パイロットフィッシュ・・・


新しい水槽で熱帯魚などを飼育する時、


その水槽を安定させるため


もしくは確認のために


水槽に入れられる魚。



思うに自分はパイロットフィッシュなのかもしれない。


誰かのために環境を安定させ、


主役が来るころには静かに姿を消してしまう。


それは、誰にとっても必要な存在なのかもしれない。


しかし、忘れ去られてしまう存在なのかもしれない。


主役が気持ち良さそうに泳いでいる。


その姿を見るために働く魚。



思い出したくない言葉があり色があり匂いがある。

忘れ去ってしまいたい場面がいくつもある。

しかし、過去の記憶は心に貼りついてしまったシールのように

剥がそうとしてもなかなか剥がすことは出来ない。

ある瞬間を切り取ったシールは、

鮮明に心のなかに在り続けるのだ。

「パイロットフィッシュ」より



主役にとってパイロットフィッシュはシールにもなりえない。


でも、パイロットフィッシュにとって主役は剥がすことのできないシール。


だって、本当は主役の傍で泳いでいたいのだから。。。


必要なのに忘れ去られてしまうパイロットフィッシュ。


それが自分という人間なのかもしれない。

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不完全なパズル

テーマ:

戻ることのできない日々を思い出し、

必死に手にかき集めても、

結局は虚ろな寂しさが残されるだけなのである。

思い出はどんなに、

緻密に懸命に組み合わせていっても、

一枚のパズルには仕上がらない。

「別れの後の静かな午後」より



僕がしていることは、


歪なピースを無理やりはめこんだ


不完全な一枚のパズルを眺めていることに


近いのかもしれない。


一つ一つのピースの絵柄さえ朧げで


自分でも何を眺めているのか分からない。



一人の自分は戒める。


もうこんなパズルは壊してしまえ。


完成することのないパズルなど、


全く意味のないものだろう?



そして、もう一人の自分は庇う。


今までも朧げなパズルを眺めて


生きてきたじゃないか。


それが自分自身じゃないのか?



今、僕の手には一つのピースが握られている。


それは、自らが過去に捨てたピース。


なのに、また拾ってしまったピース。


握られているピースは


目の前にある不完全なパズルの


どのピースよりも色鮮やかで美しい。


一度は捨ててしまったはずなのに。



正直、僕は迷っている。


このピースを使って新たなパズルを組み立てることに。


完成すれば間違いなく幸福に満たされるだろう。


しかし、僕は怖がっている。


完成させることが出来なければ、


今、眺めているパズルより僕を苦しめるだろうことを。



僕の手の中でピースは訴える。


早くしないと消えてしまうよ?

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