5-10 人生は皮肉だらけ 4 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

「すごいな――」
 涙が出そうなほどに感動した。父親になるのだという自覚がわずかながらも芽ばえ始めた一瞬と言えるだろう。
 そして出発の朝を迎えた。
「明石での生活もこれで終わりね」
 空っぽになった部屋にただずみ、モニカが寂しいそうにつぶやいた。ぼくはそうだねと返事をし、漠然とこの先のことを思った。
 まだまだ未解決の問題が多過ぎた。
 次はどれだけソロモンにいることになるのか決まっていなかったし、赤ん坊をどこで産むのかも分からなかった。 
「ふう」
 軽くため息をついた。

■ マップ 「明石ともお別れ」
■ サイド 「バーナード・イン・ブリスベン」


               出発の朝(大蔵海岸 2001年)

 

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