2008年08月30日

花はどこへいった/Agent Orange-A Personal Requiem

テーマ:映画


 ベトナム戦争は今だに終わっていない、いやそういう場所は世界にはごまんとあるのだろうと思い知る映画です。ともかくこの映画には衝撃を受けました。女性達の出産を扱った「プルミエール」という映画でベトナムのツージー病院という年間45,000人もの赤ちゃんの出産に立ち会う巨大病院が扱われていて、そこではみな健康な赤ちゃんがバンバン生まれていく様子を映し出していた。同じ病院がこの「花はどこへいった」にもでてきます。この映画では、病院で生まれた障害児100人を平和教室で面倒をみているという内容だった。「プルミエール」を見ていて僕はベトナムでの枯れ葉剤の影響とか大丈夫なのかなと疑問に思ったのだけど、やっぱりそこはウォルト・ディズニー、奇形児については触れるわけもなかった。

 この映画は元ベトナム戦争の退役軍人でアメリカ人のフォトジャーナリスト、グレッグ・ディビスが枯れ葉剤の影響と思われる肝臓ガンで死亡したことがきっかけで、その妻が制作したものです。なので非常にパーソナルであり結果的に社会的。手法はかなり古典的、妻の棒読み方言混じりのナレーション入りです。それで、枯れ葉剤の実体を探るべく夫があまり語らなかったベトナムに乗り込むというのもかなり古典的な流れです。

 ベトナムで枯れ葉剤エージェント・オレンジの影響を受けた障害児を取材していくのだけど、まあ言葉になりません。悲惨すぎます。戦後30年たち、ベトちゃんドクちゃんももうだいぶ昔の話だし、当時の反戦だとか、フラワー・ムーブメントだとか、フォーク・ブームなんかも遠い昔の記憶になりつつあるけれども、そもそもベトナム戦争について多くを知らない人の方が多いのではないだろうか?歴史の授業で習う”過去の悲惨な戦争”のひとつになってしまっているのではないだろうか?雑貨ブームでベトナムは旅行先として人気ではあるけれども、戦場であったベトナムの人達は今だに苦しんでいるし、まだまだその苦しみも続いていく。

 あまりにひど過ぎて、映画を見ている途中でアメリカに対する怒りがフツフツとわき上がってくる、当事者たちも怒りで満ち満ちているのではないかと思ったが、ここにでてくるすべての母親、父親達がみなインタビューの中ではアメリカに対する怒りなど少しもみせない。一人の母親が「最初に自分の赤ちゃんの姿を見た時は気を失ってしまったけれども、自分の子供なのでしっかり育てようと決めた」と答えていた様子はすげえなぁと感心しました。「これはすべて運命なのだから、戦争をした自分たちも悪い」と答える老婆もいた。ベトナムのこういった善良な立場の弱い人達が、アメリカの妄想的で無駄な戦争で苦しまなければならならないのは、本当に不条理です。世界中に不条理が蔓延しているけれども、その中でアメリカは今や世界最大の不幸の種の輸出国になった。日本も一所懸命加担している。
 
 戦後日本の経済復興のを支えたベトナム戦争で、アメリカでは枯れ葉剤の製造会社や、航空機メーカーは莫大な利益を得た、そういった経済的復興がなければ今の生活が成り立たなかったかもしれないけれども、最先端技術の発展には軍需産業が引っ張るとかいうけれども、それが戦争である必要があるのだろうか?他に解決すべき問題はいっぱいある。てっとり早い儲けの手段として戦争を選びそれを支持するのが、一体後にどれほど負の要素をまき散らすのだろうか。戦争を起こす人達の頭の中が良く理解できない。

 そういったことを考えずにはいられない映画です。
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2008年08月27日

空の名前/高橋健司

テーマ:書評


ついつい見上げてしまう空、心は空っぽでただただ見上げるばかり。それでも言葉は与えられている、そしてそれは空の表情のように表現豊か。豊潤な日本語と素晴らしい写真に驚く物語

空の名前/高橋 健司

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2008年08月25日

敵こそ、わが友〜戦犯クラウス・バルビーの3つの人生〜/My Enemy's Enemy

テーマ:映画


 元ナチス・ドイツの親衛隊保安部員、第二次大戦後のヨーロッパにおけるアメリカ陸軍情報部のエージェントスパイ、そしてボリビアにおける軍事政権樹立の立役者として活動したクラウス・バルビーのドキュメンタリーです。

 マイケル・ムーアの大成功や、デジタル・カメラの進化によっって、色々なドキュメンタリーが多く作られるようになった現在ですが、このドキュメンタリーはいわゆる古くさいドキュメンタリーの形式で作られている。まるでNHKやBBC製作のコテコテのドキュメンタリーです。ナレーションがあって時系列を追い、事実を掘り下げて行き結論に到達しようというスタイル。高校の授業で見せられるドキュメンタリーって感じで、昼飯後にみると確実に眠くなります。題材も歴史的な事実であり、当人もすでに死亡しており現在と繋がりも薄い、なかなか面白くはすることができないかもしれない。あとはなにで勝負するかと言えば内容の衝撃度であって、この映画はそれしかポイントを持っていきようがないと思う。

 もはやアフガニスタン、イラクでの戦争においてアメリカの無茶苦茶ぶりは全世界中に知れ渡っているけれども、この映画のパンフレットに描かれる星条旗の中のハーケンクロイツがすべてを表している。ここでもアメリカがヨーロッパから南米まで無茶しています。冷戦下のパワーバランスの中では、たとえ元ナチスドイツであろうが、人殺しだろうが関係なく、利用できるものはすべて使って世界の覇権を奪おうという政策が第二次大戦から脈々と続いているというわけだ。平和な平和な日本だって、アメリカの占領下にあって、結局そこから抜けだしていはいない。思えば外国に軍事施設があるということは、例え主権がその国にあろうとも、占領されているのと同じことではないか。現在アメリカが他国に軍隊を駐留している国は25ヵ国以上にものぼる。

 結局何が悪で何が善なんてのは戦争に関してはまったく無意味な言葉でしかない。立場が変われば悪魔も天使に、天使も悪魔になるということで、すべての戦争にはNOではなく無視する事が重要なのだと思う。

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2008年08月23日

カート・コバーン アバウト・ア・サン/Kurt Cobain About a son

テーマ:映画


 ニルヴァーナのカート・コバーン公認バイオグラフィーである「病んだ魂」用に録音されたインタヴューと、カートの大好きだった曲達、そして彼が27年間過ごしたアバディーン、オリンピア、シアトルの街の風景で構成された映画です。この街の風景の美しさがまずとても印象に残る、シアトルは森が多くて、シーフードも豊富な綺麗な街です。次々と映し出される映像を見ているだけでもいいなあと思ってしまう、そこにカートのインタビュー時の肉声と彼の好きだった曲が流される。
 
 カート・コバーンが好きな人にはこの映画のスタイルが気にならないかもしれないが、ニルヴァーナやカートに興味がない人や、興味があってもバンドやカートについてそれほど多くの事を知らない人には見るのがつらいかもしれない。何せ風景と肉声と音楽だけですから。映画としては興味を引き続けにくい。例えニルヴァーナやカートが好きな人でもつらいかもしれない。僕も途中で寝てしまっていた。

 カートの公式バイオグラフィーは、雑誌「ヴァニティ・フェア」に掲載された妻コートニーに対する辛辣な記事への対抗策として考えだされた。完全にカート・コバーンの視点によるものだ。僕も「病んだ魂」は読んだ事があるが、ちょっと物足りなかった。何せカートが自殺する以前までしかまとめてないし、インタビュー嫌いで虚言癖のあったカートに徹底取材したとはいえ、一体どこまで信用したらいいのだろうか?カートの日記や、周囲へのインタヴュー等で作成した、より中立的な立場の「Heavier than heaven」の方が読んでいて読み応えがあるし面白い。カートに関する大きな問題の1つがドラッグだが、この辺りの記述についてもヘビーさが全然違う。そんな「病んだ魂」の取材からのインタヴューが元ネタのこの映画は、やっぱり物足りない気がする。

 といってもやはりなんといってもカート・コバーンです。カートが好きな人にとってはカートの肉声が聞ける事自体すごいことだ。ニルヴァーナというとものすごくマッチョなイメージがある、あの激しい叫びのようなボーカルやヘビィなドラムといったサウンドはもちろん、アイリッシュの血が混じったカートの角張った顎、長髪、ドラッグ問題、器材につっこんでめちゃめちゃにしてしまう激しいライブ。でも実際のカートは背も高くなく、ガリガリで普段はとても物静かな人だったという。この映画で聞けるカートの声はとても静かに語りかける、インタヴューの場所が自宅であったことでとてもリラックスしているのもあるけれども、僕は最初これがカートの声とは思えなかった。静かなとても落ち着く声だ。こんな静かな声の持ち主が、あのボーカルを作りだしていたとはとても信じられない、それだけカートのボーカルは生きる叫びに満ち満ちていたのだと思う、最後は自殺という悲しい最後になってしまったカート。生きる苦悩の叫びであったカートの歌が、全世界で爆発的に売れてしまった事が、結果的にカートを死に追いやってしまったのだろう。最後にはしみじみとしてしまう映画です。


カート・コバーン アバウト・ア・サン デラックス版

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2008年08月21日

フジロックフェスティバル 08'

テーマ:フェスティバル
fuji08
 今年は早割も外れ、日曜日のアーティストにもあまり魅力を感じなかったので、木、金、土参加し日曜日に帰ってくるのんびり日程で参加した。結果的に大正解だった。木~土までは天気もよく、かといって暑過ぎることもなくかなり快適なフジロックだった。日曜日は恐ろしい大雨だったと聞き、土曜に切り上げて良かったと改めて思った、体力も余裕。日曜日の昼頃には草津によって温泉につかり、嬬恋高原の野菜を買ってのんびりを帰ってきた。確かに帰り道大雨降ってたな。

 今年のベスト・アーティストはマイ・ブラッディバレンタインとクロマニヨンズ。特にクロマニヨンズ最高だった。やっぱヒロトはすげえよ、あいつは。見た事無いけど、ブルーハーツを見ているような錯覚におちいったくらいカッコよかったよ。

 贅沢な事だけど、フジロックにも慣れてきてちょっと当たり前になってきている部分が多数。新鮮さをなくしている事多数。それでも毎年苗場の場にいたいと思います。
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2008年08月18日

ミリキタニの猫/The cats of Mirikitani

テーマ:映画

 監督のリンダがジミー・ミリキタニと出会った時の、ミリキタニの表情と「ミリキタニ、ミリキタニ」と答えるミリキタニの力強よさが印象的な出会いのシーンから、映画は始まります。ニューヨークの路上で絵を描いているジミー・ミリキタニのドキュメンタリーなんですが、監督のリンダは、撮影をしながら自らもミリキタニの人生に大きく関わらざるえかった。そういう意味ではジミー・ミリキタニと監督のリンダのドキュメンターと言えるのだけど、この出会いによってミリキタニの人生は大きく変わる、またその変化はとても感動的なものです。

 最初はニューヨークの風変わりな日本人アーティストの面白おかしなお話だと思っていたのですが、この映画は全く違うものでした。ミリキタニがカリフォルニア生まれの日系人で、第二次大戦中に日系人への差別により強制収容所に入れられ行き着いた先がニューヨークの路上という、日系人の戦争による悲運の人生なんて宣伝文句を見ていたら、この映画をパスしていたかもしれないけれども、この映画はそんな所では終わらなかった。

 ジミー・ミリキタニの英語が僕はとても好きだ。彼のはっきりとした発音と言葉の短さと力強さが、心地よいのだと思う。

 映画の最初の頃のミリキタニはちょっと怖いです。鋭い眼光、強制収容所、広島の原爆の見ていて決して楽しくはならない絵。すべてがそれまでの人生に対する怒りで成り立っていたように気がする。彼は路上でひたすら絵を描き続けます。出会ったばかりのリンダはまだ傍観者なのだけど、9・11のテロをきっかけとして大きな変化が起きる。煙が吹き出す高層ビル、パニック状態の街を尻目にミリキタニはそれでも絵を描きつづける。貿易センタービルが崩壊した後もそこに居続け、暗闇の中で咳き込むジミーをリンダは家に招き入れる。そこからガラっとジミーの運命は大きく変わっていきます。

 リンダの家に居候することでジミーの人生は大きく変わります。路上生活を抜け出し、年金収入も得自ら部屋を借り、戦争で死んだと思っていた家族とも再会する。老人ホームで絵を教えたりもします。もうこの頃になると最初の頃の表情と全然違う。穏やかなキュートな老人の顔です。そして強制収容所があった土地を再度訪れる。
 
 彼は自らをグランドマスター・アーティストを呼びます。苦労に満ちた人生の中でも、彼は自らをアーティストと呼び、絵を書き続ける。絶対引退しないと、死ぬまで絵を書き続けると言い放つ。戦争が嫌だと日本からアメリカに戻りアーティストになることを目指す。そして本当に絵を書き続ける、9.11のテロの時でさえ絵を書き続ける。路上生活の時でも絵を買わないとお金を受け取らなかったと。彼のその強さ、本当の強さに僕は敬服してしまう。自らアーティストと呼べば、それで十分。例えどんな苦労が降り掛かろうが、絵を描き続ける。それが本当のアーティストなのだと思う。グランドマスター・アーティストなんだと思う。彼の絵の題材が強制収容所だったり、広島だったり、炎上する貿易センタービルだったりするのはとても悲しい事だ。そんな絵を描かなければならなかった事自体がとても悲しい事です。それでも絵を書き続けるってのはすげえことです。悲しいけれどもすげえことです。


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