2015年02月28日

プレミアムよるドラマ 徒歩7分 NHK BSプレミアム

テーマ:TV is sucks!


 田中麗奈主演「徒歩7分」。黒崎依子32歳。彼氏なし、友達なし、仕事なし。今更ですが、一人暮らしが始まります。特に期待もせずになんとなく見始めたこのドラマだったのですが、気がついたら見逃すことのできないドラマになっていた。長回しが多く会話の中身もちょっとずれていて面白い、冬野ユミの音楽も良くて、緩さ抜群です。天気の良い春の日曜日の午後のような雰囲気が、このドラマにはずーと流れているのは、主人公依子が働いてもいないのに一人暮らしを始め、友人も恋人もいない暇人だからだ。それでも1人暮らしを始めた事で始まる隣人やストーカーや妹や元恋人達との交流、事件とも言えないような事件が巻き起こる。

 今想像している未来は、これまでの過去の経験から想像した未来だ。それはすべて過去からできているのだが、本当にやってくる未来はそんなものではない。あくまで純粋に未来としてやってくる。勝手に未来に絶望していた依子は、崖の上に立っていて、足を踏み出せば次の瞬間には死んでいるかもしれなしそうではないかもしれないが、ともかく前に踏み出さないといけないと、依子はそんな考えに至った。そして歩きだし始める、あくまでゆっくりと、そして方向もちょっとずれているけれども。
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2015年02月26日

アメリカン・スナイパー/American Sniper

テーマ:映画


 日本やベトナム、イラクなどに限らずアメリカはこれまで数々の戦争を戦ってきたが、アメリカ人にとって戦争とは海外へ戦いにいくものだ。兵士達は戦地へ赴き、無事に帰還するか、負傷して戻るか、戦死するかを家族は待つ事となる。南北戦争などアメリカが戦地となることはかつてはあったが、アメリカ人は現代において本土で戦闘が起きることは想定していまい。9.11でのテロはアメリカ人に戦争の現実をまざまざと見せつけた事件だったが、逆にアメリカ人を戦争へと駆り立ててしまった。

 クリントン・イーストウッドの「アメリカン・スナイパー」はイラク戦争で160人(公式)を射殺したスナイパー、クリス・カイルの半生を描いた映画だ。ウィキペディアでは公式は160人、非公式は255人となっているが人を殺すのに公式も非公式もあるのだろうか?これだけの数の人間を自分の祖国、家族や仲間達を助けるためとはいえ、殺さなければならない現実に対して葛藤を感じずにはいられないと思うし、自分たちを守るための戦いなのだと思い込まなければ、やって行く事はできまいだろう。

 クリスはイラクへ行く前に結婚式を挙げ、妻はひとりで赤ん坊を生み、育てながら夫を待つ事になる。アメリカで待っている妻からしてみれば、自分たちの暮らす日常と殺戮が行われている戦地とでは、実際の距離以上の遠さを感じているし、それは兵士でないアメリカ人も同じだろう。海外旅行でアメリカを訪れる日本人も同じだ。アメリカが戦争を遂行している国かどうかはアメリカにいては分からない。ところがアメリカにもすっと戦場は姿を表す。衛生電話と携帯で妻と話すクリスは、砂漠の街のある家の屋上で、今まさに人を殺そうと銃口を構えている。またある時は、携帯でしゃべっている最中に銃撃され、会話は途中で終わり聞こえるのは銃撃音だけだ。昔の国際電話のように雑音ばかりではなく、きっとクリアーに銃撃音や爆発音が聞こえ、すぐ側にいるような近さに聞こえることだと思う。携帯でつながったすぐ向こうでは夫が戦場で殺し合っているという妻にとっては耐えられない体験だったに違いない。またクリスが街で出会った健康そうな男はズボンの裾を上げ義足を見せクリスに命を救われたのだと言う。こうして日常のアメリカにも戦争は確実に忍び寄ってくる。派遣期間が終わるとクリスはアメリカで休暇を過ごす事になる。このアメリカをクリスはどう感じるのだろうか?自分の命や仲間の命をかけて必死になって守っているアメリカの現実を、アメリカに戻ったクリスは一体どんな気持ちで眺めているのだろうか?イラクの人達の命とアメリカで暮らす人達の命の重さに違いはあるのだろうか。愛しそうに自分の赤ん坊を抱くクリスは、イラクに行けば、その同じ手で子供でも武器を持っていれば射殺しなければならない。クリスにとって狂っているのは自分なのかアメリカに暮らすアメリカ人なのか分からなくなっていった。

 レジェンドというニックネームをもらったクリスは同時にイラク・アルカイダ側にとっては18,000ドルの賞金首でもある。しかしクリスはレジェンドであり、この映画の主人公であり決して負けることは許されない。任務を終えてアメリカに戻るクリスはPTSDに苦しむ様子が描かれるが、最終的にはそれすら克服する。それにしてもクリスはイラクにいる方が生き生きと見えるのはどういうことだろうか?まるでイラクという戦場が自分の庭であり、アメリカではぬるすぎる日常のよう振る舞うのだった。いやクリスにとっては戦場は男らしさを発揮する為の格好の場所だったに違いない。そもそも彼は子供時代からスナイパーだ、獲物を狩る事が任務であり、任務を成功裏に終えれば終える程周りの兵士達からは称賛されるスナイパーほど男としての原始の本能を呼び起こす任務はない、4度目の派遣を前に妻は「今度行くのなら帰って来た時には私と子供はいない」と言うのだったが、次の場面は輸送機からイラクに降り立ったクリスの姿だった。この時点でクリスは家族を捨て戦争を選んだ(帰って来ても妻子はいたけれども・・)。最後となるツアーの目的は死傷した仲間達の復讐とヒーローにとって必要不可欠な存在である敵側ライバル、アルカイダの元オリンピアン・凄腕スナイパーを仕留める為だった。そしてクリスは無事に任務を遂行して、敵に囲まれた状況で脱出直前にまた妻に戦場から電話を掛け戦争には足を洗うと宣言する。この映画は戦争の惨さや悲惨さを訴えたいというような装いをしているのだが、実はよく見ているとアメリカン・ヒーローの映画だ。クリスは退役後PTSDに苦しむ元兵士を助ける活動をするが、その1人の兵士に殺されることになる。この場面はただクリスを見送る妻の眼差しで暗示されるだけで映画では描かれない。そんなシーンはどうでもいいのだった。クリスの死後墓地へ向かう霊柩車を見送る為に多くのアメリカ人が星条旗を掲げ道沿いに集まった。最後のシーンは実際の映像を使っているが、これでもかと星条旗が映し出される。この星条旗が最も重要なのだった。アメリカン・スナイパーはここでアメリカ・ヒーローとなったのだった。
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2015年02月21日

世界最強の男(The World's Strongest Man) 2014 NHK BS1

テーマ:TV is sucks!


 世界最強(The Worlds’s Strongest Man)の力自慢を決める選手権です、1977年から毎年開催され2014年で37回目。世界中から集まった熊みたいな男達が、力の限り競い合い世界最強の力自慢を決めます。試合方式は予選、決勝それぞれ6種目ずつ実施、各種目1位から最下位までポイントがついており、そのポイントを最も獲得した男が勝者となる。競技は力が必要な事はもちろん、スタミナ、テクニック、敏捷性、精神力も必要とするように考えられている。今回開催された種目を一部紹介しましょう。トラックプル:12tのトラックを30m先のゴールまで引っ張りそのタイムを競う競技、ポイントはトラックが動き始めたら決して休む事なく引き続ける事、決勝ではトラックを2台つなげ24tで争われた。カーウォーク:重さ455kgの車を25m先のゴールまで運ぶ競技、ポイントは車を持ち上げ歩く時のバランス感覚。ケッグトス:17kgから24kgまでの8個の樽を放り投げて高さ4.9mのゲートを越す競技。ポイントは瞬発力と樽を投げる技術。ローディングレース:100kgのタイヤ3個を15先の台まで運ぶ競技。アトラスストーンズ:130kgから185kgまで徐々に重くなっていく5個の丸い石を高さの異なる台の上に乗せタイムを競う競技。この競技は伝統のある重要な種目と考えられていて、予選・決勝の最終種目として実施される。

 5組の予選から2名が決勝進出、予選落ちの上位2名をワイルド・カードとして加え決勝は12名で争われた。2014年の大会での優勝候補は、11’,13’と過去2度優勝したデフェンディング・チャンピオン、アメリカンのショー、09’,10’,12’と過去3度優勝したリトアニアのザビッカス。2年連続3位、アイスランドの若手ビヨーンソン。参加する選手のほとんどが身長約2m、体重180kg以上、そんな大男達が顔を真っ赤にして、身体を振るわせながら競技に挑みます。多くの種目で1分間の制限時間が設定されているが、決勝進出の選手でも競技をクリアできる選手が限られている。そんな中でも圧倒的なパワーとスピードを見せる3人は段違いです。予選も決勝も6種目で争われるので、スタミナも必要だしポイント計算してどの競技に力を注ぐか戦略も必要とされる。決勝に進出した選手は30代が多いのは、それだけ筋肉を付けるのに時間を要するという事だろうか。

 熊のような大男がものすごい形相で真剣に競技に挑んでいるのだが、ナレーターがしょうもない親父ギャグを飛ばしまくるのがこの番組のイマイチな所だ。これだけすごいことをやっているのに地味なためマイナーな競技なであるのは残念だが地味なため仕方がないのだろうか、やっている方ももちろんだが見ている方も力が入ります。2015年はマレーシアで開催される予定です。観客は野次馬っぽい感じで集まっているように思えます。NHK BSではこっそり毎年放送されています。
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2015年02月15日

『COOL JAPAN~発掘!かっこいいニッポン~』NHK BS1

テーマ:TV is sucks!


 日本社会の事物や現象、習慣など日本文化の面白い所を外国人の視点で発掘していく番組『COOL JAPAN~発掘!かっこいいニッポン~』です。日本に生まれ日本人として育つ中では決して気づくことのないことを外国人が教えてくれます。ゲストとして招かれた率直な外国人の意見が新鮮だし、日本人でも知らないことも取り上げるので意外な発見もあって、教えてもらうことがたくさんあります。番組は2006年から放送されていて毎回違ったテーマを取り上げます。最近取り上げられたテーマで日本独自だったなと思うのは「犬」「自動販売機」「文房具」「写真」くらいだろうか。外国との交流が増えたといはいえ、極東の島国である日本は地理的にも文化的にも独自なものを形成していることがよくわかる、もちろん良い面も悪い面もあるのだが、西洋ともアジアとも違うものを作り出しています。

 日本を特徴付ける中で大きな要因となるのは、まず治安の良さだと思う。例えば日本では多種多様な自動販売機が都会でも田舎でも、大量に設置されているのは他の国にはない特徴の一つだが、外国では自動販売機は盗難にあうリスクがある。アメリカの高速の休憩所にあるジュースの自動販売機は、頑丈そうなおりの中に設置されていたのを見て驚いた事がある。酔っ払いが街中で堂々と寝ていられるのも日本ならではの光景だ。海外でそんな事をしたら目が覚めた時は身ぐるみはがされているでしょう。微笑ましくもあり呆れるものでもあるが、そういった日本の日常の風景が実は海外では日常の風景ではなかったりする。

 新春スペシャルでは少し趣旨を変えて、日頃から外国人が持っている疑問に回答するという内容でした。面白いと思った疑問は「なぜ日本人は川の字になって眠るのか?」「なぜ○○ちゃんのママと呼ぶの?」で、これは西洋人はやはり個人に重きを置くんだなと改めて感じました。幼稚園とかで母親同士が子供の名前で誰々ちゃんのママと呼び合うのは、個人主義の西洋ではかなり無礼な事になる。夫婦の間に子供ができればパパとママになってしまうのも個人よりは社会の役割重視ということなのだが、名前を呼ばれなくなってしまうのはやはり寂しいものだ。川の字になって眠るのは、小さい頃から自立心を養うために子供は自分たちの部屋で寝かせるのが西洋人だが、その実、小さい子供たちの意見は寂しいし夜は怖いので、一緒に寝たいと言っていたり、大人の素直な意見としては子供が一緒では眠りにくいし、セックスもできないという身も蓋もないない回答だった。なるほどこれは日本でのセックスレスが広がる原因のひとつかもしれない。子供の為にもある程度の年齢までは一緒に寝てもいいのではないかというのが番組を見た感想だが、このような当たり前と思っている生活を改めて考えるきっかけになるのがこの番組の良い点だと思う。同じ日本人から見てもそれはやり過ぎだ思うことも少なからずあるけれども。
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2015年02月14日

サン・オブ・ゴッド/Son of God

テーマ:映画


 イエス・キリストの生涯を描いた映画「サン・オブ・ゴッド」です。人の一生を2時間前後の映画にまとめる事はどんな人物であっても難しいと思うが、まして神であるか人であるか議論がつきないイエスの生涯です。一生を切り取って映画にまとめることをスライス・オブ・ライフといいますが、この映画でのイエスのスライス・オブ・ライフは非常に雑な作りになっていると感じざる得ない。アダムとイブやモーゼもイエスが誕生する前の話として出てくるのだが、さらっと紹介される程度で、わざわざその為に撮影したのだろうかと思っていたのだが、どうやら元々はテレビドラマであったものを映画として再編したものだという事だった。編集版だという事でこの映画の乱暴な描き方に納得がいってしまった。キリスト者が見た場合はストーリーについて行けるのだが、そうでない人にはこの映画は不親切すぎて何が起こっているのかついていけないのではないか、ある程度の予備知識がないと理解できないし、理解できたとしてもひとつひとつのエピソードが次から次へとつなげているだけのような印象を受けてしまう。それにこのイエスは少々太りすぎではないのか?たるんだお腹が気になってしまった。

  「光は空気の全体にそなわっているけれども、そのいかなる部分とも混じり合わない・・・(魂
 とおなじように)静かにとどまっている」。したがって「光が空気の中にある」というより「空気
 が光の中にある」というのが適切であり。同様に「魂が身体のうちにある」というより「身体が
 魂のうちにある」と考えるべきである。魂は身体全体を包むが、それを超える部分も持っている
 のだから。
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2015年02月11日

ナショナルギャラリー 英国の至宝

テーマ:映画


 ドキュメンタリーの映画の巨匠フレデリック・ワイズマンの最新作は英国のナショナル・ギャラリー。ロンドンのトラファルガー広場に面する美術館は、多くの国立美術館が王侯や貴族のコレクションから始まったのとは違い、市民のコレクションから始まった。所蔵作品はイタリア・ルネサンス絵画から、17世紀のフランドル、オランダ絵画、イギリスやフランス印象派はもちろん近代絵画にも及び、館内をひとめぐりするだけで西洋美術の歴史を知ることができる。ロンドン観光の目玉の一つであるが、運営は寄付に頼っており常設展は無料で鑑賞することができる。映画の中ではダビンチ展とターナー展が開催していた。

 映画は3時間を要するので映画館でみる場合は覚悟をしておいた方が良い。そしてこの作品はナショナル・ギャラリーの映画というよりは”フレデリック・ワイズマンが撮ったナショナルギャラリーの映画”だという事を理解しておいた方がよい。彼はこれまで40本近くのドキュメンタリー映画を作っていて、その題材は「動物園」「病院」「セントラルパーク」「アメリカンバレー・シアター」「パリ・オペラ座」「臨死」「高校」と多岐に渡りそのスタイルはまったくぶれることがない。通常のドキュメンタリー映画を見る事に慣れた人達には違和感を感じることだと思う。音楽は無し、インタビューもなし、親切な解説もなければ、物語性もない、ナショナルギャラリーの何がすごいのか?何がをそれを可能にしているのか?実はこんなすごい秘密がありましたのような、トリビア的な情報は何も与えてくれない。

 通常の手法のドキュメンタリー映画では、撮影したいテーマや問題なりがあって、それを探るように撮影は開始していく。役者がいて脚本がある映画とは違ってその場で起きている事を撮影していくのがドキュメンタリー映画であるが、実は撮影する側は撮影したいものが決まっているし、結果をある程度予想しながら映画としての答えのような瞬間を撮影し、編集される。問題提起→探求→展開→結論という流れがあって、見る方はそれがあたかも一つの物語のように展開して解決する事で満足を得る。鑑賞者はただひたすら映画の展開を追っていけばよく、それで問題が解決すればすっきりするし、解決できないような問題であれば、それは問題提起をしたかったという製作者側の意図だ。見ている方は監督によって材料を調理した料理を味わうだけだ、良い料理人もいる、下手な料理人もいるし、素材に問題がある事もある。味わう方の好みの問題あるだろう。

 ワイズマンの映画の手法はまったく異なっていて、いわざ材料をそのまま提示されているようなものだ。テーマはナショナルギャラリーそのものであって、ナショナルギャラリーにまつわる人、事物を映し出すのみ。見ている方はそこから積極的に自分なりに何かを見いださなければいけない。映し出される数々の絵画や、学芸員の解説、スタッフの会議や、掃除するおじさん、熱心に鑑賞する人々の表情や、建物、修復する様子などの断片の数々。3時間という長さもあるが、この作業は簡単なものではない。うっかりすれば何の脈絡のない映像の数々が眠気を誘うことだろうと思うが、これがフレデリック・ワイズマンの映画なのだ。
 
 映画を見ていると目につくのは学芸員の解説と修復作業のカットの多さだ。芸術に触れたときの感動を、言葉で表現する事は非常に難しい。ボキャブラリーは限られているし、あれこれ言葉を尽くして語れば語るほどその感動とは違うものになっていく。感性は人それぞれだが、万人を感動させるものは何だろうか?その絵の何が人を感動させるのか?そもそも感動するとはどういう事なのか?探っていけばキリがなく、疑問が疑問を呼び起こす事だと思う。学芸員たちの解説は何とか絵を解釈しようとしていて、絵の中に書かれた人や物や構図や色などから意味を見いだそうとしている。絵は解釈するようなものではないし、見て良いなって思えばそれで良いはずだ。多くの人はそれでいいんだと思うことだろう。ただし研究者たちはそういうわけには行かない。何がよいのか説明しなければ行けないし、論文も書かないといけないだろう。ただ見て感動したとか、そんな事ではすまされない為に何とか解釈を試みる。それは研究者の視点から見ているだけに過ぎない。絵のタイトルは忘れましたが、男が楽器を演奏している絵があって、そこに書かれている楽譜が、ちゃんとした楽譜なのかどうなのか議論している様は滑稽でした。こういう解説や歴史的背景の知識もある程度は面白いが、それを勉強しないと絵を理解できないというのは違うと思う。

 映画や音楽は時間芸術だけど、絵画は瞬間の芸術だ。肖像画に描かれた遥か数百年前に生きていた人達が絵画の中ではいつまでも生き生きとしている。この映画は数多くの肖像画の人物が写しだされるが、その生き生きとした様子は写真をも超える素晴らしさだ。同時のこの映画では熱心に絵を見つめる今生きている人達の表情も映し出す。この人達の表情と肖像画の中の人達の表情となんら変わる事がないように思えるのは僕だけだろうか?
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2015年01月26日

パリ白熱教室 NHK Eテレ

テーマ:TV is sucks!


 パリ経済学校教授トマ・ピケティの著書「21世紀の資本」は世界的ベストセラーとなっており。日本では2014年12月に邦訳が発売され売れ行きも好調だ。2011年にアメリカのウォール街で経済政策の改善を求めデモが始まったように、近年になって先進国で富の不平等が問題となってきた。特にこの傾向はアメリアで最も顕著で、その水準は第一次世界大戦前を上回るという。資本主義経済下においては富が富を生み、所得の不平等は避けられないが、近年になって大きな問題になりつつあるのは、二つの世界大戦によって資産が浪費されることによって、不平等の拡大は抑えられてきたからだ。世界中を巻き込んだ大きな大戦後50年以上たち、本来の資本主義の特徴があらわになってきたのが近年の状況だというわけだ。ピケティは各国の納税記録などの膨大なデータを集めて分析する事によりその状況を明らかにし、累進課税制度を導入することで、富の不平等を是正するよう提案する。本書の価格は定価5,940円でページ数も約700ページに及びかなりハードだ。しかし幸いにもNHK Eテレで全6回の講義「パリ白熱教室」が用意された。この番組を見てみるだけでも、十分ではないだろうか?十分ではないかもしれないが重要なエッセンスを掴む事はできるだろう。この番組をみて興味が湧き、もっと詳しく知りたくなったら本書を購入すればいい。
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2015年01月25日

こころ旅 2015年春の旅 NHK BSプレミアム

テーマ:TV is sucks!
2014年の秋の旅の最終回では沖縄まで辿りついた火野正平。最後の回では俳優の仕事をもっとやりたいとつぶやいていたので、もうこころ旅は見れないかなぁと思っていました。違う人に変えてでもと想像しましたが、やはりこの番組は正平さんでないと成立しません。新年からは2012年の蔵出しスペシャルが放送されていて、懐かしくもこれが新しいシリーズではないことに少しの寂しさを感じていたところが、嬉しいお知らせが。こころ旅2015年の春の旅が決定です!今回は和歌山県から出発して北海道までのこころ旅。再び正平さんのこころ旅が見られるのが今から楽しみです。俳優としての正平さんにとっては残念かもしれませんが、こころ旅の正平さんを待ち望んでいる人が今やたくさんいます。正平さんはこころ旅でひとり芝居をしながら旅を続ければいい。シリーズ始まる前には直前スペシャルが放送されるので、これも楽しみです。
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2015年01月23日

6才のボクが大人になるまで/Boyhood

テーマ:映画


 アメリカで非常に評価が高く、ゴールデングローブ賞の3部門を獲得、またアカデミー賞作品賞候補にもなるなど話題の映画です。この映画の大きな特徴は6才の少年の成長を12年もの長い年月を掛けて撮影したという事だ。毎年3~4日撮影するのを12年続けるというリスクのある撮影だった。主人公のメイソン Jr、姉のサマンサ、母親のオリビアと、父親のメイソン・シニアの4人のキャストと一部のスタッフは毎年撮影に加わった。12年の歳月をかけて子供達はどんどん成長していき、両親はゆっくり年を取っていく様子が映画となっている。子供にとっての12年と大人にとっての12年は同じ12年でもその長さは全く異なっており、その二つの時間の流れがこの映画には流れているし、親と子供の異なる立場も描かれている。オーディションで選ばれた当時7才のエラー・コルトレーンに話題が集まりがちだが、この映画は少年が大人になる物語ではなく、親子の12年の物語なのだ。この家族の男が2人ともメイソンというのは偶然ではなく、2人のメイソンの物語なのだ(もちろんサマンサとオリビアの物語でもある)。

 監督が「スクール・オブ・ロック」のリチャード・リンクレーターという事で、2000年のヒット作コールドプレイの「Yellow」から始まり、シェリル・クロウの「Soak up the sun」,ヴァンパイヤ・ウィークエンドの「One(Blake’s got a new face)」,ヨ・ラ・テンゴの「I’ll be around、ウィルコの「Hate it here」,アーケード・ファイヤーの「Deep Blue」などたくさんの曲が使われている。日本ではあまりなじみのないウィルコやキャット・パワー、アーケド・ファイヤーなど、ここ10年くらいのU.Sインディーの成功を示すような選曲です。アニメのドラゴンボールやゲーム機など映画に登場する小道具は年代別に登場するので、音楽についても年代毎に選曲されているといるのだろうと予想します。監督の音楽への愛情を感じるのはビートルズの「ブラック・アルバム」だ。メイソン・シニアがジュニアの15才の誕生日に送ったこのアルバムはビートルズ解散後それぞれのソロ活動から選ばれたオリジナル・コンピレーションアルバムで、ビートルズの10作目のオリジナル・アルバム「The Beatles」(通称ホワイト・アルバム)を元ネタとしてきちんとジャケットまで作っている。ジュニアがポールがいいみたいな事をいうが、シニアはビートルズは4人そろってこそビートルズなんだとロックバンドの本質を熱く語っていました。

 メイソンシニアは最初に登場して来た頃はアラスカから帰って来たという設定で、働いているのかどうかはっきりしないフラフラした存在ですが、サマンサとジュニアには重要な存在であり続けます。母親のオリビアはシニアとは離婚してしまっていて、その後2度結婚と離婚を繰り返します。母親の最初の再婚相手は大学教授という地位にありながら昼間から酒を飲んでは暴力をふるう生粋のテキサス・カウボーイです。2度目の再婚相手もイラク戦争帰りのマッチョタイプで、酒好きで子供達からは反発を受けてしまう。テキサスを舞台としているこの映画は所々にアメリカの保守派の人達がでてきます。シニアが選挙キャンペーンでオバマを支持する旗をたてて回る直接的なエピソードもありました。映画には描かれていませんでしたが、サマンサはいわゆるできちゃった婚で、意図しない子供であったが、テキサスという保守的な州では中絶が難しいという事情もあったのかもしれない。またシニアの再婚相手は、バリバリの保守派の家庭の娘です。その両親の家へ子供達を連れて行った時に、義祖父母からのプレゼントが「聖書」と「家族に代々伝わる散弾銃」というのは敬虔なクリスチャンならではのエピソードです。
 熱心にオバマを支持していたシニアは、保守派の家庭の娘と再婚して保険会社で働くようになり、プレミアのついたスポーツカー(GTO)を売ったお金でファミリーカーを購入してすっかり現実的な大人になります。このGTOを売ったエピソードは2人のメイソンにとって重要なエピソードだ。ジュニアは子供の頃に約束した、「16才になったら車をあげる」という約束を覚えていて、抗議しますが、シニアはすっかりそんな約束は忘れていたようで、あやまることもなくごまかしてしまう。すっかり現実的になったシニアと大人と子供の間で揺れ動くジュニアが子供の頃からしっかりと心に刻んでいた約束がなかったことにされてしまう場面は、子供時代への決別の時となる。それはジュニアにとってもシニアにとってもだ。

 子供は親がどれだけ愛情を注いでくれるかを要求することによって親を試します。親は最初は懸命に子供の要求に答えようとしますが、子の要求には終わりがないため、親は要求に応える事ができなくなる。そうしてすべての要求が通らないことを学んだ子供は、親に頼ることをやめ自立しなければいけない事を発見する。そこで子は存在しないものを求める要求とは違う、自分の手に入れる事のできるという意味での欲望を持つようになるのだ。そうして欲望にそって生きて行く事に成る。やがて自分が親になった時には自分が経験したような思いをさせまいと自分の子供の要求に全て応えてあげようと思うが、終わりのない要求には答えらないとうことを自分が親になり知る事になるというのは、人間が何代にも渡って繰り返してきた事だ。そうしてまた違う世代がやってくるのだ。
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2015年01月03日

ドキュメント72時間 NHK総合

テーマ:映画


ドキュメント72時間 NHK総合
 「ドキュメント72時間」3日間72時間日本のどこかの街角で、そこに集まりに行き交う人々をドキュメントした番組です。撮影する場所は毎回異なっているのだけど、そんな場所があるんだと驚かされる事もよくある。「最北のバス停」では、日本最北端の宗谷岬のバス停で初日の出を見る為にキャンプしている人達がいました。雪が吹き荒れる獄寒の宗谷岬に集まるなんてすごい人達だ。「新宿二丁目の定食屋」「さすらいのシャケバイト」「大阪ミナミのアングラ長屋」と3週連続ディープ・スポットが続いた時はこの番組はこの先どうなるのだろうかと不安になりました。シャケバイトは放送直後にシャケバイトの人達が大麻で捕まるというタイムリーな話題を提供しました(放送された人達が逮捕されたか当事者かどうかは不明)。年末には今年放送した中から人気のあった回を9本一晩中放送するという豪快な企画もありました。

 撮影場所にスタッッフが72時間滞在して、そこに集まる人達に話を聞くというスタイルで番組は進行します。どんな人達が集まるかは撮影する場所に大きく依存します。「大病院の小さなコンビニ」では患者や、看病をする家族、仕事の合間に食料を買う医者。「新宿二丁目・深夜のおふくろの味」は取材NGの人達が多くて、スタッフは苦労していました。日本ではマイノリティの人達の街であるが、現実にここで生きている人達の人生があります。

 「どしゃ降りのガソリンスタンド」は、神奈川県にある24時間のガソリンスタンドが舞台で来る人たちに全く共通項がないように思える場所だ。ガソリンを買いに来たという事が唯一の共通項だろう。多くの人達がそれぞれの理由で、様々な場所へ向かう途中にガソリンを入れに来る。どこにでもいそうな普通の人達が向かう先は、これといって驚くような場所ではないが、簡単な人生を送っている人は中々いないという事は本当だろうか?どこにでもいそうな人達が、どこにでもありそうな事情を抱えているが、番組として放送される人達はやはりどこにでもある事情ではなくて、しんどそうな話もある。日常普通に暮らしていれば死は身近ではないが、実は身近に転がっているのだなと思わされる。72時間1カ所にとどまって撮影することで、平凡な生活から平凡でない生活へいとも簡単に壁を乗り越えてしまうのだと、それも日本中どこにでもある近所のすぐそこで起きるのだろうという事だ。
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