2010-02-08 16:22:19

『ゴールデンスランバー』ヴィヴィアン佐藤評

テーマ:映画系
伊坂幸太郎原作『ゴールデンスランバー』を劇場で見て来ました。
報道されている真実の詳細が分からず、顔を整形して逃げまわる。両親は割と息子をかばい気味。どこかで見たことがある様な光景。
中村監督×伊坂原作はこれで三度目の作品映画化。『アヒルと鴨のコインロッカー』と『フィッシュストーリー』に続く作品。昨年から伊坂作品の映画化が多数行われ、昨年は確か3-4本は映画化されたでは。
伊坂自身語っているように、そのなかで中村監督との相性は抜群なのかもしれない。
さて。『アヒルと鴨~』は低予算案ながら、真摯な映画の作り方と俳優たちの熱演が好感を持たせ大ヒットした。瑛太と濱田岳のW主演と演技の上手さが光っていた。演技の不自然さなども含め、最後の最後に全体像が見えてくる手法は映画ならでは。本当に映画と濱田の演技の使い分けが素晴らしかった。
『フィッシュ~』は伊坂の短編を中村が脚色し長編にした作品。地球にぶつかろうとしている彗星(アルトマン『ショート・カッツ』の空中散布、P.T.アンダーソンの『マグノリア』の空から降って来る蛙と同じ意味?)や戦隊ものの正義の味方と世界を救う方法、もしくは世界の正常なあり方(戦隊ものの番組の数だけ「世界」は存在する)などがか追加されている。中古レコード店が存在する小商店街の世界観、テレビ中の戦隊番組中の世界観、そして地球が一気に破壊されるかもしれない世界観。。。これらが同時にパラレルワールドとして、しかし関連しあい存在している。そしてそれらを唯一繋ぐものは1枚のレコード。それも何も録音されなかった無音の部分の間奏。それが世界を救うカード(レコード=記録)として時間と場所をまたぐ。見事な脚本。何も映っていなかったアンゲロブロスの『ユリシーズの瞳』のような。。。むむむ。。。

今回の繋ぐものは「花火」。脚本というより映像的と言わしめるものはその花火の上がる映像そのもののはずだ。もう少し映画以外では不可能な見せ方があったのかもしれない。。。
それこそ仙台市内を屋上(大統領暗殺犯はビルの屋上から爆弾付のラジコンを操縦していた、という姿がヤラセで映されている)から俯瞰的に映し出すことは出来なかったのだろうか。実際に花火が上がリ、吹き出すところはマンホール。それは地下下水管の出入り口でもある。次々と花火が上がる場所は竜脈のように都市の見えない水脈ともいえる。「花火」はいわば仙台という都市の抱える不可視の地下の水の道の「インデックス」になっているはず。この「水」と「火」の関係を一気に見せる事は映像でしか出来ない事。そこだけをもう少し力んで欲しかった。
★『グールデンスランバー』オフィシャルサイト★
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主演の堺雅人や竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり、香川照之など、役者・演技は皆申し分ない。
ベンガルさんの花火職人親方が花火=江戸職人的なのがちょっと引っかかった。(というのもこれは仙台が舞台ではあるが、実際は架空の一都市「仙台」であり、江戸時代~明治~戦後の経済成長の東京に向いている価値観ではないところから創られているので)

エンジンのかからない古い廃車が出てくる。竹内がバッテリーを入れ替え、堺の逃亡を助けるのだが、なかなかエンジンがかからない。映画全体は最初多少テンポが悪く、そのエンジンのかからない車の様でもあった。
仙台が舞台だが、都市や場の映画ではなく、あくまでも人間自身を描いた映画でした。

「ふたつの花火」と「爆弾」と「はなマル」。時には同義になったり、対極したりもする。
ふたつの花火に挟まれた人間ドラマであり、「爆弾」のおかげで友情を取り戻すことができた青春ストーリーでもある。

堺主演の『南極料理人』より断然良い。
境雅人、良かったです。




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