ハルヲマチワビテ

猫が死んだよ。

桜の季節になると思い出す友の名がある。
彼が年若くして亡くなったのは真冬の季節だったのに。

その男は同じ大学の同じ学科の旧友で、学校を出た後、世間の底辺ともいえるような生活の中、自主制作映画をつくり続けながら映画監督を夢、目指していた。


学校を出た後は私も他の友人らと同様、仕事に追われ、忙しく毎
日を過ごし、それぞれ疎遠になっており、彼の動向もまた風の便り
で伝え聞く程度になっていた。

大学を卒業して月日は流れ、あっという間に何年もの時間が過ぎ去っていった。
私がアイスの仕事で独立開業する事になり、前職の引き継ぎも滞りなく終わ
り、退職した後の時間、一度立ち止まって過ごそうと、東京でぽっかり暮ら
した一年あまりの季節があった。
そんな時期に彼が撮り続けていた映画の制作に付き合う

ことになったのは、ただ時間を持て、余らせた、からに他ならない。

夜、男を迎えに行った北池袋。久しぶりに私のオンボロ車に乗り込んだ
彼は、相変わらず気前のよい口調で再会の言葉を私に述べた。
随分と走り出していた薄暗い車の後部座席、気がつくと、色もなくその男はただ泣いていた。

流行りの音楽に疎い私が、学生時代と同じ音楽を車内で

相も変わらず流していたこと、それが何より懐かしくて嬉しいんだと彼は泣きながら涙する訳を私に話した。
そして、「皆んな変わってしまったんだ」と、私に嘆き、愚痴し続けた男の言葉に、お前はは少し病んでいるのよと、その時、私は思い込もうとしていた。

そういう彼に卒業後もずっと、付き合ってきた友人たちが何人かいて、ロケハン
に当時無職の私も自然と付き合うようになっていく。
ある時は吹き荒ぶ雪の中、設定では明らかに夏場のシーンを妥協し
ながらがむしゃらに、彼の言う、映画の断片らしきものをかき集める
様に何度も何度も繰り返し記録していく。
撮影の回を重ねる度、予算のつかない映画を撮るという現実を、気
楽なお手伝いながらも知ることになった。

そんなロケ先で、私が車載していた楽曲の中、皆んなが好んでパワ
ープレイさせていた曲がケツメイシの「さくら」という曲だった。

何故冬場にと聞かれても、当時のそれにはまだ、特に意味なんてなか
ったのだと私は思う。

翌年の冬。
遅々として進まなかった映画の編集作業がようやく終わ

ろうとしていたとき、彼は死んだ。
彼の寿命が突然尽きて、誰にも看取られず、ひとりぼっちで彼は死
んでいた。

訃報が入り、急ぎ飛んで東京へ戻った私よりも、弔辞を述べるに相応しい
友人が、彼には沢山いたのだけれど、皆、なんだかんだ時間に間に合わな
いからと言うものだから、やむなく私が代表して言葉を贈ることとなる。

送り出す日の朝、何を話してよいのか分からなかった私は、宿泊先の
友人宅を飛び出して、意味もなく山手線の始発に乗り込む。
私にとって何ら愛着もない東京を、何時間もぐるぐるぐるぐる回わり何かを探し求める
うちに、私が東京で得てきたもの全てが、私の中を通り過ぎている気がした。

結局、彼の葬儀には彼のご両親が驚くほどの沢山の友人が参列した
よ。
皆んな式に間に合わせて来たんだ。皆んな彼が好きだった。
そうだよね。
誰も、別れの言葉なんて持ち合わせている人間など、その場所に居るわけもなかったんだ。

昔、その男がまだ大学の一回生だった冬の季節。彼が子猫を一匹連れて
きた。
最終的に、既に大家さんに内緒で猫を一匹飼っていた私が、その子猫を引き取ること
になったのだけれど、その子の命にはお前にも責任はあるのだと、拾ってきたその男の名「遠藤十哲」から一文字もらい「十 十」と書いて「ジュジュ」という名を私が付けた。

それから十数年あまりがいつのまにやら過ぎましたね。
2007年、私は雪文を起こすため九州へ居をかまえ、もちろんジュジュたちも一緒に連れてきた。
けれど、開業して間もなく、食品を製造する家屋に、住まう階が違う
といえども、猫は不衛生だという私の父の言い草で、父が余暇を過ご
す山の上の秘密基地に連れ去っていきやがった。あの時は親族ながら殺意が芽生
えたね。

それは、人生で一番納得がいかない父から受けた強制であり、あの
時ほど自分の身分を弁えろと自身に言い聞かせ、一言も言い返せずに悔しい思い
をしたことはない。
血の涙とはああいう時に流すものだ。

そして、先日の朝方あった話に戻るのだけれど、私は車を走らせな
がら、時間を持て余していたからだろうか、今年の桜はとても綺麗だ、な、と不思議な気持ちでいっぱいでいて、何気なく、映画監督を目指したあの男の名を思い出してた。
ちょうどその頃、どうもジュジュは息を引き取ったようだ。

拉致されてからここ何年、私、気まずさや不甲斐なさもあり、まともにジュジュに会いに行かな

かった。
何より父の猫なで声に呼ばれてなびく、ジュジュの姿を許容できな
かった。
晩年、ジュジュは大自然の中、自由気ままに野原を駆け巡り、野性
的に過ごしたよ。父曰く、老衰とのこと。

あのね、私、これでも、何ひとつ、捨てられる思いなど、ないつもりで生きている、
ケチな男なんです。

だって、あの朝、私、満開の桜を見上げながら、あの男が逝ってから
随分経つとか、もう二度と会えないわけ?とか、それ、私にとって何て感
覚に乏しいものなのかと、たまたま、ひとりでぼんやり、車を走ら
せながら考えていたんだも の。

そしたらさ。

あの時、僕らが待ち望んでいたのはこの景色だったんだと、今さらながらに知ることになる。
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不具合

テーマ:
iPhone用アメブロのアプリからアップロードが一切できなくなったまま、かなり時間が経ってしまいました。

そうこうしているうちに、私の日々はFacebookに移行してしまったわけです。

もし宜しければ、探して下さい。

名前「池田 興平」読みは「Tada Kohei」でFacebookにいます。


さて、食べログさんの評価基準が変わったようですね。

より多く口コミを書き込んでいる人の点数を優先して評価するという内容のようです。

改善のようにみえて、改悪な気がしているのは私だけでしょうか。

ひとりきりの評価は無視され、専門性を持っているとみなされる人の評価で点数が決まる。

これでは、やらせも専門とする業者が暴利を貪りやすくなっただけのような気がしますが。

だって、投稿の少ない一般のお客さんの評価は点数に反映されづらくなりましたが、私どもに評価されると点数がとたんに上がりますよ。って売り込めるもの。

書き込みを多くしている方は、確かに食通と判断されるのかもしれないけれど、なんら選別はされていない。

と、いうわけで、雪文の食べログの点数は軒並み下がってしまったわけですが、私どもの全く感知しないところでの出来事ですので、今日はここまで。


【業務報告】

焼き芋ソフト、今季は終了いたしました。

あと、煎った大豆と酒粕アイス、定番化致します。
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スーパーラッキー

寒空の下、探してきてくれた人がおりました。

四葉のクローバー1号

キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!

ユキモン幸せになるる


雪文のアイスクリームで 今日もお休み



雪文のアイスクリームで 今日もお休み



【最近のあいろく】

スーパーあいろくになりそこねて、とても元気が無い。
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