下北沢でイタリア料理“IL NIDO”

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 三連休は、近づく台風の足音に追われるようにして過ぎていくのか…? とりあえず初日ランチは下北沢でイタリアンです。駅前の喧噪を抜けて、住宅街の中にひっそりとたたずむお店。気をつけてないと見落として通り過ぎてしまうかも。店内はテーブルが4卓ほど。ほんとこじんまりとしたお店です。


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 ランチは土日のみの営業でプリフィクス。前菜、プリモピアット、セコンドピアット、デザートから1品ずつ。私が選んだのは、「水牛のモッツァレラチーズとトマトのコンソメゼリー」、「じゃがいものラヴィオリ 仏産ジロール茸と」、本日のお魚で「イサキのグリル」です。前菜は、ほかにもう1品「仏ドンブ産 ウズラのローストと青りんごで包んだフォアグラのテリーヌ」が美味しいとの友人の薦めがありましたが、お腹の余裕を考えて軽めに。迷ったのはパスタです。カラスミ(ポッタルガ)のレモン風味にも惹かれたし、ほうれん草のパスタに仔羊のラグーも魅力的。これらは友人のを味見させてもらうことにして、大好きなキノコ味にしてみました。


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 前菜は、モッツァレラチーズがなかなかクリーミー。トマトのコンソメって実は透明になるんです。ジェノベーゼソースとの相性もよく、スプマンテとともにさっぱりとお腹の中へ。続くパスタは、案の上のおいしさ。ジロール茸はシメジのようなマイタケのような食感で、濃厚なソースとの相性もばっちり。ラビオリのなかのジャガイモのピュレもなめらかで美味しい。そのほか二種のパスタも美味しい! 特にポッタルガのレモン風味はジメジメした空気を吹き飛ばすようなさわやかさ。これはどれも外してません。で、メインのお魚は、特に目新しくもなく食べ慣れているお魚ではありますが、下に広がっている野菜のトマト煮込み(ラタトゥイユのような)の味、野菜類の食感が気に入りました。


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下北沢にしては、価格はちょっとお高め。でも、その価格に見合う美味しさだったと思います。ワインのチョイスもよかったし。しとしとと雨降る土曜の昼下がり、すてきなランチをいただいて満足。

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映画“サヨナラ Color”

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竹中直人監督作品。Super Butter Dog の「サヨナラ COLOR」は大好きな曲だけど、果たしてそれに触発されて作ったというこの映画はどうだったか…? 初恋の人(原田知世)の病を懸命に治そうとする医師(竹中直人)との交流にさまざまな人が絡み…ってやつですが、ストーリー的には無理があるというか、なんというか。結末も途中で見えて来ちゃったし、いまいち入り込めませんでした。でも、映像はきれいだったな。海のシーンとか、雑貨屋の雰囲気もよかったし。あと、ところどころで挿入される石川啄木のものと思われる詩が印象的で良かった(記憶がいささか曖昧ですが)。


愛するということは、
長い夜にともされたランプの、
きれいな一条の光。


そう、原田知世の作る手製のランプが小物としてとても大きな役割を占めてましたね。あと、特筆すべきは、え? こんな人が?っていうような脇役陣です。女医・中島みゆき、同級生・忌野清四郎、院長・三浦友和、恩師・久世光彦などなど。ちょっとびっくりのラインナップでしょ?

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映画“イン・ハー・シューズ”

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 弁護士として活躍する姉と、職を転々とするフリーターの妹。靴のサイズ以外はまるで正反対の姉妹。ふたりが自分にぴったりと合った靴(つまり「幸せ」)をつかむまでを描く映画です。「幸せさがし」というのは、ま、ありがちなテーマです、はっきり言っちゃうと。いかにもなアメリカ映画だけど、「詩」がとても印象的な使われ方をしてました。それだけでも見た価値はあったと思います。

 

 難読症(つまり字が読めないってこと?)の妹・マギーが、アルバイト先の老人ホームで、引退した盲目の大学教授に詩集を朗読することを頼まれます。「読むのが遅いの」と躊躇うマギーに、「私も理解が遅いからちょうどいい」と励ます教授。彼の手引きによって、マギーが詩の解釈をするシーンは、この映画の山場のひとつ。「One Art」というタイトルのこの詩はElizabeth Bishopのもの。そして映画の最後に姉の結婚式で妹が朗読する詩はE. E. Cummingsだそうです。今度、詩集を買ってみようっと。

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映画“ふたりの5つの分かれ路”

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 離婚するにいたったある夫婦を、時間をさかのぼって見ていくドラマです。つまり、夫婦の思いのすれ違い、すなわち離婚の原因は昨日今日にできあがったのではなく、過去のいろいろな場所・時にできた“しこり”が治癒することなしに、どうしようもないところまで大きくなって、ある日とうとう…ってことなのでしょうか。


離婚手続き←最後の寝室(実はホテルですが)←夫の兄(ゲイ)との会食←子供が生まれる←結婚式←二人の出会い


という順番で物語が描かれるわけですが、だんだん破局に向かっていく関係を描くより、このように徐々に幸せだった時間へと近づいていく方が、男女の関係の妙が一層印象強く迫ってくるような気がしました。人の心の移ろいを止めることができないのはわかっているし、永遠に変わらぬものなんてない。時を逆行していくと、そんな男女の関係のはかなさ、もろさが透けて見えてくる。そういう意味でこういう描き方は効果的だったのかもしれない。


 ちなみに、近くの席に座っていた(たぶん既婚の)中高年(?)女性の二人連れが「あの夫って、結局相手のことを見ていない。向き合ってないのよね~」と言い合っている様が何とも実感こもりすぎ? いやいや、妻の目から見るだけではフェアじゃないでしょうに。

そうそう、この映画、原題は「5×2」なんです。面白いでしょ?

映画“メゾン・ド・ヒミコ”

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 今週の飯田橋ギンレイは“メゾン・ド・ヒミコ”。有名なゲイバーのママがいきなり引退して作ったゲイのための老人ホームを舞台にした物語。面白かった…。面白かったんだけど、ゲイの老い、そして死の問題は結構シリアスで、今の私にはちょっと重かったかな。

 それにしても柴崎コウって、不機嫌そうに顔をしかめたような役が多いように思うんだけど(ドラマ“Good Luck!!”とか“オレンジデイズ”)、それは私の気のせいかしらん? さすがにちょっと見飽きたかなと思ってしまいました。まぁそういうイメージを周囲に求められているのかもしれないんだけど。ちなみに、オダギリジョーってひょっとすると妻夫木聡に似てる?って思いましたが、これも気のせいかな。声とか背格好とか。でも、雰囲気に関してはまるで似てませんね。オダギリジョーは、近づいたらちょっとヤバイかなっていうような陰というか危ない色気みたいなのがあって。そんな彼が


“愛なんて意味ないだろ。欲望だけだよ”


なんて言っちゃったら、「はい、その通りです」と思わず納得しちゃいそうな…。このセリフに象徴されるように、人間関係なんて、決してきれい事で済まされる問題じゃない。「だから、ぜいたくを言わず、誰かと隣りあえることの喜びを知っている程度にはりこうであらねば、と日々切に思っています」という脚本の渡辺あやさんの言葉が妙に心にしみました。

映画“有頂天ホテル”

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 心待ちにしていた映画です。だって、キャストが豪華だし、脚本・監督が三谷幸喜だし、おもしろくないわけがない! ええ、もちろん期待通りでした。大晦日の夜、とあるホテルのカウントダウンまでの2時間余りをその時間通りに描くドラマ。演劇的で映画らしくないという評もあるようですが、いいんじゃない? 見た人が楽しければ。演劇から出てきた三谷さんですから、「らしい」映画をとってくれればいいんです。


 とにかく、この人は俳優を使うのがうまいですね。役所広司や松たか子などはもちろん期待を裏切らない演技だし、常連のちょっと癖のある脇役陣も大いに笑わせてくれる。びっくりしたのは、唐沢寿明やオダギリジョーの髪型の特殊メイク。二枚目俳優をあんなにしてしまうなんて…。派手なアクションもCGもないけど、とにかく楽しかった2時間余。終わった時は、まるで舞台を見ていた時のように拍手したくなっちゃった。これぞエンタテインメント。幸せな気分をもらいました。

映画“皇帝ペンギン”

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 実は意外に(?)キャラ好きでありまして、古くはスヌーピーから、くまのプーさんやピングー、最近はリラックマなどがお気に入り。ま、だいたいにおいて、くま系、ペンギン系にはひかれますね。でも、だからといって、ペンギンになりたいと思ったことはないし、クマはぬいぐるみになると可愛いけど、本物は獰猛だしなぁ…。


 で、先日ある知人に言われました。「今度生まれ変わるとき、ペンギンだけはやめておいた方がいいです!」って。だからぁ、ペンギンは可愛いとは思うけど、なりたいとはおもったことないってば! と言いつつ、その知人の発言の元になった映画“皇帝ペンギン”を見てきました。


 いや~、ほんと予想以上に過酷なペンギンの産卵・子育てにびっくり。一方的な人間目線のナレーションはいただけなかったけど、120日間飲まず食わずで卵を抱く父親ペンギン(その間には猛吹雪に襲われて、みんなで身体を寄せ合って耐える様は圧巻!)。卵を孵したら、今度は自分とヒナの為のえさを求めて海辺へと100kmの行軍に旅立つ母親ペンギン。で、やっとの思いで帰ってみたらヒナは……なんてことが…。動物は大変だぁ。あ、もちろん人間もですが。

“大停電の夜に”のその後

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 この間観た“大停電の夜に”が思いの外よかったので、思わずサントラと、メイキングDVD“大停電の夜に~ナイト・オン・クリスマス~”を買ってしまいました。でも、このDVD、普通のメイキングとはだいぶ趣が異なっています。本編で描かれた12人の男女の24日の断片が録画された、差出人不明のビデオテープを受け取ったある女性ディレクターが、そこに映っている人々を訪ねて、「あの日」のことを語ってもらうという設定。つまり、登場人物はみんな役になりきってのコメントをするわけです。「あの日は、ちょうどこんなことがあって、自分はどのような状態で…」というように。そこに、その俳優自身の思いがちょっとずつ見え隠れするのが、また面白い。これは一応メイキングだから、脚本はないのだろうけど、だからこそ、その役をどのように捉えて演じていたのかがわかります。


 あと印象的だったのは、登場人物を順番にインタビューする合間の、インタビュアーが移動する空間の映像、彼女のモノローグです。夜間のオレンジ色の照明に彩られた(高速)道路。そこを疾走する車の助手席にカメラは位置していて、その映像に女性のモノローグがかぶっていく…。そう、こんな夜のドライブ、いいよね~。と、思わず思考が違う方向に行ってしまったりした私でした。いや、でも、結構面白かったですよ。また本編をもう一度見たくなりましたから。だけど、これは、たぶん本編のDVDが出るときに特典映像として入れるものでしょうね。

映画“大停電の夜に”

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ツリー  予告編を見て、これは絶対見に行こう!と決めていた映画です。私の場合「邦画をロードショー中に映画館で」というのはあまりないことなのだけど、たま~にこんな風に心をわしづかみされちゃうわけ。で、見終わっての感想は、いや~想像してた以上に良かったですよ、これ。クリスマスイブに東京を襲った大停電。それがさまざまな男女模様にどんな影響を与えるか?ってな話なんですが、そういっちゃ身も蓋もないですね。それは、停電の東京に灯る小さなキャンドルの明かりのような…、随所に小さな宝石がちりばめられた映画です。


 大停電だなんて、普通はパニック映画になってしまうところを、心温まるストーリーに仕上げているテクニックは秀逸。波のように、盛り上がっては引き、また寄せ返すような物語の満ち引きが心地よくて、2時間あまりを飽きさせることなく見せてくれます。見た後で知ったのですが、撮影は在仏の日本人カメラマンだそうで、細部までこだわったカメラワークも雰囲気作りにかなり貢献してると言えそうです。


(ここからネタバレ注意)
主な登場人物は、
◎キャンドルショップのオーナー 田畑智子
◎そのショップの向いにあるバーのオーナー 豊川悦司
◎自動車の技術者一筋でやってきた老人 宇津井健
◎宇津井健の妻(実は夫に隠した秘密が…) 淡島千景
◎不倫の相手(田口トモロウ)に振られエレベーターに閉じこめられた女 井川遙
◎待っていると言った女(寺島しのぶ)に出所後に裏切られていたことを知った男 吉川晃司
◎夫が浮気をしていることを知って離婚届を用意している女 実はバーのマスターの昔の恋人 原田知世
◎原田知世の夫で、井川遥と不倫をしている男 田口トモロウ
で、かなりの豪華な顔ぶれです。別々に見えるそれぞれのストーリーが、後半段々とつながっていくのは、かなり予定調和的とも言えるけど、観客のほとんどはだからといって鼻白むことはあまりないのではないでしょうか。


 宇津井健と淡島千景のやりとりは、まるで小津映画のよう(行灯が登場するあたりなど時代考証に少し無理があるにせよ?)。豊川悦司と田畑智子の掛け合いはテンポ良く、ちょっとした上質のコメディ。なんだか最近ぽっちゃりした井川遙は、捨てられた女を好演。


 結局、ここぞと言うときに役立つのはいたって原始的なキャンドルだったりするんですね~。キャンドルの暖かい光を見たときに、皆は一様に幸せそうな表情をするのはなぜでしょうか? 電気による人工的な光にはない暖かみがあるからかな? バーにたくさんのキャンドルがディスプレイされて柔らかな光を放つ様は、もう~圧巻です! これを見るためだけでも足を運んで損はないかも。脚本がよくないとか、設定に矛盾があるとか酷評もあるようですが、オススメ。
(ちなみに上の写真は新宿南口近辺を歩いていて撮ったものです。イメージPhotoということで…。)

 本日の飯田橋ギンレイはこの作品でした。実は(って、隠してたわけじゃないけど)堤真一が好きです。「だから(傍点)」見に行ったので、さして期待はしてませんでしたが、意外によかった。というのも、岡田准一。最近とみに色気が出てきたというか、よい雰囲気を身に纏いつつありますね。今後楽しみな俳優です。それから、脇を固める俳優陣が良い味を出してます。堤真一演ずるくたびれたサラリーマンを次第に応援するようになる通勤途中のバスの乗客たちがなんとも…。だって、徳井優、田口浩正、浅野和之、温水洋一といった一筋縄ではいかない男優たちなので。

 で、ひとつとても心に残ったのが、闘いを挑みにいく堤真一がつぶやく「詩」。映画「灰とダイヤモンド」に出てくるもののようですが、原作本から引用してみます。


松明のごとく、なんじの身より火花の飛び散るとき
なんじ知らずや、わが身を焦がしつつ自由の身となれるを
持てるものは失われるべきさだめにあるを
残るはただ灰と、嵐のごとく深淵に落ちゆく混迷のみなるを
永遠の勝利の暁に、灰の底深く
燦然たるダイヤモンドの残らんことを


文語体で堅いけど、ちょっといいでしょ?