彼女との出会いにより、ぼくは少しずつ自分らしさを取り戻していった。
同時にこの時期の持つ意味がおぼろげながらも見えてきた。
導きが来なくなり運命に見離されることによって、ぼくは夢に対する思いと真剣さを徹底的に試されていたのだ。
もうそんな実現性のない夢など諦めてしまえ、おまえには絶対に無理だ――心の暗黒面がそう叫んだ。
一度はこれに屈してしまったが、時間が経つにつれて夢への情熱が再び燃え上がってきた。
沖縄に始まる奇跡の連鎖を思い出し、導きを順番にたどり直していった。特に計画したわけでもないのに、物事は不思議な具合に展開していき、ぼくはビリーという事業パートナーとの出会いを果たした。
そこには運命めいたなにかがあった。すべてが単なる偶然であるとは到底思えなかった。そのことを改めて認識することができた。
振り返ってみると、心の奥底には常に夢への思いがあった。アルバイトしながらも空想の中でイルカと泳ぎ、ソロモンの友人たちと肩をたたき合って笑った。
だが、そういう自分に気がつくと、ぼくはすぐにその思いを打ち消し、なるべく意識を夢からそらそうとした。