帰国してしばらくすると、待ち焦がれていた投資会社からの返事が来た。
「これで夢は成ったも同然だ――」
アダコアにてまさに施設を建てようとしていたことやドルフィン・センターの設立手続きを始めたタイミングを考えると、手紙の中身を見なくとも書いている内容が想像できた。
もちろん希望通りに投資を受けられるに決まっていた。
はやる気持ちを抑えつつ、自分の部屋へ急いだ。
机の前に座り、封を切った。
深呼吸をした。
そして一気に読んだ。
その瞬間――世界が真っ暗になった。
投資を受けられないという知らせだった。考えていることが壮大過ぎることや、提出した事業計画書では内容が不充分であることなどといった理由が挙げられていた。
当時暮らしていた街(神戸市学園都市 1996年)