかわからなくなる正体不明さ、次の一瞬に突然態度も姿も変わりそうな不穏さ、楽しそうに語る口ぶり1つ、目線1つだけでも「こいつはヤバイ」と思わせる狂気と「どこにでもいそうな顔だなあ」と思わせる人畜無害さが交互に現れて来る、キャラクターとしての捉えどころのなさがオソロトンデモね! さすが「女神は二度微笑む(Kahaani)」と「めぐり逢わせのお弁当(The Lunchbox)」で、同じ人とは思えない対極の演技を見せつけてきた人だよ…。
 撮影中、その非衛生環境での演技で前後不覚な重病を患い5日間入院していたと言うのも、オソロシや。熱に浮かされた状態で、劇中のラマンナのセリフを繰り返し口にしていたと言う話も報道されていたそう。

 

 そのラマンナに執拗に監視される警視長ラーガヴァンを演じるのは、1988年生まれの男優ヴィッキー・コウシャル。
 父親は映画界で活躍するアクション監督兼スタントコーディネーターのシャヤム・コウシャル。兄も助監督として映画界に身を置くすサニー・コウシャルになる。
 ムンバイのラジヴ・ガンディー工学研究所で電子工学&電気通信学を修了。卒業後に役者を目指して劇団の演技ワークショップに参加し舞台演劇で活躍する中、アヌラーグ・カシュヤプがプロデューサーについている12年のヒンディー語映画「Luv Shuv Tey Chicken Khurana」の端役で映画デビューする。15年の印仏合作映画「生と死と、その間にあるもの (Masaan)」でZeeシャイン映画賞他の新人男優賞を獲得。続く16年の「Zubaan」と本作で主演デビューとなる。

 

 俗と欲にまみれた大都会の裏側を背景に、夜のシーン、雑居ビルやスラムの影の多い屋内のシーンがほとんどを占める舞台で、ただ快楽のために殺人を犯すラマンナの生き様、その犠牲となる多くの人々の命の軽さ、それを追う中でなぜかラマンナに興味を持たれて執念深く身辺を監視されていくラーガヴァンの内に秘めた欲望が暴走を始めていく後半…。
 ラーマーヤナ構造を取り入れつつ、信じるべき正義なんぞ全くない現代社会の中で信じられるもの…自身の欲求…に従ってのみ動く殺人狂の野放し具合が、もう人間そのものや現代社会そのものの信用できなさにつながっていってしまって、見てる方まで不安定になっていく。なにかしら因果関係の説明でもあるのかと思えば、そんなもん全くおかまい無しに話が突き進んでいって、殺人狂が真に求めるものが浮き上がっていく衝撃は、もう…。

 

 なにはなくとも、いろいろ棘がありまくりな会話劇がギスギス度を高めていく上で、不意に訪れる沈黙のまあ怖いこと怖いこと。見てる間、自分の後頭部が気になってきてしまいますことよ。


メイキング

 


受賞歴
2016 Asia Pacific Screen Awards 男優賞(ナワーズッディーン)
2016 FANCINE Festival de Cine Fantastico de la Universidad Malaga 監督賞・男優賞(ナワーズッディーン)・脚本賞
2016 Puchon International Fantastic Film Festival ヨーロッパ・ファンタスティック映画祭連盟アジア賞

 

 

(。・ω・)ノ゙ RR2.0 を一言で斬る!
「途中、シミィがラーガヴァンの話を遮って家の電話に出た時に非ヒンディー語で会話してたけど、あれはテルグ語…なのかな?」


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インド映画夜話

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印画な生活 第10話 「ディア・ライフ」

inga10

 

久しぶりの第10弾。 儲かるのならやってみたいお仕事(間違いなく儲からない)。

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バドリナートの花嫁 (Badrinath Ki Dulhania) 2017年 139分
主演 ヴァルン・ダーワン & アーリア・バット
監督/脚本 シャシャンク・カイタン
“今度「結婚しよう」なんて行って来たら、警察を呼ぶから!"

 

 

 現代インドでは、生まれた子供が男の子か女の子かで、その喜び方が大きく変わってしまう…。

 ウッタル・プラデーシュ州ジャーンシーのお屋敷の次男坊バドリ(本名バドリナート・バンサル)は、その日友達の結婚式で美しいヴァイデヒー・トリヴェディに一目惚れする!
 しかし、彼の厳格な父親は自分で取り決めた縁談しか承認せず、家の女たちには専業主婦になる事を強制するような人物。バドリの兄アロク(本名アロクナート・バンサル)は、長年付き合っていた恋人と別れさせられ、高学歴ながら主婦業にのみ専念するウルミラーと結婚させられている。

 兄の轍を踏むまいとするバドリは、早速ラジャスターン州コーターに住むヴァイデヒーを口説きつつ、兄を通して父親を説得しようとするも、そもそもヴァイデヒーに「結婚に興味ない。私は仕事を身につけて独り立ちするつもり」と言われて愕然。「それに、姉より先に結婚できるわけないでしょ」と言われたことから、まず彼女の姉クリティカーの望む結婚相手を見つけ出そうと、個人婚活会社業の友人ソムデーヴとあれこれ奔走するが姉妹には大笑いされるだけだった…。

 

 

挿入歌 Tamma Tamma Again (タンマー・タンマー・アゲイン)
*元ネタの曲は、1990年のサンジャイ・ダット&マードゥリー・ディークシト主演映画「Thanedaar(警察官)」の挿入歌"Tamma Tamma Loge"。ヒンディーでは単語としての”Tamma”に意味はないそうだけど、西アフリカの楽曲で広く使われる"ドラム"の意味の単語を、音だけ借りてきたもの…らしい。

 


ニコニコ 2014年の「Humpty Sharma Ki Dulhania(ハンプティ・シャルマーの結婚)」に続く、ヴァルン&アーリア主演コンビ&シャシャンク・カイタン監督作となる、ヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語)映画。
 インド本国では、ホーリー(春迎祭)に公開。日本では、2017年秋のIFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン)にて上映された。

 インドの地方都市を舞台に、新世代の男女のドタバタを通して華やかに描かれるボリウッドお得意の大騒ぎラブコメ映画。
 大枠としては、誰にでもウケる要素満載の安全パイ映画だけど、恋愛よりも自身の自立を生きがいに進む女性主人公や、旧来的な父権主義を打破できない男側主人公と言った従来パターンの逆転を持ってくることで、主役2人の精神的成長を、新世代の価値観の広まりとしても描いていく工夫がプラス方向に効いてくる一本。

 まあとにかく、主役演じるヴァルン&アーリアの魅力に支配されまくりなパワフルでカラフルな映画で、ボリウッドの過去恋愛映画のオマージュも遊びで取り入れつつ、パターンをうまく機能させながらも飽きることなく全編魅せてくれるサービス精神全開さが楽しい楽しい。

 監督を務めたシャシャンク・カイタンは、西ベンガル州コルカタ生まれでマハラーシュトラ州マルワーリー育ち。
 映画監督スバーシュ・ガイの設立したホイッスリング・ウッド国際映画研究所にて映画製作を学び、08年の短編映画「Roorkee By-Pass」に主演、同年のスバーシュ・ガイ監督作となるヒンディー語映画「Black & White(ブラック&ホワイト)」のセット装飾助手も務めて映画デビュー。その後、「愛の申し子(Ishaqzaade)」での出演を経て、14年に映画プロデューサー カラン・ジョハールの協力を得て「Humpty Sharma Ki Dulhania」で監督&脚本&作詞デビューを果たし、この商業的成功をうけ、本作はその発展系リファイン映画として企画が始動したものとなるそう。
 この後、「Aashiqui 3(愛するがゆえに3)」の監督就任のアナウンスがあるそうだけども、さて…。

 インドの地方社会の強固な父権主義は、これまでなんども映画で色々に描かれてきたけれど、本作のそれも結構強烈で、バドリの兄嫁の本音あたりは予想できる展開だったとはいえ、結婚式を台無しにされて「すぐに逃げた花嫁を見つけ出せ。俺が殺してやる」と言い放つ父親とそれに逆らえない周りの人々というのは、まあ怖い。シャシャンク監督作2本の元ネタでもある「DDLJ 勇者は花嫁を奪う(Dilwale Dulhania Le Jayenge)」の父親なんか目じゃないですわ(あっちもあっちで、命の危険はあるけれど…)。これが、カリカチュアではあろうけど全くのフィクションではないところが、インドの怖さでもあり映画の説得力でもあるよなあ…と。

 そんなインド社会を抜け出そうとする主人公2人の生き様を繊細に描き出す後半の展開は、まさにインド恋愛劇の王道「自己犠牲」がそれぞれの精神的成長を表すポイントとして生きていって、前半はその俺様気質が鼻についたバドリ演じるヴァルンがどんどんいいヤツに変わっていくように見えるんだから素晴らしか(まあ、あのストーカー行動はどうよ、って感じもあるけども)。お前あんな遊び人だったのに、いつ家事全般を習得してたんだよとか言いたくもなりますけども。

 それにしても、最初の頃にバドリがヴァイデヒーを口説くために毎日コーターまで車でやってきた時に「地球環境も考えろ! こう毎日車使ってたらガソリンが枯渇するかもしれないだろ!」って言い回しがグッときたので、いつか使ってみたい…いつ使えるのか知らんけどw

 


プロモ映像 Tamma Tamma Again with Madhri Dixit Nene!(マードゥリーと共にタンマー・タンマー!)

 

 

 

 

(。・ω・)ノ゙ BKD を一言で斬る!
「告白を蹴ったくらいで、あんな大騒動になるなら、そりゃあ断るのに勇気はいるでしょうなあ…(映画だからね、とは言えるけどモ)」


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