ぼくがビスケットの包装を開けるのにもたついているわずかの間に、軍人は自分の配給食をあっという間に平らげたからだ。
(さ、さすがだ……)
圧倒されてしまった。ビリーもたいがい食べるのが早かったが、軍人はそれ以上だった。
目的地のタウンズヴィルでは、ブリスベン駐在の領事がぼくらを含む邦人を出迎えてくれた。
「みなさま、お疲れさまでございます。いやぁ、大変でしたね」
長身、口ヒゲ、柔和な笑顔、そして思いやりにあふれた口調。領事はとても素晴らしい人物だった。非常にダンディーで、アミとエミリは口をポカンと開け、ほれぼれと領事に見とれていた。
「ひとまずみなさまのホテルは取ってございますので、これよりご案内させていただきます」
領事を先頭に邦人グループはバスに乗り込み、ホテルへ移動した。
ホテルに着くと領事は今後の予定を説明した。
「明朝のバスを手配してございますので、みなさまをケアンズまでお連れいたします」
丁寧で大きな声で領事が言った。
案内されたホテル(豪州タウンズヴィル 2000年)