5-19 トラック事業の破綻 1 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

「おお、これはひどいね……」
 翌朝、まっ先にやって来たのはターラウだった。どんよりとした空模様だったが、風の方は嘘のように収まっていた。

 昔ながらの伝統的な家を作らせたらこの老人の右に出る者はいない。引っ張り倒されたバンガローはターラウが建てたのだった。
「なんてことだ……」
 ターラウはとても悲しそうな表情を浮かべていた。
 ぼくは老人の肩をポンと叩き、まあそう案ずるなと言った。実は昨夜の大風の中で一つの決意を固めていた。
「転んだらまた立ち上がればいいだけのことだ。すぐ再建の準備をするから、申し訳ないけどもういっぺんバンガローを建てるのを手伝ってくれないか」
 老人の目を見つめ、ぼくは頭を下げた。

 この時、タイミングを見計らったかのようにジョニーが現れた。マーケット帰りだった。

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