――アダコア。
というのが、ビリーの土地の名称だった。
アダコアとは、マングローブを眺めるというような意味である。
その名の通りに海岸は確かにマングローブが生え茂っていた。アダコアはクワイ村とノノシラ村の対岸、つまりマライタ島の本土に位置していた。
アトイフィの波止場をあとにすると、モーターボートはまずぼくをアダコアで降ろし、それからクワイ村へ帰っていった。
「おまえさん、一体いつソロモンに戻って来たのじゃ!?」
どこからともなく出現したぼくを見て、ビリーは満面一杯に驚いていた。
「実は今日なんだ」
ぼくはこれまでのいきさつをかいつまんで語り、ついでに投資会社のことも報告した。
今回用意された部屋(マライタ州アダコア 1996年)