ゆきのすけブログ

ゆきのすけブログ

飽きやすくて続かないのと、仕事もヒミツなコトが多くてあまり詳しくは書けないけれど、そのときどきにあったこと、思ったこと、感じたことを書き連ねています(^^;。

指令センター関係の記事は別な場所にある別ブログの方が詳しいかも…。

Amebaでブログを始めよう!
ご無沙汰…の状態で、随分と経過してしまい…(^^;。

現場に配属され、周りの先輩・後輩に支えられて何とか勤務している。幸い火災に当たることはそれほどなく、火災最盛期の炎上火災は1件だけ。そのほかは大抵救急隊長として救急車の助手席にチョコンと乗って出場する日々。


先日、県の防災航空隊がいる航空センターへ私用でお邪魔してきた。
そこで機長に『転出してから、○○(ウチの本部)の無線イマイチだね(笑)。』と言われる始末。それはオレ自身もよーくわかってるので、「まったくです。お恥ずかしい…(^^;。」と同意。

言い回しや抑揚といった面もだけれど、現場が必要としている情報が下りてこない。そのくせ「情報を上げろ」とうるさいことも。

現場がほしい情報・指示がない…という点では、このようなことがあった。
たまたま前回の当番では、管内に「大雨警報」「洪水警報」が発表され、そのことが指令放送で周知された。

『指令センターからお知らせします。×時×分 ○○地域に大雨警報と洪水警報が発令されました(※本来の言い回しは「発表」。) ×時×分 ○○地域に大雨警報と洪水警報が発令されました。お知らせを終わります。』

というのがその放送内容。

ウチの組織は市の防災部門も担っているため、警報発表と同時に市役所本庁や支所と連携をとり、災害警戒本部を設置して警戒に当たる必要がある。警報発表とワンセットの行動。これは決まった行動であるから、現場サイドにしても黙っていても動くワケなのだけれども、自分が指令センターにいるときは、発表の事実と併せて今後とるべき行動についても放送していた。
自分がいま放送するのであれば、こんな感じだろう。

『指令センターから全署一斉呼び出し。□□課(防災担当課)からお知らせします。気象警報の発表について。×時×分 ●●地方気象台から、○○地域に大雨警報・洪水警報が発表され、それに伴い消防本部に災害警戒本部を設置しました。各署所にあっては各支所と連携をとり、警戒支部を設置し警戒に当たってください。なお、支部設置報告及び被害状況報告等については、□□課 内線△△△番、または庁内システムで報告願います。(繰り返し) 連絡終わり。各署、了解ボタン押下願います。』

正直、先の放送は言葉足らず。まぁ、放送した指令員のこともわかっているので、恐らく当直責任者に「放送して」と言われてただ放送したのだろう。

いつも指令センターから放送するので「指令センターからお知らせします。」の決まり文句で放送を開始しているようなのだけれど、警報発表や警戒本部(支部)設置の事務分掌は担当課が違う。つまり担当課の代理で放送しているだけであって、指令センターからの指示事項ではないのだ。この日は祝日だったので、担当課職員へ参集の連絡をしながらの放送なのだと思うけれど、指令センターは119番通報を主とした災害通報の受理が仕事。各署所から上がってくる警戒情報を処理始めるとバタバタしてしまう。こういったことからも、スパっと切り分けてしまい、報告に関する処理は担当課に任せてしまった方が間違いない。(もちろん、その中でも消防車両・救急車両が出場するような案件については、担当課から改めて指令センターへ情報や要請が寄せられる。)担当課職員が参集してくるまでは代理で報告を受けてもいいけれど、本質や事務分掌をきちんと理解していないから、こういう枕詞になってしまうのだろう。
そして放送の件名。いきなり「×時×分…」とはじまっても、それが何の時刻なのかわからない。最初に、これから放送する内容はこんなんだぞ…という頭出しをすべきだろう。
さらには前述の警報発表の事実と今後とるべき具体的行動の指示。

同じことを放送・周知するのでも、人が変わるとこんな風に変わってしまう。まぁ、放送内容についてもきちんとしたマニュアルがあれば簡単に済む話なのだけれど。


現場に戻って、通信指令の技量や裁量というものを再認識している。そういう意味では出されることで改めて知ることが多々あり、とても勉強になっている。反面、転出して2~3ヶ月の間に、残っている職員に好き勝手改変されている部分も多々あり、指令センターを訪れる度に「もうオレが目指していた指令センターではないんだなぁ。」と痛感し、寂しく思っている。

高みを目指し、本来あるべき通信指令のレベルに達した上で好き勝手やられているのであれば諦めもつくけれど、サッパリなレベルなのに自分達に都合のいいように好き勝手やられているのはガッカリする。
指令機器の仕様を勝手に変えられていたことについてもそんなことがあったのだけれど、その文句(笑)はまた次の機会に。
先日はドクターヘリを要請したときの地上部隊の動きについて書いてみたけれど、今回はさらに掘り下げたことを…。

先日、山中での救助事案に管轄分署の救急隊1隊、少し離れた署から救助隊1隊が出場した。指令センター側の判断で、出場指令と同時にドクヘリも要請したらしい。
その後、たまたま管轄本署へ事務連絡に行っていた管轄分署の連絡車(乗用車ベースの赤い車)に所属長と本署の当直責任者が、本署の連絡車に本署の隊員1名が分乗して災害現場へ向かった。現場の到着順は ①救急隊→②分署連絡車→③本署連絡車→④救助隊 だったはず。

先着した救急隊が現場確認と傷病者観察を行ったところ、傷病者は救助の要なし。ただし、「山中から救急車部署位置までは搬送に人手が必要なことから、救助隊はそのまま現場へ向かってほしい。」との無線が入った。

ほぼ時を同じくしてドクターヘリのランデブーポイントも近隣の小学校校庭に決定し、指令センターからその旨が無線送信された。が、たまたま事案が重なっており、散水と安全管理に必要なポンプ隊は本当に離れた署所から30分以上かけて来なければ到着できないような状況だった。
で、このとき指令センターから出た指示は本署連絡車が校庭に赴き安全管理に当たれ…というもの。最初に書いたけれど、任務付与された本署連絡車には1人しか隊員が乗っていない…(汗)。


このときの指令管制員は、安全管理=マーシャル(誘導)&立入制限と認識していたのだろうが、そもそも(縁起は悪いが)ヘリ墜落や事故時の初動も含めた安全管理を考えなければならず、この場合はポンプ隊を配置し、誘導とともに警戒に当たらせなければならない。

また、本来ウチの内部では(散水不要な)舗装してあるランデブーポイントを優先的に選定する決まり事になっており、災害現場を起点にするとほぼ同じ距離に舗装してあるランデブーポイントがあったのに、なぜにわざわざ土の校庭を選択したのかもよくわからなかった。


もしオレが当日指令センターにいて事案管制していれば、(それがベスト or ベターな対応かは自信はないケド(^^;)まず遠くても一番早く安全管理隊として出場できるポンプ隊に出場指令する。ただし、これは空振り覚悟の過大出場分。
そして、ランデブーポイントにポンプ隊が到着する前にドクヘリが上空飛来する可能性の方が高いこと、また災害現場では救助の要はなく搬送のための人手だけほしいとのことであるから、最後着の救助隊をランデブーポイントの予備警戒に当たらせ、人手は分署連絡車・本署連絡車の人員に当たらせる。連絡車隊の人手で足りなければ、災害現場を通過する救助隊から1~2名人員を災害現場で下ろし、残った隊員が救助工作車とともにランデブーポイントに向かってもいいだろう。そこまで具体に指示をし、その上で現場での判断で柔軟に対応してもらうよう調整する。


災害の状況は時々刻々と変化する。通報受信時や指令当初とは状況が変われば、任務も自ずと変化するわけで、その変化に応じた部隊管制をすればいいだけの話。当初に「救助隊は救助」として出してしまったから、「搬送支援=救助隊」という構図から抜け出せずに、後出しの隊に後付けで任務を付与していけば回らなくなるのは目に見えている。

指令は災害現場だけでなく、管内の部隊状況も含めて俯瞰的に物事を見て柔軟&臨機応変に判断する必要がある。一つの事案対応にいっぱいいっぱいになってしまい、俯瞰的なものの見方や柔軟な判断ができない指令は、もうその時点で指令としての役割を果たしていない。
臨機応変すぎて現場を振り回すようではダメだが(^^;、地方の田舎消防ゆえに管轄面積が広い割に署所数・部隊数に限りがあるところこそ、マニュアルに縛られない着想も必要だと思う。
ウチの県でもドクターヘリの運用をしている。まだまだ日は浅いが、それでも件数はそれなりにこなしているようだ。

重篤な人をいち早く高度な救命処置のできる医療機関へ搬送できるドクターヘリは、いまとても注目されている搬送手段であり、オレ自身もスゲーなぁ…と期待している。でも、裏方というか、地上部隊はとてもバタバタ。

1人の傷病者に対し、まず高規格救急車1台が出場。
指令と同時にドクヘリを要請すると、ランデブーポイントには安全管理や散水に当たる消防隊を1隊。そこから県都にある三次医療機関へ直接搬送されれば別だけれど、管内の直近二次医療機関へヘリ搬送されるような場合は、その医療機関へ高規格救急車1台と安全管理に当たる消防隊が1隊。1事案に合計で4隊(14人)が出る計算になる。

ヘリは一度飛ぶとものの数分で数十㎞という距離を移動してしまうので、地上部隊を先手先手と出場させる必要性もあり、場合によっては空振り覚悟で過大出場させる場合も…。

ウチの場合は10箇所ある消防署所のうち8箇所は「消防⇔救急」の乗り換え運用。つまり、救急車か消防車のどちらかが出てしまうと、もうその署所からは残りの車両を出場させることはできない。ちなみに、ある程度余裕のある2箇所についても、2隊出してしまえばそれ以上出すのは基本的に難しい状況。
一応、ベストで出せるのは全部で12隊まで…ということになる。この部隊数で管轄面積約1,300㎢(南北に約50km弱、東西に約60km強)のエリアを包含している。各署所間はザックリとした感じだが直線で約10~20km離れている。

従って1人の傷病者に対して多数の部隊が出てしまうと、残念ながら同時間帯に発生した救急事案には隣接署所から、またはさらにその隣接署所から…と逐次繰り上げ当選した署所から救急隊が現場へ向かうこととなる。
不思議と事案がないときはないのに、一度発生すると同時多発的に救急が…というパターンも多く、先日も直近ルート隊編成で編成された救急隊の現場到着所要時間が50分…なんていうのもあった。

1人の重篤な傷病者に対して手厚くベストを尽くすのは素晴らしいことではあるけれど、一方ドクヘリ要請時に発生した他の救急は「隊不在」の煽りを受けて軽重に関わらずベストな対応にならない可能性がある(もちろん、個々の救急隊がベストの対応をしているのは言わずもがな。ここではあくまでも全体の消防力・救急力のことを言っている)。同じ人なのに、対応に格差が生じるのだ。

ときには「機長判断」でランデブーポイントではない場所(道路上や田地、空き地など)に着陸することもあるドクヘリ。そうであれば、最初から過剰なほどの消防隊配置をアテにせず、救急隊→ドクヘリ→医療機関と、地上部隊(救急隊)も1隊で済むような対応法を検討する必要があるのではないか…と思う。


最近、ドクヘリを要請すると、本当に地上部隊の動きだけでバタバタし、隊数も不足し、他事案への対応といった面で現場も通信指令も混乱することが多い。
住民の期待を背負っているドクヘリだけれど、一方で財政難を理由に職員数・車両数・署所数が削減されつつある消防組織。1人を助けるために勢力の多数を注ぎ込むのか、管轄地域全体に可能な限り等しく勢力を注ぐのか、そういったことを考えなければならないのでは…と思う。

消防は保険と同じ。保険料(税金)を多く投入すれば、万が一の補償となる保険金(消防力)も大きなものとして返ってくる。だが保険料(税金)を絞れば、万が一の補償となる保険金(消防力)もそれなりだ。万が一のことがなければ、(表現は悪いが)遊び金が多くなるだけ。←『消防は何も起きなければヒマでいいよなぁ。』とよくイヤミを言われるのもそんな感じの発想

カネをかけるのか、消防力を減らすのか、その中で勢力(消防力)をドコに注ぎ込むのか。これは消防組織のエゴではなく、きちんと住民に知ってもらい、住民に選択してもらう必要性があるのではないか…と個人的には感じている。


そうそう「安く済んで見返りが大きい」なんておいしい話は転がっていないのだ。
オレが休みの間に、軌道内での人身事故があった。線路内での人身事故だ。
週明けの申し送りの中で対応した事案についての報告があり、「ん!?」と思うものがこの人身事故の報告。
正直、組織としての対応力の低さを露呈するような話なので恥ずかしい限りだけれど、何かの役には立てるかも…と思って書いてみたい。



明け方、まだ薄暗くて周りもそれほど見えないような時間帯。貨物列車の運転士が、走行中軌道内に倒れている人を発見し緊急停止、鉄道会社の輸送指令を通じて通報が入った。要点は...

・線路内に人が倒れており、その上を当該貨物列車が通過。その際、接触&轢過したようではない。
・一見して、すでに死亡しているようだ。
・現在、当該貨物列車は停車し、現場には運転士のみ。
・現場は○○駅南側の××踏切から100mほど北寄りの線路上。

というもの。
これを受けて指令管制員が確認した事項は
・列車と傷病者は接触していないのか。
・救助工作車は必要ないのか。
・運転士は心肺蘇生法を実施できるか。
といったこと。

その後、この指令管制員が出した指令は「交通事故救急」。出場した隊は最寄り管轄署の救急隊1隊のみ。
出場後、指令管制員は改めて輸送指令に架電し直し、現場位置を再確認。『踏切の北方約100mは駅のホームに近い場所であるため、駅を災害点と考えてよいか』というやりとりをして、救急隊には『当初××踏切へ向かうよう指令したが、○○駅へ向かえ』と指示したようだ。

この段階で、オレがダメ出しをしたのは次の点。

・「交通事故救急」で指令し、救急隊を1隊しか出さなかったこと。←コレが最悪
・救助隊の要否を輸送指令に確認したこと。
・上下線両線の運転抑止を確認していないこと。
・送電停止や電源、貨物列車のパンタグラフについて確認していないこと。
・鉄道会社側の責任者の現場臨場について確認していないこと。
・列車×傷病者の接触事実の有無に拘ったこと。
・心肺蘇生法の実施に拘ったこと。
・駅に救急隊を向けたこと。

まず、ウチの隊編成上、災害種別「救助」/災害区分「列車事故」というものがある。原則、これで指令しなければならない。
救助の要否如何ではなく、このような場合は救助活動以外にも隊員の安全管理(列車監視)という任務がある。救助1隊で足りなければポンプ隊も増強して指令するぐらいでなければダメだ。
そして「救助工作車は必要ないですよね?」と輸送指令(通報者)に確認したのもアウト。客観的に判断できる事実のみを聴取し、部隊の要否・増強判断は指令管制員自身が行うべきもので、その判断を他者へ委ねた段階で指令管制員としての資格はない。
この指令管制員は、しばしば通報者に「(事故車両から)出られないということはないですよね?」などという聞き方をしているのをオレは気にしていた。部隊増強しなくていいという状況を暗に期待するかのような聞き方で、しかもその判断を通報者に委ねている。つまり、=判断を相手に投げてしまい、潜在的に部隊数を過小評価して指令する傾向にある指令管制員と考え、いずれ度が過ぎるようなら注意しなければ…と感じていた。

その彼が“救助はいらない”としたのは“貨物列車と傷病者は接触しておらず、この貨物列車の運転士は発見しただけだから”と考えたのかもしれないが、そもそも軌道内という特異な場所で脳梗塞で倒れる(急病)などということがあるだろうか。
その列車なのか、それとも先行列車なのかの違いだけで、9割方は何らかの接触または轢過の事実(事故事実)があったに違いないのだ。つまり“たったさっきか”、“かなり前か”の違いだけで列車事故は列車事故。安全管理も含めた対応は「列車事故」として対応しなければならず、鉄道会社の現場責任者と連携をとり、消防隊による列車監視も含めて安全管理を徹底しなければならない。これは過去の(他本部での)事故の教訓もあるし、少なくとも通信指令として現場の隊員の命を預かっている以上、ケガ一つさせるワケにもいかない。オレ達のイージーミスで隊員を死なせるワケにはいかないのだ。
運転抑止についても改めて確認していないのは「貨物列車が停止しているのだから、上下線ともに運転抑止されているはずだ」と思い込んでいたからだと思う。この点も、“相手方の最善”を無言で期待してはならない。うるさいぐらいに相互に確認をしなければならない事項だろう。


そして、救急隊出場後、救急隊を駅に向けたのもオレとしては不適切だと思う。ウチの地域の駅は昼間は有人でも夜間は無人。基本的に朝にならないと駅員は出勤してこないし、駅舎も開かない。この時間帯では駅員がいるかどうかもハッキリわからない状態だった。
踏切は線路に対して開放されている構造なので、遮断機さえ越えれば隊員は用意に軌道内を移動できる。しかし、駅舎は鍵がかかっており、駅舎周りは柵で囲まれていることが多いため、バックボードやバッグetcの資機材を携えてコレを越え軌道内に進入するのはかなり難儀するだろう。
時間帯や構造、隊の活動動線をイメージすれば、多少駅寄りの場所が災害点であっても踏切直近に部署し踏切から進入した方が活動しやすいのではないか…と思うのだ。事実、その駅の管轄署にいる同期にコッソリ確認したところ、この災害点であれば駅よりも踏切からの方が進入・移動しやすいとの答えだった。

もしオレがこの通報を受けたのであれば、これまで記載したような内容に加えて、輸送指令に貨物列車の停車位置と運転士の所在を確認し、まず最初に救急隊と運転士が接触するようにセッティングする。そこで(通信指令とは別に)抑止状況、現場位置、進入動線を相互に現場で確認し、活動を展開するよう指示するだろう。

また、この指令管制員が輸送指令に架電し直して場所を確認した際、「駅構内」という言葉が指令管制員と輸送指令の間で噛み合っていなかった。指令管制員が「○○駅を目指すよう」に指示したもう一つの理由が「駅構内」という言葉を誤解したからだ。
この××踏切は普通に一般車両が往来する道路上にある踏切なのだが、実は鉄道会社的には「構内踏切」と呼称するものだった。つまり災害点から南へ約100m離れているこの踏切も「構内」だし、災害点から北へ数十メートル離れている○○駅も「構内」なのだ。指令管制員は「構内」を駅舎やホームのある場所と勘違いして聞いている。住宅地図で見ると、踏切から遙か彼方に離れたところにホームの形が描いてあるものだから、余計に駅(直近)からの進入にこだわったのだろう。
専門的な業界の会社とやりとりする場合、このような専門用語にも何気に注意する必要がある。


高速道路や軌道内は、他機関が厳格に管理している「特別な区域」であって、そこに立ち入って活動する以上は我々もその機関のルールに従わなければならない。そういった意識を持たず、「国道上での事故」のように普段対応している事案(公衆が往来している場所)のような価値判断で対応すれば、いずれ隊員からケガ人や死人を出すことになる。

この事案の報告を聞いていたとき、ウチの上層部からも自課の職員からも全く何の声も上がらなかった。
オレがこの事案の検証をコソコソと(笑)やっているとき、行政職の職員がオレのところへ来て「今朝の申し送りの事案、おかしくないですか?何で線路上の事故なのに救急隊1隊だけ?」と話したのが唯一だ。
今回の事案は「揚げ足取り」になるかもしれないが、このブログに書いたようなことをさらに掘り下げて、対応のマズさを指摘した書類を作成し、上に上げた。件の行政職には「こんなの上げて、大丈夫っすか?」と言われたが、オレはどうせあと2ヶ月の身(笑)。多少嫌われても、それで今後死人が出なければ儲けの方がデカい。

そもそも、安全管理についての意識が低いこともだし、行政職が「おかしい」と思うことを上層部も含む消防吏員が誰一人疑問にも思わない段階でウチの組織は終わっていると思う。



奇しくも、敬愛する先輩の殉職事故に関連して、当時の隊長と副隊長が書類送検された…という報道が今日あったようだ。これ以上、ウチの職員を死なせることもケガをさせることもイヤだし、職員の家族に悲しい思いをさせたくもない。それが自分の判断や自分のいる部署の判断によるもの…などというのはなおさらイヤだ。一番安全な場所で災害対応しているオレ達は、現場の隊員以上に安全に対して想いを巡らせる義務がある。
去年、先輩の遺影に向かって涙を流し、「もうこんな思いはしたくない」と誰しもが思ったはずなのに、その“思い”が“信念”に繋がっていないのがオレには腹立たしかった。

大きい組織は、このような鉄道事故が日常的に発生していて、その対応もマニュアル化されて万全なんだろうと思う。そういう意味では、ウチのような田舎消防の対応は本当に「プロの組織・機関」とは言えないような恥ずかしい対応だ。

そして、何よりも腹が立つのは、今回このような判断をした指令管制員は、オレよりも先に消防に入った先輩で、救助・現場経験もあり、現在救助関係の業務を主に担当している職員であること。
オレは「暑いのイヤだぁ」「疲れるのイヤだぁ」と救助大会(競技)は一度も経験がなく、現場経験もほとんどない文系・文化系の後輩職員(^^;。
現場経験の少ないオレが容易にイメージできることすらイメージできないような指令管制員は、正直ほかの部署で頑張ってもらいたい。本気で素直にそう思う。
所轄警察署からの覚知。

「現在も110番で受理中ですが、睡眠薬を多量に服用したという通報が入ってます。場所は…」という救急要請。年齢や性別、具体の服用量なども一切わからないとのこと。
たまたま管轄署の救急隊が出場中であったけれど、覚知直前に隣市の病院から「引き揚げ、転戦可能」という動態が入っていたから、出先からの転戦出場で指令した。

現場到着までは所要15分程度だったので、その間に詳しい情報を聴取しようと当事者(通報者)方へ指令センターから直接架電。出たのは60~70代と思われる男性だった。

(オレ)「警察に 睡眠薬を多量に飲んだ と通報されましたよね?」
(相手)『はい』
(オレ)「救急車が○○病院付近からそちらへ向かっていて、恐らく10~15分程度で到着します。詳しい状況を教えてもらえますか?」
(相手)『今朝一緒にジャスコに行ったまではよかったんたが…』
※ウチの付近も漏れなくイオンになっています(笑)
(オレ)「!?」
(相手)『その帰りに車のワイパーが壊れて、自宅に帰ってきてから、直しに行くという話になったのさ。それで…』
(オレ)「あの、チョット待ってください!睡眠薬を飲まれたんですよね!?」
(相手)『うん』
(オレ)「その睡眠薬を飲んだ方の詳しい状態を教えてほしいんです!」
(相手)『…最初からさ、そう言ってもらわないとわからないんだよねぇ。そう聞いてもらわないとさ…』
(オレ)「・・・(怒)」

行為者は40代の男性で、電話の相手はその父親。詳しいコトは途中で遮ったのでよくわからないけれど、親子で外出し、そのときに乗っていた自家用車のワイパーが壊れ、恐らくその修理がどうの…ということが原因で親子ゲンカとか言い争いに発展。それが原因で行為に及んだような雰囲気。

もちろんオレが聞きたかったのは、最初から行為者の容態(詳しい状況)だったのだけれど、言葉足らずだったのかそれが相手に通じなかったよう。

ちなみに、『…最初からさ、…』の件(くだり)から年齢や性別、具体の服用量、いまの状態を確認するまでに、さらに「本人はこういうときに[かかりつけの精神疾患系医療機関]に連絡するなと言ってたんだけれど…」とか「もうどうにもならない状態だと思って110番して警察に通報したら、警察が“全部任せろ”っていうから任せたわけなのさ」とか、そこに至るまでの経過を吐き出してしまいたいらしく、その後も聞きたくもない話に散々付き合わされた…。

不謹慎だが、『こういうオヤジだったらオレも薬飲むかも…』と思ってしまった…。



119番でも「救急です。」と言われて、住所を確認後『どうしました?』と尋ねると、「一昨日何を食べた」とか「昨日の朝はご飯を食べて、昼も食べて、夜は食べなくて…」みたいな話から始まる人がたまにいる。もちろん、こちらが聞きたいのは「いま救急車を必要としている理由。いまの状態」。

こうしてみると聞き方って難しいなぁ…と思う。←いまさら!?(^^;


救急隊へ指令概要を送るときは「現在の状況・主訴」→「これまでの経過」→「既往症やかかりつけ」というフォーマットで情報を送っている。
一般の人は恐らく、順序立てて少し前のことから話をした方が話しやすいし、「わかってもらいやすい」と思うのだろうけれど、実際聞き取りする方としても↑のような順番の方が話が早い。

それを一般の人に求めるのは酷なので、やはり我々の聞き方がキーになってくるし、それが我々に求められるスキルなのだ。


ウチの指令管制員は、昔から通報者の番号を尋ねるときに『いまおかけの電話番号は?』という尋ね方をする。それでも(不思議と)ほとんどの人は「何番です」と答えてくれるので、いままでも普通に通用している尋ね方なのだが、ある通報者が「そりゃ119番だろ」とズバッと答えたのをモニターしていて『確かに…』と思ったことがある(笑)。
『お使いの電話の番号は?』とか『あなたの電話番号を教えてください』とか、ストレートに伝わる言い方があるハズなのだけれど、なぜか先輩職員が使っている言葉をそのまま疑問を持たずに受け継いでしまっている部分がある。スピーディーに意思の疎通が図れる通報受付は、こういう細かいフレーズに左右されるし、その根幹は「相手の立場に立ったものの考え方ができるかどうか」なんだろうと思う。

そういう意味では「・・・(怒)」という時点で修行が足りないってことなんだな(笑)。
今回の当番では何かと変わった通報が多く、その中で「うまく(事案を)回せなかったなぁ」というものがあった。


携帯電話からの通報をある指令管制員が受付。位置情報は±1,500m台。市内にいるのはわかるけれど、正確な場所まではわからない。

(指令員)「火事ですか?救急車の要請ですか?」
(通報者)『救急です』
通報者は男性で、声の感じは50~60代ぐらい…。

(指令員)「救急車が向かう住所はどちらですか?」
(通報者)『B県C市△△…』(隣接する他県の市名)
(指令員)「B県ですか!?そちらに救急車が向かえばいいの?」
(通報者)『はい』

位置情報は、測位誤差を勘案しても間違いなくウチの市内。位置情報と申し立て住所が違う場合、体調を崩した家族から連絡をもらった人が出先から通報するような場合もあるし、悪いパターンでは虚偽通報の可能性もある。

(オレ)「いまどちらから電話してます?」…割り込んだ
(通報者)『A市内です』(ウチの市名)
(オレ)「いまあなたが電話している場所と、救急車が向かう場所は違うんですか?」
(通報者)『はい』
(オレ)「C市だと、C市の消防署から救急車が向かうようになるので、C市の消防署に電話を繋ぎますからね。電話を切らずにこのままお待ちくださいね。」(名前と電話番号を確認)
「転送してください」と、もともと通報を受け付けた指令管制員に指示。

(指令員)「A消防です。C市内から救急要請です。通報者は**さん、電話番号は090-****-****、キャリアはauです。繋ぎます」
(C消防)『はい。繋いでください』
(指令員)「どうぞ、お話しください」
(C消防)『はい、C消防です。救急車ね?』
(通報者)『はい』
(C消防)『救急車が向かう場所は?』
(通報者)『A市…』
(C消防)『A市?』

指令管制員とオレは「( ゜Д゜)!?」

慌てて三者通話で割り込む指令管制員。
(指令員)「さっきC市に救急車が向かうって言いましたよね?A市に救急車がほしいの?どっち?」
(通報者)『A市』

指令管制員とオレ「…(´・ω・`)」

(指令員)「A市のドコに向かえばいいの?」
(通報者)『A市の××…』
(指令員)「××ね。番地は?」
(通報者)『番地はわかんねぇんだ。△△ってパーマ屋があるから、そこまで出るから』

で、その美容店(パーマ屋)付近の角を災害地点にして最寄り救急隊に出場指令。到着までの所要予測は2分。でも、このドタバタで覚知から指令までは実に7分…(汗)。

指令管制員が出場指令している間に、オレはC市消防本部の指令センターへ架電し、転送前のやりとりについて説明。いずれにしてもコチラの確認不足なワケで、「すみませんでした。」とゴメンなさいした。

ここからは推測なのだけれど、恐らくC市に住所のある通報者が、何らかの事情でウチの市内に仮滞在している or 来ているときにお腹が痛くなり救急要請をしたのだろう。で、『救急車が向かう住所』を、『自分が救急車内に乗り込んでから向かう先の(かかりつけ)病院がある住所』と勘違いしたのではないか…。
つまり『救急車が来てほしい住所』≠『救急車が向かう住所』ということ。
ただ、ウチもC消防も似たような表現で災害地点(救急車が行くべきところ)の聴取をしたのに、何きっかけで(転送前と転送後に)通報者の思考が変わったのかは判然としない…。

通報者本人や救急隊に突っ込んで確認したワケではないのだけれど、流れからするとそんな感じかな…と思う。


表現の仕方、言い方が悪かったのかなぁ。会話が噛み合っていなかったのかなぁ。…と、対応が一段落してからセンター内で他の指令管制員とも話してみたのだけれど、いちいち住所の定義について事細かに説明するワケにもいかないし、そういった確認・聴取に時間をとられると結果的に救急車の出場・現場到着の時間が延び延びになってしまう。
今回のように他本部へ転送する必要性のある通報の場合は、通報者や他本部へ負担をかけないためにも速やかに転送してしまいたいし、時間と内容、迅速性と正確性の狭間でジレンマを抱えてしまう…というのが我々通信指令に携わるものの本当の気持ちなのだ。

普段は「遅く出そうと思って指令している指令管制員はいない。だから、ただ早く出すんじゃなくて、“間違いなく”正確に出した上で早くなければならないのだ。何でもただ早く出せばいいってもんじゃないぞ。」と言っていたのだけれど、今回は全くダメダメだった(´・ω・`)。

一字一句の話になってしまうのだろうけれど、端的にスパッと伝わる表現も見つからず、何だか「やられた」感がドーンっとやってきた感じの勤務明け。
119番で救急要請の通報を受けると、だいたい(感覚的な話だけれど)「サイレンは鳴らさないで来てもらえますか?」的なことを言われるパターンが6割程度。

え!?そんなに?…と思うかもしれないけれど、実際そのぐらいは本当に定型文みたいに言われてしまう。

通信指令の段階では「要請をいただく以上は緊急事態ですから、急いで駆け付けるためにも、救急車が無事にたどり着くためにも緊急走行でサイレンを吹鳴して向かいます」「法令で決まっていることですから」と説示して納得してもらうようにしている。つまり断っている。

…が、救急隊によっては無用なトラブルやクレームを割けるためや、ある程度家族関係者の意思も尊重して少し手前からサイレンを小さくしたり、少し早めに止める「配慮」をしているのも事実。もちろんこの運用は“現場で柔軟に対応している”話であって、取り決めがあるわけでも、全国共通の運用でもない。(と、念のため断っておく(^^;。)




携帯電話から『車両の単独事故』との当事者通報。地理不案内のため、位置はある程度絞り込めたもののピンポイントではない状態。道路上(線)で200~300mの範囲にいるのかな…ぐらいのレベル。

「交通事故救急」で指令し、出場した救急隊の到着所要予測が5分以内。
指令台に表示される救急車のアイコンを見ながら現場到着するのを見ていたら、救急車がかなり手前でサイレンを止めたようで、通報者からさらに通報あり。『救急車のサイレンが手前で止まった。場所を勘違いしてるんじゃないか?』とのこと。
アイコンも地点マークのやや手前ぐらいで動かないし、無線で救急隊を呼び出したところで「あ、見えた見えた」との話だったので取り敢えず落着。←カーブ道路だったため、サイレンを止めた救急車が目視できなかったらしい


基本的に「サイレンを鳴らさないできてほしい」という要望はあるけれど、ほとんどは前述のとおり通信指令の段階で説示し断っているし、そういう要望は“世帯”からの通報の場合がほとんどであって、通りがかりや交通事故の通報ではまず言われることがない。
特に携帯電話からの通報の場合は位置が不明確・不正確な場合もあり得るので、基本的には目の前までサイレン吹鳴していった方がむしろトラブルも少ないと思うのだけれど…。
場所がハッキリしない場合は、「ドコの方向からサイレンが聞こえるか」「近づいてきてるか」「遠ざかってるか」というのも、通報者と会話を続けながら場所を特定する情報源にもなる。←こういう場合は一応無線でも「こちらから別命があるか、通報者と間違いなく接触するまではサイレン吹鳴を継続するよう」指示は出すけれど

今回の件は、二次災害・受傷事故防止、当事者や通報者に安心感を与える…という意味では、何でもかんでも早々サイレンを止めることが「配慮したこと」にはならないんじゃない?…と対応した救急隊に帰署後電話して話してみた。惰性やいつものクセで取り敢えず手前で止めてる…なんてことははない?と問題提起。

正直なところ、深夜や世帯からの救急要請を除き「目視検索を実施しながら現場へ向かってください」と指示した救急事案でも、無線で救急隊を呼び出すと早々とサイレンが止まっているパターンが散見される。
今回の件は指令サイドの一方的な思いだけれど、“ケースバイケースで柔軟に判断・対応できるスキル”は救急そのものの手技以外にこういう部分でも問われると思う。



昨日は前々から構想を練っていた「消防救急デジタル無線」の不感エリア対策&広域運用をフォローするための新機能について、構想をまとめ、とあるメーカーさんへ提案してみた。果たしてどういう反応になるか…は???(ハテナ)

ウチの職員や他本部にも少しだけ種明かししてみたけれど、みな好反応だったので消防の運用には合っている、つまりニーズは少なからずあるハズ…と思っている。

以前提案した機能は、ウチの提案に真摯に取り組んでいただけたのか、それともほかからも同様のリクエストがあったからなのか…はわからないけれど、既に製品へ機能が実装されているのを確認(^^)。ありがたい。

ウチが導入する頃には、こういった機能がフルで実装された使いやすいいい機器に仕上がっているといいなぁ…と思っている。
雪が降り、最高気温もマイナスの日、当然のように交通事故が多発。凍結した路面でスリップ→衝突 or 路外逸脱して横転・転覆というパターン。

ケータイからの119番をある指令管制員が受信。『はい、消防119番。火事ですか?救急車の要請ですか?』の問いに、通報者からは「交通事故です」との第一声。

『救急車の場所は?住所はわかりますか?』と尋ねたところ、「××市から●●市に向かう道路の途中なんですケド…」とハッキリしない回答。そうしているウチに2発目(オープンスカイ)の位置情報が…。±30m弱の誤差なので、十分に採用できる情報。

内容は乗用車が凍結路面で滑走し路外へ逸脱。一段下の田地に転落し転覆したとのこと。
負傷者数も要救助者の有無についても通報位置からは目視できず不明らしい。

問題なのは、位置情報が県境間際の隣県分であるというところ(^^;。ウチの管轄地域から地図上で200mほど隣県側。

受けた指令管制員も指令すべきかどうかで判断に迷っているよう…。途中から通報に割り込んで、『すみません。あなたのいるところは交通事故の現場そのものですか?それとも事故現場から移動されてます?』と尋ねたら、「少し過ぎましたけど、交通事故現場のすぐそばです」とのこと。

その言葉で『交通救助で指令して!』と指示し、その指令管制員は“指令”ボタンを押下。

近くにいた係長に『隣接分だとは思いますが、まずコチラはコチラで行かせます。並行して××消防(隣接)に初報入れてもらっていいですか?』と言ったら、頷いて手を挙げてくれた。

その後『回線だけください』と受信していた指令管制員に叫んで、通報回線を“割り込み”から“オレとダイレクトに話す”方式に切り替え。

通報者は目撃者であること、負傷はないこと、二重事故のような危険因子がないことを確認した上で『寒いところ申し訳ありません。もう少しだけ時間をいただいていいですか?近くに家は見えます?』と尋ねたら「はい、大丈夫です。えーと…あ、家が見えます!」との返事。
『その家の方に住所を確認することはできますか?』とお願いしたら、ちょうど事故を知って出てきた家人と通報者が接触。通報者が「すみません。そちらの家の住所は?」と聞いた後、近隣の人が「××市△△字□□**番**号…」と言っているのが聞こえる。通報者が復唱する住所で確認すると間違いなく隣接分。
そして通報者の協力で、負傷者は1名、要救助者なしということも判明した。
『本当にありがとうございました。助かりました。警察にはこちらから連絡しておきます。お急ぎのところ、ご協力ありがとうございました』と話し、無線を掴んで出場各隊へ指示。

・現場所在(災害地点)の訂正。指令番地から××市△△字□□**番**号先 国道+++線上へ訂正。
・負傷者のみの事案であることが確定したため、交通救助から交通救急へ切り替え運用。救助隊・指揮隊は現時点引き揚げ。
・管轄消防の××消防へも連絡し救急隊が出場中。こちらの救急隊についてもそのまま現場へ向かうこと。
・その後の119番情報で、負傷者は運転手1名の模様。その運転手は歩行可能、立位の状態でどこかへ電話をかけているらしいこと。

その後、隣県警察本部へ架電し、通信指令室へ繋いでもらい現場所在(災害地点)と事故概要を連絡。

結果的にはほぼ同着で両消防本部の救急隊が現場臨場し、最初に観察を行っていたウチの救急隊から隣接救急隊へ負傷者を引き継ぎ他車搬送。通報情報どおり運転手1名のみの乗車でほかの同乗者や負傷者はいないことを確認し、ウチの救急隊は不搬送扱いで現場引き揚げ。


その後、最初に受けた指令管制員から「正直悩みましたぁ。どうしたらよかったんですかねぇ?」と聞かれたので、『今回のような対応でいいんでないですか?』と言いつつも、次のような話をした。

位置情報の誤差が少なく、間違いなく隣接分だと思ったら深入りせずに転送した上でモニターし、そのモニターした内容に従ってウチも出場指令する方法がベストだとは思う。それは、事故概要などについては出場する側の消防本部で聞きたいと思うことも多少違いはあるだろうし、又聞きで出場するよりはいくらかでも通報者と直接会話して得た情報の方が鮮度がいいハズだから。
でも、今回のように場所が判然としない状態で事故概要を聞いてしまうと、もう転送するタイミングは逸してしまっているので、今回は今回でベターな対応だったのではないか。

ただ、少なくとも役所が引いた線(県境・市境)は住民や要請者にとっては関係のないこと。両方から駆け付けて、少しでも早く着いた方が迅速に対応すればいいだけの話。事後の事務処理については事後に行えばいい。

結果だけ見ると至極当然のことであり、とても悩む要素なんてないように思えるけれど、通報者の言葉を聞きながら通知された位置情報と地図上の県・市境を見て現場所在(災害地点)を特定しているときは、こういった判断にすごく悩むことが多い。特に今回のように境目からあまり離れていないような場合の交通事故…なんていうときは余計だ。
恥ずかしながら、ウチの組織ではそのような場合の明確なガイドラインというものなく、基本的には指令管制員の判断。しかも、現場には「何で隣県分なのにウチで出るんだ?」なんていう古参職員も未だにいる状況。確かに若手~中堅職員が躊躇ってしまうのもわかる気がする。

こういう判断が次々にできるようなれば一人前なのだと思うのだけれど、いま14人いる指令管制員の人数をこれで計算したら7人にもなる…かな…!?(^^;

そういうオレも、その指令管制員より後に採用された若手のハズなんだよなぁ…。
朝、通学途上の中学校一年生の女の子からの救急要請。

「誤って自己転倒し受傷、頭部から出血のある友達」のために携帯電話から通報したらしい。

別な指令管制員が受けて対応していた。
女の子が一生懸命いまいる場所を伝えようとしているのだけれど、指令管制員との会話が噛み合わずに泣きそうな雰囲気。指令管制員も女の子が話す目標物が見つけられずにいるよう。
意識の有無を確認したくて指令管制員が「お話はできますか?」と尋ねたのも、女の子にはミビョーにニュアンスが伝わらなくて「話はできません」と返ってきた。指令管制員もやや悩んでいる雰囲気。

会話に割り込みながら、操作もペアコンで乗っ取って(笑)、まずはすぐさま出場指令。
女の子の目の前でしゃがんで目線を同じにして話しかけるようなイメージで「オジサンね、そのケガをした女の子に意識があるかどうかを知りたいんだ。お話ができるとか、頷いたり、自分で体を動かせるとか、どうかな?わかる?」と聞いたら、「痛くて動けないけれど、頑張れば動かせるみたいです」との返事。
取り敢えず「頭部から出血、意識あり。激しい痛みを訴えている」という状況は把握。
できるだけかみ砕いて、優しくゆっくりと話をして口頭指導。

所在については、“点”ではなくても「ある通りの路上 約500m間」という“線”までは絞り込めていたので、それ以上の深追いはせず、出場救急隊へは「現場(ゲンジョウ)は▲▲の通りで、○○(居酒屋チェーン)と××レンタカーの間の路上。地点子細までは確定できなかったため、当該通りを目視検索を実施し現場へ向かってください」と指示して概要を伝え完了。

最初に受けた指令管制員は子持ちのお父さん。オレは未だ独身のオッサン(笑)。
でも、子どもがいて普段からふれあっているからと言って、必ずしも子どもからの聞き取りが上手いとは限らないらしい。
その指令管制員からも「助かりました~」と言われたけれど、そもそも通報者のところまで下がっていって相手の目線で聞き取りをすることは通信指令の基本。それができていないということは、まだ半人前ということ。

それに、指令システムが高機能になればなるほどピンポイントで災害地点を特定することにこだわる指令管制員もいるけれど、面→線→点と絞り込めればベストなだけで、例えば線まで絞り込めればそこを検索しながら向かうとか、2隊出して挟み込むとか、面までしか特定できなかったとしても通報者や傷病者が多少移動できるならお互いに共通してわかる場所で落ち合わせるとか、方法はたくさんあるハズ。そこを困り果てている通報者から時間をかけてムリヤリ聞き取ること自体ナンセンスだと思う。

臨機応変に判断していまできる範囲でベストを尽くすことが大事なのであって、毎回100点満点の解答を導き出すことに一生懸命になってしまったのでは本末転倒。仮に解答は一つでも、その解答を導き出すまでの解法は無限にあるのだ。柔軟な考え方、多角的な視点、総合的な判断力、これらを備えた指令管制員を育成するのが未だに課題。よく職員には言うのだけれど、『通信指令をルーチン(ワーク)でこなすには100年早い!(笑)』

自分自身も、ときどきルーチンになっていないか…自問自答している。



傷病者&通報者と救急隊が無事に接触した後、AVMメッセージで『【指令センターより】通報してくれた○○さんへ よく頑張って通報してくれました。どうもありがとうございました。助かりました。…と伝えたください』と救急隊へ送信。
そのメッセージが女の子へ伝わったどうかはわからないけれど、友達のために泣きそうになりながらも一生懸命通報してくれた女の子へ「よく頑張ったね」という気持ちになった事案。
我々にとっては日常の業務でありふれた「119番通報」であっても、普通の人には、ましてや子ども達にとっては一生に1回あるかないかの勇気のいる大変な行動。それを汲み取ってあげられるかどうかも指令員にとっては必要なことなんだと思う。
最近、少しバタバタが落ち着いて、腰を据えて指揮台に鎮座し119番対応をしている。←エラそうww

バタバタしているとどうしても席を外していることが多く、対応量において上司・先輩に負担をかけてしまう…ということが日常的になっていた。そういう意味では、ようやく以前の状態に戻ってきた感じ…といったところ。

ところが、ようやく腰を据えて…という状態になると、なかなか以前のような勘が取り戻せていない自分がいる(^^;。「あ、聞き忘れた」なんてことも何回か。反省…。


先日の当番では別な指令管制員(先輩)が受信した通報をモニターしていたけれど、『何かおかしい』。一通り受信して指令した管制員に、「いまのおかしいっすよね?」と叫ぶと、「うん、おかしい気がするなぁ」との返答。少しして、また同じ人から通報が入った。どうやら「回復してきたから救急車をキャンセルしたい」というような話。
でも、通報者とは別に、電話口ではうめき声か鳴き声がかすかに聞こえるような…。

「やっぱりおかしい」と感じて、「もう近くまで行ってますからね。体調も心配ですし、一度救急隊に診てもらってから判断しましょう」と軽く説示して対応。
その「おかしい」というニュアンスを救急隊に電話して伝えた。「言葉では明確に言えないんだけれど、何か隠している風というか、多くを語りたがらない雰囲気があるから。例えるならDV絡みとか何かあるかもしれないから、そういう気持ちだけもって現場に向かって」と連絡。

で、結果はビンゴ。とばっちりを食った救急隊は現場で長々と足止めを食らうことに。そういう意味では救急隊には悪いコトをしたなぁ…とは思ったけれど、でもやはり何かしらの疑念を持った以上は放っておくことはできない。
帰署した救急隊から聞き取った情報を“既往症者登録(俗に言う常習情報)”に入力して、今後の対応「要注意」に指定。

あまり余計な先入観を持たせるのはよくないのだけれど、救急隊や傷病者の身に危険が及ぶような場合、判断やその後の対応に迷うようなものについては敢えてその「雰囲気」を伝えている。これも管制員としてのスキルというか資質だと思う。同じ通報を聞いていても何も感じない管制員もいるし、感じる管制員もいる。吐息、間、トーン、ニュアンス、空気…。何でもいいから、話している内容だけでなく、電話で聞き取れるすべてをもって分析して出場隊に伝えなさい。これは新たに転入してきた管制員には必ず言うこと。

ただ、悲しいかな。これはちょっと勉強したぐらいでは身につかないスキル。ある程度差が出てしまうのは何の差なのだろう…?(^^;




最近、お会いすると「ブログ見てますよ」と言われることが多い。消防関係者のみならず、業者さんまでも…。特に宣伝はしていないのだけれど、なぜにそんなに広まったのだろう?(^^;

書きづらいしやりづらい(笑)。ココに書いているコトは一人言みたいものなのでそっとしておいてほしい気もするけれど、コッソリ読まれるのも怖いので、やっぱり「見てますよ」と言われた方がいいか(笑)。

読んでる方、そういうことで(^^;。

西日本の講演では、名字だけ名乗っても「○○○○さん(フルネーム)ですよね!?」と言われたり。中にはSNSなどで名乗っているID etcで「××さんじゃないですか?」なんてことも。
意外に見られてて、覚えられているんだなぁ…と実感。本人には全然そんなつもりなかったのに…。
そのうち変装して出かけるようかな!?…んなワケないか(^^;。