2010-01-29 15:35:54
さらわれたい女 [歌野晶午]
テーマ:あ行の作家
さらわれたい女(角川文庫)/
歌野 晶午
¥540 Amazon.co.jp
★★★★☆
「私を誘拐してください」
荏原代行サービス・通称何でも屋に女が舞い込んだ。
若く美しいが、常識のない金持ち女。そんな印象を抱かせる女は小宮山佐緒里と名乗り、何でも屋に自分を誘拐してくれと依頼したのだった。
大手コーヒーチェーン店の社長・小宮山隆幸のオフィスに一本の電話が入る。
「あんたの女房は預かった」
隆幸の弟・正志があんまり気の利くヤツなんでしかもライダー無駄に訝ってしまいました。
いつもフラフラと出歩きまともに料理も作らない佐緒里。今日もそうだと思っていたのです。
渋谷でのランチの後忽然と消えた佐緒里、でも隆幸は気にしませんでした。またいつものことだろうと思ったのです。
途中までは普通に誘拐の話が続いて、犯人はどうやって身代金を奪うつもりなのかにハラハラしたのですが、狂言誘拐が一区切り付いたところで驚きの展開を見せるのです。
まさか!
でも気がつかないものでしょうかねぇ。
私もその可能性は考えましたけど、気がつかないわけがないと思って潰しちゃいましたもん。
隆幸の苦悩が伝わってくるのが一番良かったです。こっちも脂汗出てくるような。
分かっていても躓いてしまうというか、狂言なのにいいように動かされてます。
筆者が文庫化するにあたってあとがきを書いてますが、作中は1991年で、ケータイがまだ登場していません。自動車電話をショルダーにして持ち歩く表現もあるし。
文庫化でこの部分をケータイにするか迷ったそうですが、トリックのことも考えそのままにしたそうです。
そのあとがきも97年に書かれていて「将来画像をメールで送れるようになるかも知れません」なんて書いてありましたけど。
まさにその通り。今ではケータイでインターネットも出来るしGPSも付いている。
10年ほどしか経ってないのに、この辺の進歩は目を見張るものがありますね。
この進歩によって推理作家も日々知恵を絞るのでしょうね。
ケータイは誰もが使うツールですから、あったら成立しないトリックもその逆も。
いやはやです。
そして最後に、何でも屋・黒田が一応の常識というか、踏みとどまってくれて良かったです。
危なっかしいけど安心して読める一冊でした。








