5-9 渡航延期勧告 1 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

 あっという間に一年と四か月が過ぎていった。

 この間、ソロモンの新政権のもとで休戦協定が発効され、ようやく平和協定が結ばれた。

 一応これでマライタとガダルカナルの仲直りとなるのだが、紛争の傷跡は深刻で国はボロボロになっていた。
 法と秩序の回復、および政治、経済、社会の立て直しが当面の課題であった。犯罪は多発していて、ソロモンが落ち着きを取り戻すまでまだ時間がかかりそうだった。
 そしてついに待ち望んでいた心の衝動が来た。ソロモンへ飛べという。
 ぼくらは次の段階へ行けることを喜び、すぐに荷物の準備を始めた。同時に明石駅前の旅行代理店へ赴き、ソロモン行きについて調べた。
 担当は小さくて可愛らしい女性だった。
「ダメです」
 と彼女が言った。 

■ フォト 「明石界隈ぶらぶら」

当時暮らしていた住宅(明石大蔵 2001年)
 

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