蒲島熊本県知事の宣言の下、殺処分ゼロへ向けて4月1日より、「動物管理センター」から「熊本県動物愛護センター」へと名称変更された、この現場から。
犬たちと、そしてボランティアたちの悲鳴を届けたい。この悲鳴が、知事室の机まで、届くことを願っている。
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初めに、現場の構成を説明しておく。
まず「殺処分ゼロ宣言以前」 はどうであったか。
おびただしい数の犬たちを、いったいどれくらいの人数でお世話をしているのか。
センターには職員さん以外にも愛護団体が入っているから安心だ、と思われるかもしれない。センターの犬たちをメインで毎日休むことなくお世話してくださっているのは、愛護団体フィリアさんの、たった3人の女性たちだ。たった3人で60頭以上の犬たちの、犬舎掃除、給餌、病気になれば病院搬送、寝床の準備、衛生管理などすべてを行っている。
センターの職員さんで、収容犬のこれらの世話を担当してくれているのは、若い女性職員さんただひとりだけ。彼女が休んだら、ゼロ。
他にもセンターの職員さんがごく数人いらっしゃるが、業務は収容犬の世話だけではない。それぞれに多忙な業務があり、収容猫もいるので、もとから皆が皆、手一杯な状況なのである。
 
センターには人員が足りず、犬たちは短いリードで所狭しと繋がれ、お散歩にもいけない現状にあり、このブログでもボランティアさんを募った。
その時は、「この犬たちは、譲渡されなければいずれ、殺処分されるかもしれない」という覚悟のもとで、私たちボランティアも、お手伝いを始めている。
お手伝いボランティアを募集して、少しずつ人数が集まってはきたものの、それでも、犬たちがお散歩に行けるのは数日に一回が限度だ。フィリアさんたち以外の、私たち一般のお手伝いボランティアはそれぞれ多くても週2〜3回。犬が下痢をしたり、病気になれば、フィリアさんが病院搬送するため、さらに人員は減る。
 
保健所から犬たちが集まってくる終着点であるこのセンター。
殺処分ゼロが宣言されて、私たちがお世話している犬たちの命が保証されたことは、確かに良かった。だがそれは、お世話を全部、ここに押し付けて「ああよかった」とみんなが言っているのが、いまの殺処分ゼロだということを以前に書いた。
 
では殺処分ゼロが宣言されて、なにが変わったか?
現在のところ、なにも変わっていない。
猫担当の新入職員さんが1人増えたが、猫担当の職員さんも犬の手伝いをせざるをえない。
犬たちは依然、保健所から次々に搬送されてくる。
そして、この動物愛護センターが行き止まりだ。
 
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 現場は日々、疲弊してきている。

犬が好きで、犬たちへの愛情だけで集まっている、優しい人間ばかりだから、辛いだの、苦しいだの、暑いだのキツイだの言う人はいない。もしくは、言いながらも手を休めない人たちばかりだ。仕事や家事の都合をつけて無償でお手伝いに来てくれているにも関わらず、「週1回しか来れなくてごめんなさい涙」「もっとお手伝いしたいのにごめんなさい」と、謝るような優しい人ばかりなのだ。

人が足りなくて、なのに、どんどん犬は入ってきて、一頭一頭に目をかけてやれなくなるのはもう見えている。照りつけるアスファルトの上に繋がれ、パラソルが倒れたのにも気づいてもらえない犬も出てきている。犬たちのストレスもマックスだろうし、犬の数が増えたことで作業が増え、散歩の時間が削られて、私たちボランティアも、心を「鬼」にして、叫び泣く犬たちの横を通り過ぎる。

殺処分をしたらしたで、現場を知らない人たちから「なぜ犬を殺すんだ」と心ない苦情の電話が殺到し、その電話をとるのは、へとへとになっているセンターの職員やフィリアさんだ。

心を鬼にして、犬たちにいまできる精一杯のことしか出来ないボランティア。

県民の声に耳を傾け、思い切って殺処分ゼロに踏み切った行政。

減らない、犬猫の持ち込み。迷子。行き場を失う動物たち。

末端のこの悲惨な現状を知ってか知らずか、商売のために命を生産し続けるペット流通。

 

鬼は誰なのか。

いまはだが、犯人捜しをしている時ではない。

目の前の現状を「理解」し、具体的に前進しうる解決策を求めています。

 

この現場の有り様を、どこの誰に伝えれば改善されるのか、私にはわからない。

然るべきところにこの現場の叫びが届くように、声を上げていきたいと思います。

 

熊本県動物愛護センター

いちボランティア 田代友紀

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