第7章 青バラの精③

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「この子が友達を探しているらしいんだ。同じ年頃の男の子と妖精、誰か見かけなかったかな?」

早速聞いてくれたのは良いけれど、その言葉に首をひねる。

「?あの…妖精じゃなくて精霊の女の子なんですが…」

(茉音!ここでは生物の形をとってる精霊は珍しいんだ。話を合わせておいた方が良いよ)

「あ、そうなんだ…何でもありません!」

慌てて訂正してみたけれど、そもそも青年は私の話を聞いてなかったらしい。近くの人と話し込んでいる。

やがて全員に話が行き渡ったのか、青年は私の方を向くと申し訳なさそうに言った。

「ごめんね、誰もその友達は見てないみたいだ。何しろ大きい街だからね、ここは。もし彼らがこの街を訪れていたとしても、目撃情報はあまり期待できないんじゃないかな」

「そうですか…ありがとうございます」

たとえ見つからなくても、仲間にまで聞いてくれた。先程会ったばかりの私に、こんなに親切にしてくれた事が嬉しくて、素直に頭を下げる事ができた。

でも、それならそれでこの街に用は無い。灯達は線路沿いを移動しているはずだし、1つの場所に長時間留まっているとは考えにくい。と言うか、私自身がこの車通りの多い危ない街にいたくない!さっさとここは離れてしまおう。

と、思ったけれど…。

「じゃあ、次は西のEエリアを中心にやっていこう!あそこは高齢者も多いから、皆、大変だと思うけど頑張ろう!」

青年の呼びかけにオーッ!と声を上げて、集団はゾロゾロと移動を開始した。

「ねぇ、雷珂。あの人達って何の集団だと思う?」

(さぁねぇ。気になるんだったら聞いてみれば?)

「うん…あの、すみません!」

声をかけると、先程の青年が振り返ってくれた。

 

 

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