「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」この大作を堪能するには中国の歴史の基本を知ってから観るべし | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」の試写会に行ってきました。

 

ストーリーは、

7世紀、唐の時代。日本から中国に遣唐使として渡ってきた空海は、仏教の次に、密教を会得しようとしていた。空海は詩人の白楽天と知り合い交流を深めていく。そんな中、唐の都では、権力者が次々に死んでいく事件が発生。空海は白楽天と共に一連の事件を探って行くと、その先には先代の玄宗皇帝と楊貴妃の謎が立ちはだかる。そして・・・。

というお話です。

 

 

7世紀、唐の時代。まだ駆け出しの僧だった空海は、勉強をする為に遣唐使の一員として最後の最後に潜り込み中国へ渡った。長きに渡り遣唐使を送っていた日本は、遣唐使の廃止に動いており、最期にギリギリ間に合ったのだ。唐へ渡った空海は仏教を勉強し、最澄などと一緒に日本へ帰るとされていたが、その時代に流行り出した密教の教えを知り、ぜひ学びたいと唐へ残る事になる。

 

ある時、唐の警察官的な地位の陳雲樵の妻・春琴の所に黒猫が現れ、瓜と魚を食べさせてくれとやって来る。春琴は話す黒猫を恐がり、瓜と魚を与えると、庭に金が埋まっているからと告げて消えて行く。掘ってみると金が出てきて、夫婦で喜び、使ってしまうが、その時から猫が取り付き、夫婦の家は不気味な呪いにかけられ、日本から来た天才僧侶と言われ始めた空海に、謎を解いて貰おうと呼び寄せる。空海が訪れると黒猫が現れ、皇帝も死ぬことになると予言して消えて行く。

 

 

何か因縁があるはずだと感じた空海は、友人の白楽天と共に、事件を調べ始めるが、そこには、今から3代ほど前・約50年前の時代の玄宗皇帝時代に起きた事件が関わっているらしいことを突き止める。玄宗皇帝時代といえば、楊貴妃がその美しさにより力を持っていた時代であり、彼女は悲劇的な最後を迎えたはずだった。

 

探って行くと、歴史通りでは無く、楊貴妃の死に関して不可解な事が幾つも現れ、その時代に日本人の阿倍仲麻呂が関わっていた事も解ってくる。そして阿倍仲麻呂が書き残したものには・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画、すっごく面白いのですが、夢枕獏ファンの私は「陰陽師」の中国版だねぇと思いました。空海が清明、白楽天が源博雅、なんですよ。西洋風に言えば、空海がホームズ、白楽天がワトソンです。でね、この映画、中国の歴史を知らないと、話が50年分、バンバン飛ぶので、解からないと思います。空海が遣唐使として渡った時代と、玄宗皇帝の時代を勉強してから観る事をお薦めいたします。

 

という訳で、簡単に説明すると、空海は、どっちかというと引き籠りっぽくて、あまり人と一緒に勉強などが出来ない奴で遣唐使に選ばれなかったのですが、叔父に頼み込み、無理矢理、裏から最後の最後で遣唐使の末席くらいに潜り込みました。その時に一番上は最澄ですね。で、無事、唐に着いて、直ぐに仏教を勉強し、直ぐに帰るぞってなった時に、密教を知って、空海は唐に残るんです。で、密教を勉強して日本に帰って、高野山を開きます。最澄は比叡山ね。これで、仏教と密教が分れる訳です。この映画では、遣唐使として仏教を学び終え、次に密教を学ぼうかという時の空海が描かれています。

 

 

玄宗皇帝についてですが、素晴らしい皇帝で唐の絶頂期を治めていたのですが、楊貴妃を寵愛し、彼女の親族を朝廷の重要部分に配置して、彼らの好き勝手にさせてしまったので、それまで玄宗皇帝を支えていた安禄山一族が反乱を起こし、世の中を乱したとして楊貴妃の死を兵士たちが願い出て、玄宗はそれに応じるしかなくなり、楊貴妃を殺し、皇太子に皇位も取られてしまいます。この話は、中国では誰でも知っている話なので、映画の中では詳しく描かれません。チェン・カイコー監督なので、誰もが判っているモノとして描いていて、日本人の私は、全く判らず、付いて行くのに苦労をしました。私、勉強を全然しなかったので、知らないんですよ。お恥ずかしい。(笑)

 

 

もう一つ、阿倍仲麻呂は、中期の頃の遣唐使として唐に渡り、唐の国家試験に受かって唐の役人になりました。何度も日本に帰りたいと思い船に乗るのですが、何度日本に向かっても、転覆したり嵐にあったりして唐に戻ってしまい、諦めて、唐で人生を終えた人物です。空海は最後の遣唐使なので、50年くらいのタイムラグがあるんです。

 

これ位の情報を入れて行けば、映画を観ても解かるかなぁと思います。素のまま観ると、え?さっきは50年前で、今は現代かなとか、話が飛ぶので、このベースの人物関係を覚えておけば、この人が出ているから昔の話なのねとか、理解出来ると思います。

 

 

映画としては、私は、とても面白かったと思います。まぁ、私は、夢枕獏ファンなので、彼の小説が元々好きと言う事もあり、楽しめたのかも知れませんが、普通に、清明と博雅(陰陽師コンビ)、ホームズとワトソンと思って観ていれば、とっても楽しいんですよ。何故、化け猫が出てきたのか。何故、今更、玄宗皇帝の時代の話が掘り返されているのか、何故、楊貴妃なのかと言うことが、段々と解かって行くところが面白いんです。

 

でも、中国の歴史の基本が判っていないと、話している事が理解出来ないので、付いて行けなくなると思います。なんたって、日本で言う織田や豊臣の歴史と同じ位、中国では有名な話なので、説明もしてくれないし、役職などの解説も無いんです。だから、出来れば、予備知識を入れてから観に行って欲しいと思いました。

 

 

そうすると、楊貴妃という人がどんな女性だったのか、彼女が愛した世界はどうなったのか、彼女を愛した人々は彼女の最後をどうしたのか、そして、結局、楊貴妃は、死んだのか、それとも・・・という所に行き着くんです。

 

映像はとても美しかったですよ。さすがにチェン・カイコー監督という色使いがされていて、あの色は、普通の日本映画では観られないものだと思いました。素晴らしいです。私は好きです。幻想的な映像は、観ていて、一体、何が起こっているのかと夢の様で、堪能出来ました。

 

 

空海の人物像は、染谷さんでとても合っていたと思います。空海って、こんな人ですよね、きっと。凄く解かるなぁと思いました。白楽天という人物をあまり知らないので、合っているかは分かりませんが、この二人のコンビは良かったと思います。袈裟を着ているのに、嫌に早く走るので、ちょっと笑っちゃいました。

 

吹替版で観たのですが、これ、字幕版ってあるのかなぁ。だって、エンディングに、既に吹替キャストも載っていたんです。これは、吹替の方が良いと思いますよ。何故なら、映像を追う事で精一杯になるので、文字まで読んでいたら内容が頭に入りません。耳で理解して、映像を目で追ってという作業が出来る方が良いと思いました。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。あまり評判が良くないようですが、私は、夢枕作品は好きなんですよ。ゴメンナサイ。ま、4巻もある小説を1作にしたんだから、無理は承知の上なんですけどね。それに、歴史が分れば、とても楽しめると思うんですよ。まぁ、日本人キャストは、染谷さん以外は、あまり動きませんがね。だけど、この話、私は好きなの。やっと原作を読み始めました。早く先が読みたいです。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S : ところでこの映画は邦画になるの?洋画になるの?(笑)

 

 

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私の空海の知識は「ねこねこ日本史」と「阿吽」くらいのものです。面白いから読んでみてね。